中国外務省は8日発表した報道官談話で、シリアのア
サド政権崩壊が伝えられたことを受け、「中国は、シ
リアができるだけ早く安定を取り戻すことを望んでい
る」と表明した。
中国はアサド政権と経済面を中心に協力を進めてきた
経緯があり、「情勢の進展を注意深く見守っている」と
している。シリア側に対し、国内で中国の組織と個人
の安全を確保することも要請した。
中国は、米欧の制裁下にあるアサド政権との関係強化
を進めていた。昨年9月には習近平国家主席が、2011
年にシリアで内戦が始まって以降初めて訪中したアサ
ド大統領と会談し、両国の「戦略的パートナーシップ
関係」を構築すると宣言した。
中国の王毅(おう・き)共産党政治局員兼外相は今年
5月、シリアの外相と北京で会談し、「中国は引き続
きシリアの経済発展をできる限り支援する」と呼び掛
けた。
「アサド家」の統治、あっけない終焉
要因はロシアとイラン勢力の弱体化
シリア政権崩壊
シリアのアサド政権の崩壊を招いたのは、後ろ盾だったロシアとイラン勢力の弱体化が要因だ。ロシアは2022年からのウクライナとの戦闘で疲弊。イランと親イラン民兵組織ヒズボラは昨年10月以降、パレスチナ自治区ガザなどでのイスラエルとの交戦で力をそがれていた。
シリアでは11年に中東民主化運動「アラブの春」が波及し反政府デモが本格化、内戦に突入した。アサド政権は劣勢に立たされたが、ロシアの支援で一気に盛り返した。20年にロシアと、反体制派を支援していたトルコが停戦合意し、戦闘は下火になっていた。
ところが、ロシアのウクライナ侵攻は長期化し、アサド政権を支える余裕は失われた。ガザでの戦闘では、ハマスと共闘するヒズボラは中東最強のイスラエル軍の攻撃にさらされ、大きく力を失った。
今回、反体制派が攻勢に出た11月27日から、わずかな期間での政権崩壊。父の代から半世紀以上続く「アサド家」の統治はあっけない終焉を迎えた。(共同)