ふらふら直島(1)
背中に大きな文字で「直島銭湯」と書かれたトレーナーを着たおじさんが言った。
「すごいお風呂屋だろ?一風呂浴びてくといいよ、中はもっとぶっ飛んでるから!」
とうに60をまわってそうなおじさんの口から「ぶっ飛んでるから!」なんて言葉が飛び出すなんて、思いもよらなかった。
直島銭湯「I♡湯」前にて。
RICOH GXR/フォクトレンダーUWH
香川・直島 2014.12
背中に大きな文字で「直島銭湯」と書かれたトレーナーを着たおじさんが言った。
「すごいお風呂屋だろ?一風呂浴びてくといいよ、中はもっとぶっ飛んでるから!」
とうに60をまわってそうなおじさんの口から「ぶっ飛んでるから!」なんて言葉が飛び出すなんて、思いもよらなかった。
直島銭湯「I♡湯」前にて。
「お兄ちゃん!あと2分ででるで!」
乗船員のおじさんの忠告で、あわてて僕らは車を停めた駐車場から少し距離のあるフェリー乗り場まで全速力で走った。
岡山の宇野港からフェリーに乗ること20分。直島は宮浦港に到着。
船内はカップルや、おしゃれなカメラ女子が多く見受けられた。
本島に続いて二度目の島めぐり。
今回は旅の相棒に後輩のカメラ女子を連れていたが、僕を見る彼女の視線は突き刺さるように痛かった。
宮浦港について、「赤いかぼちゃ」がお出迎え。
中は空洞になっていて入ることもできる。
島の反対側には黄色いかぼちゃもあるのだと、後輩は興奮気味に話していた。
宮浦から本村へ自転車を漕ぎだすと、すぐに目についたのはこの石仏。
「第46番・薬師如来・浄瑠璃寺」と掘られているが、これから連想するのは四国遍路だろう。
四国遍路は、伊勢参りと同じく、江戸時代に庶民の間で盛んに行われたという。
ただし四国は遠く、だれもが訪れる事の出来ない場所だったので、より身近にという事で「写し霊場」としてほかの地域にも四国88ケ所霊場を模したものが出来上がっていく。
直島88ケ所霊場もその一つだ。
直島の小学校・中学のグランドには朝の優しい光が満ちていた。
直島で行われている家プロジェクトの一つ、「ハイシャ」
家プロジェクトは本村地区で行われている空き家を改修し、家そのものをアートとして作品化されたものだ。
全部で7軒あって、1050円の共通券を購入するとすべて拝観できる。(そのうち一軒は予約が必要です。)
中は撮影禁止だが、先の「I♡湯」と同じでこのハイシャも相当ぶっ飛んでいた。
同じデザイナーが手掛けたと聞いて、ああ納得。
余談ではあるが、広角レンズでこのハイシャを撮る際、後輩のカメラ女子も入れた見たのだが、案の定後輩は「ムンクの叫び」のよう細長く伸びてしまい、後輩にはその写真を見せる事無く削除した。
本村地区。
昔の風情を残しながらも、新しものを取り込んでいて、目に映るものが新鮮だった。
このあたりはcafe密度高し。
古民家の庭。庭先に掛けられた暖簾が風に揺れる。
うらやましいほど広い庭には、優しい光が落ちていた。
朝からおにぎりしか食べていなかったので、本村地区で早めの昼食。
maimaiの直島バーガーと、後輩のカメラのツーショット。
本村地区には家プロジェクトの他、ANDO MUSEAMや、空き缶アートのよいち座、数件のcafeや民宿もあり、ここが直島の中心と言えなくもない。
宮浦港前にあったレンタサイクルで借りた自転車。
電動自転車や変速機付の自転車もあったのだけど、僕らは店主の勧めで普通の自転車を借りた。
二台の自転車を思い思いに走らせて、それぞれ気になる場所があると、漕ぐのをやめてシャッターを切った。
本島サイクリングでは変速機がついていないと辛い坂道が多かったけれど、直島は勾配差が緩く、普通の自転車で十分だった。