大阪高裁の法廷で、裁判長が「日の丸バッジ」の着用を禁じたのは権限の乱用だとして、男性3人が国に対し、計330万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしていたことが1日、分かった。同日、第1回口頭弁論が開かれ、国側は争う姿勢を示した。
訴状によると、原告は令和3年4月、高裁での民事訴訟を傍聴しようとした際、書記官から服の胸元に着けていた日の丸バッジを外すよう指示された。
指示の趣旨を確認したところ、裁判長から「メッセージ性があるバッジにあたるため、外さないと傍聴を許さない」との命令が出ているという回答だった。同年11月の判決まで着用は認められなかったという。
原告側は「日本を象徴する日の丸に敬意を示し、バッジを着用していた」と、法廷の秩序を害する恐れはないと主張。平成11年に国旗国歌法が成立していることに加え、公共施設で日の丸を掲揚することも一般的であることを踏まえ、「裁判長の命令は思想信条の自由を侵害する不当な行為で、権限の逸脱、乱用だ」としている。
原告3人が傍聴しようとした民事訴訟は、在日韓国人女性が職場で民族差別表現を含む資料を配られたとして、勤務先のフジ住宅(大阪府岸和田市)に損害賠償を求めた訴訟の控訴審。この訴訟ではフジ住宅への賠償命令が確定している。
フジ住宅の訴訟を巡っては、1審大阪地裁堺支部で審理中、同じく「メッセージ性があるバッジ」を理由に、北朝鮮による拉致被害者の救出を願う「ブルーリボンバッジ」の着用が禁止され、国に損害賠償を求める訴訟が別に起こされている。フジ住宅訴訟の1審段階では、日の丸バッジの着用に関しては指摘されていなかったという。