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はてなキーワード: 足あととは

2024-12-02

anond:20241202074129

辞めたはずのミクシー

足あと確認する癖が抜けない

2024-10-01

最後にうれしいことを思いついた。美禰子は与次郎に金を貸すと言った。けれども与次郎には渡さないと言った。じっさい与次郎金銭のうえにおいては、信用しにくい男かもしれない。しかしその意味で美禰子が渡さないのか、どうだか疑わしい。もしその意味でないとすると、自分にははなはだたのもしいことになる。ただ金を貸してくれるだけでも十分の好意である自分に会って手渡しにしたいというのは――三四郎はここまで己惚れてみたが、たちまち、 「やっぱり愚弄じゃないか」と考えだして、急に赤くなった。もし、ある人があって、その女はなんのために君を愚弄するのかと聞いたら、三四郎はおそらく答ええなかったろう。しいて考えてみろと言われたら、三四郎は愚弄そのものに興味をもっている女だからとまでは答えたかもしれない。自分の己惚れを罰するためとはまったく考ええなかったに違いない。――三四郎は美禰子のために己惚れしめられたんだと信じている。  翌日はさいわい教師が二人欠席して、昼からの授業が休みになった。下宿へ帰るのもめんどうだから、途中で一品料理の腹をこしらえて、美禰子の家へ行った。前を通ったことはなんべんでもある。けれどもはいるのははじめてである。瓦葺の門の柱に里見恭助という標札が出ている。三四郎はここを通るたびに、里見恭助という人はどんな男だろうと思う。まだ会ったことがない。門は締まっている。潜りからはいると玄関までの距離は存外短かい長方形御影石が飛び飛びに敷いてある。玄関は細いきれいな格子でたてきってある。ベルを押す。取次ぎの下女に、「美禰子さんはお宅ですか」と言った時、三四郎自分ながら気恥ずかしいような妙な心持ちがした。ひとの玄関で、妙齢の女の在否を尋ねたことはまだない。はなはだ尋ねにくい気がする。下女のほうは案外まじめであるしかもうやうやしい。いったん奥へはいって、また出て来て、丁寧にお辞儀をして、どうぞと言うからついて上がると応接間へ通した。重い窓掛けの掛かっている西洋である。少し暗い。  下女はまた、「しばらく、どうか……」と挨拶して出て行った。三四郎は静かな部屋の中に席を占めた。正面に壁を切り抜いた小さい暖炉がある。その上が横に長い鏡になっていて前に蝋燭立が二本ある。三四郎は左右の蝋燭立のまん中に自分の顔を写して見て、またすわった。  すると奥の方でバイオリンの音がした。それがどこからか、風が持って来て捨てて行ったように、すぐ消えてしまった。三四郎は惜しい気がする。厚く張った椅子の背によりかかって、もう少しやればいいがと思って耳を澄ましていたが、音はそれぎりでやんだ。約一分もたつうちに、三四郎バイオリンの事を忘れた。向こうにある鏡と蝋燭立をながめている。妙に西洋のにおいがする。それからカソリック連想がある。なぜカソリックだか三四郎にもわからない。その時バイオリンがまた鳴った。今度は高い音と低い音が二、三度急に続いて響いた。それでぱったり消えてしまった。三四郎はまったく西洋音楽を知らない。しかし今の音は、けっして、まとまったものの一部分をひいたとは受け取れない。ただ鳴らしただけである。その無作法にただ鳴らしたところが三四郎情緒によく合った。不意に天から二、三粒落ちて来た、でたらめの雹のようである。  三四郎がなかば感覚を失った目を鏡の中に移すと、鏡の中に美禰子がいつのまにか立っている。下女がたてたと思った戸があいている。戸のうしろにかけてある幕を片手で押し分けた美禰子の胸から上が明らかに写っている。美禰子は鏡の中で三四郎を見た。三四郎は鏡の中の美禰子を見た。美禰子はにこりと笑った。 「いらっしゃい」  女の声はうしろで聞こえた。三四郎は振り向かなければならなかった。女と男はじかに顔を見合わせた。その時女は廂の広い髪をちょっと前に動かして礼をした。礼をするにはおよばないくらいに親しい態度であった。男のほうはかえって椅子から腰を浮かして頭を下げた。女は知らぬふうをして、向こうへ回って、鏡を背に、三四郎の正面に腰をおろした。 「とうとういらしった」  同じような親しい調子である三四郎にはこの一言が非常にうれしく聞こえた。女は光る絹を着ている。さっきからだいぶ待たしたところをもってみると、応接間へ出るためにわざわざきれいなのに着換えたのかもしれない。それで端然とすわっている。目と口に笑を帯びて無言のまま三四郎を見守った姿に、男はむしろ甘い苦しみを感じた。じっとして見らるるに堪えない心の起こったのは、そのくせ女の腰をおろすやいなやである三四郎はすぐ口を開いた。ほとんど発作に近い。 「佐々木が」 「佐々木さんが、あなたの所へいらしったでしょう」と言って例の白い歯を現わした。女のうしろにはさきの蝋燭立がマントルピースの左右に並んでいる。金で細工をした妙な形の台である。これを蝋燭立と見たのは三四郎の臆断で、じつはなんだかわからない。この不可思議蝋燭立のうしろに明らかな鏡がある。光線は厚い窓掛けにさえぎられて、十分にはいらない。そのうえ天気は曇っている。三四郎はこのあいだに美禰子の白い歯を見た。 「佐々木が来ました」 「なんと言っていらっしゃいました」 「ぼくにあなたの所へ行けと言って来ました」 「そうでしょう。――それでいらしったの」とわざわざ聞いた。 「ええ」と言って少し躊躇した。あとから「まあ、そうです」と答えた。女はまったく歯を隠した。静かに席を立って、窓の所へ行って、外面をながめだした。 「曇りましたね。寒いでしょう、戸外は」 「いいえ、存外暖かい。風はまるでありません」 「そう」と言いながら席へ帰って来た。 「じつは佐々木が金を……」と三四郎から言いだした。 「わかってるの」と中途でとめた。三四郎も黙った。すると 「どうしておなくしになったの」と聞いた。 「馬券を買ったのです」  女は「まあ」と言った。まあと言ったわりに顔は驚いていない。かえって笑っている。すこしたって、「悪いかたね」とつけ加えた。三四郎は答えずにいた。 「馬券であてるのは、人の心をあてるよりむずかしいじゃありませんか。あなた索引のついている人の心さえあててみようとなさらないのん気なかただのに」 「ぼくが馬券を買ったんじゃありません」 「あら。だれが買ったの」 「佐々木が買ったのです」  女は急に笑いだした。三四郎おかしくなった。 「じゃ、あなたお金がお入用じゃなかったのね。ばかばかしい」 「いることはぼくがいるのです」 「ほんとうに?」 「ほんとうに」 「だってそれじゃおかしいわね」 「だから借りなくってもいいんです」 「なぜ。