#1987
OLYMPUS PEN-FT+F.ZUIKO AUTO-S38mmF1.8 Kodak GA
京都・2014.2
ここ最近は暖かい日が続いていたのに、寒の戻りか、昨日から寒い寒い。
お腹が弱いから、すぐトイレに行きたくなっちゃって困ったものです。
僕の上司に口数の少なくて、おっとりとした人がいる。
その上司は、4月を待たずして、札幌へ転勤することになった。
転勤の理由はいわゆる「大人の事情」ってやつで、本人にしては不本意であったのだと思う。
以前、その上司が僕の職場に配属された時、口数の少ない上司に、僕は何を話していいのかわからず、この周辺の観光スポットなんかを紹介したことを覚えている。
消灯時間を過ぎて薄暗い職場で、相変わらず終わらない仕事をかたずけていた僕と、ディスクを並べて座っていた上司は、同僚が次々帰っていく中、二人になるのを見計らって仕事の合間に次の配属先の話をした。
とは言っても転勤の事情を知っている僕は、やはり以前と同じように何を話していいのかわからず、過去のツーリング経験から札幌の、北海道の観光スポットを紹介した。
ひとしきり会話が終わるとその上司は「以前、君に教えてもらったところはホントよかったし、札幌に行って、落ち着いたらそこにも行ってみるよ。」と笑った。
それ以上の会話には発展しなかったし、お互いさせようともしなかった。
上司も僕も世間でいう大人だから、必要以上に感情を出すことは禁物だ。他人行儀は守らなければならない。
だから、今までの感謝と気持ちを込めて、それを悟られないように淡々と言わなければならない。
「Fさん、今まで本当にありがとうございました。」
ふらり、本島(2)
瀬戸内海に浮かぶ大小28の島々からなる塩飽(しわく)諸島。
激しい潮流が湧くところからその名前の由来だそうです。
今回、そのひとつ、本島へと向かいました。
本島へのアクセスは、香川県の丸亀港から、もしくは岡山県の児島観光港から。
どちらも所要時間は30分ほどです。
僕は車で児島へ向かい、そこから乗船しましたが、港には駐車場もありました。
島へ渡ると、自転車をレンタルすることができます。
一日500円、電動自転車は少し高めの1500円。チャイルドシート付の自転車もありましたよ。
島をぐるりと一周しても約12km。
ゆっくり観光しながら周っても半日ほどの行程でした。
東回りで本島一周サイクリング開始。
海岸沿いに、瀬戸大橋を見ながら走ります。
交通量はほとんどなく、ゆ~っくりとペダルを漕ぎます。
ポカポカ陽気に、一足早い春の訪れを感じました。
新在家海岸で、置いてあるのか、捨ててあるのか、椅子を発見。
瀬戸大橋を見るには特等席だなぁと思ってみたり。
笠島集落へと向かう途中にあった磨崖仏。
最近の僕のマイブームです。いろんな表情があって、見てると楽しいんですよね。
ふらり、本島(3)
本島を自転車で周っていると時々目にするのが、手作り感あふれるカラフルな看板や案内板、ベンチ。
特にベンチは色々種類があって、それを見るだけで心が和んで面白かったです。
笠島地区に入って、見かけたのが小学生の群れ。皆必死になって走っていました。
マラソン大会かなぁと思いながら、横腹をおさえながら歩いている子に「何してるの?」と聞いてみました。
息を切らしながら真っ赤な顔をしたその子は、いきなり声をかけた僕にも臆する事無く、「うん!みんなで競争してるの!」と元気よく答えてくれました。
笠島地区にて。
古い街並みに丸いポストは定番の組み合わせですね。
この通りは「まっちょ通り」と言います。「町通り」がなまってそんな名前になったんだとか。
何枚か写真に撮りましたが、コマ被りを起こしておいて、まともなのがこれだけ・・・。あらら。
まっちょ通りから少し離れたところにあった尾上神社。
シンメトリーな構図にひかれて一枚。
