3月も本日で終わりです。
早いですね。
今年も4分の一がすでに過ぎ去りました。
桜は咲くのは早かったようですけれど、
その後の季節はずれの寒さで、
満開になるのは遅れているようです。
間もなく桜の季節になると思うのですが、
美しい花をめでるのは、
下手な抗癌剤治療などより余程効くように感じます。
暖かくなったら、
たくさん美しい芽吹きを楽しんでください。ところで、
抗癌剤では、
残念ながら、
お花見とは違い、
必ず副作用が付いてまわります。
まったく副作用を感じることなく治療を続けている患者さんもいますが、
多くの患者さんは、
日常生活には支障が無い範囲で、
何らかの副作用を感じながら、
治療を受けています。
ぞの副作用の中で、
皮膚症状が出てくるクスリもあります。
イレッサやタルセバ、タイカーブ、ネクサバールなどの
分子標的薬では、
皮膚症状は主要な副作用のひとつです。また、ゼローダという内服の抗癌剤も、
手と足の皮膚に副作用が出ます。皮膚に出る副作用ですから、
その出現やその程度は、
患者さんが一番よく把握できます。医者が皮膚症状を診ても、
それがどれだけ患者さんを悩ませているのか、
日常生活に支障を来たしているのか、
まったく分かりません。
したがって
私は、その皮膚症状の犯人となっているクスリの量は、
ご本人に決めてもらっています。
乳ガンでは、
標準的には8錠を毎日3週間飲んで、
1週間お休みするという飲み方ですが、
1日1錠しか飲めない患者さんもいますし、
8錠飲んでもまったく副作用の無いかたもいます。
たった2錠でも、
副作用も無く、
肺転移が5年間以上も病巣が消えている患者さんもいます。
副作用がありませんから、
飲み続けています。
本日、ある患者さんが、
「お変わりありませんか?」と尋ねたところ、
「足の裏がヒリヒリして痛い」と言うので、
「その犯人はセローダですから、
ご自身が納得するまで減量してください。
減らし方は、現在毎日5錠だから、
1週間で35錠、
毎日7錠を月曜日から金曜日まで飲んで、
土日お休みでも良いし、
少し減らして、
8錠を4日間飲んで3日間休みでも良いし、
身体と相談しながら決めてください。」と言ったところ、
「自分でクスリの量や飲み方を決めていいんですか?」と言われ、ビックリしていましたが、
何回も書いているとおり、
治療の主役は医者ではなく、
患者さんです。アタマの硬い先生方は、
「そんな飲み方はエビデンスが無いからダメだ!」と言われるでしょうが、
エビデンスどおりの飲み方をしても、
そのたったお一人しかいない患者さんに対して、
シッカリと効いてくれる保障など何処にもありません。
ハッキリと分かっていることは、
副作用が出ているという現実だけです。
「エビデンスが無いから、
その治療はお勧めできません」と言われたという患者さんをしばしば見ますが、
健康保険という枠だけでも、
日本のガン治療は相当に窮屈な上に、
エビデンスなどに囚われていたら、
治療の選択肢はドンドン狭められてしまいます。患者さんとガンの現実が
ガン治療のエビデンスのすべてだと考えます。以上 文責 梅澤 充
主治医から、
治療方法も無く、
今後の厳しい予後についての説明を受けても、多くの患者さんでは、
「良くなりたい」
「少しでも長生きしたい」
と考えて、「治療方法は本当に無いのか」とご自身、ご家族が、
文字通り必死になって
他の治療を探します。そのような現状で、
セカンドオピニオンに来られる患者さんは、
少なくありません。
何回もご紹介しているとおりです。
その中で、
標準治療でなければ、
明らかにまだまだ治療の方法はある、
という患者さんもいますし、
健康保険の枠内では難しいものの、
その枠を取り払えば、
まだ、幾つもの治療の選択肢は残されている、
という患者さんもいます。
そのセカンドオピニオンの後に、
私が診ることになる患者さんも少なくありません。
しかし、
私も尻込みしたくなる患者さんも時々見かけます。
ガンという病気以外に、重篤な合併症を患っている患者さんや
本当の末期状態で
あまりにも全身状態が悪くなっている患者さんです。ガン治療を行なうことによって、
その合併症の悪化を招き、
ガンよりも先に、
その合併症により命を奪われるような事態が危惧される患者さんも
少なくありません。
また、抗癌剤を使ったがために、
最悪の全身状態をさらに悪化させ、
寿命を縮める恐れのある患者さんもいます。
全身状態の良いときから診ている患者さんであれば、
その患者さんにとっての
クスリのダメージも分かっていますから、
最後の最期まで治療は続けることができますが、
いきなり最悪の全身状態で来られては、治療が怖くなります。当然ながら、
何処の病院でも治療を断られ、
巡り巡って私のところに来られます。
断るには理由があります。
合併症の存在と全身状態の悪さと、
クスリを使ったときのリスクを考え、
何も治療は行なわず、
ガンが患者さんの命を奪ってくれたなら、
誰の責任にもならなりません。
一方、ガンが遠くない将来、
患者さんの命を奪ってしまうであろうという、
どの医者でも想定する事態を重く見て、
患者さん、ご家族の気持ちを汲んで治療を行い、その結果、
合併症の悪化を招き、
患者さんがガンではなく、
治療の前から存在していた合併症により亡くなられたときや、
抗癌剤が死期を早めたときなどは、医者がその責任を負わなければならなくなることも予想されます。そんなリスクは誰も負いたくはありません。患者が自分の身内ならば、
無治療では死が近いことが分かっているのですから、
死に至るリスクがあったとしても、
迷うことなく治療を行なうと思いますが、
患者さんは身内の人間ではありません。
まったく素性の知れない他人です。
患者さんご本人より、
むしろご家族のほうが熱心に、
「是非、治療をしてください」と言われますが、
「その治療をすることで命を落とすことになったら、
誰が責任を負うのですか、
ご家族は文句を言うでしょ!?」と聞くと、
多くの場合、返事は無言であるか、「いえ、そんなことはありません、
責任は私たちにあります」と言われます。
しかし、患者さんのご家族親類は、
病院に来られるご家族だけではないはずです。
遠い親戚などにどんな人間が隠れているのか分かりません。
現在の風潮から、「診ない患者にタタリなし」という考えは多くの医者に浸透しています。唯一、医者にリスクを犯して、
治療をしてもらうには、
患者さん、ご家族の熱意しかないと思います。同時に、その熱意を伝えるために、
結果責任の所在をハッキリと言葉で表し、
署名捺印をした誓約書などの文書を
医者に提示することだけだと思います。私は、自分ではそのような書類は作っていません。
それが必要な患者さん、ご家族には、
その旨説明して、
書いてもらっています。
「書き方が分からない」
「何を書いたら良いのか分からない」と言われるご家族も時々いますが、
その程度の認識の患者さんであれば、
治療はお断りしています。
死に至るリスクのある治療を医者に実行してもらうには、
患者さん、ご家族にも、
それなりの覚悟は絶対に必要です。そのリスクから少しでも目を背けるような素振りが見えたなら、
そして「治療による死亡」という
起こりうる最悪の事態に対する責任を負う姿勢が見えなければ、その“危険な患者さん”を診る医者はいないと思います。以上 文責 梅澤 充
本日も何人かの患者さんが、
セカンドオピニオンに来られました。
そのうち2名の患者さんでは、
お決まりの
「治療方法はありません」宣告を受けていました。
その患者さんの治療経過、全身状態を診ると、
大きな治療効果も期待できる治療方法はまだまだあります。
健康保険の範囲内でも、
治療は十分に可能だと思われました。
さらに、健康保険という枠を超えれば、
もっと大きな治療効果が期待できる治療も十分に可能です。
「治療方法はありません」という言葉は、
「無治療でガンが悪化して命を奪う日を待ってください」という言葉とまったく同義です。
何故、そこまで冷酷なことが言えるのか不思議でなりません。しかし一方、
本日セカンドオピニオンに来られた患者さんのお一人は、
私のことはご存知ではなかったようですが、
ある大学病院の主治医から、
「大学病院では、これが限界だけど、
梅澤のところに行けば、まだ治療法はある」と推奨してくれて、
来られました。
私は面識はありませんが、
良心を持ったそのような医者もいます。
治療内容をみると、
たしかに大学病院での限界でした。
他の大学病院以上の治療は、
試していました。
だからといって、
「治療方法はありません」
の一言で片付けるのではなく、その大学病院でできる範囲の、
「他の施設を紹介する」
というもう一つの選択しを与えてくれました。医者の良心だと思います。
大学病院に勤務する医者のご家族が
同様の立場になったら、「治療方法はありません」
とは絶対に言わないはずです。大学やがんセンターに完全に閉じこもりの、
井の中の蛙でなければ、
他の施設では、
どのような治療を行なっているのかの情報は、
患者さんより遥かに豊富なはずです。
また、インターネットをまったく見ない医者は、
多くはないはずですし、
その情報を素人の患者さんが見るのと、
専門家が見るのでは、
情報の理解力が断然違います。
大学病院やがんセンターで治療を受けるときには、
ほぼ必ず、
「治療方法はありません」
の最終宣告がいつかは出されますので、
その前に、
「ここでの治療方法が無くなった場合に、
他のところでの治療はありますか?」と、一言確認しておくほうが無難かもしれません。その答えにより、
その主治医の人間性も知ることができます。標準治療が、
最悪の治療だとは考えていませんが、
標準治療には、
必ずエビデンスどおりの終着点があります。そして、その終着点到着のお知らせは、
多くの場合、
まだ患者さんに余力のあるときに告げられます。その宣告を受けてから、
慌てふためいて、
ガン難民になる患者さんはたくさんいます。
「座して死を待つ」
で満足できなければ、
そして、主治医が次の手を提案してくれなければ、
難民にならざるを得ません。
その前に、
ご自身の主治医が、
難民製造者か否かはシッカリと確認しておいたほうが無難です。以上 文責 梅澤 充
現在、肺ガンの患者さんも何人も診ていますが、
本日も肺ガンの患者さんは数名来られました。
フト気がつくと、
その中で、
4名の患者さんが同じ抗癌剤の組み合わせでの点滴をしていました。ジェムザールとナベルビンという組み合わせです。使っている量は、
ジェムザール400mg
ナベルビン10mg
お一人はその量で2週間に1回、
もう一人は10日に1回、
あとの患者さんは、
ジェムザール1400mg
ナベルビン30mg
それを10日に1回、
いずれの患者さんもそれを1年以上続ています。
大きな副作用は認めていません。
もうおひとかたは、
ジェムザール400mg
ナベルビン20mgを
10日から2週間に1回で、
1年以上続けています。
どの患者さんも、
はじめからこのスケジュールになったのではありません、
試行錯誤の結果辿り着いたメニューです。
しかし、最後のメニューではありません。
これが効かなくなっても、「治療法はありません」なる言葉は「まだ、まだ、ありません」本日クスリを変更した患者さんもいます。
