「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」のめざすところ(2)
2013/01/07 Mon. 06:18
昨日に引き続き、NPO法人「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」の設立記念集会「核時代を生きる 今こそヒバクシャの声を世界に・未来に」の「わたしたちのめざすもの」(代表理事・岩佐幹三氏)の報告をご紹介させていただきます。(サイト管理者)
そのために私たちは、何をなすべきでしょうか。大きく言って 3 つの推進課題があげられると思います。
1 つは、原爆被害の全体像や被爆者の体験、とりわけ世界にたった一つの被爆者運動を未来に伝
える記録や資料・情報を収集、整理し、その活用・普及をはかることです。
日本被団協は、原爆被害の全体像解明や実相普及を基本に据えて運動を進めてきました。また、これまで多くの被爆者が自らの被爆体験について証言し、手記や体験記、自分史などを書き残してきました。それらの書籍・文献、絵画、証言や映像記録など膨大な資料が、広島・長崎の原爆資料館や追悼祈念館をはじめ、全国の図書館、研究施設、報道機関などで保存されています。しかしそれら核時代の脅威を告発する貴重な人類の宝物が、被爆地以外の一般の人々にとって、また世界の人々にとって、利用しやすい状態にあるかと言えば、残念ながらそうは言えません。
そうした貴重な資料を活用するために必要なことは、まず、(1)どこにどんな資料があるのか、その所在と利用方法についての情報をつかんで、国の内外に広く伝える情報収集・発信の仕事があげられます。
また、(2)これまで各分野で収集・保存してこられた実績をお互いに共有化するネットワークづくりの仕事があります。これは、原爆資料に関する組織、機関の全国的な連絡・連携のネットワークづくり、既存施設の充実にも通じる課題です。
(3)とりわけ、被爆者たちのたたかい(運動)の記録・資料の収集、整理、保存が急がれねばなりません。日本被団協をはじめ各都道府県、地域の被爆者団体の活動・調査の記録や会員被爆者の証言記録、メモなどが、その死とともに捨てられて散逸する状況を食い止め、永久に保存し活用できるようにしていくことは、この会が独自にとりくむべき課題の大きな柱です。
(4)また、既存の資料の収集だけでなく、今なお原爆被害とたたかい続けている被爆者が、語れないまま残していること、さらに訴えたいと思っていることなどを汲みとり、資料化することも大切です。たとえば、それを集約し、2015 年の NPT 再検討会議に「被爆者が今願っている声」として提起する活動など、皆んなで考えればいろいろ良い発想は浮かんでくると思います。
2 つ目の課題は、原爆体験と被爆者の願いを継承していくことです。これこそがこの会のもっとも大切な役目と言えるでしょう。なぜなら、第 1 の課題は被爆者だけでなく、多くの人々の協働によってはじめて実現できる、というだけでなく、どんなに貴重な資料を集めたとしても、「ノーモア・ヒバクシャ」を自らの課題とし、それらの資料を生かしていこうとする担い手が広がり、育っていかなければ、ただの宝の持ち腐れになってしまうからです。
継承の課題で考えてほしいことは、いろいろな被爆体験を聞いたり、文献などを読んだりされても、それを自分と離れた過去の事、他人事と考えたら、継承とはかけ離れてしまう、ということです。長野県原爆被害者の会の故・前座良明前会長は、「人と人とのつながり」を何よりも大切にし、被爆証言をされる度に「今日の聞き手は、明日の語り手」と訴えてこられました。聞き取ったことを自分なりに受け止めて、自分の問題として語ること、これは実際体験をしていない人にとっては大変難しいことです。しかし人間には「想像力」「共感力」という素晴らしい能力が備わっています。
会では、原爆資料や被爆者運動に関する研究会や被爆者と語り合う場もつくっていきます。みなさんが被爆者とともに活動に参加しながら、こうした力を育て合い、その願いを継承する主人公として力をつくしてくださることを願っています。
3.この会は、1 の課題を 2 のように実際に受け継ぎ、広めていくキー・ステ-ションの役割を果たしていきたいと思っています。
そのためには情報を収集・発信する設備や、継承する人々がつどって切磋琢磨する場などが必要であることは言うまでもありません。しかし、この会が「平和資料センター」構想として打ち上げているのは、単にどこかに施設を設置することを目指しているのではなく、以上のような課題を果たしていくキー・ステーションとしての役割とその活動の全体を推進する「センター」としていく、という意味を込めているためです。
4.最後に、以上の課題は、本来なら、被爆国である日本の政府が率先して果たすべきものです。しかし、わが国はこれまで、本格的な原爆被害調査も行わず、「原爆被害白書」をつくろうともしてきませんでした。私たちの会は、以上の課題を推進しながら、国に対して、被爆国としての原爆被害の究明と普及の責任を果たすよう、求めていきます。
以上、この会のめざすところがお分かりいただけたでしょうか。会の活動の担い手として、多くのみなさんが参加くだされば幸いです。会の目指すところを実現していくには、多くの人と資金が必要です。
賛同くださる皆さん方の物心両面にわたるご協力を切に願っています。
【出典】NPO法人「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」設立記念集会報告集
http://www.kiokuisan.jp/
■「原発を考える戸田市民の会」公式ホームページ
http://genpatsutoda.web.fc2.com/
■「原発を考える戸田市民の会」併設ブログ
