興味深い記事が出ていました。
ちょうど選挙も近く、真剣に考える問題だと思います。
コピーして掲載します。
医療崩壊を食い止めよ 年金問題より医師確保を 連載企画「1票の意味-参院選インタビュー」権丈善一慶応大教授
☆今回の参院選で社会保障分野の課題は。
「医療提供体制の立て直しが最も重要だ。医療現場は崩壊しつつあり、この流れを食い止めるのに残された時間はまったくない。特に地域医療は瀬戸際にあり、緊急に手を打つべきだ。いま大騒ぎしている年金記録の問題は議論が出尽くした。だが、医療問題は政治レベルの判断が手付かずのままだ。」
☆政治判断とは
「医師も看護師も疲れ切っている。医療従事者が自分の仕事を続けることに希望を抱ける政策に転換するべきだ。公的医療費の抑制をやめ、かつ医師を増やして数を確保する必要がある。」
「有権者全員に問題の深刻さを理解してもらえるかどうかはともかく、せめて全国約200万人の医療従事者に絞って呼び掛けたい。毎日の生活の中で医療政策の矛盾を肌で感じながら過ごされている皆さんは、各党のマニフェストを冷静に読み比べた上で、医療崩壊の阻止に取り組む政党を選んで欲しい、と」
☆具体的な選び方は、
「1997年と昨年になされた2つの閣議決定を撤回する姿勢を示せるかどうかだ。97年の決定は医師数は充足しているとして医学部定員を減らす方針を打ち出した。昨年は社会保障費を5年間で1兆6000億円削減するとの内容。これらが生きている限り、医師は増えず、医療費が今後も削られるのは自明だろう。」
「何も与党批判をしたいのではない。与党が誤りに気付き、自ら方針を変えるなら評価できよう。日本では医師1人が診ている患者の数は米国の5倍、欧州諸国の3、4倍に及ぶ。医師数を増やさないとどうしようもない。医療費についても、欧州諸国の平均水準まで増やす方向に向かないとダメだ。」
☆財源は。負担増は経済成長を阻害しないか。
「欧州並みに社会保険料を引き上げる選択肢があってよい。政党は『社会保険料をアップして医療に充てる』と約束すべきだ。個々の企業側は嫌だろうが、経済活動全体から見れば、医療や介護の分野のサービス需要や雇用をつくり出す貢献は大きい。結果的に高齢者が多い地方に所得が再分配され、地方交付税のような役割も果たし得る。ただ、消費税は他に充当すべき政策もあり、医療費を増やすにはまず社会保険料を考える方が実現可能性が高い」
☆年金については。
「論議は記録問題から制度論に入ってきた。民主党の年金改革案は年収600万円以上の所得者に給付制限があるなど、現在の支持者もいずれは失望するだろう。メディアがあおる不毛な年金論争に振り回されて投票先を決めては、国民はせっかくの国政選挙を1回無駄にし、取り返しのつかない医療崩壊を受け入れることになるだけだ」
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けんじょう・よしかず 1962年福岡県生まれ。専門は経済政策・社会保障論。新著に「医療政策は選挙で変える」。
2006年10月23日の「医療崩壊」をはじめ、
この記事とは別の角度、
現場の医者の目から見た医療危機を書いてきました。
しかし、それはゴマメの歯軋りであり、
高いところへは届きません。
政治が日本の医療を変えてくれなければなりません。
「医師も看護師も疲れ切っている。医療従事者が自分の仕事を続けることに希望を抱ける政策に転換するべきだ。公的医療費の抑制をやめ、かつ医師を増やして数を確保する必要がある。」
本当にそのとおりです。
多くの医療従事者は疲れ果てています。
このままでは医療従事者になる人間はいなくなると思います。
絶滅危惧種である産婦人科医はまもなくいなくなるでしょうし、
小児科医、外科医もそれに続いて滅びていくことだと思います。
将来の「美しい国」が目に浮かびます。
「何も与党批判をしたいのではない。
与党が誤りに気付き、自ら方針を変えるなら評価できよう。」
誤りには気付かないことを前提に書いているような記事ですが、
私もそのように思います。
アルツハイマーの患者さんを蔑視するような発言を
平気で言ってのけるような大臣がゴロゴロしている与党では、
ガンの患者さんについて
真剣に考える人間などいないような気がします。
原爆で何十万人もの人間が殺されることが、
「仕方が無い」と認識されているような人間であれば、
「ガンだから死ぬのは仕方がない」
と考えるのは自明です。
如何に安く、お金をかけずに死なせるかを考えることでしょう。
現在の標準的抗癌剤治療の推進は、
その現れであるように思えてなりません。
戦後の日本を復興させた最大の功労者は
勤勉な日本国民でしょうけれども、
その道筋を作ったのは自民党であり、
私は、その功績は賞賛しなければならないと思います。
しかし、現在の「美しくない日本」
「荒廃した医療」を作ってしまったのも自民党のように感じます。
今回の選挙は、
止まらない医療の荒廃を防ぎ、
ガン医療を変えてもらえる一つのチャンスかもしれません。
ガン患者が望む医療を実現してもらいたいものです。
以上 文責 梅澤 充