アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンが15日、首都カブールを制圧し、ガニ政権は崩壊した。2001年の米同時多発テロ後、米英軍の攻撃で政権を追われたタリバンが20年ぶりに復権し、政権樹立へ向かう。国際社会はこれまで承認してこなかったタリバンとどう向き合い、どのように地域安定へ導くのか。
カマル・アラム氏=米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」非常勤上級研究員
少数民族と連立政権なるか
イスラム主義組織タリバンが制圧したアフガニスタンに滞在しているが、カブール市内は戦闘も起きておらず治安は保たれている。ただ、市民がタリバンを歓迎しているとは思えない。みんな不安と緊張の中で、これから何が起きるのかを待っている。(★注、略奪や放火や暴動、虐殺は起きておらず、なんと、タリバンのカブール進駐では以前よりも治安が良くなったとの報道がある)
タリバンの統治は、選挙や民主主義などの欧米価値観を否定して昔からのジルカ(部族指導者による議会)やシューラ(村落評議会)に戻るはずだ。パキスタンなど3ヶ国しか承認していなかった20年前の失敗に凝りて、現在タリバンが重視しているのは国際的な承認だ。(★注、タリバンが衆人環視の首都カブールで蛮行を行う失敗を犯す愚かさに気が付いたとすれば、それなら日本政府のように大慌てでカブール国際空港に救援機を出す必要性はゼロ)
アメリカはガニのような外国育ちを持ってきて、汚職や腐敗のレガシーを残しただけで完全に失敗した。
米、歴史に学ばず戦略ミスフセイン・ハッカ元駐米パキスタン大使
アメリカは歴史やアフガン社会やタリバンを理解できず壊滅的失敗を犯した。
アフガンには一つのパターンがある。政権側の人たちが、反政府側が優勢と見るや戦わずに四散するのだ。(1991年にソ連が崩壊)1992年にアフガンの共産主義政権が崩壊した時も、タリバンが1996年に最初に政権を奪った時も、米軍が2001年にタリバンを倒した時もそうだった。今回タリバンの攻勢で政府軍は四散し、歴史は繰り返された。(★注、正義も主義主張もクソもなく、ほぼ日本の戦国時代のように生き残りのためには「いかにして勝ち馬に乗るか」が勝敗の決めて)
そもそもアメリカには長期的戦略が無く短期間に巨額の援助をつぎ込み汚職の蔓延を招く一方、(2003年イラク戦争開戦で)2004年ごろからは「どうやって撤収するか」が目的になった。タリバンは米軍が撤収するのを待てばよいだけだった。(★注、そもそもインチキ臭い9・11事件のアメリカ「ブッシュ政権」にとって本命はイラク侵攻であり、その口実程度の意味しかない当て馬のアフガンには最初から関心が無かった。歴史も文化も知らない「急ぎ働き」では最初からアフガニスタンでアメリカ軍は勝てるはずが無いのである)
アフガニスタンの進歩を100年以上遅らせた、欧米型民主主義42年間の大失敗の歴史的教訓
毎日新聞「論点」アフガン タリバン復権の、3人目の論客としてロンドン大卒の篠田英朗東京外国語大学教授の「自由主義国、結束崩すな」との今までの欧米リベラルメディア側(特権的な知的エリート)の意味のない建前論がダラダラと展開されているが全文無視。高偏差値の知的エリート「特権階級」のこの大馬鹿者は欧米民主主義がアフガンで大失敗している事実に何故気が付か使ないのだろうか。実に不思議な現象だ。
世界帝国アメリカがアフガニスタンで負けた驚愕的事実が理解していないのですから、まさに時間の無駄である。(★注、欧米が唱える「自由と民主主義」のお題目を盲目的に頭から信じるあまりアフガンやイスラムに無知な篠田英朗とは大違いで、米シンクタンク非常勤上級研究員や元米パキスタン大使の二人は日本人では理解不能のアフガニスタンの歴史やイスラム教の本当の姿を知っているのである。)
今回敗北したキリスト教原理主義のアメリカと同じで、イスラムが分からなければ失敗して当然だった。何の不思議も無かったのである。
完全な太陰暦のイスラム(1年は354日で太陽暦より11日少ない)
現在は西暦622年が元年のヒジュラ歴(イスラム歴)1443年1番目の月 ムハッタム(ムハッラム アラビア語で禁止を意味するMuharram)西暦2021年8月10日から9月8日にあたり、戦いを禁ずる月だった。
