自民党では異端の「脱原発派」として知られた秋本容
疑者は、再エネ政策の旗振り役だった。周辺住民との調
整や騒音、景観の問題をクリアしやすいこともあって期
待感が高まる洋上風力だが、重大な問題を抱えていると
いう。
小野寺五典元防衛相は8月20日、フジテレビ系「日
曜報道 THE PRIME」で、「レーダーを阻害し
たり、あるいは他の国の製品を使うと、そこからどんな
情報を日本から取っているかも分からない。安全保障上
よく管理しないと、場所も、どの国が作っているかとい
う資本も、よく確認することが一番喫緊の課題だ」と述
べた。
「国防上の懸念」について自衛隊OBで自民党の佐藤
正久元外務副大臣が説明する。
「航空自衛隊の管制レーダーの電波を風車の羽根が反
射して、迅速な警戒監視活動に支障をきたす恐れがある。
また、風車の反対側は電波が遮断された結果、レーダー
の死角となって戦闘機などの正確な探知が困難になり、
こちらのスクランブル発進が遅れてしまうことにもつな
がる。レーダーの標高や風車の高さによっては、100
キロ以上離れていても影響が出る可能性がある。さらに、
風車の部品を作る企業には中国など海外が資本の企業も
多くある」
「表向きの事業者は日本の会社だが、謄本や開示情報をつないでいくと裏に中国企業の子会社がいることが分かる。基地の西側約3・5キロの土地に高さ約160メートル、直径約120メートルの風車が12基建設される予定で、中国の方面にあたる空を巨大な『風車の壁』でふさぐ形だ。中国企業の〝ステルス参入〟を知る地元住民も反対している」
同町関係者は「国防上の影響が出るならば心配だ。住
民にもしっかりとした説明を果たしてほしい」と話す。
住民は、風車がもたらす低周波音による健康被害の不安
や、景観の破壊なども反対意見に挙げているという。
「世界風力会議」(本部・ベルギー)の発表によると、
昨年の風車メーカーの世界シェアは、2位の「金風科技」
を筆頭に、上位15位のうち実に10社が中国企業だ。
洋上風力発電に「国防上の懸念」
風車はレーダーの死角になる
再エネ推進派の秋本容疑者逮捕
洋上風力発電事業を巡り、受託収賄容疑で衆院議員の秋本真利容疑者(48)=自民党を離党=が東京地検特捜部に逮捕された事件が波紋を広げている。
政府が推進する再生可能エネルギー政策だが、政界の汚職事件に発展したことで不信感が強まることは避けられない。
政府が再エネの「切り札」と位置付ける洋上風力については「国防の障害」になるとの懸念が指摘されているほか、北海道の航空自衛隊基地周辺では、中国系企業が風力事業に〝ステルス参入〟しているとの証言もある。
逮捕容疑は2019年2月~22年2月ごろ、「日本風力開発」の塚脇正幸前社長(64)から数回、国会質問などを依頼され、19年3月ごろに現金3000万円を無利息無担保で借り受けたほか、塚脇氏らと設立した競走馬の組合などに絡み、21年10月~23年6月ごろに計約3100万円を受領した疑い。
秋本容疑者は7日、弁護士を通じ、「国会質問をした謝礼として賄賂を受け取った事実はありません。私は潔白です」とコメントを発表した。
自民党では異端の「脱原発派」として知られた秋本容疑者は、再エネ政策の旗振り役だった。周辺住民との調整や騒音、景観の問題をクリアしやすいこともあって期待感が高まる洋上風力だが、重大な問題を抱えているという。
小野寺五典元防衛相は8月20日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」で、「レーダーを阻害したり、あるいは他の国の製品を使うと、そこからどんな情報を日本から取っているかも分からない。安全保障上よく管理しないと、場所も、どの国が作っているかという資本も、よく確認することが一番喫緊の課題だ」と述べた。
「国防上の懸念」について自衛隊OBで自民党の佐藤正久元外務副大臣が説明する。
「航空自衛隊の管制レーダーの電波を風車の羽根が反射して、迅速な警戒監視活動に支障をきたす恐れがある。また、風車の反対側は電波が遮断された結果、レーダーの死角となって戦闘機などの正確な探知が困難になり、こちらのスクランブル発進が遅れてしまうことにもつながる。レーダーの標高や風車の高さによっては、100キロ以上離れていても影響が出る可能性がある。さらに、風車の部品を作る企業には中国など海外が資本の企業も多くある」
日本風力発電協会によると、昨年末時点で国内の陸上の風車は約2600基、洋上風力発電も計8カ所で46基だ。
2月に北海道で風力発電の状況を調査したという経済安全保障アナリストの平井宏治氏は、「稚内をはじめ、自衛隊の基地の近くに風力発電が多い」と話す。
平井氏は札幌市に隣接し、航空自衛隊のレーダー基地がある当別町で驚きの建設計画が進んでいると証言する。
「表向きの事業者は日本の会社だが、謄本や開示情報をつないでいくと裏に中国企業の子会社がいることが分かる。基地の西側約3・5キロの土地に高さ約160メートル、直径約120メートルの風車が12基建設される予定で、中国の方面にあたる空を巨大な『風車の壁』でふさぐ形だ。中国企業の〝ステルス参入〟を知る地元住民も反対している」
同町関係者は「国防上の影響が出るならば心配だ。住民にもしっかりとした説明を果たしてほしい」と話す。住民は、風車がもたらす低周波音による健康被害の不安や、景観の破壊なども反対意見に挙げているという。
「世界風力会議」(本部・ベルギー)の発表によると、昨年の風車メーカーの世界シェアは、2位の「金風科技」を筆頭に、上位15位のうち実に10社が中国企業だ。
「土地利用規制法」国籍確認だけでは不十分
平井氏は風力発電をめぐる別の問題も指摘する。北海道では2019年度末時点で346基の風車が稼働中だが、「北海道は鉱物も多い。陸上の風車建設時には、元請けが日本のボーリング会社でも、その下請けは安価を売りにした中国企業の日本支社だった実例もある。地下資源の情報だけでなく、洋上風車の建設や稼働の場合には、海底の地形や海流など国防上の重要データも海外へ〝ダダ漏れ〟となる可能性がある」という。
日本では昨年、安全保障上、重要な施設や国境の離島などを対象とする「土地利用規制法」が施行された。再エネ事情に詳しいジャーナリストの石井孝明氏は「所有者の国籍確認などだけでは不十分だ」と話す。
再エネ事業をめぐっては、太陽光パネルの大量設置もたびたび問題視されてきた。山口県岩国市では、中国系企業が海上自衛隊航空基地と米軍基地から近い土地をメガソーラー建設のために取得したが、石井氏は「実は同企業が取得したのは転売が繰り返されていた土地。こうしたケースではダミーの日本企業を間に挟む可能性もある。利用目的の入念な調査など、状況に合わせて2段階、3段階でチェックできるよう同法も進化させなければならない」と強調する。
岸田文雄政権も旗を振る再エネ政策だが、どうにもいい風は吹いてこないようだ。