皆さん、この先も効かなくなる日が来てしまったならば、
試行錯誤を再度繰り返すことになります。
事実、ジェムザール1400mgの患者さんでは、
画像診断上は変化は見られないのですが、
毎回見ている腫瘍マーカーが
ここ数回連続して増加してきたので、
本日は量を1500mgに変更しました。
はじめのころは、
600mg程度でもガンはコントロールできていましたが、
効果の低下に合わせて増量していきました。
同様にナベルビン20mgの患者さんでも、
腫瘍マーカーの上昇を見たため、
本日から、ナベルビンに変えてイリノテカンへ変更しました。
すべての治療はその患者さんに合わせて進化させていきます。また、ジェムザールとナベルビンの点滴のほかに、
内服の抗癌剤を使っている患者さんもいます。
上に書いたクスリの量は、
体表面積あたりの数字ではなく、
一人当たりの量です。
したがって、
標準治療ではすべてを支配する「体表面積」あたりで考えると、皆さんバラバラになります。
点滴周期もバラバラです。昨日の「骨髄抑制」の続きのようになりますが、
同じ肺ガンで、
しかも同じクスリの組み合わせでも、
最適量も点滴周期も違います、
人それぞれ、
ガンそれぞれです。これは肺ガンに限ったことではありません。すべての種類のガンで、
「標準」など存在しません。
患者さんも「標準」などありません。副作用も十人十色です。ジェムザールでは、
現在最大量で1回1600mg使っている患者さんもいます。
効果が薄れてきたのに合わせて増量していき、
最終的にその量になっています。
そのほぼ標準量でも、
その患者さんはまったく副作用は感じないと言い、
骨髄抑制も観られません。
逆に1回300mgでも辛いという患者さんもいます。
もう少し増量したいのですが、
副作用のため使えません。
そのため本日は保険外のクスリを使いました。
本日の4人の肺ガン患者さんを見て、すべての患者さんを十把一絡げにして、
まったく同一メニューの定食だけを、
提供する標準治療の愚かさを、
あらためて感じさせられました。やはり「標準治療とは最低限度の治療」だと思います。本日は肺ガンの患者さんは、
あとお2人来られましたが、
その患者さんも、
まったく別メニューで治療を続けています。
これを読まれている“あなた”という患者さんは、
世界中にお一人しかいないはずです・・・・
以上 文責 梅澤 充
一般的に抗癌剤といわれるクスリは、
分子標的薬やホルモン剤などを除くと、
細胞毒と呼ばれています。毒であり細胞を殺すクスリです。当然、殺してくれるのは、
ガン細胞だけではなく、
人間の正常な細胞もたくさん殺します。「抗癌剤は、正常な細胞を殺すクスリであり、
たまたま、ガン細胞も殺してくれる」
と評する医者もいます。
そのとおりだと思います。「正常な細胞」では、
骨髄細胞が最大の被害を受けます。命には関係ないので無視されることが多いのですが、
毛母細胞も甚大な被害を受け、
髪の毛も無くなるクスリも少なくありません。
命をも奪ってしまうことがある、
抗癌剤の最大の副作用は何と言っても骨髄抑制です。昨日の「治療法はありません」はじめ何回も書いていますが、
その副作用の程度は、
すべての患者さんでまったく違います。
私は、ほとんどの患者さんで、
抗癌剤は標準量の半分以下の量からはじめます。
抗癌剤の種類によっては、
標準量の10分の1以下からはじめることもあります。
非常識と酷評されるそんな量でも、
シッカリと効いてくれるガンもありますし、
その量でも大きな骨髄抑制を来たす患者さんもいます。標準量の4分の1から3分の1程度でも、
何回か点滴を続けていくと、
自覚できる吐き気やだるさ、痺れなどの副作用はまったく無くても、
白血球だけは、
3000を大きく下回ったり、
患者さんによっては2000を切るかたもいます。
3月21日の「健気な骨髄」で紹介した患者さんは、
2年以上も抗癌剤治療は続けていますが、
その量は、
標準量の3分の1程度です。
逆に、同様な量で、
何年も続けていても、
骨髄抑制などの副作用はまったく出ていない患者さんもいます。
タキソールを9年間近く使い続けている患者さんもいます。
経口剤だと、
15年を筆頭に、
10年を超える患者さんはたくさんいます。
さらに、標準的に大量の抗癌剤を使っても、
まったく骨髄抑制を起こさない患者さんもいます。
進行肺ガンに対して、
アバスチンを使ったうえで、
タキソールとカルボプラチンという標準的な抗癌剤を標準量で使い、
それを標準どおりに6回を続けた患者さんでは、
白血球は1度も5000以下にはなっていませんでした。
大学病院で
ジェムザールを一回5100mg、
タキソールを300mg
(体表面積あたりそれぞれ2200mg、130mg)
それを同時に、
2週間に1回の間隔で投与されても、
ビクともしない骨髄の持ち主もいます。
(効果も無いので3回で止めました)
抗癌剤治療を進めていくときに、一番注意しなければならない副作用の一つである
骨髄抑制の程度も、患者さんにより、
十人十色、
まったく違います。本日も標準量の4分の1の抗癌剤で、
白血球2000を切った患者さんが来ました。
昨日の「治療法はありません」でも書いた、
「標準的なガン患者」など存在しないことを思い知らされました。このように
敏感な骨髄をお持ちの患者さんに、
いきなり4倍量の標準的に大量の抗癌剤が、
いきなり投下されることを思うと、
背筋が冷たくなります。
何故、ありもしない標準に拘るのか、
私には理解できません。患者さんとガンに「標準」が無いのに、
標準治療など有り得ません。以上 文責 梅澤 充
このブログを読んで、
「治療法はありません」
と言われてからも希望が持てる、
という内容の裏コメントをいただきました。
何回も書いているとおり、
「治療法はありません」
という言葉には、
故意か否かは知りませんが、
重要な単語が抜けています。
「標準的な」
あるいは
「エビデンスのある」
という言葉です。
日本では、
エビデンスのある治療だけを進めることを、最善の治療と勘違いされている医者もまだたくさんいるようですし、
国を挙げてエビデンスにしがみつこうとしています。エビデンスのある標準治療は、
多くの場合、全身状態がまだ良好な、
PS.0または1の患者さんが対象になりますので、
PS.が大きく低下した患者さんに対してのエビデンスではありません。
PS.が低下しただけで、
「標準的な」治療方法は無くなることになります。標準治療を続けて、
全身状態の低下により、
「治療方法はありません」
と言われても、
標準からそれた治療、
エビデンス無い治療、あるいは、「日本では」健康保険の関係から、
エビデンスは有っても行なうことができない治療は、いくらでも存在しています。コメントのように、
「治療法が無い」
と言われても、
希望はいくらでもあります。
しかし、
標準治療では、
僅かな延命効果しかないことも、
エビデンスとして証明されています。
その治療を受けて、
全身状態の低下を招いて、
その後にありがたい決まり文句をもらってから、
はじめて目を覚ます患者さんをたくさんみていますが、
標準治療の実情をシッカリと理解していたら、
その治療は受けないのではないかと思います。
すべての標準治療が
良くない、
受けるべきではない、などとは毛頭考えていません。それが最善の患者さんも存在しています。私自信、現在数名の患者さんに標準的抗癌剤治療を行なっています。
さらに標準的な量では、
効果も見られず、
また副作用も出ないために、
標準量よりも、
さらに大量の抗癌剤を使った治療をしている患者さんもいます。
その患者さんにとっては、
効果も大きく、
副作用も無く、
最適だと考えるからです。何回も書いているとおり、
ガンも患者さん極めて個性的であり、「標準的なガン」も
「標準的な患者さん」もいません。ガンにも患者さんにも、「標準」などありません。「標準」が無い相手に対して、
「標準治療」など存在するはずがありません。「治療法はありません」
と言われて希望を捨てることはありませんが、そのお言葉をいただく前に、
ご自身の治療について
再度シッカリと考えてみてください。以上 文責 梅澤 充
本日もお願いです。
昨日、一昨日くらいから、
落ち着いてきたのですが、
2週間ほど前から、
メールの嵐が襲ってきていました。
一日に1~2通のメールで、
平穏な日々が続いているかと思うと、
何故か突然、
ドドットと毎日何通ものメールが襲ってきます。
そして、その大波が過ぎると、
また凪の平穏な日々が続きます。
分散してメールが来ればどれだけ楽か分かりません。
メールの少ない平穏なときや、
時間があるときであれば、
津波のときでも、
その場で返信を出しているのですが、
忙しい日に来たメールは、
ついつい後回しになってしまいます。
その中でも、
急がなければならないメールから返信していますので、
あまり急を要さないと判断したメールや、
返信を書くのに時間がかかりそうな内容のメールでは、
返信は相当に遅くなってしまう事態もしばしば起こっています。
そして、返信できないまま、
受診ホルダーに置かれている間に、
再びメールの津波が来ると、
完全に埋もれて、
そのままになってしまうことも珍しくなくなっています。
埋もれたメールをフォルダから救出しようと、
探していると、
多くの場合、
次の津波が襲ってきます。
そうなると完全に遭難してしまいます。
そのために失礼をしているかたも、
少なくないと思います。
余程へんてこな内容でない限り、
必ず返信は出していますので、「返信が来ない」と思われているかたは、
再度、送信していただくことをお願いします。また、これもしつこく何回も何回もお願いしているのですが、
2通目以降のメールで、「○○県の△△ですが」と書かれてきても、
何処の△△さんなのか、
まったく分かりません。私が送・受診信したメールも
必ず添付したうえで、
送信してください。多くの「○○県の××」さんは、
そのまま無視させていただいております。携帯のメールなどで、
添付ができないときには、
せめて、
前の送受信のメールの、
発信日時を明記の上での送信をお願いします。また、メールは、
セカンドオピニオンの申し込みも、
ホームページの窓口からではなく、
[email protected]または、
[email protected]のいずれかに、
直接お送りください。
なお、
「診察をお願いします」というメールもたくさんいただいていますが、
まったく診たことの無い患者さんに対して、
いきなり診察・診療を開始することはしておりません。初診で診察を開始するには、
それまでの経過を知り、
その結果の病態に対して戦略を立てなければなりません。
それを、現在の外来診療で行なうことは時間的に不可能です。
先ず、セカンドオピニオンというかたちお越しいただき、
そこで、
その状態の患者さんに対する、
私の治療方針をお話して、
同時に患者さんのご希望をお聞きし、
お互いに納得したならば、
はじめて治療を開始しています。
その時間を一般外来で行なうことは不可能です。
治療をご希望の患者さんは、
先ず、セカンドオピニオンの申し込みをお願いします。勿論、一般的なセカンドオピニオンも受け付けています。その私の勝手なオピニオンを地元の主治医にぶつけ、