おいやなの?」 「いやじゃないが、お兄いさんに黙って、あなたから借りちゃ、好くないからです」 「どういうわけで? でも兄は承知しているんですもの」 「そうですか。じゃ借りてもいい。――しかし借りないでもいい。家へそう言ってやりさえすれば、一週間ぐらいすると来ますから」 「御迷惑なら、しいて……」  美禰子は急に冷淡になった。今までそばにいたものが一町ばかり遠のいた気がする。三四郎は借りておけばよかったと思った。けれども、もうしかたがない。蝋燭立を見てすましている。三四郎自分から進んで、ひとのきげんをとったことのない男である。女も遠ざかったぎり近づいて来ない。しばらくするとまた立ち上がった。窓から戸外をすかして見て、 「降りそうもありませんね」と言う。三四郎も同じ調子で、「降りそうもありません」と答えた。 「降らなければ、私ちょっと出て来ようかしら」と窓の所で立ったまま言う。三四郎は帰ってくれという意味解釈した。光る絹を着換えたのも自分のためではなかった。 「もう帰りましょう」と立ち上がった。美禰子は玄関まで送って来た。沓脱へ降りて、靴をはいていると、上から美禰子が、 「そこまでごいっしょに出ましょう。いいでしょう」と言った。三四郎は靴の紐を結びながら、「ええ、どうでも」と答えた。女はいつのまにか、和土の上へ下りた。下りながら三四郎の耳のそばへ口を持ってきて、「おこっていらっしゃるの」とささやいた。ところへ下女があわてながら、送りに出て来た。  二人は半町ほど無言のまま連れだって来た。そのあい三四郎はしじゅう美禰子の事を考えている。この女はわがままに育ったに違いない。それから家庭にいて、普通女性以上の自由を有して、万事意のごとくふるまうに違いない。こうして、だれの許諾も経ずに、自分といっしょに、往来を歩くのでもわかる。年寄りの親がなくって、若い兄が放任主義から、こうもできるのだろうが、これがいなかであったらさぞ困ることだろう。この女に三輪田のお光さんのような生活を送れと言ったら、どうする気かしらん。東京はいなかと違って、万事があけ放しだからこちらの女は、たいていこうなのかもわからないが、遠くから想像してみると、もう少しは旧式のようでもある。すると与次郎が美禰子をイブセン流と評したのもなるほどと思い当る。ただし俗礼にかかわらないところだけがイブセン流なのか、あるいは腹の底の思想までも、そうなのか。そこはわからない。  そのうち本郷の通りへ出た。いっしょに歩いている二人は、いっしょに歩いていながら、相手がどこへ行くのだか、まったく知らない。今までに横町を三つばかり曲がった。曲がるたびに、二人の足は申し合わせたように無言のまま同じ方角へ曲がった。本郷の通りを四丁目の角へ来る途中で、女が聞いた。 「どこへいらっしゃるの」 「あなたはどこへ行くんです」  二人はちょっと顔を見合わせた。三四郎はしごくまじめである。女はこらえきれずにまた白い歯をあらわした。 「いっしょにいらっしゃい」  二人は四丁目の角を切り通しの方へ折れた。三十間ほど行くと、右側に大きな西洋館がある。美禰子はその前にとまった。帯の間から薄い帳面と、印形を出して、 「お願い」と言った。 「なんですか」 「これでお金を取ってちょうだい」  三四郎は手を出して、帳面を受取った。まん中に小口当座預金通帳とあって、横に里見美禰子殿と書いてある。三四郎帳面と印形を持ったまま、女の顔を見て立った。 「三十円」と女が金高を言った。あたか毎日銀行へ金を取りに行きつけた者に対する口ぶりである。さいわい、三四郎は国にいる時分、こういう帳面を持ってたびたび豊津まで出かけたことがある。すぐ石段を上って、戸をあけて、銀行の中へはいった。帳面と印形を係りの者に渡して、必要金額を受け取って出てみると、美禰子は待っていない。もう切り通しの方へ二十間ばかり歩きだしている。三四郎は急いで追いついた。すぐ受け取ったものを渡そうとして、ポッケットへ手を入れると、美禰子が、 「丹青会の展覧会を御覧になって」と聞いた。 「まだ見ません」 「招待券を二枚もらったんですけれども、つい暇がなかったものからまだ行かずにいたんですが、行ってみましょうか」 「行ってもいいです」 「行きましょう。もうじき閉会になりますから。私、一ぺんは見ておかないと原口さんに済まないのです」 「原口さんが招待券をくれたんですか」 「ええ。あなた原口さんを御存じなの?」 「広田先生の所で一度会いました」 「おもしろいかたでしょう。馬鹿囃子稽古なさるんですって」 「このあいだは鼓をならいたいと言っていました。それから――」 「それから?」 「それからあなた肖像をかくとか言っていました。本当ですか」 「ええ、高等モデルなの」と言った。男はこれより以上に気の利いたことが言えない性質である。それで黙ってしまった。女はなんとか言ってもらいたかったらしい。  三四郎はまた隠袋へ手を入れた。銀行の通帳と印形を出して、女に渡した。金は帳面の間にはさんでおいたはずであるしかるに女が、 「お金は」と言った。見ると、間にはない。三四郎はまたポッケットを探った。中から手ずれのした札をつかみ出した。女は手を出さない。 「預かっておいてちょうだい」と言った。三四郎はいささか迷惑のような気がした。しかしこんな時に争うことを好まぬ男である。そのうえ往来だからなおさら遠慮をした。せっかく握った札をまたもとの所へ収めて、妙な女だと思った。  学生が多く通る。すれ違う時にきっと二人を見る。なかには遠くから目をつけて来る者もある。三四郎は池の端へ出るまでの道をすこぶる長く感じた。それでも電車に乗る気にはならない。二人とものそのそ歩いている。会場へ着いたのはほとんど三時近くである。妙な看板が出ている。丹青会という字も、字の周囲についている図案も、三四郎の目にはことごとく新しい。しか熊本では見ることのできない意味で新しいので、むしろ一種異様の感がある。中はなおさらである三四郎の目にはただ油絵水彩画区別が判然と映ずるくらいのものにすぎない。  それでも好悪はある。買ってもいいと思うのもある。しか巧拙はまったくわからない。したがって鑑別力のないものと、初手からあきらめた三四郎は、いっこう口をあかない。  美禰子がこれはどうですかと言うと、そうですなという。これはおもしろいじゃありませんかと言うと、おもしろそうですなという。まるで張り合いがない。話のできないばかか、こっちを相手にしない偉い男か、どっちかにみえる。ばかとすればてらわないところに愛嬌がある。偉いとすれば、相手にならないところが憎らしい。  長い間外国旅行して歩いた兄妹の絵がたくさんある。双方とも同じ姓で、しかも一つ所に並べてかけてある。美禰子はその一枚の前にとまった。

