文部科学省は28日、令和6年度から小学校で使用される教科書の検定結果を公表した。2年度から導入された小学校の新学習指導要領に沿った2回目の検定で、子供たち自身に考えさせる「主体的・対話的で深い学び」の視点やグループ活動などを重視した内容が目立つ。
5年社会は3点全てが北方領土、竹島(島根県)、尖閣諸島(沖縄県)について「固有の領土」と明記した。
小学校で使用する149点(259冊)全てが合格。全教科の平均ページ数の合計は前回(平成30年度)より2%増えた。高校3年生向けの申請も78点あり、英語コミュニケーションⅢで1点が不合格となり、数学Ⅲで1点が申請を取り下げた。
小学校社会の申請は3社12点。現行の指導要領では領土教育の充実が図られていることもあり、5、6年生で記述がある北方領土や竹島、尖閣諸島について「日本固有の領土」と明記、政府見解に沿った記述が定着している。
ただ、北海道を中心とした地図を掲載した5年生の教科書で、北方領土の択捉島が割愛されているとして検定意見が付され、修正を求められたケースがあった。
小学校では2回目の教科書検定となった英語(5、6年用)には6社が6点申請。イラストなどを見ながら音声を聞いたり、聞き取った単語などを読んだり書いたりすることで、本格的な授業が始まる中学校への橋渡しをする。
平成30年度に教科化された小学校道徳には6社18点の申請があり、伝統文化の尊重や国や郷土愛に関する項目で検定意見が相次いだ。
新学習指導要領で必修化されたプログラミング教育は算数や理科を中心に幅広い教科で取り上げられた。迷路など小学校の低学年でも接しやすい題材から、プログラミングの仕組みを考えさせるなどの内容が掲載された。
音声や動画を視聴できるウェブサイトのQRコードなど2次元コードの記載も充実。教科書を補充し子供たちの理解を深める内容となっている。