それに沿った治療を受けている患者さんもいます。医者はエビデンスの無い治療を行なうときには、
責任問題には敏感です。
まして、明るい予後が見込まれる病気ではありませんので、
なおさらです。
しかし、患者さんおよびご家族が、
エビデンスの無い治療での結果責任の所在を
署名捺印のうえの誓約書というかたちで示せば、
受け入れてくれる医者も少なくないようです。
ご家族の意思表示はとても重要です。話はそれましたが、
メールに関してのお願い、
よろしくお願いいたします。以上 文責 梅澤 充
すべてのガンは千差万別、
同一の種類のガンの中でも、
いろいろなタイプがあります。
一般的に、進行スピードが極めて速く、
根治手術ができる可能性も高くはないのですが、
もしその手術が可能であっても、
再発したら、
アットいう間に命を奪われてしまうガンという
タチの良くないことで知られているガンもあります。
標準治療では平均10ヶ月程度という数字が出ています。
本日はそのガンが再発している患者さんが、
セカンドオピニオンに来られました。
ご自身の病気に対しては、
とても無頓着な患者さんで、
ガンに対する知識は、
あまりお持ちではありませんでした。
のんびりと構えておられました。
それが良かったのか、
ガンもとてもおとなしい性格のようでした。
また、主治医の対処も抜群だったように感じました。
先ず、再発が確認されてから、
2ヶ月も無治療、
その後、一般的には、
4~6回は繰り返す標準的抗癌剤治療を、
2回で打ち切り、
その後半年近くも無治療で、
自覚症状の出現も無い、
という経過です。
通常は、
標準治療を体力が持つだけ続け、
体力的に最大量の抗癌剤を使ったその治療が継続不可能になるか、
抗癌剤が効かなくなると、
「治療法はありません」
なる言葉が待っているだけです。その患者さんは、
時間的には、
もうそろそろその時期になりますが、
たった2回で治療を止めているため、
まだまだお元気です。
私のところでの治療を希望されましたが、
私が行なう治療は、
休みは無い継続治療です。
たった2回の標準治療で、
半年の間、
無治療が得られるのであれば、
その標準治療はその患者さんには
あまり辛くないようですので、
それを年に1~2回チャランポランに続けるほうが、
患者さんにとって幸せであるように思います。
一般的に、
そのような状態になることは有り得ない種類のガンですが、
十人十色のガンですから、
どんな性格をしているのか、
付き合ってみなければ分かりません。不思議な症例もあるものだな、
と関心していたら、
同じ種類のガンで、
とても数奇な、
有り得ないほど長く、
ガンと付き合っている患者さんからのメールを
本日いただきました。
個性的なガンの性格を早く見抜いて、
最善の治療を探してください。本日は外来診療は、
比較的早く終了したのですが、
その後、患者さんのご家族や、
雑用が続き、
忙しい一日になりました。
終わりにします。
以上 文責 梅澤 充
人間誰でも毎日食事をして生きています。
しかし、毎日の食事量をチェックしている人は、
あまりいないのではないでしょうか。
しかし、体重は概ね一定に保たれています。
これは、
昨日の「健気な骨髄」でも書いたように、
人間が生きていくための性です。
しかし、それが病気になると、
まして相当に進行したガンになると、
話が違ってきます。
ガンの進行に伴う、
痛みなどの苦痛、
あるいは標準的に辛い、
抗癌剤治療の副作用などにより、
食事が思うように摂れない患者さんも少なくありません。
何回も書いていますが、
人間は必要最低限度のエネルギーを補給しなければ、
間違いなく餓死してしまいます。したがって、
食事が十分に摂れなくなってしまっている患者さんでは、
ご自身が、
毎日どの程度のカロリーを摂取しているのか、
シッカリと把握しておかなければなりません。口からの補給が十分でなければ、
別のルートから、
身体にエネルギーを供給しなければなりません。そのために、
患者さんが毎日摂取しているカロリー計算は、
極めて重要です。しかし、
「1日、何カロリーくらい食べていますか?」と聞いて、
「大体○○カロリー程度です」
と言える患者さん、ご家族はごく僅かです。
多くの患者さん、ご家族は、
ビックリした顔をして、
「そこまでは・・・・・」です。
「そこまでは」
ではありません。最低限度把握しておかなければならない、
極めて貴重な情報です。カロリー計算というと、
とても難しいことのように感じてしまうかたが多いようですが、
糖尿病の患者さんは、
普通にしていることです。その生きていくために極めて重要な情報は、
ご自宅でしか、
そして、患者さんまたはご家族でしか、
得ることができない情報です。
医者にはそれを把握することは不可能なのです。
絶対的にカロリーが足りず、
高カロリーの点滴を計画するにしても、
患者さんが概ねどの程度、
口からカロリー摂取が可能であるのか分からなければ、
何カロリーの点滴を処方してよいのか分かりません。
本日も、
十分に食べることができない患者さんに、
どの程度のカロリーを摂取しているかを、
聞いたところ、
「素人が何でそこまでしなければならない」と言わんばかりの、
ビックリした顔をされたご家族がいましたが、
患者さん、ご家族だからこそできる、
ガン治療に対する、
最低限度の情報収集です。
「そこまで」ではなく、「それは当然」と考えてください。ご自身が生きるためです。以上 文責 梅澤 充
医療費が高い、
というコメントをいただきました。
たしかに、ガンという病気を宿しただけでも、
経済的ダメージは、
計り知れません。
仕事ができなくなり、
生活保護の支給を受けざるを得なくなった患者さんもいます。
ガン治療では、
一般的に非常に高額な抗癌剤を使わなければなりません。
その3割は患者さんが負担しなければなりません。
しかし、逆に言えば、
7割は健康保険が負担をしてくれます。
(高額医療では7割以上)これは、非常にありがたいことです。
アメリカには4000万人以上の無保険者がいるといわれていますが、
その人たちも、
日本人と同じ確率でガンが発生してくるのですから、
そのときには、
無治療にならざるを得ません。
それが故に、
アメリカでは、
無料で治療を受けることができる治験が盛んに行なわれ、
また、抗癌剤よりは、
遥かに廉価なサプリメントが大流行になっています。
北欧の国々などでは、
非常に廉価でガン治療を受けることができる
というようなことも聞いたことがあります。
しかし、消費税率は30%を超えるとか超えないとか・・・・
日本でも、
消費税率か保険料率を大幅に増加させれば、
気軽にガン治療を受けられる日が来るのでしょうけれども、
その日はまだまだ遠いと思います。
ドキシルの話題から、
マスコミはドラッグラグの話を何回も取り上げているようですが、
日本で新薬を次から次えと認可していたら、保険財政など、
一発で吹き飛んでしまうはずです。ネクサバールという分子標的薬は、
現在日本では、
患者数の少ない腎ガンにだけ健康保険で使うことが認められていますが、
乳ガン、胃ガン、卵巣ガンはじめ、
多くのガンに対して有効である可能性が高く、
治験がはじまっています。
しかし、ネクサバールの薬価を考えると、
実際に認可されるまでには、
相当の時間がかかると思います。
ドラッグラグ、
すなわち認可されるまでにあまりにも長い時間がかかることに、
昔は、ずいぶんと腹を立てていましたが、
安い税金、健康保険料率を
冷静に考えると、
仕方が無いことのように思います。患者さんから聞いた話ですが、
「標準とは最高という意味だ」
と患者さんに豪語している某大学の教授先生がいたそうですが、
最低限度のガン治療としての標準治療は、
健康保険でまかなわれているだけ、
それすら受けことが許されない人々のことを考えたなら、
日本は恵まれていると考えるようになりました。
日本で認可されいないクスリでも、
自由診療というかたちであれば、
誰でも世界最先端の治療を受けることができます。これは、ドラッグラグなど無く、
何でもすぐに認可してくれるアメリカと
同じ治療環境にあることを意味します。勿論、経済的には大きな問題がありますが、
アメリカとて、
最先端の高額な薬剤を使えるのは、
限られた患者さんだけです。
日本の医療の現状に、
不満ばかりぶつけても仕方ありません。
現状でできる最善の治療を考えたいと思っています。
輸入薬まで使える患者さんに、
その使用を制限する必要はまったくありませんし、それが難しい患者さんでは、
お財布に見合った治療を考えています。幸いなことに、
日本の健康保険では、
抗癌剤の量を標準から大きく減らして使うことは、
安くなる行為ですから、
いくらでも認めてくれます。
ほとんどすべての抗癌剤では、
「適宜減量」
は医者の裁量で自由調節できます。同時に、健康保険での支払いも、
大きく減額されます。
「標準 = 最高」
ではありません。「標準 = 最低限度」です。減量して抗癌剤を使うことは、医療費削減のためにも、
副作用を軽減して、
長生きするためにもとても重要です。以上 文責 梅澤 充
3月7日の「ハーセプチン」で、
ハーセプチンについて書きましたが、
本日は、続きを書きます。
現在日本では乳ガンにだけしか健康保険では認められていません。
しかし、ハーツー蛋白という特殊なタンパク質が
細胞の表面に発現していれば、すべてのガンに対して効いてくれる可能があります。その細胞の検査は、
手術時に切除した細胞、
または、再発してきた細胞を採取して調べることは可能です。
その検査をハーセプテストといいます。
乳ガン以外では、
健康保険では認めれれていませんが、
僅かなガン組織があれば、
簡単に検査会社に検査を依頼できます。
また、細胞を調べるよりも、
正確度は劣りますが、
血液でも調べることが可能です。その場合、
血清中のハーツー蛋白レベルが、
15.2ng/ml 以上あると、
ハーセプチンが効いてくれる可能性が高くなります。
実際に17.4ng/ml で、
劇的に効いて、
1年以上の延命を得た再発胃ガンの患者さんもいます。
ハーセプチンの後は、
タイカーブというポストハーセプチンともいうべきクスリで、
さらに延命しています。
また、はじめの手術で切除した細胞では、
ハーセプテストが
スコア(0)または(+1)という、
「ハーセプチンは効きませんよ」
という判定であっても、
再発後に抗癌剤治療を行なっていくと、
細胞の性質は変わってきます。再発病巣を検査すると、
スコア(+2)(+3)
と、ハーセプチンが効く可能性が高く、
「健康保険で使っていいですよ」という細胞に変化していることは少なくありません。はじめの手術時の検査で、
「ハーセプチンは使えません」
と言われた患者さんで、
現在ハーセプチンを健康保険で使い、
極めて良く効いている患者さんは、
現在も何人も診ています。
再発の場合、
細胞を採取するのが難しいことも少なくありませんので、
その場合には、
血液で代用しています。
以前にも書きましたが、
某国立のがんセンターで、
治療方法はありません
と言われた患者さんが来られ、
私のところで採血をしてみたら、
ハーツー蛋白が異常に高かったため、
健康保険でハーセプチンを使ったところ、
極めて良く効きました。
その後、その患者さんが、
