早いもので、
今年もすでに3分の1が終わってしまいました。
本日で町田での梅澤の診療は終わります。平成元年、1989年、
シカゴのノースウェスタン大学から帰ってきて、
はじめて町田市民病院に大学から派遣されての着任以来、
大学に数年戻っただけで、
今日まで都合20年近くお世話になりました。
外科医として、
本当にガン治療と出会い、
ガン患者さんとはじめて真剣に対峙したのは、
町田市民病院でした。
そこではじめて本格的にガン治療を勉強しました。
その後2002年2月からお世話になった町田胃腸病院でも、
たくさんの「ガン治療」を学びました。
現在では、
そのノウハウを盗み汎用させてもらっている、
超低濃度での抗癌剤治療を、
教えられたのも町田胃腸病院でした。
私が町田市民病院で行っていた治療よりも、
さらに「非常識な濃度」での治療にビックリしました。
今後私は、町田胃腸病院から離れますが、
そこでは、
何処の病院でもそれしかないという標準治療とは、
一味も二味も違う、
抗癌剤の使い方をしてくれるものと思います。
外科手術では副院長の和田先生が名人です。
町田胃腸病院では、
残念ながら健康保険の範囲を超えることはできませんが、
保険の範囲内で、
患者さんの苦痛が極力少ない治療が行われるものと思います。
私は今後は、
都内山手線の池袋の隣の大塚駅から徒歩1分もかからない、
大塚北口診療所というところだけで、
治療を行っていきます。
そこは、ずっと名前・場所は伏せていましたが、
3年前から治療を行っています。
4月3日の「お花見点滴」の診療所です。
2年間ほどは週に2日だけの診療でしたから、
あまりにも交通の便が良いところにあるだけに、
迂闊に公開すると患者さんが溢れる恐れがありましたので、
黙っていました。
5月中は現行どおりの、
水曜、木曜、土曜日が診察日になります。6月以降は、
患者さんの状況により診療日を変更していきます。
私自身が疲れないレベルで診療日は増やす予定です。
看護スタッフの問題もあり、
日程は未定です。大塚北口診療所は有床診療所であり、
重篤な状態の患者さんでなければ、
入院治療も可能です。
また、近くに同一法人経営の
ほぼ全科揃っている病院を持っていますので、
そこでの手術治療等も可能です。
ICUも有り外科手術はほぼ全て可能です。
64チャンネルCT なども設置してあり、
設備も充実しています。
また、動脈注入用のリザーバーの挿入などもそこで行っています。
今日現在も私が診ている患者さんが入院されています。
明日退院予定です。
また、大塚では温熱療法と抗癌剤治療の併用もできます。
温熱療法は代替療法の、
岩盤浴などとは違い、
治療効果も確認されており、
肺ガンなどでは、
抗癌剤治療だけと比較して
温熱療法との併用により
大きな延命効果が確認されたという論文もあります。
勿論、その他のガンでも抗癌剤治療との併用で
十分に効果は期待できると考えます。
正式には「電磁波温熱療法」と呼ばれおり、
健康保険でも認められている治療です。
1回約1時間で6回治療を行って、
患者さんの自己負担額は3割負担のかたで27000円です。
話がそれました。
大塚北口診療所のご紹介は、
今後随時行っていきます。
町田は我が家からは50Kmも離れておりますが、
20年以上にわたり馴染んできた場所ですから、
やはり最後となると、
とても寂しく感じます。
何回泊まったか数え切れない
駅前のビジネスホテルも懐かしい思い出です。
町田市民病院に当直でもないのに
毎晩泊まっていた時代もありました。
自宅で寝るよりも多い年もありました。
ここ3年間は
心身ともに少々無理をし過ぎました。今後は自宅近くの
大塚北口診療所だけで、
お酒と美味しい肴とタバコを愛しながら、
のんびりと診療していきます。
自分で料理を創る時間も持てそうです。
大塚だけになっても、
治療方針・内容は、
今までとまったく変わりはありません。ただし、大塚は現在でも大変混みあっていますので、
直接診療所に初診で来られても、
はじめて診る患者さんの現状を把握して、
それに対して、
一からお話をして、
治療方針を考えていくような時間は取れません。
実際に治療に来られている多くの患者さんを
長時間待たせることになります。
先ず、時間を確保したセカンドオピニオンというかたちで
お越しいただき、
そこで私が診ることが、
患者さんにとってのメリットになるのか否か、
判断をさせていただいてから、
実際の治療ということになります。大塚北口診療所に直接初診でお越しになられても、
診ることはできませんので、
その点はご了承ください。勿論、町田で治療を続けていた患者さんでご希望があれば、
その治療を大塚でそのまま続けます。
電話で予約を取られるときに、
「町田で治療していた」旨をお話してから、
診察予約をお取りください。
長い間お世話になりました。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日の「飢餓死」で
高カロリー点滴のことを書きましたが、
医学あるいは保険用語では中心静脈栄養といいます。
一昔前までは、
完全に入院状態で行っていた高カロリー点滴が、
現在では在宅で行えるようになっています。入院よりも医療費が遥かに安くなる
外来 → 在宅での治療に
お国が力を入れてくれたお陰?です。昔は、何も食べることができない完全絶食の患者さんは、
高カロリーの点滴だけのために長期間入院していました。
昔、そのような患者さんを対象に、
ガン細胞の成長に絶対必要とされるアミノ酸を
完全に取り除き、
人間が生きていくのには必要なアミノ酸だけを入れた
高カロリーの点滴溶液を、
大学と製薬メーカーと共同で作成して、
その点滴で、
ガンの増殖が抑えられるか否かの実験なども行われました。結果は惨敗でした。
昔からガンは強かった!その事実をみても食事療法などでは、
ガンが退縮しないことが分かります。話はそれましたが、
在宅、入院は別にして、
高カロリー点滴を行わなければ、
餓死してしまう患者さんは相当数に上ると思います。残念ながら、
まったく食べられない患者さんでは、
一生涯、在宅の高カロリー点滴を
続けなければならないかたがほとんどですが、
少しでも経口摂取が可能な患者さんでは、
ガンに対する治療で、
病態の改善が図られたときには、
高カロリー点滴は必要なくなることも珍しくありません。
現在も数名、
点滴をはずし、
完全に経口食事摂取だけで生活をされている患者さんもいます。
標準治療を一回受けただけで、
何週間も食事摂取がまったくできなくなってしまう患者さんもいます。
そのような患者さんでは、
緊急避難として、
一時的な高カロリー点滴を受けなければなりません。そして、当然その後はそのような抗癌剤治療は避けるべきです。飽食の国では感じないかもしれませんが、
今地球の上では、
10億人近い数の人間が飢餓に苦しんでいるといわれています。
「人間は食べなければ生きていくことはできない」子供でも知っている当たり前の理屈です。
「ガンを患った患者さんだけは、食べなくても生きていかれる」などという、
馬鹿げた道理はありません。
しかし現在では食べられなくても、
口からではなく、
点滴という便利な方法で、
しかも在宅で、
まったく何も食べられなくても生命を支えていくことは可能です。
今まで、
私の目の前で、
餓死寸前の状態から、
半年、一年以上と延命が叶った患者さんは、
数知れません。
寝たきりの状態に至るのは、
エネルギー不足である場合が少なくありません。患者さんがどの程度のカロリーを摂取しているのか、
直ちに確認してください。
糖尿病の患者さん向けのカロリー計算の本が役に立ちます。24時間当たりで、
1400カロリー程度を下回っているならば、
すぐに主治医に相談して、
カロリー補給の算段を講じてください。
必ずしも、
高カロリー点滴がすぐに必要ということではありません。
経口の高カロリーの流動食(経腸栄養食)なども、
健康保険で処方が可能です。
それを飲むことができれば、
点滴は必要ありません。
なお低栄養状態が長く続いている患者さんでは、
多くの場合、アルブミンという血液中のタンパク質が減少しています。高カロリーの点滴だけでは、
それはなかなか増えてはくれません。
低アルブミン血症は、
腹水の増加の一因にもなります。アルブミンの補給も考えなければなりません。
アルブミン製剤を点滴で入れなければなりませんが、それは人間の血液からだけしか製造することはできず、
貴重品であり、
ガンという慢性疾患では、
多くの場合保険では使えません。保険外の治療になってしまいます。
「自費負担でもよい」
という患者さんは主治医に相談してください。現在、自費でアルブミン製剤の点滴をしてくれる医療機関は
幾つも存在しているようです。
それらを上手く活用して、
栄養状態を維持して長く治療を続けてください。
現在の医学では、
癌死はある程度は止むを得ません。しかし、「餓死」はもったいないように思います。勿論、それは私の勝手な価値観ですが・・・
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
ガンという病気により、
年間30万人以上の日本人が亡くなります。
そのうち、
直接の死因はガン死ではなく、
餓死と思われる患者さんは、
恐らく半数以上を占めるのではないかと想像されます。ガンという病気を宿すと、
様々な原因で、
食事が摂れなくなります。抗癌剤の副作用で食べられなくなる患者さんもいます、
痛みで食事ができなくなるかたもいます、
あるいは、消化器そのものの異常から
食べることが不可能になることもあります。
原因は何であれ、
人間は食事をしないと生きていくことはできません。健康な人間が、
モノを食べないでいると、
強い空腹感に襲われます、
ひもじくなります。しかし困ったことに、
ガンを患っている患者さんでは、
食事を摂っていなくても、
空腹感をあまり感じないかたも少なくないようです。空腹感が無いから食べない、
しかし食べなくても、
体温の維持、呼吸、心臓の鼓動などにより、
生きていれば確実に人間のエネルギーは消費されていきます。
それを基礎代謝といい、
1日1200カロリーは必要とされます。経口食事摂取が、
それ以下になると、
人間は自分の身体の一部をエネルギーに変えていきます、皮下脂肪などがエネルギーとして使われている間はいいのですが、
ガンを患って、
経口食事摂取が不良になっている患者さんで、
エネルギー源となる皮下脂肪をタップリ蓄えているかたなど、
そうはいません。
一般には、
相当にスリムな体型になっています。
そのような患者さんでは、
経口食事摂取ができなくなると、
空腹感は無くても、
身体を動かせば、
その分、自分の身体をエネルギー源として燃焼させますから、
ほんの僅かに身体を動かしただけでも、
凄まじい倦怠感、疲労感に襲われます。したがって、
ほとんど身体を動かさずに、
寝たきりの状態になります。それを観ているご家族も、
患者さん自身も、
「ガンが進んで寝たきりになってしまった」と思い込んでしまいますが、
身体にエネルギーが入れば、
寝たきり状態が回避される可能性は少なくありません。その寸前にまで至っている患者さんを時々見ます。
そのようなときには、
このブログでも何回もご紹介している
在宅高カロリー点滴をすぐに開始するべきだと考えます。
勿論、何らかの工夫をすることで、
口からの食事が可能であれば、
先ず、それを試して、
それでもダメなら、
高カロリー点滴をしなければなりません。
高カロリー点滴をすると、
「腹水が増える」
「ガンに栄養を与える」などと、
ほとんど難癖というよな屁理屈をつけて、
それを行わない病院も少なくありませんが、経口食事摂取ができなければ、
如何なる人間も確実に餓死に至る、