anond:20241001222935

ベニスでしょう」

 これは三四郎にもわかった。なんだかベニスらしい。ゴンドラにでも乗ってみたい心持ちがする。三四郎高等学校にいる時分ゴンドラという字を覚えた。それからこの字が好きになった。ゴンドラというと、女といっしょに乗らなければすまないような気がする。黙って青い水と、水と左右の高い家と、さかさに映る家の影と、影の中にちらちらする赤い片とをながめていた。すると、

「兄さんのほうがよほどうまいようですね」と美禰子が言った。三四郎にはこの意味が通じなかった。

「兄さんとは……」

「この絵は兄さんのほうでしょう」

「だれの?」

 美禰子は不思議そうな顔をして、三四郎を見た。

だって、あっちのほうが妹さんので、こっちのほうが兄さんのじゃありませんか」

 三四郎は一歩退いて、今通って来た道の片側を振り返って見た。同じように外国景色かいものが幾点となくかかっている。

「違うんですか」

「一人と思っていらしったの」

「ええ」と言って、ぼんやりしている。やがて二人が顔を見合わした。そうして一度に笑いだした。美禰子は、驚いたように、わざと大きな目をして、しかもいちだんと調子を落とした小声になって、

「ずいぶんね」と言いながら、一間ばかり、ずんずん先へ行ってしまった。三四郎は立ちどまったまま、もう一ぺんベニスの掘割りをながめだした。先へ抜けた女は、この時振り返った。三四郎自分の方を見ていない。女は先へ行く足をぴたりと留めた。向こうから三四郎の横顔を熟視していた。

里見さん」

 だしぬけにだれか大きな声で呼んだ者がある。

 美禰子も三四郎も等しく顔を向け直した。事務室と書いた入口を一間ばかり離れて、原口さんが立っている。原口さんのうしろに、少し重なり合って、野々宮さんが立っている。美禰子は呼ばれた原口よりは、原口より遠くの野々宮を見た。見るやいなや、二、三歩あともどりをして三四郎そばへ来た。人に目立たぬくらいに、自分の口を三四郎の耳へ近寄せた。そうして何かささやいた。三四郎には何を言ったのか、少しもわからない。聞き直そうとするうちに、美禰子は二人の方へ引き返していった。もう挨拶をしている。野々宮は三四郎に向かって、