治療方法が無いと言われたがんセンターに経過観察のために行き、
ハーセプチンを使っていることを
主治医に言うと、
その主治医の顔色が変わり、
「それは使うべきではない」と言われ、
その旨の文書まで私のところに送ってきました。
患者さんの心臓機能が低下していることを理由にしていましが、
治療方法が無ければ、その患者さんは死を待つだけということをがんセンターの医者は理解していないのでしょうか。なお、その患者さんの心臓機能は、
たしかに低下はしていましたが、
ハーセプチンを使うことが制限されるほどではありませんでした。
話はそれましたが、
はじめの手術時の結果だけをもって、
ハーセプチンの使用を諦めてしまっている患者さんは、
たくさんおられます。
一般的に乳ガンは抗癌剤治療がとても良く効きます。
その治療を続けていくと、
細胞の性質は変わってハーセプチンが効くようになることは、
珍しくありません。
抗癌剤治療を行なっても、
ハーツー蛋白についての細胞の性質は変わらない、
という論文も見たことはありますが、
まったく逆に、
シッカリと性質は変わることが確認された、
という論文もあります。
ハーセプチンはハーツー蛋白を持つガン細胞には、
極めて有効な武器です。
どのガンに対しても有効です。先日、ハーセプチンを使うと、
翌日家事もできなくなる、
という副作用を感じている患者さんを、
はじめしてみましたが、
ハーセプチンでそのような副作用が出る患者さんは、
今まで一人も見たことはありません。
一般的にほとんど副作用の無いクスリです。
ただし、乳ガン以外では、
健康保険は使えません。経済的な問題は小さくありません。現在、乳ガン以外では、
5~6名の患者さんに、
ハーセプチンを使っていますが、
お財布への副作用は小さくありません。
かつて、胃ガンの患者さんで、
ハーセプチンのコストを聞かれたとき、
「毎月その値段ではチョット無理だと思うけど、
効くかどうかの血液検査だけはしてください」と言われたかたがいました。
検査の結果、
ハーツー蛋白は非常に低く、
「残念ながら効く可能はほとんどありません」と言ったところ、
「アー、良かった!」と言われました。
複雑な本音だと思います。
今まではハーセプチンが効かなくなると、
次のクスリはありませでしたが、
現在では、
タイカーブという強力な武器も登場してきました。
今は、まだ輸入しなければ使えませんが、
間もなく日本でも、
乳ガンに対してだけですが、
承認される見込みです。
長生きをすれば、
多くのクスリに巡り合えます。エビデンスどおりに終わる治療ではなく、長く生きることを考えた治療を受けてください。ハーセプチンは来年には、
胃ガンにも保険適応になる見込みのようです。以上 文責 梅澤 充
現在、私が診ている患者さんで、
はじめに診断がついた病院などで、
経過観察だけをしてもらっているかたも少なくありません。
そのとき、
主治医が経過を見て、
「普通はこんなことはありません、
あなたが、たまたまラッキーなだけですよ」と言われた患者さんはたくさんいます。
本日も、もと主治医に経過を見せたところ、
「こんなことはありえない」と言われた患者さんが来られました。
その患者さんのガンに対しては、
エビデンスのある薬剤ですが、
その量は標準量の4分の1程度です。
「そんな量では効かない」と標準的抗癌剤治療だけを行なっている先生方が
口を揃えて仰るバカげた量です。しかし、実際には効果があり、
患者さんは確実に長生きをしてくれています。主治医の
「こんなことはありえない」
との言葉には大きな誤りがあります。
主治医は「そんなバカげた量」の抗癌剤を使った治療は、
見たことも聞いたこともないはずですから、
知らないだけです。「ありえない患者さん」は、
今日も大勢来られました。
抗癌剤治療の常識を大きく外れた、
効かないはずの抗癌剤治療については、
まったく検証されていません。
治験で確認された、
標準的に大量の抗癌剤を使った治療にしか、
データがありません。
それから外れた量での抗癌剤治療には、
まったくデータが無い、
すなわち根拠が無いのです。そうなると
EBM(エビデンスに根ざした治療)を標榜する先生方には、
効かないことになるのです。逆に、エビデンスのある効くはずの治療であれば、
エビデンスどおりに○○%の患者さんでは効きませんが、
その治療で効果が出ない患者さんがいても、
それはエビデンスどおりですから、
副作用で苦しもうが、
ガンがドンドン悪化しようが、
それは患者さんの責任です。
医者はとってもラクです。効かないはずの治療で、とても良く効く患者さんもいれば、効果が出ず、試行錯誤の患者さんもいます。本日も、
たくさんの効かないはずの治療で、
効いている患者さん、
効かない患者さんで、
忙しい一日でした。
終わりにします。
以上 文責 梅澤 充
抗癌剤治療は多くの場合、複数の薬剤を組み合わせた、
多剤併用で行なわれます。私も量はまったく別ですが、
組み合わせだけは、
基本的にはエビデンスに則り、
有効である確率が高い組み合わせで治療をはじめます。エビデンスが無くなったなら、
試行錯誤し、
最善の組み合わせ
および、それぞれの薬剤の量を、
個々の患者さんとガンの状態を診ながら決めていきます。本日セカンドオピニオンに来られた患者さんが持参された、
抗癌剤投与スケジュールなるものを見て驚きました。
通常2種類あるいは単独で使われている抗癌剤を、
10種類近くブレンドして投与するそうです。
健康保険外の治療です。先日来られた患者さんは、
すでにその治療を受けておられましたが、
やはり、同じように8種類くらいの、
主に古典的な抗癌剤の組み合わせでした。
それぞれの薬剤は、
標準量よりは少なくなっていましたが、
ごく少量という量ではありません、
私が普段使う量よりも多い量でした。
それが10種類近くのミックスとなれば、
相当の骨髄抑制も危惧されます。
実際にその治療を受けてしまった患者さんでは、
大きな骨髄抑制も観られていました。
また、ビックリしたことに、
その治療メニューを処方しているのは医者ではないそうです。
医者では実際の患者さんを診ていますので、
そんな治療は考えないでしょうから、
当然のような気もします。
処方しているのは、
患者さんを診る医者ではなく、
クスリの知識に長けているだけの
薬剤師か薬理学博士のような人間だそうです。勿論、医者以外の人間は、
患者さんに対して抗癌剤治療を行なうことは許されませんから、
医者がそのクスリに詳しい人間の知恵?を借りて、
その人間の処方どおりに
患者さんに投与しているということだと思いますが、
その内容の激しさにビックリしました。
その人間(薬剤師?薬理学博士?)は、
患者さんに対して、
「必ず効く」と豪語して、
ほぼ強制的にその治療を受けさせているようですが、
たしかに、
あれだけ種類の違う薬剤を同時に投与したならば、
どれかが当たってくれる可能性は、
低くはないと思います。しかし、実際にその治療を受けた患者さんでは、
効いている気配はありませんでした。
逆に、万一それが当たって、
一時的にガンが快方に向かったときに、
如何するのでしょうか。あまりにもたくさんの薬剤を同時に使ってしまうと、
どれが効いてくれているのは分からなくなってしまいます。
万一の場合、8~10種類もの抗癌剤を
その量で投与し続けるのでしょうか。
骨髄抑制は小さくはありません。
そんな治療は続けることはできません。
すべてが効いてくれているとは、
とても考えられませんから、無駄なクスリも同時に、
身体に入れられていることになります。
そして、その無駄なクスリは骨髄抑制という副作用だけは、
確実に発揮してくれます。使う予定になっていた抗癌剤は、
確率は高くはないと思いますが、
どれも、効く“可能性”だけはあります。
しかし、同時投与では、
どれの効果か分かりません。
抗癌剤治療は、
単剤でなくても良いですが、
1つか2つずつ種類と量を試して、
その患者さんにとって最適の抗癌剤・量を見つけ出すべきだと考え、
その方法をとっています。ただ、実際に投与してしまった患者さんでは、
それが効かなかった場合、
そのときに使われたすべての薬剤が、
無効である可能性が高くなりますから、
次の選択肢の幅が狭くなり、
次に試すべき抗癌剤の種類が限られるため、
効くクスリを見つけ易くするというメリットはあるのかも知れません。
薬理学の専門家などでは、
医者などよりクスリについての知識は豊富なかたも多いと思います。しかし、クスリは、
人間の身体に入れてはじめて薬になります。薬を人間の身体に入れることが許され、
それを実際に観てきているのは医者だけです。薬理学に詳しいというだけで、
実際の患者という人間を診たことがない、
診ることは許されない人間の処方に頼りった治療を受けることは
如何なものでしょうか。医者は各分野の専門家の知識を借りて、
それを実際の患者さんに生かしていくパイプ役であり、
それに頼りきりになることは許されないと思います。こんなことを書いていたら、
20年以上前に散々お世話になった、
動物実験棟の獣医さんを懐かしく思い出しました・・・・
以上 文責 梅澤 充
「手術は不可能です」
「再発ですから抗癌剤治療しかありません」などと、
極めてアッサリと宣告されてしまう患者さんは少なくないように思われます。
少なくとも、
私のところにセカンドオピニオンに来られる患者さんでは、
そのような患者さんがたくさんいます。
確かに、
抗癌剤治療だけしか手立てが見つからない患者さんもおられます。
しかし、
昨日の「治療の目的」でも書いたように、
多くの場合、
「手術はできません」
「抗癌剤治療しかありません」なる言葉は、
「治ることは無い」
「早晩ガンがあなたの命を奪いますよ」ということと同義です。
しかも、アッサリとそのような宣告をしてくれる病院で
用意されている抗癌剤治療とは、
標準治療以外に選択の余地はありません。その用意されたレールの列車にひとたび乗ったならば、
行き先も到着時刻も、
さらに、乗り心地までもが決められてしまいます。「乗り心地が悪い」と車掌に訴えても、
「皆さん一緒ですから、我慢してください」の一言で片付けられてしまいます。
その乗客たちは、
何処へ行くのかも知らされず、
終着駅に着くまで、
ただ黙々と我慢するしかありません。そんな馬鹿げた選択肢だけしか残されていない治療で、
満足できる患者さんはほとんどいないはずです。実情を知らないから、
その列車に詰め込まれてしまいます。
また、本来まだその列車には乗るべきではない患者さんも
しばしば見かけます。
先日も再発・手術不能、
癌性腹膜炎という有り難い診断をいただいた患者さんが、
シッカリと手術を受けてこられました。
その手術だけで根治したとは言えません。
しかし、根治の道が近づいたことだけは事実です。
今後、その患者さんは根治を目指した治療を行なうことになります。
もし、主治医の勧めた
標準治療というレールに乗ってしまったならば、
極めて乗り心地の悪い列車に揺られた挙句、
半数以上の患者さんは、
来年のお正月は迎えることはできません。
現在、国では、
「がん地域連携クリティカルパス」なるものの整備を、
勧めているそうです。
地域格差をなくして、
ガン拠点病院にガン治療を効率的に集約していこう、
というお考えのようですが、
