逝きし世の面影

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本当は怖い「安全」、心配がいっぱいの「安心 」

2013年10月02日 | 放射能と情報操作

『メディアが「原発の再稼動に向けた安全審査を容認」と報道』

世界最大の出力を誇る柏崎刈羽原発は6年前2007年地球重力の1G(980ガル)を遥かに超える2058ガルの新潟県中越沖地震(震度7)による火災や地盤の歪みが発生。泉田裕彦新潟県知事はIAEAの調査を要請する。
柏崎刈羽原発は2年半前の3・11東日本大震災以前には再稼動していたが現在は休止中。
9月26日、産経新聞など大手メディアが一斉に泉田裕彦新潟県知事がこれまで頑なに拒否していた柏崎刈羽原発の再稼動について、一転容認する姿勢を示したと報じている。
東京電力が原子力規制庁の新規制基準の適合審査を申請した。
審査をする規制委員会には、そもそも原子炉の安全性を判断したり再稼働を決定する権限は無くあくまで『一定の基準』を満たすかどうかを審査するだけである。

『安全審査は虚偽報道?』

『安全審査』とのマスコミの報道は『間違いである』と泉田新潟県知事が記者会見で何度も指摘しています。(ところが不思議な事にメディアは誰も一切報じない)
原子力規制庁の『原発の新規制基準』に対する『適合性の審査』をしているだけであるとの主張なのですね。
規制庁以前の、経済産業省の安全・保安院では確かに『過酷事故は日本では絶対起きない』、原発は『安全・安心である』との前提なので『安全審査』だったのです。
ところが3・11東日本大震災での福島第一原発事故後の規制庁は、そもそもの前提が『事故は起きる』(原発は危険である)に変わっている。
ですから『安全審査』なるものは、現在の時点では最初から存在していません。
原子力規制庁の、適合性審査を何故か(共産党機関紙赤旗を除く)全てのマスコミは金太郎飴のように『安全審査』であると言っているのですが典型的な印象操作ですね。悪質な世論誘導、プロパガンダの類である。
通産官僚出身で保守系の泉田知事ですが短いテレビ発言では不明だが長い新潟県庁での記者会見の質疑応答では明確に反原発である。
今の共産党以上に小児甲状腺がんの爆発的発症では破滅的な日本国の現状を正しく認識しているから驚きである。

『半世紀以上前の危険すぎる安全カミソリ』

ブログ記事上↑に掲載した画像は昔の日本で『安全カミソリ』の名称で販売されていた棒状の使い捨て剃刀である。(今でも売られているT字型の使い捨てカミソリが販売されだしたのは50年ほど前から)
当時の大人はこれか理容師が使う剃刀かの、何れかで顔を剃っていたが使用には最大限の注意と技術が必要だった。当時の子供は一度は風呂場で父親の真似をして安全カミソリでざっくり切って出血し痛い目に合っている。
子供心にも危険極まりない品物に何故『安全カミソリ』なる不似合いな名前が付いているか実に不思議であった。
当時は安全カミソリで自殺未遂なんて記事が新聞でも報じていたのですよ。十分に凶器になりうる代物なのです。
『安全』を辞書で引けば『危害または損傷・損害を受けるおそれのないこと。危険がなく安心なさま。』
何処にも扱いに失敗したら血を見るとは書いていない。
それなら安全カミソリの名称は詐欺で正しくは『取り扱い注意カミソリ』であるとか、ずばり『危険カミソリ』が正しい。
しかし商品として『危険カミソリ』ではイメージが悪すぎて売れないので、180度反対の『安全』の名称を使ったのであろう。
流石に髭剃り用の危険すぎる安全カミソリは無くなったが、形状が類似した製品が女性の無駄毛処理用にL形カミソリとして今でも販売されているらしい。

