【ワシントン=大内清、北京=三塚聖平】バイデン米大統領は28日、中国の習近平国家主席と電話会談した。
バイデン氏は、中国が軍事的な威圧を強める台湾情勢について提起し、一方的な現状変更はいかなる形でも容認しない考えを伝達。
中国の東・南シナ海での覇権的行動を念頭に、インド太平洋地域の安全保障について「ルールに基づく国際秩序」を最重視する米国の立場も伝える方針だ。
米中首脳による対話は今年3月にオンライン形式で行われて以来で、2021年1月のバイデン政権発足後では5回目となる。
バイデン氏は中国を「戦略的ライバル」と位置付けつつ、米中関係は世界に影響する「最も重大な2国間関係」だとして競争を適切に管理する必要性を認識している。
電話会談では、米中の偶発的衝突を避けるための対話維持について取り上げ、気候変動や感染症など地球規模の問題での協力を呼びかけたとみられる。
ロシアによる侵攻を受けるウクライナをめぐっては、中国がロシアの戦争遂行を支援することがないよう警告する方針。
政権の行方を左右する中間選挙が11月に迫る中、バイデン氏はインフレ抑制策の一環として対中関税の一部撤廃を検討しており、議題になったかが注視される。
中国の側は、米国との対立を有利な形で「休戦」に持ち込みたい考えだ。
中国の王毅(おう・き)国務委員兼外相は今月9日、ブリンケン米国務長官とインドネシアで会談した際、要求内容を記した「4つのリスト」を米側に渡した。
全容は明らかにされていないが、
▽米側に是正を求める誤った対中政策と言動
▽懸念する重要案件
▽重点的に懸念する米国の中国関連法案
▽8つの協力分野-から成るという。
米国から譲歩や協力を引き出す狙いとみられる。