日本では、
ガンに罹ると、
決まったレールに乗せられて、
行き先まで決められてしまう時代が近づいているようです。「再発 = 手術不能 = 抗癌剤治療だけ = エビデンスどおりの死」というレールもシッカリと整備されることになると思われます。そのほうが、
医療費の計算もしやすいでしょうし、
第一、患者さんはあまり長生きはできませんから、
医療費の抑制に繋がるのかも知れません。
しかし、そのレールに乗るべきではない患者さんはたくさんいます。
多くのガンで、
「根治」の二文字を得るためには、
手術しかありません。
「手術不能、抗癌剤治療しかありません」
と宣告されてしまったならば、
本当に不可能であるのか、
手術は考えないほうが得なのか、
ご自身の納得のいくまで、
その宣告をした医者以外の
多くの医者の判断を聞いてください。
ご自身ご家族の努力無しに、
主治医一人の考えだけでは、
行き先は決まってしまいます。
確率は低くても、
根治の可能性も見えてくるかも知れません。また、本当に根治は無理であっても、
既成のレールに乗るのは、
ジックリと考えてからにしたほうが無難です、
エビデンス以上に長生きができる可能のある治療は、
確実に存在しています。以上 文責 梅澤 充
何回も書いていますが、
治療の目的は何処にあるのかは、
ハッキリと認識しておかなければなりません。本日ある患者さんがセカンドオピニオンに来られました。
某有名病院で、
「手術不能です。今後は抗癌剤治療と放射線治療だけしかありません」と宣告されました。
それに納得いかず、
やはりガン治療で有名な、
某病院にセカンドオピニオンに行かれました。
そこでは、
「抗癌剤治療と放射線治療だけしかない」
ではなく、
「現状での手術は不可能、
しかし今後手術が可能になるように、
抗癌剤治療と放射線治療を行い、上手くガンが縮小してくれたなら、
手術をしましょう。」
と、ある治験を推奨されました。そのガンでは、
現在では、
はじめに手術不能の診断がついた場合、
抗癌剤治療により改善を図り、
手術が可能になることは、
ほとんど考えられません。
しかし、術前の放射線・抗癌剤治療により、
手術が可能になることを期待する治療を、
治験というかたちで、
その病院でははじめていました。
現在まで、
何名の患者さんが手術を受けることができるようになったのかの説明は
その治療を勧めた医者からは無かったようですが、
その治療の目的は、
手術を行なうことです。その患者さんのガンの治療においては、
根治を目指すならば、
手術以外の方法はありません。はじめの病院で宣告された、
「抗癌剤治療と放射線治療だけしかない」は、「治ることはありません。」
「延命のための治療です」
「早晩、ガンにより亡くなります」とまったく同義語です。
一方、放射線・抗癌剤治療後の手術という治験は、
可能性はかなり低いとは思われますが、「根治を目指しましょう」ということを意味します。
まだ、その治験は始まったばかりのようで、
ほとんどデータは無いようですであり、
一般的に考え、
根治の確率は相当に低いことが予想されます。
しかし、少なくとも、
「早晩、ガンにより亡くなります」
とは大きく違った目標を持っています。もし、その治験で、
寿命を短くする確率が高いのであれば、
それは、慎重に考え、
患者さんの平均余命や、
治癒確率、
死亡確率などから期待値まで計算して、
トクな道を選択しなければなりませんが、
本日患者さんが持ってこられた治験では、
副作用は標準治療並みに出ると思われましたが、
寿命を縮めることはなさそうです。
「根治」を治療の目的にするのであれば、確率は高くはないと思われますが、
迷う必要はないと思います。以上 文責 梅澤 充
エビデンスのある、
いわゆる標準治療だけしか行なわない、
がんセンターや、大学病院などで、
唯一エビデンスの無い治療を行なうのは、治験のときです。治験とは、
まだ、効果が確立されていない治療を、
実験的に行い、
その治療効果を確認するための行為です。常に多くの治験が日本中で行なわれています。最近では、
乳ガンの術前術後の治療としてのハーセプチン、
胃ガンに対するハーセプチン、
泌尿器ガンに対するジェムザール、
などが行なわれていました。
その結果、
術後の再発予防としての、
ハーセプチンの使用が健康保険で認可されています。
膀胱ガンに対しての、
ジェムザールも認可されています。
いずれも世界には、
何年も遅れをとっています。
胃ガンに対するハーセプチンも
来年には認可されると思われます。
現在では、
膵ガンに対するオキサリプラチン、
その他、様々な治験が進行中です。
その治験には、
莫大な予算が必要です。
それは製薬会社が負担します。
したがって、勝算の無い治療が行なわれることはほとんどありません。治験が行なわれるということは、
その治療は、
ほぼ間違いなく有効であることが分かっている状態です。治験が実施されて、
その結果が集計され、
それをお上が認可するとはじめて、
健康保険で使うことが可能になります。
しかし、健康保険の枠を超えれば、当然、誰でもその治療(治験)を受けることはできます。困ったことに、
治験で行なわれる治療は、
すでに行なわれている標準治療と同じように、
人間が耐えることができる、
最大耐用量の抗癌剤治療が使われます。製薬会社が主催ですから、
仕方がないのですが、
2006年4月18日の「最大耐用量と最大持続可能量」でも書いたとおり、
実際には、
最大耐用量よりはるかに少ない、
最大継続可能量のほうが、
患者さんはラクに、
長生きすることができるのですが、
「○ヶ月延命」というエビデンスが出れば、
それで目的達成ですから、
最大耐用量で治験が行なわれ、
その結果がエビデンスになっていきます。
そして、健康保険では、
その量での抗癌剤治療が、
標準治療とされて、
誰でもその量で治療を受けることになります。(健康保険でも少ない量での使用は認められています。
ほとんどの抗癌剤は「適宜減量」が許されています)治験終了までは、
健康保険では使えないクスリですから、
自費で治療を受けなければなりません。
しかし、そのコストはクスリの量に比例します。
そうなると、
最大耐用量よりもはるかに少ない、
最大継続可能量のほうが、
その分、薬品代が安くなりますから、
むしろ健康保険で、
標準量の抗癌剤を使うよりも、
自費で少量の抗癌剤を使うほうが、
安くなることもあります。
現在も、
極めて廉価に、
健康保険外の治療を行なっている患者さんもたくさんいます。
治験を行なっているような薬剤は、
あまり安いものはありません。
莫大な費用をかけて、
安いクスリが認可されても、
製薬会社にメリットはありません。
しかし、少量で使えば、
それほど高額にはならずに治療を受けられる薬剤もあります。現在、如何なる治験が進行中なのか、
それを調べて、
ご自身の治療に役立てるというのも、
賢い治療選択です。トライする価値はあると思います。以上 文責 梅澤 充
2月20日の「麻薬」をはじめ、
何回も書いてきましたが、
治療の主役は医者ではなく患者さん本人です。特に痛みの治療に関しては、
患者さん本人でなければできません。痛みの程度も頻度も、
また、鎮痛剤の効果も副作用も
すべて患者さん以外には分かりません。患者さんが
「○○が痛い」と言うの対して、
痛み止め処方することは簡単ですし、
一般的にどの医者もそうします。
しかし、その処方されたクスリが、
どの程度効いたのか、
副作用はどの程度出ているのか、
それについては、
それを処方した医者には、
まったく分かりません。
ご自身の痛みに対する治療を、
私に任せようとする患者さんがたくさんおられます。
医者が何とかしてくれるだろうと期待する患者さんです。私には、
患者さんの痛みの管理、コントロールはできません。私には、
患者さんの痛みも、
また、そのクスリの副作用の程度、辛さも
分からないからです。すべての医者もそうであるはずです。
唯一それが分かっているのは患者さん本人だけです。痛み止めのなかで、
麻薬の効果は、
とても微妙です。使う時間、量、種類、などなど、
個々の患者さんでまったく違う
ベストのタイミング、組み合わせが存在しているはずですが、
それは医者には分かりませんし、痛みは、日常生活を行なう上で、
24時間付きまとう症状ですから、
医者はそれほど長時間、
患者さんに付き合うことは不可能ですから、ご自身で、
そのベストタイミングを覚えなければなりません。麻薬○○を△mg、
麻薬の添付剤×mg
と処方するのは簡単です。
紙一枚に書けばそれでおしまいです。
しかし、その処方されたクスリの効果、副作用については、
患者さんご本人しか分かりません。処方されたクスリを、
何処までご自分でアレンジして使って良いのかだけを、
主治医に確認して、例えば、
1日2回1回3錠と処方されているところを、
1日3回までOKとか、
1回5錠までは大丈夫とか、
1日量は10錠までとか、
大まかな制限だけを決めてもらって、
ご自身でアレンジしてなければ、
最善の疼痛管理はできません。患者さんの中には、
痛みは止まっているのに、「医者が処方するから言われるままに飲んでいる」と言うかたもいます。
誰のための何のための治療なのか、
まったく理解されていないようです。
患者さんご自身を苦しめる痛みに対する治療であることを、
シッカリ認識されて、
ご自身が快適に生活できるように、
自己管理してください。
疼痛管理では、
完全に患者さんが主役にならなければなりません。
しかし、このことは、
本来、ガン治療全般でそうでなければなりません。
抗癌剤治療の辛さは、
医者には分かりません、患者さんが辛ければ、
ハッキリとその旨、
主治医に訴えて、
それでも主治医は、
その治療を続ける、
と言うのであれば、
その治療を行なった場合のメリットを、
ハッキリと主治医に説明してもらい、そのメリットが、
現在の副作用による苦痛に勝っていると考えるなら、
その治療を続け、
逆であるなら、
別の治療法を考えてもらわなければなりません。治療の主役は、
疼痛管理は勿論ですが、
ガン治療全般に対しても同様です。以上 文責 梅澤 充
何回も書いていますが、
ガンによる痛み、
抗癌剤治療の副作用などの、
患者さんの苦痛は、医者にはまったく分かりません。患者さんが主治医に申告しなければ、その苦痛は無いことにされてしまいます。
医者は、それは無いものとして対処します。私が診ている患者さんにも
何でも言ってくれるように頼んでいるのですが、
そのときに、
余計な一言を言われる患者さんもいます。身体に出現した症状を、
クスリの副作用であると決め付けてしまう一言です。副作用の可能性については、
それを処方している医者は、
当然考えています。
どのクスリも、
如何なる副作用でも存在します。ましてや抗癌剤となれば、
最悪の副作用は「死」ですから、
それに至る、
あらゆる副作用が発現する可能性はあります。ガンは放置すれば、
患者さんを確実に死に至らしめる病気ですから、
如何なる副作用も許されています。一般的に見ることが無い症状でも、
患者さんが「副作用です」と言われると、
「副作用ではない」
と否定することはほとんど不可能です。
万一それが副作用であり、
その副作用を伴うことが分かっていながら、
