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ダンスSkinnersの感想

モンペリエ・ダンスで勅使河原三郎のSkinners, Dedicated to Evaporating Thingsを観てきました。20010年に東京のFestival/Tokyoで初公開された作品だそうです。György Ligetiの音楽に応えて踊るダンサーたちの動きに注目しつつ、テーマにはそれほど入り込めませんでした。

見るからに明らかな主題は「死」なのでしょうが、この動きはどうのこうのと薀蓄を傾ける勇気も気力もありません。1時間ちょっと肉体の動きを目で追い続けた後に残るのは、幸いにも繊細な筋肉の躍動です。双眼鏡を持って行ったので、ソロのダンサーの動きを目から手の先までじっくり眺めることができました。

この一連の運動にストーリーをあてがって何の役に立つのかと思ってしまいます。意味が分かったら鳥肌が立つような内容であることは確かであるし、仏語なら「頭も尻尾も無い」と言えるような構成の仕方なので、意味がはっきりしないことによる付加価値さえあります。

時には正体不明の人に限りない魅惑を感じますが、このような振り付けにも同じことが言えそうです。ミステリーほど人を惹きつけるものは無いと長いこと思ってきましたが、煙に巻かれている内に別の見世物に観客の興味が移動しても不思議ではありません。

最近のヒップ・ホップの技術的発展を見ると、思わず喝采してしまいます。おまけに生命力そのものの躍動なのですね。若い人がますます憧憬する理由が分かります。万人にわかるアクセシビリティと呼べるものがあるのは確かです。頭の体操から抜け出してスペクタクルとしてのダンスを蘇らせて欲しいと願うのは私だけでしょうか。