「妙な連と来ましたね」と言った。三四郎が何か答えようとするうちに、美禰子が、

「似合うでしょう」と言った。野々宮さんはなんとも言わなかった。くるりとうしろを向いた。うしろには畳一枚ほどの大きな絵がある。その絵は肖像画である。そうしていちめんに黒い。着物帽子も背景から区別のできないほど光線を受けていないなかに、顔ばかり白い。顔はやせて、頬の肉が落ちている。

「模写ですね」と野々宮さんが原口さんに言った。原口は今しきりに美禰子に何か話している。――もう閉会である来観者もだいぶ減った。開会の初めには毎日事務所へ来ていたが、このごろはめったに顔を出さない。きょうはひさしぶりに、こっちへ用があって、野々宮さんを引っ張って来たところだ。うまく出っくわしたものだ。この会をしまうと、すぐ来年の準備にかからなければならないから、非常に忙しい。いつもは花の時分に開くのだが、来年は少し会員のつごうで早くするつもりだから、ちょうど会を二つ続けて開くと同じことになる。必死勉強をやらなければならない。それまでにぜひ美禰子の肖像をかきあげてしまうつもりである迷惑だろうが大晦日でもかかしてくれ。

「その代りここん所へかけるつもりです」

 原口さんはこの時はじめて、黒い絵の方を向いた。野々宮さんはそのあいだぽかんとして同じ絵をながめていた。

「どうです。ベラスケスは。もっとも模写ですがね。しかもあまり上できではない」と原口がはじめて説明する。野々宮さんはなんにも言う必要がなくなった。

「どなたがお写しになったの」と女が聞いた。

三井です。三井もっとうまいんですがね。この絵はあまり感服できない」と一、二歩さがって見た。「どうも、原画が技巧の極点に達した人のものから、うまくいかいね

 原口は首を曲げた。三四郎原口の首を曲げたところを見ていた。

「もう、みんな見たんですか」と画工が美禰子に聞いた。原口は美禰子にばかり話しかける。

「まだ」

「どうです。もうよして、いっしょに出ちゃ。精養軒でお茶でもあげます。なにわたしは用があるから、どうせちょっと行かなければならない。――会の事でね、マネジャー相談しておきたい事がある。懇意の男だから。――今ちょうどお茶にいい時分です。もう少しするとね、お茶にはおそし晩餐には早し、中途はんぱになる。どうです。いっしょにいらっしゃいな」

 美禰子は三四郎を見た。三四郎はどうでもいい顔をしている。野々宮は立ったまま関係しない。

「せっかく来たものから、みんな見てゆきましょう。ねえ、小川さん」

 三四郎はええと言った。

「じゃ、こうなさい。この奥の別室にね。深見さんの遺画があるから、それだけ見て、帰りに精養軒へいらっしゃい。先へ行って待っていますから

「ありがとう」

「深見さんの水彩は普通の水彩のつもりで見ちゃいけませんよ。どこまでも深見さんの水彩なんだから。実物を見る気にならないで、深見さんの気韻を見る気になっていると、なかなかおもしろいところが出てきます」と注意して、原口は野々宮と出て行った。美禰子は礼を言ってその後影を見送った。二人は振り返らなかった。

 女は歩をめぐらして、別室へはいった。男は一足あとから続いた。光線の乏しい暗い部屋である。細長い壁に一列にかかっている深見先生の遺画を見ると、なるほど原口さんの注意したごとくほとんど水彩ばかりである三四郎が著しく感じたのは、その水彩の色が、どれもこれも薄くて、数が少なくって、対照に乏しくって、日向へでも出さないと引き立たないと思うほど地味にかいてあるという事である。その代り筆がちっとも滞っていない。ほとんど一気呵成に仕上げた趣がある。絵の具の下に鉛筆輪郭が明らかに透いて見えるのでも、洒落な画風がわかる。人間などになると、細くて長くて、まるで殻竿のようである。ここにもベニスが一枚ある。

「これもベニスですね」と女が寄って来た。

「ええ」と言ったが、ベニスで急に思い出した。

「さっき何を言ったんですか」

 女は「さっき?」と聞き返した。

「さっき、ぼくが立って、あっちのベニスを見ている時です」

 女はまたまっ白な歯をあらわした。けれどもなんとも言わない。

「用でなければ聞かなくってもいいです」

「用じゃないのよ」

 三四郎はまだ変な顔をしている。曇った秋の日はもう四時を越した。部屋は薄暗くなってくる。観覧人はきわめて少ない。別室のうちには、ただ男女二人の影があるのみである。女は絵を離れて、三四郎真正面に立った。

「野々宮さん。ね、ね」

「野々宮さん……」

「わかったでしょう」

 美禰子の意味は、大波のくずれるごとく一度に三四郎の胸を浸した。

「野々宮さんを愚弄したのですか」

「なんで?」

 女の語気はまったく無邪気である三四郎は忽然として、あとを言う勇気がなくなった。無言のまま二、三歩動きだした。女はすがるようについて来た。

あなたを愚弄したんじゃないのよ」

 三四郎はまた立ちどまった。三四郎は背の高い男である。上から美禰子を見おろした。

「それでいいです」

「なぜ悪いの?」

「だからいいです」

 女は顔をそむけた。二人とも戸口の方へ歩いて来た。戸口を出る拍子に互いの肩が触れた。男は急に汽車で乗り合わした女を思い出した。美禰子の肉に触れたところが、夢にうずくような心持ちがした。