そのクスリを使い続けて、
患者さんに大きな不利益が発生したときには、
医者は責任を負わなければなりません。
そのクスリに対しては、
「副作用があるなら止めましょう」の一言で、
それを止めてしまうことが、
医者にとっては一番安全な方策です。しかし、ガン治療において、
無駄なクスリは使っているはずはありません。
患者さんからみれば、
一つの武器を失うことになります。
抗癌剤による吐き気や皮膚症状など、
ほぼ間違いなくクスリと因果関係がある副作用であれば、
そして、死に至るような重篤な副作用でなければ、
「容認できる範囲で使いましょう」ということで、
そのクスリを副作用疑いだけで、
止めることはしませんが、
原因不明のアレルギー症状なども考えられるときには、
それが重篤な症状に繋がらないとは限りませんので、
患者さんの申告が、
「副作用です」であれば、
それは止めざるを得なくなります。
医者任せの治療ではダメです。しかし、ご自身での勝手な独断的な判断は、
医者の治療手段、
すなわち患者さんご自身の武器を捨てる結果にも繋がります。主治医には、
副作用も含めて、
自覚する症状をすべて正確に申告しなければなりません。
その上で、
ご自身にとって最善の治療法を考えてもらわなければなりません。
しかし、その症状に至る原因について、
それを断定してしまうような表現は、
下手をすると、
治療手段を減らす結果になります。
医者との上手なコミュニケーションは、
最善の治療を求めていく上で絶対に必要です。阿吽の呼吸で、
分かり合える関係であれば、
なんら配慮は必要ないのですが、
なかなかそうはいきません。
私が診ている患者さんでも、
どんな症状でも副作用と決め付けてしまうかたも何人もおられます。
そして、それが故に、
治療手段を狭めてしまっています。
私は副作用ではないと考えていますが、
患者さんが「副作用です」
と言われればそれまでです。もったいないことだと思います。
以上 文責 梅澤 充
「西洋医学一辺倒の現在の日本のガン治療には期待できない」というような内容のメールや相談を時々いただきます。
しかし、それを言う患者さんの話を
よくよく聞いてみると、
「一辺倒」なのは、その患者さんご自身だったりします。多くの場合、「免疫一辺倒」です。免疫を崇拝するあまり、
抗癌剤を諸悪の根源であるかのように考えている患者さんも
少なくないように感じます。
あまりにも偏った考え方をしている医者が吹聴している、
理論的に考えればあまりにも無理のある
デタラメな理論・仮説に洗脳されてしまっていることが、
最大の理由であるように感じます。
その理由はともかく、
何かにつけて、免疫、免疫と、免疫に溺れている患者さんは少なくありません。ガン治療において、
免疫力は絶対に必要だと考えます。免疫力を削いでしまう治療では、
患者さんは長生きすることは叶わないと思います。それは、毎日たくさんの患者さんを診ていて、
あるいは、
標準的な免疫抑制治療を受けている患者さんが、
セカンドオピニオンに来られたときなどに、
痛感させられることです。
しかし、免疫だけで、
治ってくれるほど、
ガンという病気は甘くはありません。また、何回も書いていますが、
抗癌剤は、
その使い方一つで、
免疫力を向上させることも分かってきました。一般的に、
少ない量で使われるほとんどの抗癌剤には、
免疫力の向上作用はあるように感じます。
「そんな少ない量では効かない」
と抗癌剤治療の専門家と称する医者が口を揃えて言う量です。
しかし、その効かない量でも、
実際に立派に効いています。
専門家先生は、
「そんな少ない量は」
使ったことはないのですから、
「効かない」
ではなく、
「知らない」
のはずです。
話はそれましたが、
何でも「一辺倒」は、ガンという強敵と戦うには、
愚かな戦法だと思います。いわゆる西洋医学も当然必要ですが、
私などは無知ですが、
東洋医学などの知識も、
利用したほうが、
より有利に戦いを進めることができるはずです。
ガン治療に無駄なものはないはずです。一辺倒からは、
早く脱却して、
使えるものは何でも使う、
という柔軟なアタマで、
ガンとは立ち向かうか、
付き合っていったほうが、
賢明だと思います。
以上 文責 梅澤 充
治る可能性の低いガンに対して、
治療を続けていると、
現在ご自身が置かれている厳しい状況を
忘れてしまう患者さんを時々みます。
忘れてしまう、
というより、「忘れたい」
「知りたくない」
「考えたくない」と考える結果ではないかと考えらます。抗癌剤治療で多大な副作用に悩まされていたり、
ガンの存在そのもので、
大きな苦痛を受けている患者さんでは、
嫌でも厳しい現実と対峙しなければなりませんので、
そのようなことは無いのですが、
検査の上でガンの存在が確認されるだけで、
自覚症状は無く、
抗癌剤の副作用も無いような状態の患者さんでは、ついつい、
甘くはない現実から、
目を背けてしまうことがみられます。その結果、
「抗癌剤は身体に毒だから止めたい」
「放射線を浴びるから検査はしたくない」また、ごく些細な症状が出ると
「抗癌剤の副作用だと思うので止めたい」と、ご自身の希望のとおりのことを言われるようになります。
ガンが悪くならずに、
むしろ快方に向かっているのは、毒である抗癌剤のお陰であり、その事実を確認できるのは、放射線被曝という害も伴う検査を受けているからである、という当たり前の現実を忘れてしまいます。否、忘れようとしてしまいます。勿論、健康人に対して、
抗癌剤も放射線も毒です。しかし、ガンという病気は、
患者さんにとっては、
猛毒です。検査も受けずに、
抗癌剤治療も無しにしてしまったならば、
ガンは確実に悪化して、
近い将来確実にその患者さんは死に至るという、
当たり前の厳しい現実を忘れてしまいます。
再発や根治不能であることが宣告されたときには、
「どんな治療でも受ける」
と、こころに誓った患者さんも少なくないと思いますが、
その後の経過が良く、
自覚症状がまったく無く、
大きな副作用も感じることなく、
普通の生活を送ることができるようになってくると、
実は厳しい現実を、
直視したくなくなるようです。これは非常に危険なことです。医者に正直に言ってもらえれば、
その考え方は間違っている旨、
説明をすることができますが、
今まで何人かの患者さんで、
ご自身の勝手な判断から、
治療を突然止めてしまったかたがいます。治療を止めて、
多くの患者さんが、
先ず行くところは、
治療効果のほどはまったく不明ですが、
さも、多大な効果があり、
害は無いと謳っている、
正体不明の民間療法です。当然のことながら、
まったく効果は認めることなく、
皆さん戻って来られています。甘美な夢に誘われるも、
皆さん夢を打ち砕かれて、
現実の厳しい状態を見せつけられて、
目を覚まさせられます。
治らないガンといえども、
毎日、暗い思いに打ちひしがれている必要は毛頭ありませんし、
どこかに根治のチャンスが隠れているかも知れません。
現実に、
ガンが治ったという患者さんがいることは事実です。
治療を続ければ、
光明が見えてくることも十分に有り得ます。悲観する必要も、
まして、諦める必要などさらさらありません。しかし、現実を直視したくない一心だとは思いますが、
あまりにも、
楽観的というか、
現実離れした考え方をすると、根治、少なくとも、
長い時間、快適な生活を続けるという、
多くの患者さんが持っている夢も、
本当に夢で終わってしまいます。悲観することなく、
冷静に現実を見つめて、
治療を続けてください。以上 文責 梅澤 充
一昨日の日曜日の晩に、
貧しいアフリカ国で、
貧困ゆえポリオの予防接種を受けることができず、
乳児のときから、
下半身麻痺になり、
終生歩くことは叶わなくなったという子供の
懸命な生き様を描いた
ドキュメンタリー番組をテレビで流していました。
ポリオの予防接種は、
日本人の感覚からすれば、
ただみたいな値段で受けることが可能なはずですが、
いまだ貧しい国の子供にとっては
極めて高額なクスリであり、
容易に摂取はできないようです。
その小学校低学年くらいのその子供は、
両足は完全に麻痺して、
歩くことができないため、
使える両方の腕で
下半身を地面に滑らせるようにして引っ張り
一人で動いていましたが、
そのような状態でも、
生きるために、
働いていました。
しかし、その子供に、
笑顔を見ることができるのが、
何とも痛ましくこころを打たれました。
その国には、
同じような、
子供がたくさんいるそうです。
私は現在、
残念ながら
治ることはほとんど見込めない患者さんもたくさん診ています。
その治療には、
多くのお金がかかります。
コメントでもありましたが、
健康保険の範囲でも、
その負担は辛く、
治療を止めたいと考える患者さんもおられます。
しかし、日本では、
ほとんどの患者さんが、
最低限度の治療は、
何とか受けることは可能です。
場合によっては、
生活保護を受ければ、
ほぼ無料で治療を受けるとこが可能になります。
誰が悪いわけではない、
生まれた国の差だけにより、
人間にとって絶対に保障されるべき医療にも
大きな差が生まれている現実を、
いまさらながら再認識されると同時に、
私が診ている(診てきた)患者さんの治療にも、
厳然たる経済格差が、
存在していることに、
何とも言えない虚しさを感じました。ガン治療において、
経済力と予後は確実に比例します。がんセンターなどでは、
最低限度の治療が、
すべての患者さんに均等に与えられますから、
そこには貧富の差は、
まったく発生しません。しかし、健康保険の枠を外すことまで考えれば、
経済力は、
ガン治療の大きな武器になり、
予後を大幅に変えてくれます。資本主義社会にあっては、
当たり前のこととは思ってもいても、
いつも、
矛盾と虚しさ、
世の無常を感じます。一昨日の
生涯、歩くことが叶わない、
しかし、地面を這いつくばってでも、
生きるために懸命に働かなければならないという
世界の現実のインパクトある映像を見せられて、
現在の日本のガン治療の、
厳しい現実も再認識させられました・・・・
以上 文責 梅澤 充
すでに削除しましたが、
迷惑なコメントがありました。
ご自身の仮説に則り、
治療をされているらしいクリニックからの書き込みでした。
誰でもご自身の仮説を主張することは、
まったく自由であり、
明らかにおかしな説であろうと、
「その主張を行なう自由」を否定するつもりは毛頭ありません。
しかし、間違った説の内容に対して、
否定する自由も、
誰でも持っていると思います。
ここで書き込まれたクリニックの主張に反論する気はまったくありません。
私の意見は
「アアそうですか」
だけです。
しかし、ご自身の仮説の布教のために、
他人のブログを使うことは、
少々、ずずしくはないでしょうか。今後、同様の内容での一切の書き込みをご遠慮願います。クリニックを開設されているかたのようですが、
人のブログをその宣伝媒体にするという、
卑しい行為を見られてしまうと、それだけで、
賢明な患者さんは敬遠すると思います。ご自身の仮説は、
ご自身で開設したホームページだけで披露してください。
このブログも、
私の勝手な意見を毎日書いているだけです。すべて正しいなどは、
まったく考えていません。
このブログは、
迷えるガン患者さんに対して、