ここの境内横から遠見山展望台に向かって階段を上がること10分。先ほどの小学生と同じように息を切らしながらひたすらに上ると、嫌気がさした頃に到着。
眼前には穏やかな瀬戸内海が広がっていて、それを見ていると少しずつ乱れた呼吸が整っていきます。
案内板には「笠島の街並みが一望」とか書かれていたけれど、背の高い木々が多い茂って、直下に見下ろすことはできませんでした。
展望台からまっちょ通りへ戻ります。
通りに人気はなく、畑で焚火をしているおばあちゃんに挨拶をします。
まっちょ通りには立派で大きな屋敷がところどころに見受けられ、「往時には栄えたんだろうなぁ。」いう印象を受けました。
ふらり、本島(4)
笠島地区で、と言うより本島全域でよく見かけたのが野良猫。
軒下で日向ぼっこしている猫や通りを自由に闊歩している猫。
皆自由でした。
足元を猫が行く幸せ。
笠島地区を後にして北へと自転車をさらに走らせます。
ここからアップダウンがきつくなってきました。
屋釜海水浴場にて休憩。シーズンオフの海水浴場には人気はなく。
「お腹すいたなぁ・・・。」
ハングアウトと言う言葉があるくらい、自転車はお腹がすきます。
食堂を探しながら海沿いに自転車を走らせますが、食堂、コンビニはもちろん、個人商店も見かけません。
後で知ったことですが、本島全体で個人商店は4つ。食事ができるところもそれくらい。
古民家を改装したcafeなんかもありますが休日のみの営業で、食事ができる場所は限られていますので注意が必要です。
空腹のまま、ひたすらペダルを漕ぎます。
ふらり、本島(5)
穏やかな瀬戸内海の景色を右に、自転車を漕ぎます。
また勾配のある坂道を超え下ったころには、空腹具合も頂点に。
フラフラ、自転車を漕ぎながらようやく見つけた集落。
細い路地は迷路のように走っていて、ちょっとした探検気分を味わえます。
福田港周辺にて。
路地の先にようやく個人商店らしきものを発見。とはいっても看板も何も掲げてはいないこの商店。
薄暗い店内を恐る恐る覗き込んでみると、日用品から食料品が乱雑に積まれていました。入り口には野良猫が群れを成しています。
「なんや?買い物か?」と中から太い声。
中から出てきたのは強面のおばちゃん。
僕が店に入ろうとすると、おばちゃんの足元をすり抜けて店の中に入っていく野良猫たち。
田中商店にて。(名前はあとで知りました。)
インスタントラーメンを買って、おばちゃんにお湯を注いでもらう。
どうせなら海辺で食べようと、自転車を置いてそのまま海辺までラーメンを持って歩く。
ここで防波堤に腰掛け、瀬戸内海を見ながらラーメンをいただきました。
ふふふ、いい感じでしょ?
ふらり、本島(6)
福田港より本島西部を南下。
途中、尻浜で古い家屋を発見。と思ったら、小学校でした。
名前は水見色小学校。
受付もなく、拝観料もいりません。
僕は見たことないのですが坂口憲二さん主演映画「機関車先生」のロケ地だったそうで、黒板には機関車先生から生徒に向けたメッセージが書き残されていました。
以前訪れた、小豆島の二十四の瞳映画村に似た感じで、昔にタイムスリップしたような感覚を味わえます。
今回の旅の相棒に選んだのは、PEN-FTとNikon F2。
PENはその名前の通り、ペンでちょっとしたメモ書きをするような気分で気軽にシャッターをきることができます。もちろんハーフカメラということもありますが、カメラを構えたときの感触がすごくいいので、使いたくなる、使って楽しい道具です。
枚数を気にしなくてもいいデジカメでも、こうはいかないと思います。
F2につけたのは35mmの1.4。
このレンズは解放時には光りが滲んで、やさしい感じの写真が撮れます。
また絞り込んでも固くなりすぎないのが良くて、瀬戸内海の穏やかに流れる時間を記録するにはうってつけでした。