「ほんとうにいいの?」と美禰子が小さい声で聞いた。向こうから二、三人連の観覧者が来る。

「ともかく出ましょう」と三四郎が言った。下足を受け取って、出ると戸外は雨だ。

「精養軒へ行きますか」

 美禰子は答えなかった。雨のなかをぬれながら、博物館前の広い原のなかに立った。さいわい雨は今降りだしたばかりである。そのうえ激しくはない。女は雨のなかに立って、見回しながら、向こうの森をさした。

「あの木の陰へはいりましょう」

 少し待てばやみそうである。二人は大きな杉の下にはいった。雨を防ぐにはつごうのよくない木である。けれども二人とも動かない。ぬれても立っている。二人とも寒くなった。女が「小川さん」と言う。男は八の字を寄せて、空を見ていた顔を女の方へ向けた。

「悪くって? さっきのこと」

「いいです」

だって」と言いながら、寄って来た。「私、なぜだか、ああしたかったんですもの。野々宮さんに失礼するつもりじゃないんですけれども」

 女は瞳を定めて、三四郎を見た。三四郎はその瞳のなかに言葉よりも深き訴えを認めた。――必竟あなたのためにした事じゃありませんかと、二重瞼の奥で訴えている。三四郎は、もう一ぺん、

「だから、いいです」と答えた。

 雨はだんだん濃くなった。雫の落ちない場所わずしかない。二人はだんだん一つ所へかたまってきた。肩と肩とすれ合うくらいにして立ちすくんでいた。雨の音のなかで、美禰子が、

「さっきのお金をお使いなさい」と言った。

「借りましょう。要るだけ」と答えた。

「みんな、お使いなさい」と言った。

チアプの好きなもの欄にVtuberって書くな

チアプのやばい男への愚痴、第二弾

 第一弾→https://anond.hatelabo.jp/20240929095152

好きなもの Vtuber なろう系

きっしょ。

頭悪そう。

異性を内心バカにしてる割に優しくされるとコロッと逝って大量課金しそうなアホ🤓の香ぞする。

メッセージ初期にタメ口挟んでくる

親しみやすさアピかもしれんけどマイナスやで!

悪いことは言わん、やめとき

プロフ二郎

画面から悪臭漂わすのやめい。

なんやそのきったない脂とモヤシエベレストは。男友達作りに来てんとちゃうぞ!

好きな食べ物を載せましょうってアプリ言葉鵜呑みにしちゃった?ばぁか💕

モテ野郎見てみろよカフェのちっちぇケーキコーヒーしか勝たなんだワ。

彼女と食えるもん載せろ。まさか二郎行かねえだろ?

嘘つき

バレてるで。

足あとだけ何回も付けるマン

何往復してんねん。帰れ二度と来んな。

👣👣👣ハイウェイスターかお前は👣👣👣

いいねしようにもスカした横顔足組みの俺イケメンポーズが気に入らん。しっしっ。

無理してるマン

もうちょい肩の力抜いてほらー。

付き合ったらそんな態度しないでしょ?自然体でいてくださいよ。

からしたら何回無視されてきたかからいから気張る気持ちも分かるけどね、あなた自身の姿が見えてこないか判断できなくなる。

セールストークやめましょう。友達だと思ってホラホラ。

番外編

メガネ

よっぽど似合ってるわけじゃない限り外しましょう。

メガネっていうのは芸能人でさえ地味ダサ子ちゃんに変える呪いアイテムですわよ。

2024-07-25

anond:20240725150739

真っ当に評価されていないからこそ医大不正入試事件だし、以降は女性合格率が50%近くまで上がったんだよゴミカス

お前は女様の足あとを舐めて歩けよチンカス

2023-12-23

anond:20231223012048

そもそもが初期のインターネッツ草の根ネットの延長で

面白いのはそこで同志とくっちゃべることなんだよな

そっちの方面は、掲示板個人サイト)、ブログSNSと流れていく

掲示板の頃は「相互リンク」で繋がっていたし

ブログなら相互リンクから一歩進んで、互いに言及し合うことで客を融通しあって繋がってた

そこに名詞がついたのが「はてな村」だね

検索ホッテントリ入りなんてのは、結構あとの話で

それまでは「ポータルサイト」とかのお世話になることになる

相互リンクようにバナー作ったりしたよね)