ということだけは忘れないでください。食事をしないで生きていることができる人間はいません。そのためには、
どれだけのカロリーの摂取が可能であるのか、
ご自身、ご家族でカロリー計算をすることはとても重要です。
しかし、先日は、
1週間以上ほとんど何も食べることができない、
という、まだ若い患者さんに、
在宅高カロリー点滴を勧めたところ、
「怖くてできない」
と断られました。
餓死するほうが余程怖いと思うのですが、
人間の価値観はイロイロです。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
イロイロな研究があり、
医学は確実に進歩しています。
乳ガン手術後に、
ある種の降圧剤を飲むと再発確率が大きく下がるらしい、
ということが分かってきました。
降圧剤とは高血圧の治療に使われる、
血圧を下げるクスリです。
比較的新しい種類の降圧剤ですが、
今ではまったく一般的に使われています。
高血圧は生活習慣病の一つですが、乳ガンの患者さんでは、
その病気を合併していて、
そのクスリを飲んだほうが再発確率が大きく下がるようです。何が幸いするか分かりません。
また、最近では、
人での成果はまったく不明ですが、
漢方薬にも使われている牛蒡(ゴボウ)の種が、
ネズミの膵ガンの増殖を抑制する、
という研究データも出てきました。文字通り日進月歩医学は進歩しています。
サプリメントなどでも、
ガンの増殖を抑制する可能性が高いものもあることも、
いい加減な業者の研究ではなく、
科学的な調査で、
分かってきたようです。これらの情報は、
一般の人でも見ることが出来ます。
サプリメントなどについては、
一般の新聞に掲載されていました。
故意か否かは知りませんが、
効果が無いかのような印象を持たせるような書き方がされていました。たしかに、
ガンの縮小効果を認めた患者さんの数は、
僅かでしたが、
多くの患者さんでガンの増大抑制効果は見られています。副作用を伴わないサプリメントとしては、
立派なデータだと思います。新聞記者も、
抗癌剤治療の専門医に毒されているのか、
ガンは縮小しなければ、
「治療効果無し」
と考えているのでしょうか。
まったく副作用を伴わないサプリメントで、
ガンの増殖が抑制されたなら、
経済的な問題を別にすれば、
抗癌剤治療などより、
少なくとも標準治療などよりは、
遥かに患者さんとっては有難い治療であるはずです。現在、新しい研究データなどが、
ドンドン出されています。
しかし、それを故意に操る人間もいるように感じます。抗癌剤治療での治療成績も、
「延命効果がある」
という事実だけを誇張して、
多大な副作用を伏せるのは当たり前であり、
「半分の患者さんは○○ヶ月以内に死ぬ」
というも一つの事実も、
あまり表には出されないように感じます。
ガン治療を考えるとき、
データは極めて重要です。ただし、それは患者集団での数字であり、
たった一人の患者さんの治療効果を担保するものではありません。そのことも十分に理解して、
情報戦を戦ってください。本日は町田での診療でしたが、
町田での診療は4月30日が最終になります。
とても名残惜しく、
寂しく感じます。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
本日は一般診療は無かったのですが、
特別に診なければならない患者さんがいたり、
そのほか雑用で時間が取れません。
ブログは休診にします。
先日、ある大先輩に私の後継者を作ることを依頼しました。
別に、如何という難しい治療ではなく、
ガンという病気の見方を少し変えるだけですから、
すぐに覚えてくれると思います。
今後は、少しのんびりする時間も
作っていきます。
本日はその「のんびり」の第一弾です。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
大きな勘違いをしている患者さんをいまだにみます。
先日セカンドオピニオンに来られた患者さんのご家族もそうでした。
まだ、お若い患者さんですが、
配偶者だけでセカンドオピニオンに来られました。
大学病院お決まりの、
標準治療ではなく準標準でしたが、
治らない治療でした。その上非常に激しい副作用に悩まされて、
完全に普通の日常は奪われていました。それでも、
患者さんは
「この治療を続ければ治る」と信じておられるそうです。
困ったことに、
そのご両親も、
まったく疑いなく、
その辛そうな我が子を目の当たりにして、
「これだけ苦しんでいるのだから治る」と、これまた文字通り致命的な勘違いをされていました。
その治療内容を聞いて、
間違いなく私が治療を行ったほうが長生きは可能であると考え、
私が治療を引き受けようと思いましたが、
患者さんご本人とそのご両親の、
大きな勘違いを聞いて、
私には治療はできない、
と考えました。
根治、直ったモドキへの道が
完全に閉ざされているわけではありませんが、
残念ながら、
その道に到る可能性は極めて低いと思われます。
いずれかの時期には、
不幸な結末が待っていることが予想されます。そのときに、
「大学病院での治療で治る」と信じているご両親は、
間違いなく、
「こんな無名の医者に診せたから死んだ」と、恨むことになります。
そんなことより、
治ると信じて、
辛い副作用に悩まされ、
普通の生活を奪われてしまうのは、
あまりにもお気の毒過ぎます。
残酷なようですが、「その治療は治すことが目的でない」
「死ぬことが大前提の治療である」という事実を知らせるべきだと考えます。それを知れば、
「それならば、如何なる治療を選ぶべきか」
を考えはじめると思います。治ることはなく、
ただただ辛いだけの治療は消え去り、
目の前にはたくさんの選択肢が現れてくるはずです。治らないという事実を知らせることは、
一見残酷なように思えますが、
知らないで間違った道を選択して、
そのために終生苦しませてしまうよりは、
患者さんにとって遥かに優しいことだと思います。一方、
老夫婦だけで治療に通ってこられる
90歳近い患者さんのご配偶者が、
「最近食が細くなった、何故ですか?」と言うので、
「それはガンが進んでいるからですよ」というと、
「アラ嫌だ、それじゃ抗がん剤で早く治してくださいよ!」・・・・・
何も言う気にはなりませんでした。
事実は正確に把握しておいたほうが、
無難だと思います。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
約3年前に手術不能大腸ガンが発見され、
標準的な病院で、
標準治療FOLFOXを10回行うも、
効果が見られなくなり、
次に勧められた標準治療には、
はじめのFOLFOXでの副作用の辛さを考えると、
とても受ける気にはならず、
2年以上前に、
私のところに逃げ込んできた、
まだ若い40歳代前半の患者さんに対して、
副作用の出ない最低濃度で抗癌剤治療を開始しました。
大きな副作用は感じないとわ言われ、
効果も有りそうに思えました。
しかし、それでも抗癌剤治療は嫌になり、
僅か一月で「ホスピスに行きたい」と言い出しました。
その患者さんは、
激しい偏食があり、
まともな食事はほとんどしていなかったそうです。
甘い、しょっぱい、様々なスナック類、
いわゆるジャンクフードが大好きで、
食事の代わりにそればかり食べていたそうです。大腸ガンになったのも、
それが原因だと本人は考えていました。しかし、ガンが発生しても、
食習慣を変えることはできず、
一般的な食事を摂ることは不可能、
その大好きなジャンクフードだけの偏食を止められず、
「好きなものだけを食べ続ける」
という宣言を残されて、
ガンに対しては無治療、
緩和ケアだけの道を選ばれました。その1年後の昨年の4月に、
「無治療宣言をして飛び出した○○です。
その後、治療しないで勝手な生活をしていますが、
無理だと思っていた今年の桜を楽しむことができました。」と、ご本人から手紙をもらいました。
その後は、連絡が無く、
当然昨年中には亡くなられていると思っていたところ、
先週ご家族から、
今年の3月に亡くなられた旨のはがきをいただきました。
無治療で、
食事療法などはまったく考えることなく、
ガン患者さんの敵であるかのように、
まったく意味無く嫌われているジャンクフードだけ、
というより、大好きなジャンクフード漬けの状態で、
2年以上快適に生活されたことになります。大腸ガンには特に食事療法が有効で重要だ、
というようなことを聞いたことがありますが、
本当にそうでしょうか。
この患者さん1例をみて、
食事療法は意味が無い、
とは言いませんが、食事療法とはその程度のものだと思います。しかし、逆に、
この患者さんが、
無治療宣言後、
ジャンクフード漬けではなく、
こころを入れ替え?
健全な?食事療法を実践して、
標準治療の平均値より遥かに長く元気で生活をされていたら、
間違いなく、
「食事療法のお陰で、
抗癌剤は一切使わずに2年以上も生きることができた、
食事療法は抗癌剤治療よりも有効だ」という立派な宣伝塔になっていたと思われます。
その患者さんはお一人しか存在しませんから、
何ともいえませんが、
食事療法を行っていても、
まったく同じ結果になっていたと想像されます。
むしろ、食べたいものを食べることができないという、
極めて大きなストレスにより、
大きく寿命を縮めていたようにも思われます。もし同じ時間だけ生きることができたとしても、
食べたいものを好きなだけ楽しんだ人生と、文字通り味気無い、
食べたくもない粗末な食事での一生と、どちらが幸せであったかは言うまでもありません。この患者さん以外にも、
乳ガンで、
大好きな乳製品を制限することができずに、
好きなだけ楽しんで、
同時に好きなお酒もタバコも止めないで、
学会報告に値するような、
極めて良好な経過を辿っている患者さんも居ます。
また、私が診てる患者さんでは、
食事制限や食事療法などは、
まったく勧めません。
そしてそのとおりに、
楽しい食生活を楽しまれ、
極めて良好な経過のかたは幾らでもいます。その患者さんたちが、
万一食事療法をしていたら、
あるいはサプリメントなどを飲んでいたら、
その良好な経過は、
食事療法やサプリメントのお手柄、
ということになります。食事療法やサプリメントとはそのようなものです。一見、効果が有ったようなように見えた民間療法の効果とは、
その程度のものです。何回も書いているとおり、
ガンおよびそれを宿した患者さんは、
十人十色、皆さん違います。
たとえ善意であっても、
不確実な情報を
藁にもすがってしまう患者さんに提供することは
大きな罪です。患者さんにとっては、
大切な時間を辛い思いで過ごす結果になることもあり、取り返しのつかない大きな迷惑になります、
絶対にしないでください。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
2,3日前にいただいたコメントです。
考えるべきところがありますので、
再掲します。
このままの状態で、主治医から離れて、仮にも、病状が悪化したら、
少なくてもご本人が、後悔されると思います。
ああ、やっぱり、主治医の先生に、ずっと、診てもらっていれば、
こんな事にはならなかったのかも・・・・と。
結局、不確定で不安な中で、道を変えても、
結果オーライなら良かった良かったとハッピーエンドで終われますが、
結果が悪ければ、道を変えた事を後悔するのが、人の性だと思います。
通常、私たちは、医者でもないかぎり、ガンの経過や、
ほとんどのケースで行き着く先なんて、良く知らないわけで、
結局、ガンが消えて無くならない限り、
早かれ遅かれ、天寿を全うする結果が待って以上、
普通、結果オーライとは思えないと思います。
それなら、道を変える事により、不安が残る選択肢は選ばないのも
一つの考え方ではないでしょうか?
