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家族でしまなみ海道をサイクリングしてきました。その1

#5254
向島

 子供たちが夏休みに入ると、「どこかに連れて行ってやらなくては・・・。」「何か経験させてやらなくては・・・。」と言う親としての責任感と言うのでしょうか、義務と言うのでしょうか、色々悩みます。きっとそんな親心を抱くのは僕だけではないかと思います。
 そこで予定や段取りを色々考えるのですが、

・お手軽にアミューズメントパーク?プール?→人が多い、アトラクションの待ち時間が長いし暑い。プールは芋洗い状態でとても泳げない。
・他府県へのドライブ、観光旅行?→長い車の移動中に子供が飽き始める。兄弟ケンカを始めたらもう最悪。町並みや自然散策、寺社巡りを子供は喜ばない。
・大人も楽しめる温泉旅行?→至れり尽くせりで楽だけど、風呂に入って飯を食ったら他にすることも無い。子供も中学生からはもはや大人料金で、価格程の値打ちは無いように思える。

という感じで中々しっくりこない事が多いです、僕の場合。

 そこで超お勧めなのが、しまなみ海道サイクリングです。

・サイクリングターミナルは各島ごとに設置されているし、自転車も好きな場所で借りて、好きな場所で(その島のサイクリングターミナルで)乗り捨てもできる。つまり僕らは身一つで行けばよいのです。自転車の種類もロードからママチャリ、電動アシスト、子供用自転車など実に豊富です。これだけそろっているサイクリングロードはしまなみ海道くらいではないでしょうか?
・観光施設も多く、子供が喜ぶ地元の特産品を加工したアイスクリームやジュースを売っています。長い道のりで子供の集中力を持続させるのにとても役立ちます。
・サイクリングコースは明確に表示されており迷う事は殆どありません。コースをしっかり見定めれば小さな子供も安心して走らせることが可能です。
・万が一、自転車の故障や体調不良が生じても、宿泊施設はまずまずありますし、最悪しまなみレスキューというサービスを利用することも可能(有料)です。
・これが今回の最重要項目。尾道⇔今治間は約80km。走りきれば達成感もひとしお。特に一つ一つの島をかかる橋からの眺めは良く、「ああ、また一つゴールに近づいている。」という実感が得られます。子供にはひと夏の良い経験になるのではないでしょうか?

 僕の長男は中学生、次男は小学1年生。長男は次男と同じ小学1年生の時にしまなみ海道サイクリングを経験しており、今回は2回目のチャレンジ。次男は半年ほど前に自転車に乗れるようになったばかりで、今回が初のロングライド。僕と嫁さんは車と自転車を各島毎に交代で乗り換えながら子供たちと伴走。(どうして4人でサイクリングしなかったのかは、のちに記述します。)

 その行程を何回かに分けて綴っていきたいと思います。

家族でしまなみ海道をサイクリングしてきました。その2

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向島渡船

 7月○日、AM8:30、しまなみサイクリング1日目。
 尾道港サイクリングターミナルで自転車を借りる。長男はタイヤの細いロードバイク、次男は20インチのMTB。僕は持参の折り畳み自転車。嫁さんは車から僕らを降ろした後、一足先に一番目の島、「向島」へと向かう。

 サイクリングターミナルからすぐそばの向島渡船場へ移動。船は約10分間隔で尾道と向島を往復しているらしい。5分程度の船旅だけど、いざ乗り込むと気持ちが高揚してくる。天気は曇り。気温は30度を超えてじめっと蒸し暑い。「雨は降らないだろうか、長男はともかく、次男は走りきれるだろうか?」そんな一抹の不安をよそに長男と次男は借りた自転車を早く走らせたくてうずうずしている。

 僕らと同じように自転車を携えた乗船客が前後に列を作っている。そのほとんどが外国人だった。



OLYMPUS OM-D EM-1/LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH

家族でしまなみ海道をサイクリングしてきました。その3

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 向島にわたって先ず向かったのが「後藤鉱泉所」。ここは今では珍しい瓶詰のサイダーを頂ける場所で渡船所からすぐ近くにあった。倉庫のような建物の壁にはすだれや「ラムネ」「氷」などの幟がかけられていて、夏の様相を呈す。「僕らの夏が始まった!」という気分にさせてくれた。店内に積み上げられたカラフルな木箱。レトロなレタリングが目を惹く。

 ここで先に車で向島に渡った嫁さんと店先で合流。サイダーは1本150円。冷蔵庫でキンキンに冷やされたサイダーを受け取けとり、備え付けのパイプ椅子に座って頂く。1人1本ずつ購入したが炭酸ガスの量が多いのかな、すぐにお腹が張ってしまって僕らはともかく、子供達に1本はきつかったみたい。次男はミルクセーキの方を喜んで飲んでいた。
 「サイダーとラムネってどう違うの?」と長男に聞かれて、「そういやどう違うんだろう?今まで意識したことなかったな。」と考え込んでしまった。

