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春野の夕べ

21日土曜日16時ごろ停電がありました。

朝から雨で、台風の来る前に雨樋を直す準備をしてたのに、
時折小降りになっても体が言うことを聞きません。
そのまま家でぐだぐだしていました。
(夜になったら何か室内のことをやろう・・・)と
だらだらと過ごしておりましたら、プツつ、と電気が止まりました。
(はっ、停電の準備をしなくては)
外はまだ明るい。
薪のストックがない。
なんだか急にお腹が空いてきた。
ちょっと暖を取るための温かい紅茶も飲めない・・・
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雨合羽はどれも沁みてくるのしかない。
まず、つなぎの合羽を着て、その上に穴を開けたゴミ袋を
弥生人のようにかぶり、その上に別の合羽の上着を着て
今夜と来週分の薪を取りに行きました。
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朽木の薪はすぐドボドボになるので
助手席に載せて2往復。
すでにバスケット1杯の薪でお湯が2日持つ時期はおわり、
来週末の天気を願うばかりです。
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車から手回しのランタンを持ってきてその明かりで
灯油ランプに火を入れて
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ストーブの火も起こしました。
部屋が暖かくなると少し落ち着きました。

こんな山奥まで電線が木のそばを通って届くのだから、
長雨で倒木の1本もあればたちまち停電です。
以前4日も回復しなかったこともあり
冷蔵庫も暖房も電話もPCも頼りきってはいけないのです。

震災直後に冗談半分で「電気帝国」とブログに書いたところ
どなたかの逆鱗に触れたのか、すべてのブログ記事を文字化けに
されてしまい、それ以降電気帝国の存在を意識せずにいられない。
(今日は選挙だったな・・・)
いまの官房長官もそうだけど、
あの時の官房長官も不誠実なコメントばかりしていた・・・

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テント泊をするときは真っ暗になればさっさと寝てしまうのですが、
この灯油ランプも大して部屋を明るくしてくれません。

新見南吉の童話「おじいさんとランプ」のことを考えていました。
電気が来て、ランプが売れなくなったおじいさんが
夜の池のほとりでランプすべてに火を灯し、最後は全部割ったんだったっけ?
もったいないはなしです。
小学生の時は同情じたのですが、(そんなことってあるだろうか?)
おじいさん、もっとしたたかに生きなきゃダメじゃないか・・・

闇鍋のように暗いストーブの上で細切れ肉の焼き肉をして、
炊飯器に半合残ったご飯も食べて肉が余って、
他にすることもないので、もう3年目になるか朴の木の花を漬けた
ブランデーを少し湯のみに注いで「春野の夕べ」を独りで開催。
度数が高く、香りも強すぎる朴の花酒も停電の夜には妙に馴染み、
ここでの暮らしが日常でなかった頃のここに戻ってきました。
つらつらといろんなことを想いながらいると電気がついて

散らかった日常の我が家がぱっと現れ、
その時のなんと興ざめだったことか。
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