よく先生もここで仰っていますが、国立ガンセンター中央病院で治療を受けて、
エビデンス通り残念な結果になっても、
ほとんどのご本人やご家族は疑問を持たれないと思いますし、
後悔も少ないのではないかと思います。
お上が管理している、日本最高のガンの専門病院なんだから、
これ以上の治療や延命方法なんてあるわけは無いと思うのが一般的だと思います。
それはそれで疑問を挟む余地の無い事実ですし、一方で、敢えてさっさと、
ガンセンターに見切りを着けて、何の不安や後悔もなく、
エビデンスにとらわれない治療に道を変えるのは、
もはや、かなり高度な価値観を有した患者や家族のなせる業とも思えます。
お上が管理している仕事で、
国民が本当にこころから満足しているものとは、
どの程度あるのでしょうか。政治屋そのもの、税金、外交、基地問題、役人その他もろもろ、
国民は満足しているのでしょうか、
私は不満だらけです。そんなお上が定めた病院というだけで、
私には、胡散臭い感じがしてしまいます。国民には、
文句が出ない程度に、
最低限度のことだけを与えておけばそれでよし。
という感じを受けてしまいます。
国立ブランド病院での、
現在の標準治療一辺倒の姿勢をみると、
本当にそう思います。
実際にガン対策基本法に携わった国会議員は、
その病院からは逃げ出してきたのを見ました。
私の家の近くの火葬場には、
荼毘に付すお釜に、
“ランク”があります。
“一般のお釜”と、
それよりも“高級”なお釜です。
大きな値段の違いを聞いて、
「火力か何かが違うのですか?」
と質問したあるご家族がいましたが、
勿論、そんな違いはありません。
お釜の性能は同じで、
お釜の外装と、
遺骨を拾う場所が少々違うだけだそうです。
内外装だけは立派な、
ブランド病院での、
標準治療の後に、
エビデンスどおりの死を迎えるのは、
「ハイグレードなお釜」で
荼毘に付されるようなものではないでしょうか。きっと、ご家族はそれで、
満足なんだと思います。勿論、私が死んだときには、
家族には「並の釜」にするようにお願いしていきます。
父の時には、ハイグレードにしてしまいましたが・・・・
また、産院にもグレード・ブランドがある
という話も聞いたことがあります。
都内の有名な幾つかの病院の名前が挙がっていました。
そこで産むと、
その子は賢い子に育つのでしょうか。
将来、出世するのでしょうか。コメントのなかに、
「ハッピーエンド」という言葉がありましたが、ガンに対する標準治療では、
ハッピーエンドはありません。
間違いなくすべての患者さんに
悲しい結末が待っています。
「全てのケースで行き着く先は分かっています」“標準”とは必ずそこに行き着くことが大前提の治療です。
あとは火葬のお釜をドウするかのご家族の問題だけです。私が診ている患者さんでは、
標準治療では、
完全に決められていた行き先を
工夫を重ねて回避して、
まったく予期できなかった方向に
向いてくれているかたも少なくありませんが、残念ながら、
行き先がほぼ決まってしまっているかたが
大多数であることは事実です。しかし、そこに到るまでの、
時間と生活には大きな差はあります。その
「ハッピーエンドは無い」
という厳しい現実をシッカリと踏まえて、
ご自身、ご家族の治療を考えてください。同時に“高級釜”が良いのか、
“並”で良しとするか、
決めておいてください。三島由紀夫ではありませんが、
火葬場のあの煙には、
とても感慨深いものがあり、
私はあれを見るのが好きでした。
今は煙は出なくなり風情が無くなりましたが・・・以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
私のところにはじめてこられたのは、
ちょうど2年前でした。
癌性腹膜炎の状態で、
切除不能の胃ガンを宿した患者さんした。
余命6ヶ月と診断され、
標準治療が開始され、
すでにその賞味期限は切れかけていました。
それがエビデンスです。
地元の病院での標準治療では、
予定通りの終着点到着は間近と思えました。
しかし、私のところへ来られたときには、
まだ全身状態は悪くなく、
「もしかして手術も可能になるのではないか」と考え、
某大学病院に紹介しました。
その当時も、
私も、同じ治療は行ってはいましたが、
大学でお仕事をされている地方の患者さんであり、
大学病院のほうが馴染みやすいのではないかと考え、
私が診るのではなく、
大学病院に紹介しました。
その結果、
すでに逝くはずの時期を遥かに越えた頃、
手術が可能になっていました。
そして、手術を行いました。
その後は、
その大学病院から、
保険外の治療のために、
私に逆紹介されてきて治療を行いましたが、
残念ながら再発を来たし、
先日亡くなられました。
しかし、エビデンスどおりの治療では、
1~2ヶ月で終わるところを、
確実に2年間もの時間を、
QOLも充実して、
一時は根治の可能性も見える状態で、
明るい日々を過ごすことはできたはずです。
現在では、
その治療は高度先進医療という範疇で、
認知されてきましたが、私が紹介したときには、
エビデンスも保険適応もない、
お堅い病院のお医者さんでは、
絶対に、よしとしない治療でした。
鼻で笑われる治療でした。
それが、現在では、
手術が不可能であった、
腹膜播種を伴う胃ガンに対して、
手術が可能になる患者さんが出てくるような治療となり、
日本中で認知されはじめています。勿論、その治療により、
今までの治療では考えられなかったような延命が可能になりました。エビデンスに則った
いわゆる標準治療に対して、
「最高の治療だ」
などと言っているお粗末な医者もいるようですが、
それが最高の治療であるなら、
それ以上の進歩はない、
ということを意味します。ところが、医療は確実に進歩しています。標準治療が最高の治療などということはありえません。「エビデンスが無い」
ただそれだけで、
「効かない治療」
「効果は無い」
「不適格な治療」
などと考えるのは、
本当に愚かなことです。
現行のエビデンスに則った治療の成績に満足されるのであれば、
あらかじめ決められた、
執着地点もその時刻にも納得して、
その治療を受けることは悪くないと思います。
しかし、多くの患者さんでは、
それには満足できないはずです。
そのような普通の感覚お持ちの患者さんであれば、
本当に満足できる治療を、
探すべきだと考えます。
本日は、
地方のがんセンターで、
漫然と続けられていた標準治療に疑問を持ち、
そこから飛び出して、
「標準」より遥かに長生きされた患者さんのご家族が、
旅立たれたあとの挨拶に来てくださいました。
標準治療では、
遥か前に居なくなっていた患者さんでした。
本当に親孝行なご家族が、
一生懸命に知識を蓄え、
治療を考え、
ご家族で治療を構築していき、お神輿に乗っているだけの患者さんに、
とても快適な長い旅を楽しませることができました。
まったくエビデンスなどとは無縁の治療を続けました。私は、そのご家族にただ協力していただけです。
何回もしつこく書いていますが、
エビデンスの本当に意味を考えて、
ご自身の、ご家族の治療を探してください。
あらためて、
旅立たれた患者さんの
ご冥福をお祈りいたします。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
90歳近いご高齢の、
手術不能のガン患者さんのご家族が、セカンドオピニオンに来られました。
ご家族としては、
患者さんの年齢など関係なく、
何時までも元気で、
快適な生活をして欲しい、と考えているはずです。
それに対して、
主治医の冷たい対応がご不満のようでした。
私は現在、
その患者さんより、
赤いチャンチャンコ、一枚分、
すなわち60歳若い患者さんで
同じ状況のガンも診ています。
時間がタップリあるならば、
90歳手前の患者さんも、
20歳代の患者さんも、
同等に診ることはできるのかも知れませんが、
現在の日本では、
少なくともガン治療を行っているような病院では、
全ての患者さんを均等に診ることができるほど、
十分に時間を与えられている医者など存在しません。日本の医療は、
とても貧しいのが現状です。
トリアージではありませんが、
忙しくて時間が無く、
全ての患者さんを同等に診ることができないのであれば、
何処かに差をつける理由を見つけて、
自分なりに納得して、
差別治療?を行うことになります。その程度の裁量は、
医者にも認められているはずです。
しかし、患者さんのご家族にとっては、
何歳になっても、
大切なご家族であり、
歳を取っていることだけを理由に、
差別はされたくないはずです。
そのとき、
なんといっても、
医者が動いてくれなければ、
話になりません。
医者が動くか否かは、
多くの場合、
まだ若く理解力も知識も豊かな患者さんのご家族の振る舞いに
かかってることが少なくないように感じます。患者さん自身がご高齢で、
そのご家族が、
あまり熱心でなければ、
その患者さんをシッカリ診ようとは考えないように思います。
私自身も、
患者さん、ご家族それぞれ、
様々なご事情があることは重々承知していますが、
ご高齢の患者さんをお一人で生活させているようなご家族よりは、
同居されて、
シッカリと面倒を看ているご家族を持った患者さんを優先してしまいます。
現在の貧しい日本の医療資源を、
最大限有効に使うとなると、
医者の裁量で行うトリアージもある程度必要です。
それが無ければ、
日本のガン医療は回転しません。それが日本の現実です。
ご高齢の患者さんのご家族では、
その現実を、
患者さんにとって如何に有利に動かすかは、
ご家族の熱意がどれだけ医者に伝わるか、
ということは大きな要素になるように感じます。ご相談に来られた患者さんのご家族であるお孫さんも、
毎回の通院時に、
わざわざ東京から、
その地元の病院まで、
患者さんと同伴で行かれているそうです。
ご家族にとっては、
まだ不満のようですが、
その病院の医者にとっては、
他のご高齢の患者さんではおこなったことが無い、
という治療をされていました。
もし、そのお孫さんが行っていなかったら、
エビデンスが無いことを盾にして、
無治療になっていた、
ように感じます。
医者も人間です。
人間を大きく動かすのは、
同じ人間のこころだと思います。
医者を上手く動かして、
最善の医療を追求してください。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
コメントで、
おまけに匿名で
ご家族の病気について質問が入っていましたが、
メールで、こまごまと病状・病歴を綴り、
「これほど私は心配している」
「アドバイスが欲しい」とリクエストしてこられるかたがたくさんいます。
ほとんど返信は出していません。メールという極めて安直な方法で、
何を得ようというのでしょうか。まったく診たことも無い患者さんの病状を、
文字だけで伝えることができて、
そして、それに対して、
的確なアドバイスが可能だと考えているのでしょうか。「癌」をそれほど甘い病気だと思っているのでしょうか。可能な限りたくさんの、
アドバイスをご自身の足を使って、
集めてください。
周辺の病院を片っ端から訪ねてください。すべての患者さんご家族には、
様々なご事情がお有りなのは分かりますが、
それができないのであれば、
残酷ですが、
その患者さんはそこまでの命であり、
とても心配されているように見えても、
安直な方法どまりの心配ではないでしょうか。