一筋の明かりになることを祈って書いているだけです。
明かりは、他にもたくさん見えると思います。
それぞれの患者さんが、
ご自身に一番ふさわしい明かりを、
ご自身で決めて、
あるいは、
幾つもの明かりを癒合させて、
最善のガン治療への道を探して、
歩んでください。
同じ医者として、他人のブログを使って、
ご自身の私的な意見を広め、
ご自身のクリニックの宣伝をするという、
あまりにも卑しい行為を見て、
腹が立ちました。すでに、書き込みをご覧になられたかたでは、
あのような卑劣なことをするクリニックには、
近づかないほうが無難だと思います。本日は終わりにします。
以上 文責 梅澤 充
ハーセプチンは、
乳ガンの治療薬として、
アメリカで認可されて11年、
日本でもまもなく8周年を迎えます。
ハーセプチンは、
ハーツー遺伝子という
特殊な遺伝子を持つガン細胞に対して有効な分子標的薬です。その遺伝子をターゲットに作られた分子標的薬ですから、
当然ながらその遺伝子の存在だけは、
ハーセプチンが開発される何年も前から確認されていました。
一緒に働いていた先輩と、
平成元年頃その遺伝子の存在を調べたことがあります。
手術を行なった患者さんのガン細胞を調べました。
その当時は、
ErB2遺伝子とよばれていましたが、
20%程度の乳ガンにその遺伝子が確認されました。
当時、その遺伝子を持つ乳ガンは、
極めて予後が不良であることが知られていました。
再発確率は高く、
しかも再発すると
当時はまだ日本にはタキソールも無く、
患者さんは、
あっという間に旅立たれてしまいました。
その後2001年に日本でも
ハーツー遺伝子を持つ乳ガンに対して、
ハーセプチンが認可されました。
ハーツー蛋白陽性、
すなわちハーツー遺伝子を持つ、
クスリの効かない乳ガンに対する唯一の武器が手に入りましたが、
予後の悪いガンに対する唯一の武器、
という認識で、
しかも、タキソールとの併用で、
効いていてくれる時間は、
概ね7ヶ月という、
あまり芳しくないデータしかありませんでした。
したがって、
予後最悪の乳ガンに対しての、
僅かな光明、
程度に見られることも少なくありませんでした。手術後の検査で、
その遺伝子の存在が確認されると、
「予後が悪い」
ということばかりがアタマに浮かび、
あまり歓迎はされませんでした。
「私にはハーセプチンは効かないのですね」と、ガッカリする患者さんに、
「そんなも効かないようがいいですよ」
「あれが効くタイプは、とても暴れん坊の乳ガンです」などと言って患者さんを慰めていましたが、
それは、ある部分本心でもありました。
ところが、ハーセプチンが広く普及し、
使い方も慣れてくると、
ハーツー蛋白陽性は、
けっして扱い難い乳ガンではないことが分かってきました。
むしろ、現在では
ホルモン剤が効き難いタイプの乳ガンなどでは、
ハーツー蛋白陽性のほうが、
扱い易いと捕らえられています。
現在、ハーセプチンを使っている患者さんは、
たくさん診ていますが、けっして予後が悪いという感覚はありません。先ず、単独で使い、
その後、様々な抗癌剤と併用していくと、
患者さんは、
大きな副作用を伴うことなく長生きすることができます。
3年以上使い続けている患者さんも少なくありません。
5年を超える患者さんもいます。
長く治療が続けられるということは、
それだけ患者さんが元気でいてくれる、
ということです。
また、日本でも遅まきながら、
ハーセプチンは
術後の再発予防にも、
健康保険で使うことが昨年認可されました。再発予防に使うことで
予後は大きく変わることはずいぶんと前から知られていましたが、
日本ではやっと昨年、
その使用が承認されました。
ハーツー蛋白陽性の乳ガン患者さんは、是非、ハーセプチンを使った、
再発予防治療を受けるべきだと考えます。術前にハーツー蛋白陽性が、
確認された乳ガンでは、術前にハーセプチンを使うことは、
極めて有効であることが分かっていますが、日本では、まだ、
その使い方は健康保険では、
認められてはいません。私はずいぶん前から
手術前にハーセプチンは使っていますが、
顕微鏡上でも、
ガン細胞が消失するという、
病理学的完全寛解という状態も得られています。
一日も早く、
最善の使い方が認められることを祈るばかりです。
さらに、今までは、
ハーセプチンが効かなくなると、
次のクスリはありませんでしたが、
ポストハーセプチンともいうべき、
タイカーブが6月からは、
健康保険で使えるようになりそうです。ハーセプチン一つとっても、
ガン治療は日進月歩進化しています。
長く治療を続けていれば、
ドンドンと新しい治療法が出現してきます。
頑張って治療を続けください。
ハーセプチンは、
乳ガンだけではなく、
間もなく胃ガンにも認可される見込みです。
現在、私は乳ガン以外では、
胃ガン、膵ガン、卵巣ガン、子宮ガン、大腸ガンなどにも使っていますが、
ハーセプチンについては、
まだまだ書きたいことがたくさんあります。
本日は時間が無いので、
後日書きます。
以上 文責 梅澤 充
総理の発言も猫の目のように変わり、
紆余曲折、一大騒動となった、
定額給付金とやらが、
やっと国会で可決されたようですね。
一定限度以上の収入がある人間がそれを受け取るの行為は、
卑しいとか・・・・
小沢さんの秘書の逮捕の影に隠れて、
マスコミの扱いは、
かなり小さくなってしまいましたが、
国民の評価は高くはなさそうです。
自民党のお偉いさん達も、
件の建設会社からお金をもらっていたそうで、
そちらはお咎め無し、
というのは、
どうも片手落ちであるような気がします。
ところで、
「給付」というと、
お国からいただく、
とても有り難いお金のように感じてしまいますが、
我々からすでに徴収した税金のごく一部を、
国民に均等に返還するだけの話なのですね。
それだけ余計に税金を徴収していたということでもあり、
冷静にみれば、
有り難くもナンともないと思います。
「余計に税金を取るな」
と言いたくなります。
ところで、
人間の身体でも同じようなことが起こっていることを、
しばしば見受けます。
それは免疫です。
60兆個(給付金は2兆円)の細胞から構成されているという
人間の身体の中では、突然変異の確率を考えると、
毎日数十とも数百ともいわれるガン細胞が、
すべての人間に発生していると考えられています。しかし、発生してきたガン細胞は、正常な免疫力により、
瞬時に殺されてしまうため、
発症してこないと考えられています。しかし、免疫機構が破綻していたり、
または、ガン細胞がとてもズル賢かったりすると、
発生してきたガン細胞が、
殺されることなく、
ドンドン増殖をしていき、
ガンの誕生・発症になります。
しかし不思議なことに、免疫機構の破綻によって発症したガンが、
正常に機能しなくなっているはずの免疫機構により、
縮小してくることがあります。ガン治療を長く続けている患者さんでは、
経過中にその免疫力を確認できることは少なくありません。まったく同じクスリを同じように使い、
ガンが大きくもならず、
小さくもならず、
恒常状態を維持しているとき、
突然、増悪方向に向かったり、
逆に、改善の方向に向かうことは、
しばしば観察されます。
ガンに対抗している武器である抗癌剤は、
まったく変えていないのですから、
抗癌剤以外、
別の力が働いていると考えなければなりません。
その原動力になっているのは、
免疫力だと推測されます。
免疫力だけでは、
ガンが快方に向かうことはほとんど期待はできませんが、抗癌剤治療中に免疫力を向上させると、
ガンの縮小が見られることは珍しくありません。サプリメントなどを使うのではなく、
ただ、悩みが軽減して、
睡眠が十分に取れるようになった、
などというだけで、
ガンが良い方向に向くことはしばしば経験します。
免疫力の向上が原因だと思われます。
その逆も頻繁(ハンザツではありません)に起こります。
お子さんの不祥事で、
その親御さんのガンが悪化するなどなど・・・・
免疫力がガンを快方に向かわせてくれるとなれば、
免疫様様のようにも思えますが、
はじめに、免疫力がシッカリ、
ガンの発生を監視してくれていれば、
ガンという病に悩む必要はなかったわけですから、
働かないよりはマシですが、「お前がサボっていたから、
ガンになっちゃったのに、
今頃働いても遅いよ、ボケ!」と、言いたいくらいです。
冗談はさておき、
ガンに対する免疫力とは、
本当に摩訶不思議な存在であり、
分からないことばかりです。
それを、分かったようなことを言っている人もいますが、
ご自身の仮説を創っているだけで、実際のところは、
神様にしか分かりません。また、免疫治療について、
一生懸命に、
美味しそうな餅の絵を描き、
いかにも本物であるかのように宣伝している医者もいますが、その餅が本当に食べられるようになるのは、
まだまだ先のことだと思います。ただし、実際のガン治療では、
その摩訶不思議な免疫力を削いでしまうような治療では、
患者さんは長生きできないことは間違いないように感じます。定額給付金などは、
無くても困らない人のほうが多いように思いますが、
もともとはご自身のお金が戻って来るだけですから、
シッカリ受け取ったほうが賢明ですね。
2兆円とは、
8トントラック25台分の
1万円札の山です。
人間の身体の60兆個の細胞の凄さが分かりますが、
もう少し賢い使い方はないものでしょうか・・・・
以上 文責 梅澤 充
本日はお願いです。
毎日、ご質問、セカンドオピニオンの依頼など、
たくさんのメールをいただいております。
すべて返信を出すように努力はしてるつもりですが、
無数に来る迷惑メールの影に隠れ、
間違って削除してしまうメールもあるかも知れません。
また、同日にたくさんのメールが一度に来たときなど、
優先順位を勝手につけさせていただき、
返信しています。
そのときに、
後回しになったメールのうえに、
さらに次のメールが押しかけてくるような場合、
後回しになってしまったメールは、
そのまま埋もれてしまう場合も少なくありません。
数日待たれても、
返信が来ない場合には、
申し訳ありませんが、
再送お願いいたします。
こちらから返信メールを出しても、
届いていないという現象もしばしば経験します。
返信が無い場合には、
しつこく再送お願いします。
また、私のメールに返信していただくときには、
必ず、受け取ったメールの文面も付けて、
返信のかたちでお送りください。いきなり「○○市の××ですが・・・・」
と書かれても、
何処の××さんなのか、
逐一覚えているほど、
優秀なアタマは持ち合わせていません。
以前にやり取りした文面が付いていれば、
何方のメールだったかすぐに分かりますので、
よろしくお願いいたします。
また、いただいたメールに返信を出しても、
戻ってきてしまうメールも少なくありません。少ない時間を割いて、
無い知恵振り絞って書いたメールが
戻ってきたときの、
虚しさは表現のしようがありません。
本日は3通のメールが戻ってきました。
1通は、何回も同じ内容のメールをいただき、
それに対して、
何回返信を出しても戻ってきました。
また以前から何回も書いているのですが、
顔の見えないメールを
匿名で送ってこられるかたが、
後を絶ちません。
匿名のメールには一切返信しておりません。
