EBMに徹して、
エビデンスのある治療だけを行う。
エビデンスの無い治療は行わない。
日本全国に浸透しつつある、
個々の患者さんの個性は完全に無視して、
標準的な抗癌剤治療だけを推進する、
某国立がんセンターのスローガンの一つです。
ガンを患う患者さんにとっては、
悪魔の呪文です。
しかし、下の手書きの書面のコピーは、
その国立がんセンターの、
外科のトップだった医者に、
ある患者さんが、
胃ガンが再発した時に、
セカンドオピニオンを受けに行った際に、
その先生から頂いた自筆の書類の一部です。
ここではカットしてありますが、
この1枚の紙には実名の署名も入っています。

いつものとおり、
左クリックで拡大画像が出ますので、
書かれている内容をシッカリとご確認ください。
国立がんセンターでは、
「副作用が辛いから抗癌剤を減量して欲しい」と、
患者さんが主治医の腫瘍内科医に懇願しても、
「減らしたら意味が無い」
「そんな量では効かない」と、
まったく相手にされず、
簡単に一蹴されてしまい、
患者さんは、
治療の選択権は完全に奪われ、
拷問ともいうべき過酷な抗癌剤治療の副作用に耐えた末に、
確実に天に召されます。
副作用で亡くなる患者さんが出るのも、
エビデンスの一つです。
標準的に大量の抗癌剤を、
それを嫌がる患者さんの身体に、
無理矢理注入するのは、
国立がんセンターやNHKが推奨する、
治らないガンを宿した患者さんに対する、
「死への儀式」
白衣の閻魔様の「処刑」
のようにすら感じます。
治らないことは勿論、
僅かな延命と引き換えに、
平穏な日常を奪い、
多大な犠牲を伴うことなど、
百も承知での、
「刑の執行」であるように思えてなりません。
しかし上の手書きの文書には、
一部不鮮明ですが、(原本はクリアー)
「タキソール(パクリタキセル)は、
(貴方には)当たっているので、できるだ?つづける」
「時間が大切なので、70%~50%~30%に減らしても良い。」
とシッカリ書かれています。
これをもらった患者さんからは、
「できるだけつづける」と言われたと聞いています。
「70%に減量してもよい」
ではありません。
「~30%に減らしても良い」です。
国立がんセンターの外科のトップの言葉とは、
とても思えません。
有り得ない発言です。
しかしこの文言にはウラがあります。
この書面を書いたときにその外科医は、
国立がんセンターの外科のトップではなく、
「元」の一文字が付く立場になっていました。
「国立」を退職後、
民間病院に異動しておられました。
「国立」の立場では、
口が裂けても言えない言葉が、
そこを離れると、
すぐに本音が出るようです。
標準的に大量の抗癌剤治療が「良い」などと、
本気で考えている医者など存在しないと思います。
少なくとも、
私の知る範囲の外科医で、
そう考えている医者は一人も存在しません。
「時間が大切なので」の一言は、
当然「生きている」の枕詞が付くはずです。
勿論、患者さんご自身に直接書いた文書ですから、
それは露骨には書かなかったのだと察します。
「長く生きている」
すなわち「長く治療を続ける」ためには、
30%に減量することも必要であることを、
この書面を書かれた外科医は十分にご存じなのです。
私は患者さんによっては、
10~20%程度でも十分だと考えていますが、
実は本音では「国立」の医者も、
「70%の量」ではなくて、
「70%引き」の、
「30%という破格な量」
効かないはずの「そんな量」を
推奨しているということだと思います。
当然、ご自分の身内なら、
そうするのでしょうね。
この貴重な文書・セカンドオピニオンをもらった患者さんは、
スキルス胃ガンの再発後4年間以上治療を続けることができましたが、
残念ながら、
先日旅立たれました。
しかし再発後4回のお正月を迎えることができました。
当然ながら、
こころない腫瘍内科医に、
「100%の量でなければ意味が無い」
などとトボケタことを言われて、
「刑が執行」されていたら、
お正月は1回だけだったと思われます。
結果はとても残念ですが、
現在の医学レベルでは、
避けようがない結末です。
しかし、そこに至るまで、
「30%に減量しても良い」の一言で、
どれだけ患者さんのQOLが高まったか、
そして「大切」と言われた「時間」を稼ぐことができたか、
計り知れません。
私にとって、
この手書きの文書は、
患者さんが私に託してくれた、
遺書のような気がしてなりません。
最高の治療を受けて旅立たれた患者さんの、
ご冥福をこころからお祈りいたします。
合掌
以上 文責 梅澤 充
著者に許可無く当ブログの文章をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じます。