頻回の通院は不可能、
経済的に無理、
それであれば、
「それだけの命」と諦める以外にはないと思います。
様々な患者さんを診ています。
毎週飛行機で通院されている患者さんもいます。
遠方から引っ越してきて、
地元で宣告された時間より、
2年以上も長く治療を続けた患者さんもいます。
それができるのはとても恵まれた方々であり、
多くの患者さんでは、
そこまではできないと思います。
しかし、実際にそれを実行している患者さんも診ていると、
メールだけで安直に情報を得ようとしているご家族に対して、
何かしてあげようという気にはとてもなりません。メールだけで、
質問を受け付けて、
それに対して答えてくれるような、
便利な専門のサイトなどもあるようですので、
そちらをご利用ください。
医者と正面から対峙して得られる情報と比較したら、
本当に微々たる、
チョッと何かを調べればすぐに出てくる程度の知識であり、
大きな情報を得ることはできないと思いますが、
そのようなご家族では、
それで満足ではないでしょうか。
ガンという病気は、
甘い病気ではありません。
本当にご家族のことを思うなら、
ご自身の汗をタップリと流してください。ご家族の努力と患者さんの寿命は確実に比例します。ただ一点、
コメント?のなかで気になるところがありました。
ただ母は主治医の先生を信頼していて治るものだと信じて
辛い治療にも耐えていて、・・・・
このような騙し討ちの標準治療の実情は
何回も書いていますが、
シッカリと現実を見つめてください。それが如何に間違っているか、
患者さんにとってどれほどお気の毒なことか、
このブログだけではなく、
ガンという病気とその治療の現実について、
ネット検索でもすれば、
すぐに分かります。
最低限、その程度の努力を惜しまれると、
後々、大きな後悔することになると思います。お大事になさってください。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
このブログは、
すでに亡くなられた患者さんのご家族も読まれているようです。
4月12日の「ガンを患って」に対して、
嬉しくもチョッと褒めすぎのコメントをいただきました。
そのコメントとまったく同じことを言われたご家族もいます。
患者さんが旅立たれてから、
まだ、間もないご家族ですが、
患者さんが逝かれた後、
挨拶に来てくれました。
「彼女はたくさん宝物の時間をもらいました。
でも、すでに眠ってしまってたか、
大空を羽ばたいているのですから、
あの宝ものの時間は私だけしか感じることはできません。
あの時間は私がもらった時間かもしれません。」と言われていました。
その患者さんは、
余り良い経過を辿らせてあげることはできませんでした。
本当に手強い相手でした。
健康保険での治療は勿論全て試し、
さらに、ご主人の希望通りの保険外のクスリもたくさん使いましたが、
どれもことごとく跳ね返されました。
しかし、はじめに行かれていた大学病院での治療よりは、
遥かに快適で、長く、
そして日常生活を失うことはない治療であったはずです。
その結果、「宝物」を受け取ってもらうことができたと思っています。その患者さんご自身は、
深刻な病気を宿しているという認識はあまりなく、
暖かい愛情に溢れるご家族だけが、
心配され、悩んで、苦しんでおられました。
その患者さんは、
多くの患者さん、ご家族でも同じような状況をしばしば見ますが、
患者さんご自身は、
余り深刻には受け止めておらず、
深刻な状況を知っているご家族が、
必死に担いでいる、
乗り心地の良いお神輿に乗って、
ただ、「宝物のような時間」を楽しんでいる、というパターンでした。
それもガンとの一つの闘病方法であるように思います。
深刻に考えて、
くよくよしても結果は同じです。それより、
むしろ心配はご家族に丸投げして、
楽しいことだけを考えているほうが余程幸せで、
そのほうが、
長生きできるように感じます。クヨクヨ考え込んでいる患者さんの予後は
けっして良くありません。日々イロイロな患者さんを診ていると、
無理にでも明るく振舞っているほうが、
幸せで、明るい予後も待っているように感じます。本日は診療は無かったのですが、
雑用で忙しい一日でした。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日の「局所治療と全身治療」で、抗癌剤治療と手術、放射線をはじめ、
他の治療との併用は絶対的に必要であり、
積極的に考えなければいけない、
ということを書きましたが、
そのとき、
思い浮かぶ言葉に、
「統合医療」という4文字があります。
ガンという人類にとって最強の敵に対して、
一つの方法だけではなく、
様々な武器をもって戦う、
ということを想像させる的確な言葉のように思います。現在その「学会」なるものも存在しおり、
私のところにも毎回案内状が来ており、
一度参加したこともあります。
しかし、
その名ばかりの「学会」は、
私の鼻には、
「健康食品業者、商いの集い」
「似非治療、大商談会」
「統合金儲け研究会」のような匂いがプンプンと感じられました。
何回か書いてきた、
90%以上の確率でガンが治るという、
宣伝文句で販売されている、
500mlのペットボトルで21000円の
まったく薬効の無い「ただの水」の業者も参加していると聞きました。
その事実だけでも如何なる「学会」であるかは、
ガンの存在で何も見えなくなっている患者さんでなければ、
誰でも、容易に想像できると思います。
手術、抗癌剤、放射線、免疫、ラジオ波、凍結、電磁波温熱療法、
などなど、
ガンという人類最強の敵に対して、
全てを統合して戦う、という意味であるはずの、
素晴らしい「統合医療」という言葉が、
大きく歪められているように感じます。
フト考えてみると、
人類最悪の敵は、
ガンそのものではなく、
「統合医療」などと、
耳障りの良い言葉を巧みに利用して、
その言葉だけを身にまとい、
ガンを宿して苦しんでいる患者さんの弱みにつけ込み、
素人を使ったマルチ商法を駆使して
「この水を飲めばガンが治る」
などと騙し、
法外な値段で「ただの水」を
売りつけているような悪徳業者かもしれません。彼らは「統合医療」という言葉を口にしながら、
手術や抗癌剤治療などの、
真っ当な治療は否定するという、
まったく矛盾したことを唱えています。
「ただの水」でガンが治ると謳っているのですから、
何を言おうが説得力はまったくありませんが。
統合医療という考え方は
ガン治療では絶対に必要であり理想的な姿です。
全ての武器を統合して戦わなければ、
ガンという摩訶不思議で恐ろしい生き物には、
とても立ち向かえません。しかし現在は
その「統合医療」という言葉は、
一部の人間により、
「似非代替療法の隠れ蓑」に成り下がってしまっているようで、
残念でなりません。先ず、ガン患者という最弱者を騙す、
人類の最悪の敵である、
悪徳業者(医者もいます)の甘言に騙されることなく、主治医とよく相談して、
ご自身にとって最善で本物の統合医療を実現してください。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
根治手術を行っても、
後々再発してきて、
多くの場合、
それが命取りになるので、ガンは恐ろしい病気だといわれます。
そのガンの再発の仕方にはイロイロあります。肺や肝に転移というかたちでの再発は、
頻繁に起こります。そのとき、
多発転移・再発でなければ、
画像診断上から判断すると、
手術や放射線、あるいはラジオ波などで、
その病巣だけを消滅させることが可能であることは、
珍しくありません。いわゆる局所治療でその病巣を消し去ることも可能です。しかし、それは多くの場合あまり行われませんし、
いきなり行うべきではありません。そんな治療をしたなら、
標準的抗癌剤治療だけを行っている病院・医者からは、
「バカだ!」
と言われてしまいます。多くの場合、
バカです。それは延命に寄与しない可能性が多分にあるからです。しかし、局所治療を行わなければ、
再発患者さんは、
ほぼ確実に死に至ります。消化器のガンが肝臓に転移した場合、
血液の流れから考えて、
肝臓だけの転移の可能性も低くはなく、
手術での切除で「治ったモドキ状態」に至ることも有り得ます。しかし、肺に転移している場合には、
血液の大循環にガン細胞が入り込んでいることを意味し、
身体中にガン細胞がばら撒かれている可能性が極めて高くなります。
そのような状態のときに、闇雲に見えているガン病巣だけを消してもほとんど意味はありません。身体に侵襲のかからない方法で対処するのであれば、
悪くはないと思いますが、悪戯に手術などを行うことは、
害の方が大きくなる可能性も多分にあります。したがって、
肝転移、肺転移がはじめから明らかになってしまっている、
ステージⅣの胃ガンなどでは、
手術を行わないことのほうが普通です。
手術は延命に寄与しないからです。しかし、何も細工することなく、
闇雲に転移・再発病巣に立ち向かうのではなく、
十分に考えぬいた、
適切な下ごしらえを、
厳重に観察しながら行ってから、
その病巣を退治するのであれば、
そしてさらに退治の後の治療も用意して、
それを実行するならば、
根治に近づくことも可能になる場合はけっして少なくありません。そのような、
前準備とその後の対策により、
治ったモドキの状態に至っている患者さんは何人も診ています。「再発 → 標準的抗癌剤治療」というシッカリとした
エビデンスに則った公式・ベルトコンベアが
できあがっているような病院での治療では、
「再発 → 標準的抗癌剤治療 → エビデンスどおりの確実な死」が待っているだけです。
もしガンが根治に近づくとするならば、
治ったモドキ状態に至るとすれば、再発病巣に対して、
何らかの物理的なアプローチは絶対に必要になります。抗癌剤治療だけではその状態に至ることは、
ほとんど不可能です。
しかし、その物理的なアプローチを行うには、
周到な準備が必要です。
闇雲に
「そこにあるから叩く」
では、けっして満足のいく結果は得られません。周到な準備の一部は、
今までも何回か書いてきましたが、
幾通りもの方法が考えられます。
ここで書いている時間はとてもありません。
再発をみてしまった患者さんは、
主治医と慎重に話し合い、
的確な準備を整えてから、
「治ったモドキ」の状態を目指してください。局所治療の恩恵を排除した、
標準的抗癌剤治療だけでは、
確実にエビデンスどおりの死に至ります。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
突然の閉院に対して、
幾つかのコメントと、
たくさんの“心配メール”をいただきました。
ありがとうございます。
無理しなければ、
まだまだ働けますので、
どうぞご心配なさらないでください。
なお、お酒とタバコは、
止める気はまったくありません。
寝ることと、
身体に悪い美味しいものをたくさん食べて、
旨い酒を飲みたいだけ飲むことだけが楽しみであり、
また、ストレスの発散にタバコは欠かせません。
私の勝手な死生観で、
他人の死は嫌ですが、
自分の生に対する執着はまったく無く、「人間何時死ぬか分からない、
そのときまで満足いく生活をしていきたい、
好きなことをしていたい」と考えていますので、
突然ポックリ逝って、
ご迷惑をおかけするかも知れませんが、「死はすべてを容認してくれる」というのも、
