日本列島を周回する形で航行している中国海軍の情報収集艦1隻が北海道沖と東北・三陸沖を往復する動きを見せていたことが2日、関係者の話で分かった。ロシア海軍の情報収集艦も同様の動きをしており、いずれも自衛隊や米軍の動きを警戒・監視したとみられる。
北海道沖-三陸沖の間を往復したのは、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦で、6月16日に津軽海峡を通過した後いったん南下。反転して北上し、北海道南部沖を航行して再び南下した。
同艦はこれに先立ち、同月13日に対馬海峡を東に向けて通過。その3日後に津軽海峡を通過し、さらに10日後には伊豆諸島に到達した。北海道沖や三陸沖での活動に重点を置いていたものとみられる。
同海域ではロシア海軍のバルザム級情報収集艦1隻も5月18日から6月7日までの期間に同様の動きを見せており、いずれも航空自衛隊千歳基地(北海道)や米空軍三沢基地(青森県)などの通信を傍受するとともに、レーダーの電子情報を収集していたとみられる。
防衛省関係者は「中国とロシアが別個に収集した情報を共有する可能性もある」と分析する。
これとは別に、6月にはロシア海軍艦隊が北海道東岸沖から南下して伊豆諸島を通過し、一部は19日に沖縄県の沖縄本島-宮古島間を、残りは今月2日に与那国島-西表島の間を北上した。
ロシア艦隊の後を追う形で対馬海峡と津軽・宗谷海峡を通過した中国海軍艦隊が「北海道東岸沖-伊豆諸島-宮古海峡」のルートを航行している。
岸信夫防衛相は「短期間に同様の航路でわが国を周回する形で航行することは両国による軍事プレゼンスの誇示だ。懸念を持って注視する」と注視する姿勢を示している。