『安全ピンとか安全靴とか安全ベルト』

安全ピン(safety pin)の安全とは、針の尖った部分がむき出しの虫ピンと比較して相対的に安全という意味で、『絶対に安全なピン』の意味では無い。
ピンは必ず鋭利に尖っているので怪我をする可能性があるので、基本的に『ピンは危ない』のである。
靴の爪先部分に鉄板が入った安全靴も『安全な靴』の意味ではなく危険作業用靴の意味。安全ベルトなどは墜落時の身体確保が目的なのでそもそも『危険性が無い』と言う意味の安全とは無縁で丸っきり危険の塊のようなもの。
ところが日本語の『安全』とは絶対的で確定的なことを意味している。
登山とか車の運転では終了時点でようやく安全が確認出来る。途中では『ここまでは安全だった』程度なのです。
本来日本語の『安全』は、完結した状態を意味する言葉なのです。
英語の安全はセーフティ(safety)とセーフ(safe)の二種類の安全があり別々に上手に使い分けている。
セーフは絶対安全で確定的。(日本語本来の「安全」の意味)
ところがセーフティでは『安全でない物事を、安全に近づけよう』(安全化に努力する)という意味。
日本で使われている『安全』ですが、ほとんどが困ったことに(英語的な)能動的、流動的で不確かな『セーフティ』なのです。
ところが多くの日本人が完結していて絶対的な『セーフ』の意味で理解しているので大混乱しているのです。

『安全ではなくて、「安全化に努力しよう」程度』

日本語の『安全』は、完結した状態をあらわす『safe』の意味しか無い。
ところが能動的で不確かな『safety』(安全化)にも万能用語のように『安全』が間違って使われている。
日本語の『安全ピン』ですが英訳はsafe pin(セーフピン)ではなくて必ずsafety pin(セーフティピン)。
訴訟社会アメリカではsafe pin(セーフピン)なる名称で安全ピンを販売したら針先で指を突いた大量の顧客から間違いなく企業が訴えられ莫大な賠償を請求される。
safe(安全)の英単語には能動的な意味は含まれず確定的なのです。

『中身が同じでも・・』

今の赤旗(共産党)ですが20年以上前の赤旗とは大違い。情けない話だが福島第一原発や放射能では大手マスコミと同じ事しか書かない。
そして大手マスメディアは挙国一致の体制翼賛会。
マスコミが全員一致の大本営発表で『安全審査』としか書かなかったが、唯一赤旗が『安全』の言葉を使わず『適応審査』と別の表現をした。ボテボテの内野安打に見えるが『久々のクリーンヒットで面目を施した』なのです。
中身がまったく同じだが、なぜ規制庁の『規制基準』と安全保安院の『安全審査』の、名前の違いが『大問題である』とこれだけ拘るかですが、安全基準だとクリアすれば再稼動が出来る。
ところが、規制基準だと絶対に日本の原発は動かない。無理なのです。
事故が起きないとの前提の『安全審査』なら住民の事故時の避難は必要ない。
ところが規制基準なら『事故が起きる』なので事故時の全住民の避難計画が絶対不可欠なのである。
全住民を即座に退避させる為には原発は過疎地域にしか建設出来ないが、そもそも日本にはアメリカのような広大な過疎地が存在しなかった。

『天と地ほど違う、規制基準と安全基準の意味』

2年半前の3・11の福島第一原発のレベル7のメルトダウン事故時にアメリカ政府は即座に自国民を80キロ圏から退避させているが、アメリカ核規制委員会(NRC)規制基準のマニュアルに従っただけだった。
過剰反応どころか、最低限の行動だったのである。
アメリカではニューヨークから100マイル(160キロ)以上離れた場所にあるショーラム原子力発電所が、『過酷事故時に安全に避難することが出来ない』として原発が完成したのに一回も稼動せず1989年に廃炉になった例もある。
ところが我が日本国ですが、アメリカ基準のメルトダウン時の50マイル(80キロ)退避では人口が多すぎて不可能なのです。
日本では規制基準なら稼動どころか、最初から一箇所も原発の建設が出来なかった。
だから、原発事故は起きないので退避の必要性なしとの日本独自の『安全神話』をでっち上げたのである。
危険性を誤魔化して人口過密地帯に原発を建設したので退避したくても人数が膨大すぎて不可能。
住民の避難計画ですが数万人を即座に逃がすことは可能だが、数百万人なら菅直人でなくとも誰にとっても無理なのです。
ましてや影響する人数が数千万人なら『放射能はすぐには健康に影響しない』と言うしかなかったのである。
規制基準の適応審査を『安全審査』と平気で誤報を流す、我が日本国のマスメディアですが、新たな『安全神話』を広めようとしているのだろうか。
何とも不思議な話である。