私の勝手な人生観ですから、
ご容赦ください。人を何人殺しても、
死刑になれば許されるのですから・・・
クリニックを設けた町田というところは、
平成元年シカゴでの留学を終え、
大学の医局へ戻ったとき、
当時の主任教授が、
「アメリカでは時間はたっぷりあって、
自由に生活してきたのだろうから、
いきなり忙しい病院ではなく、
ヒマな町田市民病院でリハビリをしてこい」
と言われて、
はじめて派遣されてきた場所です。
当時アメリカは大不況、
一方、日本はバブルの頂点で、
こんな田舎の土地が一坪200万円、
と聞いてビックリしたのを覚えています。
その頃アメリカではシカゴ郊外のゴルフ場が、
内部の建物も全て込みで、
200万ドル、
およそ2億円で売りに出ていましたから、
町田の100坪と同じでした。
勿論、現在はそんな法外な値段では買う人はいませんが、
当時は日本のお金でアメリカ全土が買えると
いわれていましたことを思い出します。
話はそれましたが、
その町田市民病院で、
リハビリ?をしているとき、
ヒマなのは症に合わない私にとっては、
有難いことにドンドン患者さんが増えてきて、
忙しくなって、
「市民病院」ではなく、
「死人病院」と揶揄されていた病院が、
楽しい病院になってきました。
その後大学に戻ってはみたものの、
大学というあまりにも窮屈な環境には馴染めず、
再度の町田出張を希望して、
通算10年間、町田市民病院に勤務することになりました。
その間、大学にも再度戻りましたが、
私にとってはとても仕事ができる場所ではありませんでした。
私のガン治療との出会いは、
その町田市民病院が原点です。
勿論、アメリカに行く前にも、
大学病院で外科医としてガンという病気はたくさん診てきました。
シカゴでも、直接臨床には携わりませんでしたが、
たくさんの症例は見ました。
しかし、若い外科医にとっては、
「どうせ死ぬんでしょ」
という感覚で、
あまり自分の仕事にしようという気にはなれませんでした。
当時の私の専門は、
外科医としての消化器の生理でした。
学位論文も胃の生理です。
学問としてはとても面白い分野でした。
平成元年に町田に赴任してきて、
ガンという病気、
そしてそれを宿した患者さんと
真正面から対峙しなくてはならなくなり、
はじめて真剣にガン治療を考えるようになりました。
当時は、
抗癌剤治療には、
無治療群と比較して、
延命ができるというデータすら存在しませんでしたが、
先輩の教えと、
少ない教科書から学び、
見よう見真似で、
手術後の再発、および再発予防の抗癌剤治療を行ってきました。
しかし、再発患者さんでは、
全員確実に死んでいく事実と、
抗癌剤治療では、その経過中、
極めて多大な副作用に苦しむという現実を目の当たりにして、
あの治療には大きな疑問を持ち始めてきました。その当時は、
現在のような優れた制吐剤もありませんでした。
そこで行き着いたのが免疫治療でした。
結果的にあのインチキ治療を見たお陰で、
現在の治療が成り立っています。
私が見た、免疫治療と称して行われていた似非治療は、
結果的に見れば、
ほとんど無治療と同じでした。
「ガンは無治療でも、
それほど速く進むものではない」ということをはじめて見せられました。
それまでは外科医として、
手術可能なガンは、すぐに取ってしまうこと、取れないガンは、すぐに、ガツンと抗癌剤治療を始めること、ただそれだけしか習っていませんでした。
したがって、
ガンを無治療で放置した場合、
どのような経過を辿るのかについては、
まったく知りませんでした。現在のガン治療を行っているほとんどの医者と同じです。
無治療でも、
一般的にガンの進行はそれほど速くはない、そして生きていられる時間は、
抗癌剤治療で苦しんだ患者さんと大きな差は無い、ということに気付きました。
それならば、
患者さんが苦しまない量の抗癌剤を使ったらドウなるか?それを始めた頃は、
「実験治療」のようなものでした。
その「実験」はほとんどの患者さんで上手くいきました。
患者さんは苦しまずに長生きができるということが、
アッサリと判明しました。そして、そこから現在の治療が構築されていきました。
それはすべて町田の地で行いましたから、
そこを離れるのは感慨深いものがあります。何でも訴訟の現在の環境では無理です。
少なくとも何回も書いてきた
件の「割り箸事故」の後だったら、
今の治療は有り得なかったと思います。
多くのご心配をいただきましたが、
私は無理しなければ大丈夫ですので、
どうぞご心配なさらないでください。
ありがとうございました。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
突然ですが、
平成19年4月に
町田胃腸病院のご好意で
その直近に開設した
「うめざわクリニック」を
今月、4月末日をもちまして
閉院することになりました。理由は私の体調です。
急に体調を崩し、
自宅から遠い町田までの通勤が、
大きな苦痛になり
町田での診療の継続は不可能と判断しました。
今後は、
私の自宅から徒歩で行ける距離の、
現在も診療を行っている都内の診療所だけになります。
山手線の大塚駅から徒歩1分の場所にあります。
今後、変更する予定ですが、
現在の診療日は
水曜日・木曜日・土曜日です。
そこの診療所では温熱療法(保険適応)と、
抗癌剤治療の同時併用も可能です。
なお、同じ法人が近くに病院を経営していますので、
入院・手術も可能です。
勿論、抗癌剤治療は今までどおりに行うことができます。
また、大塚の診療所での入院治療も可能です。
町田の「うめざわクリニック」で治療を続けてこられた患者さんには、
多大なご迷惑をおかけして申し訳ありません。今後も梅澤の治療をご希望の患者さんは、
クリニック内の案内のとおり、
都内の診療所に電話で予約を取られてから受診してください。なお、セカンドオピニオンは、
場所は、町田から都内の大塚の診療所に変わりますが、
今までどおりに行います。
メール(
[email protected])で予約を取ってください。
なお、大塚の診療所では、
現在、大変混みあっているため、
初診の患者さんは受付ておりません。
先ず、十分に時間が確保できる
セカンドオピニオンのかたちでお越しいただき、
そこで、現状の患者さんにとっての私の治療方針をご説明して、
同時に患者さん、ご家族の希望を聞き、
お互いに納得したならば、
治療を開始しております。
申し訳ありませんが、
梅澤の初診の予約はお断りしておりますのでご注意ください。
勿論、町田のうめざわクリニックで診てきた患者さんは、
十分に経過も分かっていますので、
その旨受付に話され、
初診の申し込みをしてください。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
日本では肺ガンによる死亡者数は、
1960年には5000人強であったものが、
2008年には6万7千人にも上っています。一方、発ガンと密接に関連しているタバコの消費量は、
ドンドン減少しています。
健康被害を考慮して、
いち早く禁煙運動を展開したアメリカでも、
その効果が現れるまでに25年もかかったそうです。
したがって、その動きが遅かった日本で、
喫煙者数の減少による、
肺ガン死亡者数の減少にはまだまだ時間がかかりそうです。
しかし、肺ガン死亡者数の増加の
最大の原因は日本人の寿命が延びたことのようです。
ガンは高齢になればなるほど、
発生確率は高くなりますから、
当然といえます。
そのような内容のニュースが
ネットで配信されていました。
肺ガンの多くは治りません。治らないということは、
いずれかの時期に、
確実に肺ガンが原因で死に至る、
ということを意味します。何回も書いているとおり、
治らない肺ガンに対する標準治療の成績は、
まったく満足できるものではありません。しかもほとんどの場合、
極めて大きな副作用を伴います。今後もしばらくは増え続けるはずの
治らない肺ガン患者さんは、
標準治療だけは、
避けたほうが無難です。現在、多くの肺ガン患者さんを診ていますが(きましたが)、
標準治療のエビデンスより短い人生で終わってしまった患者さんは、
ほとんどいません。
ただし、
肺ガンの標準治療といえども、
稀にはそれが最善の治療である患者さんが存在することは事実です。
昨日も書きましたが、
それが最善か、最悪か、
ともかくガン治療は観察することが全てです。本日も忙しい一日でした。
終わります。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
何回も書いているとおり、
ガンもそれを宿した患者さんも、
同一の状態など1例もありません。
現在診ている多くの患者さんとそのガンも、
まったく病態、性格は違います。標準治療を勧める主治医と違う意見を求め、
某超有名病院にセカンドオピニオンを受けに行ったところ、
「あなたのガンには、
強力にガツンといかなければダメです」とアッサリ言われ、
そのとおりにされたそうです。
しかし、惨憺たる結果になりました。そして私のところへは2回目のセカンドオピニオンに来られました。
経過を診ると、
その患者さんは、
そのガツンと治療を開始する前、
5年間以上も、
そのガンは眠っていました。
手術後そのガンでは、
お決まりの標準治療を受け、
当然ガンは見えなくなり、
腫瘍マーカーも完全に正常化して、
そのまま何事もなく、
6年近く経過していました。
患者さんは治ったと勘違いしていたようです。
しかし、治療開始半年ほど前から、
少しずつ腫瘍マーカーが増加しはじめていました。
そして画像診断上も再発と確認されて、
主治医からは標準治療を勧められました。
そのときにも、
先程の某有名病院と同時に、
一度私のところにもセカンドオピニオンに来られました。
そのときには、
「良く効く確率の非常に高い治療だから、
一回だけはその治療を受けてみて、
ハッキリとした効果が認められたなら、
そして副作用が容認できる範囲であれば、
それを続ける。
効果が無いか、副作用が辛すぎるのであれば、
他のエビデンスの無い治療も考える必要がある」という旨のことをお話しました。
しかし、その病院では、
途中経過はまったく診てもらえず、
規定回数だけ突っ走ってしまいました。その結果、
小さくない副作用とガンの大幅な増加をもらいました。主治医からは、
次もまた、
別の標準治療を勧められましたが、
さすがに懲りて、
標準ではない治療を求めて来られました。
その後、
ガツンではなく、
コツン、コツンと副作用の出ない範囲で、
治療を続けていますが、
ガンはドンドン縮小してきています。一般的に、
そのガンに対しては、
一回目の治療が非常に有効であったため、
5年間以上も姿を見せなかったわけであり、
そのようなときには、
2回目も
ほとんどの場合、
大きな効果が認められます。
再発でも初回よりはかなり
短くなりますが、
無病期間が得られることも多く、
そのガンに対する標準治療は副作用が軽微であるなら、
けっして悪い治療だとは思いません。
したがって一度は受けてみたほうがよい、
と多くの場合お話します。
主治医も「普通の患者さん」では良く効くことを知っているから、
途中経過を診なかったのかも知れません。しかし、この患者さんのように、
大きな悪化を見てしまうかたもいます。前にも書きましたが、
「普通の患者」さんなど存在しません。