相互リンクからサイトを辿って、掲示板挨拶から入って、即売会訪問してオフ会ってな感じ

結構狭い世界だったけど、それまでの雑誌の読者コーナーとかで繋がるよりかは遥かに広くて

あれらの存在に救われたおたくは当時多かったはず

mixi発足当時は、招待制により荒れない場として注目され、ログインできることがステータスの時期もあったりした

足あと機能によりmixi疲れなんて言葉を生み出したりした

古の昔から続く掲示板文化も輸入され

キリ番だの踏み逃げだのと面倒くさい時代だった


コンテンツとしての充実は、ネット回線の拡幅とサーバー容量の増大を待つ必要があった

それまではテキストサイトが主流で

みんなが掲示板とかでテキストサイトの真似してた

ちゆ12歳とか侍魂とか覚えてる人もいよう

あの頃はキャラとの掛け合いが普通に行われていて

Pとか提督とかではなく、普通にボクが話をするってパターンが多かった

夢小説とか真っ青な痛い文章がそこら変にゴロゴロしてた

思い出すとベッドを転がりたい御仁も多かろう

個人サイトほとんどは跡形もなく

正直、あの当時のログとか残ってなくて本当に良かったと思う


テキストサイトの延長という訳では無いが

携帯一般に普及してimodeサイトが安定していくと

魔法のiらんどなどの投稿サイトが盛り上がっていくことになる

ケータイ小説などで一時期注目もされた

スマホじゃなくケータイでよく書いたよなって今にすると思うけど

インターネットの話をする時に、imodeのことはスコーンって抜ける人いるよね

あの「北へ。」もメールゲームをやっていたんだ

選択するとメールが来て、また選択してってやるんだけど

メールちゃんキャラ名で届くんだぜ

携帯(imode)で活動してる人と、PC活動してる人のインターネット観は全然別物なんじゃなかろかって思うんだよな

私はあんまし携帯活動してないからモバゲタウンとかの内情をしらないんだよね

ゲーム情報交換で掲示板ちょっと覗いたくらいで

そっち側のコミュニティ歴史とかも知りたいね



毛色の違うところでは

MADアングラでやり取りされて

隠語符丁で取りに行く類のものだった

表では話題にするなと自治が行われ秘密結社のようだった

紙袋に包んでビデオテープダビングなどで配られたり

リンクのないページでパス付きで限定配布されたりと

違法行為だよってことを認識したものだった

番頭ビデオとか、アレ間違いなく中の人仕業だよなって思う編集だけど

デジタルでないアナログでよくぞあそこまでって出来だったよ(当時は)


ツールデジタル化されて、ニコニコとかで気楽に(違法コンテンツがやり取りされるようになって

そこからだよね

市井の才能ある人が世に出やすくなった、みたいなの

ボカロによって、それまでmidi文化に閉じこもっていた音楽界隈が表に出てきて

動画制作が楽になってMAD職人特別な機材なしに誕生できるようになった

これらは、マネタイズがどうとかそういうことじゃなくて

面白いことを出来る遊び場として認知されたからで

それなりの作家表現の場とした初期のエロゲとかと一緒よね


初期の熱量がなくなると大抵は陳腐化するけど

それは元増田がうだうだ並べてるようなことじゃなくて

単に「新規性がなくなった」だけの話よね

2023-12-21

ツイッターが死んだ

Twitter本日死亡

Tumblrポルノ禁止で死んだ

mixi足あと機能で死亡

note炎上で死亡

四天王が全員死んだ

我々増田が、日本を支えていこう!!

では、

斉唱ください

せーの、

日本死ね!!!!!

2023-10-30

anond:20231030131734

しあわせは 歩いてこないだから歩いて ゆくんだね

一日一歩 三日で三歩三歩進んで 二歩さがる

人生は ワン・ツー・パンチ

汗かき べそかき 歩こうよ

あなたのつけた 足あと

奇麗な花が咲くでしょう(←なぜか?要出典


腕を振って足をあげてワン・ツー!ワン・ツー!止まらないで歩け

それワン・ツー!ワン・ツー!

2023-10-29

マッチングアプリでの婚活おもろい

オレは男なんだけど「ぬいペニ」を理解したというか、自分の中に相手女性として見れる境界線と、人間として見れる境界線があるのを実感したわ。

人間として見れるけど女性として見れない相手からいいねが来ると急にウッ!!キモ……!!となる。

まあ、人間としてすら見れない相手だと足あとつくだけでも不快ブロックしまくってた。視界に入れるだけで不快なんよね。

安心して見れるお気に入りリストを作ってから、そこからいいねをしていってマッチングしてカフェとか行くとストレスなく楽しめる。

週に一回お気に入りリストを作るためにいろいろなのを見る必要があるのだけがキツいが、まあ許容範囲内。

2023-08-07

マッチングしなさすぎワロタ追記:した】

誰だよ女はマッチング率80%とか言ったの!

全滅だよ全滅!

31歳!BMI19普通体型!友人と楽しそうに遊ぶ他撮り写真

共通趣味があっていいね10以下の30代にしか送らなかったのに誰からも返ってきやしねぇ〜!!!

まだ見てないのかもな♪て思ったけど足あとはついてるから見た上でスキップされてるんだなぁ!

そんな顔クリーチャーでもないんだけどなぁ〜〜〜

人並みに生きるの、難しいね

追記

シャツ着てるのがだめなんかな…て無地の服着てる写真差し替えたら秒でマッチングした

人生、チョロいね

2022-11-20

30代のおばはんと結婚とかアリエンティ

いくらワイがKKOからってペアーズで足あと付けられるのも勘弁して欲しいっす。

なんでその顔面プロフィール写真に載せられたのか小一時間説教したいっす。

2022-10-22

anond:20221021235845

いいね数を稼ぐためにモテなさそうな奴に足あと付けていいねさせるんやで😞

2022-10-04

いいね!した女が毎日謎に足あとをつけてくる

チアプでいいね!した女がマッチングするでもなくなぜか毎日足跡だけつけて来る。

もう1ヶ月以上連続だ。

何がしたいのかわからんし、正直気味が悪い。

こっちのプロフィール写真自己紹介文も最初から一切変えてないし毎日何を見に来ているのやら。

もしかしてSOSかいつか殺すとか何か別のメッセージを伝えようとしているのかもしれんが、俺はコナン君じゃないし残念ながら気づけない。

気軽にこの女にいいね!したことを後悔するばかりだ。

2022-08-16

ねこが22歳になってから

(前回のご報告)https://anond.hatelabo.jp/20220602124912

拾ったねこなので誕生日とかもわからないのだけど、ボロボロのこねこ9月に拾った時に多分生後3ヶ月くらいだった。ということで毎年6月をお誕生月にしているのでこないだ22歳になったばかりなのですが、たいそう老いねことの生活毎日がおなじことの繰り返しである一方で、こねこにも負けない速さでうつろっていくことを身にしみて感じています日常と非日常が並立する中で感じたことを文字にしたく思い、ここに駄文を記します。

