中国が3隻目の空母「福建」を進水させたことで、近い将来、空母を常時運用できる態勢が整うことになる。
福建は艦載機の発艦能力を高めるカタパルト(射出機)を備えており、試験航行を経て就役すれば、洋上での航空機運用能力が大幅に向上するとみられる。
中国が進めてきた海軍の近代化を象徴する艦といえ、米国はもとより周辺諸国が警戒を強めるのは必至だ。
米国防総省による中国の軍事力に関する2021年版報告書は、3隻目の就役時期を「24年まで」と予測。
就役すれば、中国は米国以外でカタパルト技術を持つ唯一の国となる。
米国は艦艇を作戦、訓練、補修のサイクルで運用しており、空母1隻を常時運用するには、全体で3隻が必要とされる。
中国は12年にウクライナから購入して改修した空母「遼寧」、19年に国産空母「山東」を就役させており、福建が就役すればこの態勢が整う。
遼寧、山東は飛行甲板の先端を上に傾けたスキージャンプ式で、艦載機は自力で発艦するため搭載する燃料とミサイルなどの重量に制限がある。カタパルト式なら制限が大幅に緩和される。
発艦に必要な距離も短く、遼寧の発艦能力が3分間に1機なのに対し、蒸気式カタパルトの米ニミッツ級空母は1分間に1機とされる。
福建が装備しているとする電磁式カタパルトはこれまで、米空母ジェラルド・R・フォードだけが搭載しており、蒸気式よりも発艦ペースが速い。
中国は現在、目標を探知する空母搭載の早期警戒機に、航続距離の短い回転翼式を採用している。艦載機を射出できるカタパルトなら固定翼機に変更でき、空母を拠点とする攻撃範囲が広がることになる。