全てバラバラの個性豊かな別人です。ガン治療の全ては観察です。
その患者さんも途中で効いていないことを、
シッカリ確認していれば、
骨髄の大きな疲弊、
生涯消えないと思われる末梢神経障害による手足の痺れ、
完全脱毛など、
大きな痛手は負わずに済んだはずです。
幾つかのガンでは、
ガツンといくのは、
必ずしも悪くはないと思いますが、
千差万別のガンです、
途中経過は頻回に診てもらって下さい。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
1通のメールをいただきました。
亡くなられた患者さんのご家族からのメールでした。
勿論、標準治療のエビデンスよりは、
遥かに長く治療を続けることができた患者さんでしたが、
最後は力尽きました。
毎度のことですが、
ガンの勝ちでした。
しかし、その患者さんおよびご家族は、
昨年の12月27日「今年の言葉」でご紹介した、
「宝物のような時間」
も、そして、ご家族の深い絆も十分に
ご自宅で感じていただけていたようです。
とても悲しいメールですが、
私の一つの使命が完了したようで、
安堵する内容でもあります。
一部抜粋掲載します。
なお、「宝物のような時間」
という言葉を残された患者さんと、
以下のメールの患者さんとは、
まったく同じ病気でした。
・・・・前文略・・・・
母は標準治療では得られなかったものを沢山得ることが
出来ていたように思います。
二人目の孫の顔を見ることが出来ましたし、
病気をきっかけに家族がより緊密に連絡を取り、
それまで以上に一緒に過ごす時間を作れたと思っています。
母も言葉にこそ出しませんでしたが、
この人生最後の大切な時間を楽しんでくれていたように思います。
標準治療を受けていたら、
きっと母は亡くなるまで病院の中で過ごすことになっていたでしょう。
それは家族が必ずしも最後の瞬間に立ち会うことができる保障が無い環境です。
しかしながら、先生に治療していただいたお陰で、
最後の選択を自らの意思で行い、自分の家で旅立てたことは、
本人もそうだと思いますが、
家族としても辛い闘病生活の中で救いとなりました。
先生のブログに、治療中の時間を
「宝物のような時間」と表現した方がいらっしゃいましたが、
これはご本人も含め、家族全体がそう感じられた時間だったのだと、
母が亡くなってから強く感じました。
寧ろ、そのように強く感じたのは家族の方だったのかもしれません。
人それぞれ表現こそ異なれ、誰しもこのような大切な時間を実感し、
何事も無いような普段の一瞬一瞬を愛おしく思い過ごすのでしょう。
生前の母の笑顔が、それまで以上に穏やかだったのは、
きっとこの様な思いからだったのだと、今振り返って強く思います。
生前の母は、梅澤先生のところで治療を受けることを、
ある意味で楽しみにしていました。
これは自分が病に立ち向かい力強く生きることへの強い意思表示と共に、
そこで同じ病を抱える戦友とも呼べる皆様、
そして第一線で力強く共に闘ってくださる先生にお会いすることで
自分の「生」を強く感じ、
「病と闘うことの孤独さ」に打ち勝つためであったように思います。
それほど、母は通院を楽しみにしていました
(点滴は最後の最後まで苦手でしたが)。
・・・・・
最終的に病気に負けて、
旅立たれることは、
悲しいことです。
しかし、そこに至るまでの道程を、
如何に大切に美しく作っていくか、
それができるか否かで、
ガンという忌まわしい病気に対して、
「ガンになってよかった」
という言葉が出てくるか否かの差になると思います。
「ガンになってよかった」
と思うことができる患者さんは、
健康な人間では感じることができない、
とても幸せな「宝物のような時間」を送ることができるはずです。つい先日旅立たれた患者さんも、
毎回、親孝行な息子さんと同伴で、
治療に来られていましたが、
通院のたびに、
「毎日、宝物のような時間を過ごしています」
「ガンになってよかったと心から思うんです」と言われていました。
本当に幸福な闘病生活だったと思います。
お別れは悲しいですが、
その時間を作ってあげることができたことは、
嬉しく、また誇りにも思います。
しかし、そのように感じることができるのも、
QOLがシッカリと維持されてのことであり、それを完全に無視して、
エビデンスだけを尊重するような標準治療では、
「宝物のような時間」は勿論、
幸福な最後の時間を得ることは難しいと思います。標準治療は、
確実に死に至ることが前提の治療です。
その上QOLはほぼ完全に無視されます。
それが本当にご自身、ご家族が望まれる治療であるのか否か、
再度、よく考えてください。「ガンになってよかった」
と思えるような治療のほうが、
長生きもできると思います。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
ガンの根治手術を行った後は、
再発しているか否か、
経時的に観察していきます。
そのとき、
腫瘍マーカーの動きは大きな参考になります。
重要なのは、腫瘍マーカーの絶対値ではなく、
動きです。何回も書いていますが、
腫瘍マーカーの数字が、
正常範囲に入ってるから、「心配要りません」などということはありません。現在も数名、
正常範囲の腫瘍マーカーで
再発後の経過観察
およびその数字に従っての治療を行っている患者さんもいます。
再発確率が低くはないと思われる、
ある患者さんが、
手術後にエビデンスのある抗癌剤治療を受けておられました。
手術後半年近くなるのに、
腫瘍マーカーが術前術後を含めて1回しか、
調べられていませんでした。
その数字はまったくの正常範囲でした。
当然、主治医からは、
「心配無い」
という有難い一言をいただいていました。
1回の計測では、
正常範囲であっても、
心配無いのか、
心配するべきなのかは、
分かりません。
4月2日の「再発の時期」でご紹介した患者さんなどでは、
一貫してまったくの正常範囲でしたが、
漸増の動きがハッキリと見えましたので、
再発とみなして、
治療を変えていきました。
その結果、
正常範囲の中でも、
明らかに低下しています。
エビデンスのある再発予防の治療中でも、
腫瘍マーカーの増加を見たならば、
その治療は再考する必要があります。この文章を書いていたら、
さらに凄い患者さんがセカンドオピニオンに来られました。
取り残し、
すなわち根治手術ができなかった患者さんが、
術後に再発?再燃?予防の抗癌剤治療を
半年間に渡り受けてこられました。
しかし、その間CTなどの画像診断は勿論、
腫瘍マーカーすら一度も診ていませんでした。
術前にも腫瘍マーカーは調べられていません。
そのガンはほとんどの場合、
腫瘍マーカーがガン細胞の増加に伴って上がってきます。
それを診ないで、
半年もその治療?を行うということは、
効いているのか否か、
まったく分からない状態で、
ただただ標準的に大量の抗癌剤が患者さんの身体に、
投げ入れられていたことになります。
恐ろしい話です。
腫瘍マーカーの僅かな動きでも注意部深く見ていると、
再発を発見できることが少なくありません。ハッキリと姿を現したガンよりも、
僅かな動きのときのほうが、
ガンのコントロールは、
遥かに容易です。エビデンスだけに頼り、
標準治療だけしか行わない病院では、
頻回に検査したり、
正常範囲でモノを考えたりしても、
やることは一つ、
標準治療だけですから、
微細な動きなどは無視されるのでしょうけれども、その意味をシッカリと感じ取って、
舵を切っていけば、
標準治療よりは、
遥かに楽に、
そして、長い時間人生を楽しむことができます。経過を細やかに観察しない病院では、
その後の治療は概ね想像できます。
けっして患者さんが満足できるような治療は用意されてはいない、
と考えるべきです。腫瘍マーカーは、
月に1回は健康保険でも計測が許されています。
是非、診てもらってください。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
2月3月から現在まで、
ガン治療とは関係無いことで、
忙しい日が続いています。
現在も毎日雑用に追われています。
たくさんのメールもいただいておりますが、
返信できていないものもたくさんあると思います。
申し訳ありませんが、
返信が無い場合には、
再送お願いします。
そのときには、
相談窓口ではなく、
私のアドレス、
[email protected]
まで直接お送りいただきますようにお願いいたします。なお、何回も書いているとおり、
匿名のメールには、
原則、返信は出しておりません。
また、住所は要りませんが、
お住まいの地域はなるべくお書きください。
本日は、
土曜日ニーズで、
診療に忙しい一日でした。
チョッとピンボケですが、
バカ猫の3人衆でも、
ご覧いただいて、
一服してください。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
4月7日の「非常識な抗癌剤治療」に対して、
低用量でも長期間使えば、トータルでは
それなりの量になって
製薬会社にとっても悪いことではないと
思うのですが…。
というコメントいただきました。
6月になったら書こうと思っていた患者さんがいます。
その患者さんは、
今年の6月で、
タキソールという抗癌剤を使い続けて10年になります。2週間に1回の割合で、
1回当たり45mg(体表面積あたり約30mg)で使い続けています。肺・骨転移を伴う乳ガンで、
手術も行っていない患者さんです。
画像診断上はガンは見えなくなっていますが、
いまだに腫瘍マーカーは下がり続けています。
1回45mgを2週間に1回
それを10年ですと、
単純に計算するとトータル11250mgのタキソールが、
その患者さんの身体に入っていった、
ということになります。
そのかたは、肺転移で呼吸も苦しい状態で
初診に来た患者さんですので、
初回だけは、
タキソールの当時の標準的な使い方である、
1回270mg程度を
入院で2回だけ使っていますが、
それ以降は、
全て外来で、
はじめは1回120mg、
その後90mg、60mg、30mgと微調整を続け、
ここ5~6年は45mgで落ち着いています。
したがって、
実際に使われたタキソールの量は、
11250mgよりも大量になりますが、
その患者さんの標準量では、
1回120mgを毎週投与(または3週1休)ですから、
11250mgだと94回、
およそ2年間休み無く使ったのと同量になります。
そこまで耐えられる人間は存在しないと思います。標準治療では、
その半分にも満たないはずです。その前に患者さんの身体が壊れます。身体が壊れる程の量でも、
手術ができないガンは治りません。勿論、はじめの大量のタキソールによるカウンターパンチで、
髪の毛は一切無くなりましたが、
それ以降は、
シッカリと生えそろって、
手足の痺れなどの副作用もまったく感じない、
副作用らしきものはまったく何も感じない、
と言います。
また、飲む抗癌剤では、
再発後18年続けている患者さんもいます。
計算したくもありませんが、
相当な量が身体に入っているはずです。
その患者さんも乳ガンで
平成4年に再発してから治療を続けています。
他の抗癌剤、
他の種類のガンでも、
少量から使いはじめると、
結果的に標準量よりも相当に多く身体に入っていると言う患者さんは、
たくさんいます。
「たくさん」というより、
半数以上の患者さんが結果的にそうなります。