あいもかわらぬねこ一匹ひと一人の生活ですが、どうもお食事を召し上がる際に飲み込むよりもお口からぽろぽろと落としてしまうことが多くなりました。幸いなことに食欲はもりもりとあるので、そのもどかしさを晴らすような勢いでお皿の中にお顔を突っ込むような食べ方をされるようになりました。お皿をかつかつと鳴らしながら勇壮に召し上がる姿はなかなかに晴れやかなものですが、お食事後はお顔から喉にかけてでろでろになってしまます。もちろんできるだけお拭きするのですが、ねこも汚れが気になるのかグルーミングしたいけど肩のあたりしか届かず、そこだけが禿げて痛々しくなってしまいました。そこで、良さげなねこスタイを見つけたのでお召しいただいています

https://item.rakuten.co.jp/tissue/10000020/

増田彼女のくび周りがはげるのがちょっと悲しくてずっと首輪は付けないようにしていたのですが、このスタイはあまり気にならないご様子ですし、こころしか可愛さも増したようにも感じます

ところで、増田最近動画サイトで「猫の惑星」という曲の存在を知り、それ以来お口の周りを拭いたり使用済みペットシーツを片付けたりといったお世話の際はずっとくちづさんでいたりします。特定運命の元で生まれ特定人間にとっての上位種たる猫に奉仕する喜びを歌い上げた名曲だと思うのですが、増田にとっては奉仕というよりもっと自己愛に近いもののように感じます。22年間に渡るねこ一匹ひと一人の生活のなかで増田ねこはもはや増田自我の一部分が拡張されたものになっていて、お世話と称しているものも単なるセルフケアに過ぎず、他者に対して無償の愛を捧げるような立派なものでは決してない、と思うのです。彼女にしてみれば、勝手に同一視した上で自由であるべき生活の一部を拘束しているわけですから何を言ってるんだということになりますが、それはそれでお互いうまくやってこれたと感じてほしいなどと、増田の膝の上でくつろぐねこの拭ききれなかった汚れがちょっとかぴかぴになってる毛皮をなでながら願っています

増田ねこのことを書くようになって、このように自分あやふや感情言語化する癖がつきました。正直なところ夜中の3時から2時間ごとに起こされて朦朧としながらお食事の用意をしたり、その中にお薬を間違えないように混ぜ込んだり、お水を替えたりしているときに、粗相されていたものをあやまって踏んでしまったときなど床を叩いて喚き散らしたい気分になってしま未明にひとり気まずい気分になることもままあります。でも、それは増田自分のために自己愛でやっていることであるならば、本質的には箪笥の角に小指をぶつけるのと何も変わりませんし、小指をおもいっきりぶつけたら床を叩いて喚き散らすくらい当然です。「犠牲厭わぬ愛の極み」に辿り着けない増田はそのように考えています

冒頭で述べたように、これまで描いてきたような宇宙船新幹線の中で安穏と隔離された世界は消えてしまったのかもしれません。残念ながら彼女体重もだいぶ減ってしまいました。ねこが今まで以上に増田お腹の上で足を伸ばして寝ようとするのもどこかしら調子が悪いからだとおもいますが、それでも抱いているとそのままぷすーぷすーと鼻息を鳴らしたり、夢を見つつまえ足あと足をぱたぱたさせたりします。そして増田はすっかり起伏があらわになってしまった背中を撫でながら「増田ねこかわいいよいこ」と魔法呪文を唱え続ける。そんな感じの代わり映えのない生活は続いていますこちらからは以上です

https://imgur.com/a/gKdNu3j

2022-06-17

anond:20220617165252

はっ?俺の足あとが残っちゃうじゃん。

弁護士Twitterを踏むなど、痴漢計画があった」として裁判で不利よ?

2022-05-28

anond:20220528174849

何回も足あと付けてくる3つ上の人にいいねしたら無視されたわ

珍獣ウォッチングされてたんかワイは

何回も足あと付けてくるっていいね待ちやと思うやん?