http://genpatsutoda.blog.fc2.com/
■「原発を考える戸田市民の会」ツイッター
http://twitter.com/genpatsutoda
■「原発を考える戸田市民の会」ツイログ
http://twilog.org/genpatsutoda
そのために私たちは、何をなすべきでしょうか。大きく言って 3 つの推進課題があげられると思います。
1 つは、原爆被害の全体像や被爆者の体験、とりわけ世界にたった一つの被爆者運動を未来に伝
える記録や資料・情報を収集、整理し、その活用・普及をはかることです。
日本被団協は、原爆被害の全体像解明や実相普及を基本に据えて運動を進めてきました。また、これまで多くの被爆者が自らの被爆体験について証言し、手記や体験記、自分史などを書き残してきました。それらの書籍・文献、絵画、証言や映像記録など膨大な資料が、広島・長崎の原爆資料館や追悼祈念館をはじめ、全国の図書館、研究施設、報道機関などで保存されています。しかしそれら核時代の脅威を告発する貴重な人類の宝物が、被爆地以外の一般の人々にとって、また世界の人々にとって、利用しやすい状態にあるかと言えば、残念ながらそうは言えません。
そうした貴重な資料を活用するために必要なことは、まず、(1)どこにどんな資料があるのか、その所在と利用方法についての情報をつかんで、国の内外に広く伝える情報収集・発信の仕事があげられます。
また、(2)これまで各分野で収集・保存してこられた実績をお互いに共有化するネットワークづくりの仕事があります。これは、原爆資料に関する組織、機関の全国的な連絡・連携のネットワークづくり、既存施設の充実にも通じる課題です。
(3)とりわけ、被爆者たちのたたかい(運動)の記録・資料の収集、整理、保存が急がれねばなりません。日本被団協をはじめ各都道府県、地域の被爆者団体の活動・調査の記録や会員被爆者の証言記録、メモなどが、その死とともに捨てられて散逸する状況を食い止め、永久に保存し活用できるようにしていくことは、この会が独自にとりくむべき課題の大きな柱です。
(4)また、既存の資料の収集だけでなく、今なお原爆被害とたたかい続けている被爆者が、語れないまま残していること、さらに訴えたいと思っていることなどを汲みとり、資料化することも大切です。たとえば、それを集約し、2015 年の NPT 再検討会議に「被爆者が今願っている声」として提起する活動など、皆んなで考えればいろいろ良い発想は浮かんでくると思います。
2 つ目の課題は、原爆体験と被爆者の願いを継承していくことです。これこそがこの会のもっとも大切な役目と言えるでしょう。なぜなら、第 1 の課題は被爆者だけでなく、多くの人々の協働によってはじめて実現できる、というだけでなく、どんなに貴重な資料を集めたとしても、「ノーモア・ヒバクシャ」を自らの課題とし、それらの資料を生かしていこうとする担い手が広がり、育っていかなければ、ただの宝の持ち腐れになってしまうからです。
継承の課題で考えてほしいことは、いろいろな被爆体験を聞いたり、文献などを読んだりされても、それを自分と離れた過去の事、他人事と考えたら、継承とはかけ離れてしまう、ということです。長野県原爆被害者の会の故・前座良明前会長は、「人と人とのつながり」を何よりも大切にし、被爆証言をされる度に「今日の聞き手は、明日の語り手」と訴えてこられました。聞き取ったことを自分なりに受け止めて、自分の問題として語ること、これは実際体験をしていない人にとっては大変難しいことです。しかし人間には「想像力」「共感力」という素晴らしい能力が備わっています。
会では、原爆資料や被爆者運動に関する研究会や被爆者と語り合う場もつくっていきます。みなさんが被爆者とともに活動に参加しながら、こうした力を育て合い、その願いを継承する主人公として力をつくしてくださることを願っています。
3.この会は、1 の課題を 2 のように実際に受け継ぎ、広めていくキー・ステ-ションの役割を果たしていきたいと思っています。
そのためには情報を収集・発信する設備や、継承する人々がつどって切磋琢磨する場などが必要であることは言うまでもありません。しかし、この会が「平和資料センター」構想として打ち上げているのは、単にどこかに施設を設置することを目指しているのではなく、以上のような課題を果たしていくキー・ステーションとしての役割とその活動の全体を推進する「センター」としていく、という意味を込めているためです。
4.最後に、以上の課題は、本来なら、被爆国である日本の政府が率先して果たすべきものです。しかし、わが国はこれまで、本格的な原爆被害調査も行わず、「原爆被害白書」をつくろうともしてきませんでした。私たちの会は、以上の課題を推進しながら、国に対して、被爆国としての原爆被害の究明と普及の責任を果たすよう、求めていきます。
以上、この会のめざすところがお分かりいただけたでしょうか。会の活動の担い手として、多くのみなさんが参加くだされば幸いです。会の目指すところを実現していくには、多くの人と資金が必要です。
賛同くださる皆さん方の物心両面にわたるご協力を切に願っています。
【出典】NPO法人「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」設立記念集会報告集
http://www.kiokuisan.jp/
■「原発を考える戸田市民の会」公式ホームページ
http://genpatsutoda.web.fc2.com/
■「原発を考える戸田市民の会」併設ブログ
http://genpatsutoda.blog.fc2.com/
■「原発を考える戸田市民の会」ツイッター
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