血中濃度が上がらなければ効果を発揮しない、
すなわち少量で使ったら効果は無い、
とされるアドリアマイシンやファルモルビシンなどの
アンスロサイクリン系の抗癌剤は、
蓄積毒性のため、
一人の患者さんが一生涯の間に使える限度量が決まっていますが、
何故か、
そのように考えられている抗癌剤でも、
少量ずつ使って、
とても良く効いて、
その限度量を超えてしまっている患者さんもいます。
ドンドン患者さんの数が減っていく標準治療とは違い、
患者さんが長い時間、
元気に病院に通ってこられますから、
私一人の抗癌剤の使用量はけっして少なくはありません。それは、製薬会社にとっては、
長い目で見ればありがたい話のはずです。
しかし、エビデンスのモトとなる
製薬会社主導の治験では、
少量の抗癌剤で行われることはありません。
やはり目先の利益が優先されるのでしょうか。
しかし、ガン患者さんが、
長生きをするということは、
それだけ医療費は嵩んできますから、
国にとっては一見不都合のようにも見えます。ところが、
日常生活に支障を来たすような副作用を伴わない治療では、
患者さんは働くことができますから、
お国もけっしてソンではないはずです。本日最後に来られた患者さんも、
ある国立病院で、「あなたのガンはガツンと強力にいかなければダメです」と言われてから逃げて来て、
「軽くコツン」と撫でただけで、
病巣は見えなくなり、毎日仕事続けて2年半近くになります。
そんなことはあり得ないとは思いますが、
万一、少量と標準的な大量の抗癌剤で、
同じ時間しか生きることができなかったとしても、同じ時間を、
辛い副作用で苦しむよりも、
楽に生きたほうが断然おトクだと思います。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
ガンの種類により、
おおよその予後が決まっています。
再発や切除不能の場合、
膵ガンでは概ね7ヶ月
肺ガン10ヶ月
乳ガン26ヶ月程度です。
はじめてガンを経験した患者さん、ご家族にとっては、
何処に発生してきたがガンであっても、
「ガン」の一言で、
種類の違いなどあまり考えません。
しかし当然、医者はその違いを十分に分かっています。
その上で、そのエビデンスの数字だけを目標に
治療が行われている現状をしばしば目にします。そして、目標数字が達成されると、
すなわち、その数字以上に患者さんが、
長生きをされると、
そこで自分の義務は終わったかのように感じてしまう医者も
稀ながらいるようです。
その後の扱いはとても邪険になるようです。膵ガンで1年、
肺ガンで1年半を超えた途端に、
まだ、治療法はあるのに、
いきなり緩和ケアの話を持ち出された、
というような経験をされたかたは少なくないようです。
今まで、そのような扱いをされた患者さんを何人も診てきましたし、
現在も診ています。
また、エビデンスには関係なく、
その医者独自の予後予測を立て、
その数字を宣告し、
患者さんが元気に、
その数字を超えると豹変してしまう医者もいるようです。
ある種類のガンで、
そのガンでエビデンスとして知られている数字を超えると、
やる気が無くなる、
という医者の気持ちも理解できます。現在、巷で盛んに叫ばれているとおり、
日本では医者は大きく不足しています。
一人の医者が診なければならない患者さんが多過ぎるのが現実です。そんなときに、
医者の「義務期間」を過ぎた患者さんよりは、
新たに診なければならない患者さんがいたら、
そちらに力を注ぎたくなるのは、
当然ともいえます。しかし患者さんとしては、
エビデンスの数字などドウでもいいはずです。
エビデンスを1年超えても、2年超えても、
元気でいるなら、
さらにそれを一月でも、
1週間でも延ばしたいと考えるのは当然です。
そのときに、
医者の協力がなかなか得られないことが問題です。
前述のように、
医者の忙しさ故に、
時間を割いてもらえない、ということであれば、
時間を作ってくれる病院に変わるか、
医者にしつこくお願いするだけです。そのとき、
ご家族の熱意は、
必ず主治医に通じるはずです。主治医の家族であれば、
「期限が過ぎたから」
と諦めることなどありえません。それと同じことをしてもらえば良いだけです。しかし、医者の家族の患者であれば、
はじめから期限付きの標準治療などしていないでしょうけれど・・・・
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
本日は患者さんの数が比較的少なく、
さらに経過の良い患者さんが多く、
余裕のある一日でした。
その中で、
昨年12月から治療を開始した、
肺への多発転移を伴う、
手術不能のステージⅣの乳ガン患者さんで、
その肺転移病巣が、
タキソールを1回当たり15mgで、
(体表面積あたり約10mg)1月から毎月縮小を続け、
本日のCTでも確実な縮小が認められていました。手術をしていない、
乳腺そのものの原発病巣も、
大きな縮小を見せています。
その患者さんは、
タキソールを1回当たり30mgで1回使っただけで
副作用で体調を崩し、
やむなく15mgで使っているのですが、その量だと、
まったく副作用は感じることなく、
また、タキソールでは必発の脱毛もありません。
当然、末梢神経障害から起きる痺れもありません。
乳ガンに対する毎週投与のタキソールの標準量は、
体表面積あたり80mgです。
本日の患者さんでは約120mgになります。
その量では、
脱毛は必発、
すべての体毛が消え失せます。
また、強く一生涯残る痺れを合併する患者さんもたくさん出ます。
現在の抗癌剤治療の現場では、
患者さんが、
その激しい副作用を嫌い、
「量を減らして欲しい」と懇願しても、
多くの場合、
「減らしたら意味が無い」
「そんな量では効かない」と、患者さんの願いは一蹴されてしまいます。
しかし、実際には、
効かないはずの
8分の1の量でも、
十分に効く可能性はあるのです。そのような患者さんは、
本日の患者さんだけではありません。
たまたま、
「本日のブログのネタは何にしようかな・・・」
と考えたとき、
さっき見たCT画像が思い浮かんだので紹介しただけで、
常識ではありえないような量でも、
もっと著明なガンの縮小をみている患者さんもたくさんいます。
「減量したら意味が無い」
「そんな量では効かない」は、
そんな量では、「データが無い」
「エビデンスが無い」さらに言えば
「私は見たことが無い」というだけです。
製薬会社が作り出した、
大量の抗癌剤を使った治験での
エビデンスだけに振り回されるのは、
本当に愚かなことだと思います。
製薬会社は絶対に行わないでしょうが、極少量の抗癌剤での治療でも、
大規模治験を行えば、
シッカリとした、
そして、大量よりも優れたエビデンスが出ると思います。昨日も書きましたが、
エビデンスが有ろうが無かろうが、
手術不能のガンでは、
ほとんどの場合、
確実に死に至ります。エビデンスなどは、
一人の患者さんの治療効果を保障するものではなく、
担保されているのは患者集団に対して、
均一にその治療を行ったときのパーセントだけです。治らないガンの抗癌剤治療において確実なのは、
必ず死に至るという事実と、
もう一つ患者さんが感じる副作用です。エビデンスどおりの標準治療で、
耐え難い厳しい副作用で苦しんでも、
それが有効に作用してくれるという保障などまったく無い、
という事実には、
シッカリと認識しておくべきです。「苦あれば楽あり」
はガン治療では成り立ちません。むしろ、楽な治療のほうが長生きできます。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
国立がんセンターや、
癌研病院、
あるいは地方のがんセンターなどは、日本全国あるいは、
その地域のガン治療の最高峰であり、
最高の治療を行ってくれる、
と錯覚している患者さん、ご家族は、
まだまだたくさんいます。たしかに、
外科手術などでは、
症例数が圧倒的に多いですから、
そこでの外科医の手術は、
手術件数の多くない病院の手術よりも、
信頼できる面も多々あると思います。
また、癌研病院などでは、
乳ガンの病理専門の医者が何人も揃っており、
判断に迷うような症例では、
最善の病院になると思います。
また、極めて稀なガンなどの場合、
普通の病院では使えないようなクスリを、
様々な方法で、
健康保険で使えるようにしてもらえたりと、
イロイロな利便性はあります。
しかし、何処にでも患者さんがいるような、
胃ガン、大腸ガン、膵ガン、肺ガン、乳ガン、卵巣ガン、
そのほか多くの一般的なガン治療の場合、
手術以外の抗癌剤治療では、
日本中何処で受けても同じである、
標準治療だけですから、
そのような有名病院の有難みはほとんど無いように思います。しかし、最高峰、最高の治療が享受できる、
と勘違いしている患者さん、ご家族からみると、
そうではないようです。
そこで、治療を受けるだけで有難く感じられるようです。
そして、その有難い病院で、
エビデンスどおりの最期を迎えれば、
きっとご家族も満足されることだと思います。
一方、何回も書いているとおり、
私が行っている治療には、
エビデンスはありません。
エビデンスが有っても無くても、
治らないガンでは、
ほぼ間違いなく患者さんは最期のときを迎えます。
標準治療は最期を迎えることが前提の治療です。
そのときに、
残されるご家族が、
有名病院の信望者であった場合には、「エビデンスの無い治療をしたから死んだ」
「やはり有名病院で治療を受けるべきであった」と考えると思います。
親族の強い勧めで、
国立がんセンターに行ったところ、
地方のがんセンターとまったく同じ治療方針であり、
お墨付きをもらったかたちになったが、
家族はあまり納得できないから、
梅澤の治療を受けたい、
と言われたご家族がいます。
そのような状態では、
私はとても怖くて、
治療をお引き受けすることはできません。
その患者さんのガンは、
進行スピードが遅く、
標準治療はするべきではない、
と私は個人的に考えますが、
それが、必ず正しいという保障はありません。
外れることはないと思いますが、
万一、不幸な結果に終わった場合、
そのご親族からどのような非難を受けるか分かりません。
何年後かであっても、
必ず最期のときが来ます。お墨付きをいただいたエビデンスのある標準治療では、
その治療を受ければ、
1000人の患者さんのうち、
500人は10ヶ月を超えて生きることができる、
ということが保障されています。
逆に言えば、
1000人のうち500人は10ヶ月以内に死ぬことも、
保障されているのですが、
それはすべて有難いエビデンスですから、
仕方の無いことで、
有名病院の前では甘受せざるを得ません。
治ることがないというガンの場合、
必ず死に至る、
という現実を、
シッカリと見つめないと、
大きく道を外れてしまいます。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
本日は月初恒例のレセプト書きに追われて、
時間が取れません。
休診にします。
しかし、日頃の診療では、
あまり露骨には感じないのですが、
レセプトという書類になり、
活字で抗癌剤のコストがハッキリと書かれてくると、
その値段の異常さに驚かされます。例えば胃ガンの手術料、
いわゆる外科医の技術料に相当するものですが、
その技術料よりも、
抗癌剤の薬価のほうが高くなっていることも珍しくありません。