実名を名乗っている人間に対して、
ご自身の姓名を明かすのは最低限度の礼儀だと考えています。また、病気を考える上で年齢は極めて重要な要素です。必ず、氏名と同時に年齢もお書きください。また、セカンドオピニオンのお申し込みの際には、
お住まいの地域もご提示ください。
場所により、
多少は、時間の配慮も可能かと思います。また、メールを受け取る人間としては、
送信者についての正確な情報はまったく知ることはできません。
もしかすると、
私に敵意を持っている医者は少なくないでしょうから、
その医者が患者さんを装って、
揚げ足を取ろうと考えていることもありえます。
あるいは、
サプリメントの業者だってありえます。
顔のまったく見えないメールでは、
お答えできる範囲はおのずと限られてしまいます。
また、時間の余裕もそれほどありません。
以上お願いでした。
よろしくお願いいたします。
以上 文責 梅澤 充
セカンドオピニオンに来られる患者さんで、
現状では、
間違いなく餓死してしまうというかたが少なくありません。最近、特に多いように感じます。
消化器に異常があり、
食事が思うように取れない患者さん、
抗癌剤の副作用、
あるいは、痛みなどの強い自覚症状のために
十分な食事が摂取できない患者さん、
などなど理由は様々ですが、
ともかく生命を支えていくだけのカロリーの補給ができなければ、
その患者さんは、
間違いなく、非常に近い将来、
亡くなられます。直接の死因は、
ガン死ではなく、
餓死です。人間は、寝たきりであっても、
生きているだけで、
心臓を動かし、呼吸をして、体温を維持するだけで、
1日1200カロリーのエネルギーを消費してしまいます。
したがって、最低1200カロリーのエネルギーが、
補給されなければ、
そのときには、
ご自身の身体を燃焼させてエネルギーに変えていくことになります。そうなると、
チョットでも身体を動かせば、
その分のエネルギーを消費してしまうことになり、
自分の身体をその分だけ燃やすのですから、すさまじい疲労感、倦怠感が出てきます。したがって、
患者さんは身体を動かすことができなくなり、
完全に寝たきり状態に陥ってしまいます。患者さん、ご家族としては、
ガンが進行して、
全身状態の悪化に伴い、
身体を動かすことができなくなってしまった。と考えてしまいますが、
そうではありません。
ガンを宿していない人間でも、
モノを食べることができなくなれば、
身体を動かすことはできなくなり、
生きてはいくことはできません。
現在では飽食の国、日本でも、
先の戦中・戦後には、
餓死者がたくさん出ています。
以前にも何回か書いたことがありますが、
口から食事が摂取できなければ、
高カロリーの点滴や、
胃に穴を開けて、
そこから直接、
経腸栄養剤といわれる、
高カロリーの液体を入れることで、
摂取カロリーを確保することができます。現在では、
厚労省は、
経費のかかる入院治療を減らす目的で、
在宅医療に力をいれ、
在宅高カロリー点滴が、
手軽に健康保険でできるようになっています。
残念ながら、
「栄養を入れても、ガンに栄養を与えるだけだから無駄」と、馬鹿なことを言う医者もいるようです。
確かに、
まったく栄養補給ができない患者さんでは、
強制的に栄養を供給することで、
ガン細胞にも多少は、
その栄養がいくことになり、
それがガン細胞の増殖を促す可能性は否定はできません。
しかし、それを恐れて、
栄養を与えなければ、その患者さんは餓死するのです。確かに、患者さんが餓死すれば、
ガンの成長は完全に止まりますが、
何の目的で治療を行なっているのでしょうか。
餓死を目の前にした患者さんに、
ガン治療を行なうことは意味の無いことです。ガンが快方に向かっても、
餓死するのであれば、
治療の意味はありません。
先ず、十分な栄養補給を行い、
生命を維持できる状態に戻して、
それからガン治療を考えれば良いことです。
まったく食事ができない状態で、
在宅高カロリー点滴を併用しながら、
ガン治療を半年以上続けた患者さんは少なくありません。
1年を超える患者さんもいます。
「高カロリー点滴はガンに栄養を与える」などと馬鹿げたことを言っていたら、
1月も持たずに、
亡くなられています。
まったく当たり前のことですが、
ガン治療を続けるには、
患者さんが、
ガン以外の要因では、
死ぬことが無い状態であることが必要です。
標準治療だけしか行なわない病院では、
標準治療ができなくなった患者さんでは、「あとは死を待つだけだから、
高カロリー点滴で寿命を延ばしても意味は無い」というのが本音であるような気がします。
以上 文責 梅澤 充
毎日のように、
総理大臣の話題がテレビ、新聞を賑わしています。
あれだけ国民の支持率が低く、
支持できないと考える国民が、
指示する人間の何倍もいる状況で、
こころある政治家(選挙のためだけ?)は、
彼を総理の座から引き摺り下ろそうと躍起になっています。
選挙目的にせよ何にせよ、
当然の動きだと思いますが、
かの総理大臣はずいぶんと頑張りますね。
必死になって総理の椅子にしがみついています。
さぞお疲れのことと思います。
あれだけ激しく批判されたら、
前任のお二人と同様に
アッサリと、
「ボクちゃん辞~めた!」
と言いそうなものですが、
まったくその気配はなさそうです。
他人事ながら、
よく恥ずかしくなく生きておられるな、
総理の椅子というのはそんなに座り心地がよいものなのかな、
などと考えてしまいますが、
私も含めてほとんどの国民は期待していませんが、
彼にしかできない、
国民のためになる政治が実現できるとお考えなのでしょうか。
政治屋さんのお考えは理解できません。
政治のうえでは国民に多大な迷惑をかけますので、
ご遠慮願いたいのですが、
あの呆れるほどの粘り腰は、
ガン患者さんとしては見習うべきところは多々あります。
「家内はあなたのように医者に文句(?)を言うようなタイプではなく
“すべてお任せします”と言って何も言いませんでした」
脳にも肺にも転移していて効いていないのに薬も変えず?
「はい医者がそれでいいと言いましたので」
信じられない言葉でした。
というコメントをいただきましたが、
このように、
主治医という他人の言うことを
極めて忠実に聞き入れてしまう患者さんも
少なくないように思います。
かの総理の爪の垢でも飲んだほうよいくらいです。
「治療方法はありません」
という宣告に対して、「分かりました」では、
その瞬間にすべての戦いは終了します。あとは、座して死を待つだけになります。残念ながら、
治ることが叶わないガンであれば、
そして、そのガンに対して多大な苦痛を伴う治療であれば、
無治療でQOLの高い時間を過ごす、
というのも一つの選択肢です。というより、
僅かな延命のために、
楽しく過ごすことができる時間を失うのであれば、
そんな治療は受けないほうが無難だとも思います。しかし、ガン治療は、
標準治療だけではありません。何が「標準」なのか分かりませんが、
ほとんどの場合、
「標準」以外であれば、
幾らでも治療の方法は残されています。
しかも標準的に辛い副作用に悩まされることはありません。主治医という他人の勧めに、
黙って従って、
無治療を選択することは、
思い留まったほうが無難です。まだ、人生を楽しみたいと考えるのであれば、
治療への執着、
すなわち命へしがみつくことは絶対に必要です。どこかの総理大臣のように、
他人から何と言われようが、
なりふり構わず、
自分の思いにしがみついていかなければ、
生き続けることは叶いません。
治療方法が無いといわれた患者さんを診ているのは、
私だけではありません。
何回も書いているとおり、
その治療での責任の所在をハッキリさせ、
ご自身の、ご家族の気持ちをストレートにぶつければ、
無いはずの治療をしてくれる医者は少なくないはずです。身内の患者にはそのような治療をするのですから。たった一人の他人の言うことを鵜呑みにしないで、
ご自身の希望にしがみついてください。幸か不幸か、その良い見本が、
毎日テレビに出ています。
手本にしてください。
勿論、私自信も、
この状態では、何もできない。
何んらかのガン治療を行なうことは、
かえって患者さんの寿命を縮めてしまう可能性が高い、
と考えられ、
稀ですけれども
「現状で治療を行なうことは不可能です」
と治療をお断りすることもあります。
しかし、それは私の考えであり、
他の医者にセカンドオピニオンを求めれば、
治療を継続してくれるところも見つかるかも知れません。
是非、何処かでセカンドオピニオンを受けてください。
総理大臣の
あの驚異的なまでの執着心は、
ガン患者さんは是非見習うべきです。
引用させていただいたコメントには、
又コメントを書かれた看護師さん事実でしょうが
患者としては聞きたくないですね。
患者のためのチーム医療という名ばかり一人歩きしているように思います。
との一文もありましたが、
このブログでは、
医療現場の実態を書いています。
実際の看護師さんのコメントの内容程度で、
「聞きたくない」のであれば、
このブログはご覧にならないほうが無難です。
私の患者さんでは、
現在のガン治療の実態を知っている医者、医療従事者、
そのご家族のかたがたくさんいます。
それが、現在のガン治療の実情を如実に表していると思います。実際の医療現場には、
私自信知っていても、
とても書けないような実態も存在しています。私が書くことができる範囲で、
患者さんとして、
少しでも知っていたほうが良いと思う内容を書いています。以上 文責 梅澤 充
昨日の「早春の力に」に対して、
現在の抗癌剤治療に対する疑問について、
抗癌剤治療の現場で働く看護師さんから
コメントをいただきました。
現場で実際に患者さんを見ている人間であれば、現在の標準的抗癌剤治療が、
正しい治療、
自分やご家族が受けたい治療だとは、
誰も思わないはずです。何故、そんな治療を、
「標準」として、
そればかりを、
日本全国に普及させようとしているのか、
まったく理解できません。確かに、
標準治療をまったく知らない医者が、
いきなり非標準治療を行なうことが、
正しいことだとは思いませんし、
標準治療を経験してみてはじめて、
その治療の存在意義について疑問を持つようになると思います。
そもそも「標準」とはナンでしょうか。
広辞苑によると、
1)判断のよりどころ。比較の基準。めあて。めじるし。
2)あるべきかたち。手本。規格。「-に合わない」
3)いちばん普通のありかた、「-的は家庭」「-型」
と解説されています。
この解説からすると、
標準治療の、「標準」とは、
1)の、めあて、めじるし。
ということになるのでしょうか。
標準治療では、
使われるクスリの種類、量が、
患者さんの身長と体重、
ただそれだけで、
他のすべての因子は除外され、
決定されます。その決定の「めじるし」
になるのがエビデンスであり、
その「めじるし」がすべてを決定し
そのとおりに行なわれる治療だから、
標準治療といわれるのでしょうか。標準治療の「標準」とは何かを
考えて一日が終わってしまいました・・・・
世界に一つしかない花、
という歌詞の歌をフト思い出しました。
今闘病されている患者さんは、
世界中にタダ一人しかいないことをお忘れなく。
本日も疲れました。
終わりにします。
以上 文責 梅澤 充