先週の金曜日、
何処かの知事さんが大慌てになった日に、
卵巣がんを宿した患者さんには朗報がありました。
予定より1週間ほど遅れてしまいましたが、
アバスチンという分子標的薬が、
卵巣がん治療に対して、
健康保険承認されました。
見えない状態のガンに対しては、
PFS(無進行期間)・DFS(無病期間)の延長だけで、
生存時間の延長は確認されていませんが、
卵巣がんが見えている状態では、
延命効果もあることが知られています。
しかし日本の健康保険では認可されていませんでした。
自費で使うと、
100㎎で5万円近くする高額な薬剤でした。
標準量では、
体重1Kgあたり15㎎ですから、
体重50Kgの患者さんでは750㎎になります。
それを3週間に1回が標準量です。
あまりにも高額なので、
1回あたり100㎎とか200㎎で使っていた患者さんはいます。
それでも200㎎で10万円近くかかってしまいました。
今後は健康保険で堂々と使えます。
多くの患者さんでは、
高額医療費の恩恵にも与えられます。
しかしアバスチンには、
血栓・肺梗塞、腸管穿孔という致死的な副作用があります。
その副作用は、
使用量との相関関係はなさそうですので、
標準量で使えます。
唯一、Dダイマーという、
血栓の起こりやすさを示す指標が、
その致死的な副作用の発生確率の多寡を予測することは可能です。
それは簡単な採血だけで測定できます。
勿論、健康保険で可能です。
アバスチンの保険適応条件として、
「他の細胞毒との併用」
という文言はついていますが、
様々な理由で細胞毒が使えない患者さんでは、
その理由を健康保険者側に、
医療機関が明示すれば、
毒抜きでも可能になります。
毒無しのアバスチン単独で使った患者さんは、
たくさん診ていますが、
単独でも効果は期待できます。
大塚北口診療所では、
早速、明日から卵巣がんに対しても使います。
その解禁は、
予測されていましたので、
点滴開始が予測された患者さんでは、
Dダイマーの検査は、
すでにおこなっています。
致死的な副作用がある、
といっても、
摩訶不思議なガンという生き物も、
牙を剥いて命を襲ってきますから、
武器としては、
仕方がない部分はあるように感じます。
肺がんに対するイレッサのような存在です。
アバスチンの致死確率は、
イレッサのそれの半分以下という数字は出ています。
他の細胞毒とは違い、
吐気、倦怠感、脱毛、神経障害などの、
身体的な副作用は極めて軽微のようです。
腎臓機能障害や高血圧という副作用はありますが、
全般的に細胞毒よりは、
遥かに軽微であるように感じます。
治らない病に対して、
武器が増えることは、
文句なく素晴らしいことだと思います。
暗い世の中で、
チョッとだけ明るい話題でした。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。
何処かの知事さんが大慌てになった日に、
卵巣がんを宿した患者さんには朗報がありました。
予定より1週間ほど遅れてしまいましたが、
アバスチンという分子標的薬が、
卵巣がん治療に対して、
健康保険承認されました。
見えない状態のガンに対しては、
PFS(無進行期間)・DFS(無病期間)の延長だけで、
生存時間の延長は確認されていませんが、
卵巣がんが見えている状態では、
延命効果もあることが知られています。
しかし日本の健康保険では認可されていませんでした。
自費で使うと、
100㎎で5万円近くする高額な薬剤でした。
標準量では、
体重1Kgあたり15㎎ですから、
体重50Kgの患者さんでは750㎎になります。
それを3週間に1回が標準量です。
あまりにも高額なので、
1回あたり100㎎とか200㎎で使っていた患者さんはいます。
それでも200㎎で10万円近くかかってしまいました。
今後は健康保険で堂々と使えます。
多くの患者さんでは、
高額医療費の恩恵にも与えられます。
しかしアバスチンには、
血栓・肺梗塞、腸管穿孔という致死的な副作用があります。
その副作用は、
使用量との相関関係はなさそうですので、
標準量で使えます。
唯一、Dダイマーという、
血栓の起こりやすさを示す指標が、
その致死的な副作用の発生確率の多寡を予測することは可能です。
それは簡単な採血だけで測定できます。
勿論、健康保険で可能です。
アバスチンの保険適応条件として、
「他の細胞毒との併用」
という文言はついていますが、
様々な理由で細胞毒が使えない患者さんでは、
その理由を健康保険者側に、
医療機関が明示すれば、
毒抜きでも可能になります。
毒無しのアバスチン単独で使った患者さんは、
たくさん診ていますが、
単独でも効果は期待できます。
大塚北口診療所では、
早速、明日から卵巣がんに対しても使います。
その解禁は、
予測されていましたので、
点滴開始が予測された患者さんでは、
Dダイマーの検査は、
すでにおこなっています。
致死的な副作用がある、
といっても、
摩訶不思議なガンという生き物も、
牙を剥いて命を襲ってきますから、
武器としては、
仕方がない部分はあるように感じます。
肺がんに対するイレッサのような存在です。
アバスチンの致死確率は、
イレッサのそれの半分以下という数字は出ています。
他の細胞毒とは違い、
吐気、倦怠感、脱毛、神経障害などの、
身体的な副作用は極めて軽微のようです。
腎臓機能障害や高血圧という副作用はありますが、
全般的に細胞毒よりは、
遥かに軽微であるように感じます。
治らない病に対して、
武器が増えることは、
文句なく素晴らしいことだと思います。
暗い世の中で、
チョッとだけ明るい話題でした。
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。