これは本当に異常な現象だと思います。
しかも、手術は1回ですが、
抗癌剤治療はその高額な薬剤が、
何回も使われていきます・・・・
以前にも何回か書きましたが、
やはり、
現在の医者は、
製薬会社が盛んに作り出ているエビデンスに
踊らされているように思えてなりません。
何とか医者の頭が変わらなければ・・・・
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
多くの患者さんでは、
ガン治療はご家族と二人三脚で行っています。
何故か女性の患者さんは、
息子さんと、
男性の患者さんは、
お嬢様と一緒に通院されているかたが多いようです。
そして、多くの場合、
その同伴してくれているご家族が、
非常に大きな力になっています。勿論、40歳50歳代の患者さんであれば、
まだお子様も若いでしょうし、
ご自身での病気・治療に対する検索能力も十分にありますから、
その力だけでも十分に戦えると思いますが、
それ以上の年代になると、
お一人での戦いは、
なかなか大変なものがあると思います。
このブログも、
パソコンのインターネット、
または携帯電話からのインターネットという、
お年寄りにはハイカラな道具を使って見なければなりませんから、
読まれているかたは、
若い方が中心だと思います。
もしご両親様のいずれかがガンに悩んでいるご家族のかたが、
このブログを読まれていたなら、
その患者さんにとって、
これを読んでいるご家族の努力は、非常に大きな武器になります。
可能な限りご家族に協力してください。毎回、母親に付き添って来る、
本当に親孝行で頭の下がる息子さんが、
昨日も来られ、
極めて正確に的を射た治療を希望されてこられました。
私もその治療は考えていましたが、
健康保険では認めらず高価な薬剤が必要なので、
勧めることはしませんでした。
しかし、ご家族のほうから、
それを希望してこられれば、
是非、行うべき治療でした。
それは、60歳を過ぎた患者さんの知識、発想では、
ありえないことだと思います。お一人で来られるご高齢の患者さんは、
現在はほとんどいませんが、
年配の患者さんでは、
ご家族の協力は絶対に必要です。ご家族揃って、
ガンという一つの敵に対して、
作戦を練って、
戦っていくというのも、
ガンという病気を患ったからこそできることであり、
「ガンになってよかった」
ことの一つだと思います。そこから生まれる連帯感、
そして、普通の生活ではなかなか感じることができない、
本当の愛情を知ることができると思います。
宝物のような時間をご家族で享受できると思います。ご家族で協力し合い、
ガンと向き合ってください。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
東京は桜が満開です。
本日の診察所の窓の脇には、
桜の樹が並んでいます。
その窓と同じ高さに桜が満開になっています。
患者さんは、
本日は桜を愛でながらの点滴でした。
一般的に抗癌剤の点滴を受けるときには、
それ相応の覚悟の上に受けている患者さんが多いようで、あまりお花見を楽しみながらの治療を
受けているかたは多くないように思います。しかし毎度書いているとおり、覚悟を決めて受ける標準治療では、
生きていることが可能な時間は限られてしまっています。
限られた貴重な時間を、
歯を食いしばって治療を受けることを、
患者さんは本当に望んでいるのでしょうか。極少量の抗癌剤で、
1年以上もとても良く効いている患者さんで、
他の医者から、
「効く抗癌剤は大量に使わなければダメだ」
といわれたかたがいます。
しかし、標準治療を経験しているその患者さんは、
二度とあんな治療はしたくない、
またカツラの生活は嫌だ、
と、現在の治療を続けておられますが、
標準的に大量の抗癌剤を使って治療を行えば、
たしかに一時的には、
とてもよく効いて、ガンの縮小、腫瘍マーカーの減少を見ると思います。
しかし、ガンという本当にしつこい生き物は、
また必ず姿を現してきます。そのときに、
標準治療しか行わない医者は、
必ず大量の抗癌剤を投入します。
その繰り返して、
患者さんの寿命は縮んでいきます。個々の患者さんに合わせた量の抗癌剤を使った治療のほうが、
全ての患者さんにまったく同じ量の抗癌剤を使う標準治療よりも、
確実に長生きはできるはずですが、これも何回も書いているとおり、
そのエビデンスはまだ出せません。
しかし、もし個々の患者さんに合わせた量の抗癌剤での治療が、
標準治療と同程度の効果しか認められなかったとしても、桜の花を楽しみながらの治療は、
標準量の抗癌剤では難しいでしょうから、
それだけは、
間違いなく優れていると思われます。ただし、本日点滴をされていかれた患者さんの多くは、
ガンとの同居です。
「忌々しいガンとの同居など許せない」
という潔癖症の患者さんでは、
副作用は歯を食いしばって我慢して、
ガツンと大量の抗癌剤を使ってもらって、
あわよくば、
ガンが一時的に見えなくなることを期待するのも
悪くないように思います。しかし、本日来られた患者さんのなかには、
副作用は感じない、
という量の抗癌剤での治療でも、
ガンが見えなくなっているかたも、
数名おられます。
ガン治療は、
何が良いのか分かりません。
ハッキリと分かることは、
ご自身が感じる副作用の程度です。
その副作用をメルクマールに治療を組み立てることは、
とても重要だと思います。辛い副作用に悩まされれば、
それだけ大きな利益をいただける、
と勘違いしているかたも、
少なくありませんが、
それは大きな間違いです。点滴を受けながらお花見を楽しめる程度の治療のほうが、
楽しい人生を長く楽しめると思います。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
昨日はエープリルフールでしたので、
「ガンが治る夢の新薬ついに登場」などとウソを書きたかったのですが、
所用で休診にしました。
本日からはまた、
つまらない独り言を書き綴ります。
手術を行なって、肉眼的には完全にガンのかたまりを切除することができても、
その後、数ヶ月または数年後に、
再発してくるのがガンの恐ろしいところです。卵巣ガンなどでは、手術後に抗癌剤治療を行なって、
完全にガンが姿を消してしまっても、
ほとんどの場合、
再び現れてきます。健康保険で廉価に検査ができる日本では、
手術後、抗癌剤治療後は、
再発が無いか否かを定期的に調べていきます。
再発の有無を知る方法は、
概ね、画像診断と腫瘍マーカーです。そのとき、腫瘍マーカーだけが
いち早く再発の兆候を示すことのほうが多く観られます。
すなわち、画像診断上は、
全く異常は見つからない状況で、
腫瘍マーカーだけが明らかに増加しいる、
という状態です。すべての腫瘍マーカーには、
「正常値」が決められています。
ガン細胞は全く体内に存在していない人間でも、
正常細胞も僅かに腫瘍マーカーを作り出しますから、
腫瘍マーカーの数字がゼロということはなく、
正常範囲が定められています。
手術後のガンを診ていくとき、
腫瘍マーカーが正常値であるからといって、
安心することはできません。正常範囲にあっても、
経時的に上昇傾向があるときには、
再発を疑わなければなりません。多くの病院では、
画像診断上異常所見が発見されなければ、
腫瘍マーカーの漸増が認められても、
再発を疑ってかかることはあまりしません。「ガン再発 = 治ることは無い = 標準治療」という図式が、
何処の病院でもシッカリと成り立っていますので、
標準治療であれば、
何時それをはじめても、
エビデンスで明らかにされている
生きていることができる時間は変わりません。
すなわち、エビデンスで生存期間10ヶ月となっている治療では、
腫瘍マーカーの僅かな増加が見られたとの理由で、
本日から治療を開始したら、
10ヵ月以内に、
半分の患者さんは亡くなれています。
来年の桜を見られる患者さんは30~40%程度です。
画像診断上再発は見られない、
ということで、
それが明らかになった3ヵ月後に、
その治療を開始したならば、
そのときから、
10ヶ月のカウントははじまります。
半分以上の患者さんは、
来年のお花見を楽しめます。
標準治療であれば、
後からはじめるほうが、
お得です。腫瘍マーカーが漸増してきており、
治療開始を待っているという患者さんでは、
予定されるであろう標準治療とは如何なるものか、
その治療成績が満足できる数字を出しているのか、
最大限の情報を仕入れて、
ご自身に最適な治療を受けてください。
上限5.0までを正常範囲とするCEAという腫瘍マーカーが、
1.1 → 1.4 → 1.4 → 1.9 → 1.9 → 2.2
と増加してきた段階で、
画像診断上は何も異常所見は認められませんが、
再発と判断して、
抗癌剤治療をはじめた患者さんを診ています。
その後、
その数字は、
2.2 → 1.6 → 1.3 → 0.8
まで低下して、
それ以降、
3年余り1.0 前後をウロウロしています。
当然、画像診断上は何も見えません。
抗癌剤治療はいまだに続けています。
「いまだに」というより、
終生続けていただく予定です。
同様な患者さんは何人も診ていますが、
この患者さんでも、
治療を開始して、
直ちに腫瘍マーカーが低下してきているわけであり、
間違いなく再発だと思われます。
再発がシッカリと確認されてしまった場合、
すなわち画像診断上で、
ガンが姿を現してしまったときには、治ることは無く、
しかも辛い副作用に悩まされ続ける標準治療へと、
ほとんどの場合、
強制的に突入させられてしまいます。その治療では終着点も到着時刻も、
ほぼ決められています。私は、ハッキリと姿を現したガンを、
増大させないように
こまめに観察しながら、
コントロールしていくような抗癌剤治療を
多くの患者さんに行っていますが、
それを長い時間続けることは容易ではありません。
それよりも、
ガンが存在していても、
まだ見えないような状態での治療のほうが、
遥かに簡単です。再発してきたガンは、
余程の好条件が揃わなければ治る確率は極めて低くなります。
終生治らないと考えるべき患者さんはたくさんいます。
そのような場合、
終生続けることができる治療を、
まだガンが見えないうちからはじめたほうが、
見えてからガツンといくより、
余程身体に優しく、
また、楽しく長い人生を過ごすことができると思います。ある有名なガン拠点病院で、
CEAが300近くまで上がるも、
画像上ハッキリしないという理由で、
治療が始まらなかった胃ガンの患者さんで、
私のところで、
見えなくても治療を開始して、
すでに4年近くになるかたもいます。
その患者さんでは、
現在CEAは1.0 から2.0 の間くらいを、
行き来しています。
その患者さんにとっては
その拠点病院では、
治療が始められずにラッキーだったのですが、
再発と診断していないのですから、
再発後の長期生存例とはみなされません。
病院の数字など患者さんには関係ありません。
ガンの姿を見る前に、
治療を開始したほうがお得なことはたくさんあります。以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
本日は個人的な所用の為、
休診にします。
以上 文責 梅澤 充
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