 ちなみにここのサイダーに使われているガラス瓶は今や製造されておらず大変貴重。持ち出しが出来ない為、ココでしか味わえない事から「幻のサイダー」と呼ばれているのだとか。



RICOH GXR×Ai Nikkor35mmF1.4S

家族でしまなみ海道をサイクリングしてきました。その4

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 後藤鉱泉所を後にしていよいよ、サイクリング開始。長男はロードバイクの乗りやすさに感激した様子で、ペースがどんどん上げていく。半年前程からようやく自転車に乗りだした次男のよちよちペースには合わない。
 幸いにして長男は地図が読めるし、スマホも持っている。「あちこち寄り道して構わないから適当に次の島、因島記念公園でお母さんと一緒に待つように。」と伝えると、長男は笑顔であっという間に視界から消えて行った。

 途中で雨が強く降り出す。僕と次男は道端に止まって携帯していたポンチョを着込み、再び自転車を漕ぎだす。行く先々で先回りしている嫁さんが車を路肩に停車して子供たちの様子を伺っている。長男は声をかける間もなく、あっという間に行ってしまったと。

 因島大橋から因島へ。6年前に長男と訪れた時は自転車も通行料を支払ったと記憶しているが、現在は無料化した模様。



RICOH GXR×Ai Nikkor35mmF1.4S
OLYMPUS OM-D EM-1/LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH

家族でしまなみ海道をサイクリングしてきました。その5

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 2つめの島、因島。因島大橋を渡ってすぐにある記念公園で嫁さん、長男と無事に合流しました。先ほどまで降っていた雨も止み、ここで嫁さんとバトンタッチ。嫁さんが自転車に、僕が車に乗り込みます。

 今回のしまなみ海道サイクリングは1泊2日と余裕を持たせた行程になっていて、車でのサポート付き。ここまでしなくても、皆でサイクリングでもよかったのですが、敢えてそうしなかったのには理由があります。それはやはり子供達の体調を気にかけての事でした。

 6年前の夏、僕と長男のみでしまなみ海道サイクリングをした時は、向島で車をデポ。2人で自転車をレンタルし、今治を目指しました。当時小学1年生だった長男でしたが、思いのほか体力があって順調なペースで進んでいました。ひとつ、またひとつと島を渡っていくうちに「これは1日で今治まで行けそうだな。」と僕は思っていました。
 ところが、事件は4つ目の伯方島で起こります。大三島大橋を渡って、ゆるい坂道を駆け下った時、「気持ちいいな~。」と後ろに続く長男に声をかけたところ、返事がないので振り返ってみると・・・。

 長男は目の焦点が合わず、ボーっとした表情でハンドルを握っていました。意識は明らかに半分とんでいました。坂道でスピードも出ていた為、このままでは車道に飛び出すか大転倒は免れません。最悪の事態が浮かんできて僕の頭の中はパニック状態でした。
 僕は半狂乱になって、何度も何度も大声で長男に呼びかけました。 何度呼びかけたか覚えていませんが、突然しらふに戻った長男はびっくりして急ブレーキをかけ、結果スリップでの軽い転倒で済みました。

 症状的には明らかに熱中症でした。適度に休憩はいれていましたし、気を付けて水分はたくさん取らせていましたが、それでも夏の暑さにはかないませんでした。近年の夏の暑さは暴力的でもはや命の危険すらあると言っても過言ではありません。それと小さな子供はやはり自分の体力の限界がわからない為、親がしっかりと見守って気付いてやらなければならないのだと痛感しました。

 たまたま目についた民宿の看板に電話して、飛び込みで一晩お世話になりました。親切な民宿の人たちは直ぐに冷房の効いた部屋に布団をひいてくれました。宿に着いてからも何度か嘔吐を繰り返し、しんどそうに眠っている長男を見るのがとてもつらかったです。

「これは1日で今治まで行けそうだな。」なんて思っていた自分の愚かさを激しく責めました。

 その失敗を反省しての、今回。家族に何かあってもすぐに駆けつけることが出来るし、対応もできます。もう心配はありません。「僕らは必ずしまなみ海道を制覇する。」そう確信していました。

 それにしても、あの時よりずいぶん大きく逞しくなった長男。大人用のロードバイクを駆って常に先頭に立ち、僕がいなくても地図を読んで嫁さんと次男をけん引していきます。

 「きっと今の長男ならこんな心配しなくても1日のうちに走りきってしまうのだろうな。」、車窓から彼を見ながら、僕はそう思いました。

#5269
6年前の長男。大三島にて。
次男と同じヘルメットを被っています。熱中症にやられながらも、翌日には体調を取戻し、見事今治まで完走しました。


OLYMPUS OM-D EM-1/LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH
RICOH GXR×Ai Nikkor35mmF1.4S
Leica M6×Voigtländer NOKTON classic35mmF1.4   Kodak ProFotoXL100