『目の前に迫っている、放射能高濃度汚染水の海洋投棄』

毎日新聞9月28日付け『3・11後のサイエンス』で青野由利専門編集委員が、他紙が誰も取り上げない東京電力(広瀬社長)の驚きの『2014年度中に汚染水浄化を完了』の意味を、『事実上の海洋投棄である』と解説している。
毎日新聞は10月2日にも中西拓司記者の署名入り記事『先行き見えぬ汚染水問題』で東電の『2014年度中に汚染水浄化を完了』を再度取り上げている。
中西拓司の『記者の目』を要約すると、
『事故から2年半が過ぎたが、汚染水問題は先行きが見えず、泥沼』
『汚染水がクリアできても、廃炉作業で出た「核のゴミ」を半永久的に保管する仕事が残る』
『賠償や除染業務、原発の廃炉作業は既に東電の能力を超えている』ので、国全体で取り組む『廃炉庁創設を急げ』と結論。(東電の破綻処理)
『1979年のスリーマイル島原発事故で発生した汚染水9000トンの処理完了が14年。』
『福島の汚染水はその約50倍。しかも海水の塩を大量に含み加熱蒸発には限界』と、東電の『2014年度中に汚染水浄化完了』を完全否定している。
『スリーマイルや旧ソ連のチェルノブイリ原発(86年)のほか、過酷事故を起こした商用原子力施設は世界に複数あるが、建屋を安全に解体・撤去できた成功例はない。』
2011年の政府の工程表『今後30〜40年廃炉完了』も同じようにを明確に完全否定している。
レベル7のメルトダウン事故どころか、56年前(1957年)に発生したレベル5の英国のウィンズケール事故でもいまだに延々と処理中で廃炉が終わっていない。
空前絶後の4基のレベル7の原発の廃炉作業の終わる見込みなど、世界中の誰も知らないのである。

『本当は怖い新聞の報道』

毎日新聞10月2日『先行き見えぬ汚染水問題』では、『9月に開かれた国際原子力機関(IAEA)の会合でも、各国から「なぜ汚染水問題を放置したのか」「東電は破綻状態にあるのではないか」との懸念が相次いだ。』と書いてある。
ところが肝心の9月18日にウィーンのIAEA科学フォーラムで日本の気象庁が、『福島第1原発北側放水口からセシウム137とストロンチウム90を毎日毎日、600億ベクレルも外洋に投棄している』と報告した事実は、怖くて一行も報じない。
この根性無しのバカタレが。嘘つきのへタレである。
これでは新聞は報道機関ではなくて、『報道しない機関』だと言われても仕方が無い。
一番大事な事実を丸ごと隠して、読者を『間違い』の迷宮に誘い込もうとしているのである。
他にも2年半後の今でもメルトダウンした原子炉に冷却水を給水し続けている事実は、毎日は一応は書いているのです。
(赤旗は除く他紙は汚染水の記事内では、絶対に原子炉に冷却水を注水している事実を報じていない。)
しかし『東電は汚染水をある程度浄化し、原子炉の冷却に再利用している』『「どこからでも漏れるリスクがある」(東電幹部)』と誤魔化す。
『山側からの地下水が1日約400トン、原子炉建屋地下に入り込み、汚染水は日々量が増えている』と、あたかも毎日400トン貯まる汚染水が地下水由来であるかの如く擬装する。
報道内容が基本的にインチキなのです。