なんでスルーやねん

珍獣観察のつもりか

2022-05-27

ワイ、足あとを残しただけでブロックされる

ワイはゴキブリかなんかか

2022-05-24

マッチングどころか足あとすらつかなくなった

ここでもワイは透明な存在か…

2022-05-23

anond:20220520123540

基本的には、一度離れたら終わりだ。

mixi足あと機能も、廃止されて離れて、その後戻ったらしいが、俺は戻らなかった。

それは俺だけじゃなくて、結構たくさんの人がそうだった結果、mixiは衰退した。

ニコニコ動画も、そういうことなんじゃないかなぁと。

2021-06-30

anond:20210630143928

猫のアイコンにしている、🐾←みたいな「動物足あと」をスクリーンネームに入れている。

も、地雷系。

2021-05-02

anond:20210502224245

足あと改悪ケチのつきはじめ。

あとはモバイル対応が遅れたのが致命的だったんじゃないかな。

2021-04-04

ねこが21歳になろうとしている

(前回のご報告)https://anond.hatelabo.jp/20201224131256

拾ったねこなので誕生日とかもわからないのだけど、ボロボロのこねこ20年前の9月に拾った時に多分生後3ヶ月くらいだった。ということで毎年6月誕生月ということにしているので、なんとあと2ヶ月で21歳ということになります。この一年でかなりまえ足あと足が動きづらくなったご様子ですし、耳もだいぶんと聴こえづらいように見受けられますが、いたって元気にこの冬を越えられたことをことほぎ、増田駄文をしたためたいと思います

20年以上続いたねこ一匹ひと一人の生活ですが、とくにここ一年続いているリモート勤務のおかげでねこ増田との距離感も随分と変わったように感じます彼女にしてみれば、昼夜問わずとにかく要求すれば何らかのリアクションが返ってくるのが心地よいのでしょう。もはや、自分がいま大声で要求しているものご飯なのかおやつなのかだっこなのかブラッシングなのかよくわからなくなったけどとにかく早くしろ、その前にとりあえずおまえの膝のうえにのせろ。といった感じのことも増えてきました。とは言うものの、高齢猫はまず食べてもらうことが大事。頻繁に変わるご嗜好の様子を見つつ、療養食の縛りも外しておやつ用の高齢猫用かつおぶしとかエナジーちゅーるなどもご用意して順次お出ししているわけですが、相変わらずモリモリとお食事を楽しまれているご様子でひとまずはほっとしています

さらなるQOL改善にいささかなりとも貢献するために、日々アマゾンで「高齢猫 ウェットフード」で検索しながら、次は何を召し上がっていただこうかと悩むのですが、そんななか

https://www.amazon.co.jp/product-reviews/B0756ZDVZL/

https://www.amazon.co.jp/product-reviews/B003O8NMSM/

こちらのようなレビューを読むと、とてもつらく、いたたまれない気持ちになったりします。それと同時に増田そば平穏老いてゆくねこがいて、ともに時を過ごせていることをとてもうれしく感じたりもしています

もう一つ変わったことといえば、10年ぶりくらいに夜間、増田のふとんに潜り込んでくるようになりました。右の脇に滑り込んで、肩にまえあしをのせてねこのひたいを増田の頬にぐいぐいと押し当てくるわけです。ねこのひたいは狭いといえどふわふわもふもふで心地よいのですが、鼻先があたると湿って冷たいし鼻水でずるずるになるので増田との間で角度の争いが毎夜発生したりもします。

増田はこれまで積み上げてきたねこ経験からねこもっとも心を許した振る舞いとは、くびの力を抜いて頭を持たれかける姿勢を取ることだという説を唱えています実家ねこ増田のひざの上には来るのですが、力を抜いて増田のひざにあごを預けるまでには小一時間じっとしている必要があります増田ねこはたぶんめんどくさいとかしんどいかいった理由で、もはや抱えるとすぐ脱力するのですが、それでも肩の上にかかるねこのあたまの重みは増田にとってかけがえの無いものです。問題は昨年末から増田の右肩がひどい四十肩になってしまたことで、それはもう地獄のような夜でした(そして左肩には決して来ようとはしない)。耐えたけど。

なお、増田が寝付くと居間自分の箱に戻るようで、夜中ふと目を覚ますといつの間にかいなくなってたりします。なんとなく寝付けなくてぼんやりスマホなど眺めてると、それを察して寝室に戻ってきたりもします。耳はだいぶ遠いはずなのですが、なぜ増田の目が覚めたことがわかるのかとても不思議です。

先日、とあるテレビ番組温泉旅館に住む24歳になる看板猫の姿を拝見しました。毛皮の色こそ違いますが、密度が薄くなったコートのぼさぼさ加減、手足を曲げずにふらふらと、でもかくしゃくと歩く姿、ちょっと曇った瞳、ぎにゃあとしわがれた大声を出し旅館のおかみさんブラッシングを所望する姿など、まるで我が家を見る思いでした。ちょっとまって、あと3年これ続くの正直大変じゃない?と思いつつも、できる限り永く幸せに過ごしていただきたいとも思うのです。

世の中には幸福ねこも不幸なねこもたくさんいる中で、増田はたった一匹のねこと過ごすことしかできず、世界平和をかなえるには全くの無力なのですが、それでも運良く増田がさずかった「一匹のねこを終生幸せにする権利」を最後まできっちりと行使していきたいです。そんな所信表明をしたところで今回の報告を終わりたいと思います

追記

https://b.hatena.ne.jp/entry/4700764641346911234/comment/ifttt 増田のほうが寝かしつけられている……

https://b.hatena.ne.jp/entry/4700764641346911234/comment/ardarim 増田を寝かしつける猫。いい増田出会えてよかったね

ちょっとまって!!これって増田が寝かしつけられてたの?そうだったの?でもたしかそうかもしれない……。こんどお礼を伝えておきます

また、その他のみなさまにつきましても、いつもあたたかコメントありがとうございます

増田からも、みなさまとみなさまが愛する生き物たちがこれから幸せにでありますうご祈念いたします。また春が来ますね。

追記終わり)

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