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伊勢志摩をぶらっと走ってきました。その2

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 今年の冬は本当に寒かった。暖かくなるのを今か今かと待っていた。毎年冬の間もオートバイで走ってきたのだが、今年はなぜかな、オートバイから足が遠のいていたように思う。勿論40を超えたおっさんが休日の度にオートバイにかまけてばかりいることもできないけど、今年はよく雪が降ったとか、ガソリン価格の高騰だったりコロナ禍での外出規制だったりとか、色々理由はある。でもまぁ一番は、僕自身が寒さにかなりひよってたかな、と。(苦笑)

 前日の天気予報で、良く晴れて暖かくなることを確認した後に遠出することを決めた。久しぶりに血が騒いで夜はなかなか寝付けなかった。

 当日、寝不足のまま朝5時起床、6時出発。目指すは伊勢志摩。

 とにかく無性に海が見たかった。
 僕にはよくある事なんだけど、わかります?この気持ち。
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 ここのところは近所をぶらぶらさせていただけだったので、始動直後の相棒はややカブリ気味。それでも市街地を抜けて峠にはいる頃には、いい感じにふけ上がるようになっていた。
 今年は車検の年だなぁ、もう12年目かー、あとどれくらい走ってくれるんだろう。

 朝早く、まだ夜が明けきらぬ峠は寒かったけど、僕と同じように何人かのオートバイ乗りとすれ違った。
 みんな好きだねぇ。
#6062

 高速を使えば1時間半ほどでつくんだけど、それではつまらないので下道を走った。
 山間部はとにかく寒くてトイレが近い。何度かトイレ休憩をはさむ。それ以外は殆どオートバイを停めることなくひたすら走り続けた。
#6063

 山間部を抜ける頃には陽が高くなってぽかぽか陽気に。ヘルメットの下ではウハウハエビス顔。やっぱこうじゃなくっちゃね。

 南勢町にて、ついに太平洋とご対面。
 メーター読みでちょうど150kmだった。
 久しぶりの海は黄砂で少し濁って見えた。でも、ただ単純に遮るもののない水平線のその向こうに視線を向けると、日々の生活で感じている窮屈さとか圧迫感が和らいでいく気がする。

伊勢志摩をぶらっと走ってきました。その3

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 時刻はちょうど正午、この時期にしては気温が高く汗ばむ程。潮風に乗って冷ややかな風に身をさらす。ライダースのジッパーを下げて前立てを開ける、その中に新鮮な空気を取り込む。

 気持ちがいい。

 オートバイを志摩半島にある大王埼まで走らせる。

 地方の集落は大型店舗の進出で、画一的になった都市に比べるてとても見どころが多く刺激的だ。例えばこの大王町。志摩半島の大王埼の突端にある集落なのだが、集落全体が要塞のようなコンクリート造りの防波堤で覆われていて、その中には家屋がひしめき合うように立っている。そのどれもが長年、海風にさらされて風化が進んでいる。鉄骨部分は錆びて、とたんや外壁の塗装は色褪せ変色しているなど、どれも年季の入った建物ばかり。その家屋の隙間を縫うように石段や石畳が走っているさまは、迷路のようで面白い。有名どころで例えるなら尾道みたいな感じかな。

 そして高台からは他に遮るものがなく、太平洋はどこまでもまっすぐで、広い。

 僕は以前にも何度かこの大王埼を訪れているが、その時にはなかったカフェが出来ていた。そのカフェは港の入り口にあった2階建ての古い家屋をリノベーションしたもので、いい具合に枯れた家屋と今風の調度品のバランスが取れていて、いい雰囲気だった。また2階は海を眺めながら休憩できるようになっていて、沢山の観光客が入っていた。

 ここ近年、SNSの普及でこういった地方でもお客さんを呼べるようになってきている。また地方には都市にはない豊かな自然や風習など沢山の魅力が詰まっているし、それそのものが財産だと僕は思う。今まではそれを壊して大型店舗やマンションを立てたり巨大道路は走らせ、まるでどこかの国をまねたようなことばかりしてきたけれど、そんな消費する社会から、修復、再生し活用していく時代になってきている。まだ気づいていない輩には一刻も早く気付いてほしい。

伊勢志摩をぶらっと走ってきました。その4

#6073

 オートバイ乗りが伊勢志摩と言えば、志摩半島と鳥羽を結ぶパールロードではないだろうか。元有料道路だけあって、展望も路面状況も良く、シーサイドランを堪能できる気持ちの良いワィンディングロードだ。対向車線から数えきれないくらいのオートバイ乗りとすれ違う。きっとみんな、ヘルメットの下は僕と同じようにウハウハエビスガオだろう。

 何年かぶりに夫婦岩に立ち寄る。
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 あてにしていた食堂が閉まっていて、昼食を取り損ねて空腹のまま走り続けた。伊勢市内に向かう市道で風情ある建物を発見。思わずオートバイを脇に停車した。

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 二軒茶屋餅角屋本店、創業は1575年。店の中を見てみたくて、店内で生餅を注文。2つで160円なり。餅皮にきな粉をまぶしただけのよくあるお餅だけど、中のこし餡がいい塩梅の甘さで美味しかった。地元では有名なのだろう、僕の滞在中、お客さんが絶えることなくやってきては10個、20個と買い求めていた。僕も家族へのお土産に買おうかと思ったのだが、荷物を入れる場所がない事に気づく。なんでパニアケースを持ってこなかったのか、やらかしたなぁ・・・。
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 伊勢市内から河崎町。お目当ては「つたや」の伊勢うどん。ここは僕の「伊勢うどんはまずい。」という概念を完全に打ち崩したお店。濃厚な甘辛いだし汁と絶妙なふにゃふにゃ麺にやられて以来、僕はずっとここのファンで、伊勢に来ると必ず立ち寄るようにしている。
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 最後は同じく河崎町にある古本屋「ぽらん」さんを冷やかす。阿部公房の本がたくさんそろっていて本当に欲しかったのだが、やはりパニアケースを持ってこなかった為、持ち帰る事が出来ず。

 お土産を買って帰る事が出来なかったのは心残りだったけど、天気も良く暖かくて気分良く、海も見れたし、美味しいものも食べられたしで、久しぶりに満足したツーリングだった。

伊勢志摩をぶらっと走ってきました。(了)