『下手糞な手品を延々と見せられる不愉快』

地下水は自然現象で事故とは無関係に昔も今も流れ続けている。ところが問題になりだしたのは2ヶ月ほどからですよ。
今年4月、地下貯水槽との大袈裟な名称の露天掘りのビニールプールからの汚染水漏洩の時は『地下水云々』は誰一人も話題にしていない。
2ヶ月前から突然、地下水が唐突に東電が大問題としだしたのです。
閉鎖系の冷却システムなら必ず自動車のラジエーターのように外部に放熱する仕組みが必須要件なのですが今の東電の汚染水浄化では何処にも存在しない。
しかも毎日冷却水を400トンも原子炉に注水している事実は何故か書かない。
日々貯まっていく汚染水の水量が400トンで、原子炉に毎日給水している冷却水も同量の400トンなら誰が考えても『汚染水=冷却水』が疑われる。
多分1000トン容量の汚染水タンクに貯まり続けているのは東電が給水して冷却水ですよ。
毎日記事では、『将来的には原子炉建屋の水を断ち、空冷の冷却に切り替える検討も必要だ。』と原子炉の冷却水が汚染水として貯まっていく現状を明確に認めているのですよ。
ところが誰にでも分かるようには絶対に書かず表現が曖昧で意味不明。真実と嘘八百の禍々しいコラボレーションの摩訶不思議な記事が出来上がっている。
真実は十分知っているのだが、『日本は恐ろしい国である』事実もまた良く知っている。
誰しも我が身が可愛いので書きたくても書け無いのです。

『柏崎刈羽原発の安全審査を否定する規制庁』

『柏崎刈羽原発 審査入りも批判など相次ぐ』10月2日NHK
原子力規制委員会は東京電力の柏崎刈羽原発の6号機7号機の審査を決定したが、委員からは「汚染水問題など福島第一原発のリスクを減らすべきだ」「今の状態では不信感がある」といった指摘や批判が相次ぎました。
規制委員会の更田豊志委員は、
『福島第一原発と柏崎刈羽原発を別の話と考えるわけにはいかない』。
『汚染水問題など、まずは福島第一原発のリスクを減らすべきだ』。
また、中村佳代子委員は、
『東京電力が放射性物質の知識を持っているとは思えず、申請を出したことに驚いた。』
『地元住民に「安全」を示せるかどうかは今の状態では不信感がある』。
さらに田中俊一委員長は、
『審査は進めざるを得ないが、ほかの原発と違う特殊な事情がある。』
『汚染水問題は万が一にもおろそかになってはいけない』。

『全てに優先する暴走が止まらない福島第一原発の終息作業』

原発がメルトダウンして暴走しても誰も止められない現状での規制委員会の東京電力に対する不信感は当然で、まったく『その通り』である。
ただし東京電力は日本国内10社の中では断トツの実力と実績、従業員数や発電量、技術力を持ってるナンバーワンの電力会社なのである。
ちなみに№2の関西電力は東京電力の半分で北陸電力は10分の1、沖縄電力などは100分の1で問題にもならないレベルである。
№1の飛びぬけた実力があるガリバー状態の東京電力でも、『放射性物質の知識を持っているとは思えない』なら、他の弱小電力会社の実力はもっと劣っている。
そもそも原発を運転する資格が最初から無いのである。
『地元住民に「安全」を示せるかどうかは今の状態では不信感がある』どころか、
『申請を出したことに驚いた。』のが真相である。
『福島第一原発と、すべての原発を別の話と考えるわけにはいかない』のである。
全ての電力会社が一致団結、
『汚染水問題など、まずは福島第一原発のリスクを減らす』為に総力を結集するのが物事との筋道である。
規制委が、東電が日本では一番大きくて技術力も最高水準である事実を失念しているとは考えられない。それなら『東電では再稼動は無理だ』とは今の日本国では安全な再稼動などは不可能であると考えているのである。



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