なおイスラム世界の、ヒジュラ暦の一年間において争いの禁じられた聖なる月は有名な9番目の月のラマダン(断食月)、戦いを禁じるムハッラム月の他に7番目の月ラジャブ(神聖な月 Rajab)と11番目の月ズー・アル カアダ(安住の月)を加えて合計4回あるらしい。
29・5日周期で満ち欠けする朔月から初めて細い三日月が観測された時が「1日」で、イスラム歴では小の月の29日と大の月の30日が交互にくる。日本の旧歴「太陰太陽暦」の閏月の修正が無いので年間で11日短くなる。(★注、イスラムのヒジュラ歴は春夏秋冬と無関係でムハッラムは1番目の月だが正月ではない)
タリバンはイスラム神学生(タリブ)の複数形
イスラム歴で戦いを禁じるムハッラム月が終わる9月8日以降も、前回1996年のタリバンのカブール入城時のような野蛮な殺戮を自粛、女性や少数派イスラム教シーア派やハザラ人など少数派弾圧を行わないなら、中ロやイランなど周辺諸国が雪崩を打ってアフガニスタンのタリバン承認に動き出すでしょう。
20年間でタリバンが大きく入れ替わっている可能性も有るが、変わらないのが翻訳も修正も一切が禁止されている1400年前のコーランなどイスラム教の経典。そもそもイスラム教には宗教学者はいるが、教団もないし僧侶や神官など聖職者も存在しない徹底ぶり。神との契約で成り立っているアブラハム「一神教」の完成形で、イスラム教徒とはコーランの教えに従って生きることを意味しているだけなので誰でも複数の証人の前で宣言するだけで簡単に入信出来る。(★注、ところが、逆に棄教はイスラム法では死刑なのでほぼ不可能)
パキスタン北部地域の辺境の地ギルギットで女性の自立支援のための算数や読み書き裁縫教室を開いているNGO現地代表督永忠子氏は半世紀前からパキスタンに在住、アフガニスタンにも2001年以後600日滞在。普通の日本人が誰も知らないイスラム教の世界でけなげに生きる人々を紹介した著書は日本ジャーナリスト協会賞を受賞している(写真中央のスカーフを被っていない女性)後期高齢者の「オバハンからの気まぐれブログ」管理人
1970年ごろのアフガニスタンは東西文明の十字路として古いものと新しいもの東洋と西洋が仲良く混在する最も寛容な国家であり女子大学生がイスラム世界一の比率の教育先進国として繁栄していた。当時はアフガンだけではなく、半世紀前のエジプトの首都カイロやイランの首都テヘランなどの女性の服装は欧米世界とほぼ同じだったが、現在のカイロでは95%が全身を隠すヘジャブ姿、テヘランでは100%の女性が頭髪を隠すスカーフを着用している。(★注、自由と民主主義の旗印のアメリカが何らかの介入したイスラム地域では例外なくイスラム原理主義が勃興、女性の権利が縮小する極端なイスラム化が進行する歴史の退行現象が起きていた)
オリンピック開催に関しては、ハッキリした意思表示も出来なかった現政権にしては珍しく、速い決断やがな・・バイデンからの要請後、僅か1週間で自衛隊機の派遣を決めて。
在外邦人の保護措置に関しての自衛隊機派遣は、①当該地域の安全を現地当局が確保し、戦闘行為が行われることがないこと(注:上意下達不能の国、何処から弾が飛んでくるのか判らんのに)
②武器使用を含む自衛隊の活動について領域国が同意していること(注:アフガン・イスラーム首長国は同意なんぞしていない)
③当局との連携が見込まれること(注:当局とは何処のことかと改めて聞きたい)ということになっている。であれば・・どれもこれも見込まれてはいない中での自衛隊機派遣ということになる。
ただ、物凄くオカシイ、信じ難いと想うのが、在アフガン日本大使館の対応。
タリバンが首都制圧をしたという直後の17日には、日本人館員の全員が英国の軍用機で首都カブールを脱出。どう考えてもあり得ない対応だと、翌朝のニュースで脱出完了を見た時からオバハンは呆れ果てている。
フツーーの対応は、日本人館員の誰かが残り、現地駐在の日本人などの安全確保・退避に備えるもので、そのための日本大使館ではないの??
首都陥落後1週間、東部のジャララバード駐在JICAは自力判断、陸路走行で既に安全地帯のパキスタンへ入国。残っているのはNGOの人たちや、半分は自分の意思でという僅かな人くらいかも。
となると・・日本政府は法的根拠となる規定からは外れている上に、日本政府関連の施設で働いていた現地職員や、何としても国外へと考えるアフガン人の脱出に手を貸すことだけになり、自衛隊機による外国人の輸送は初めてとか。ここで「人道的判断」という単語が出て来そうだが、今回の派遣に関しては後々問題になりそうだ。もっとも日本国民が黙っているのであれば、それまでだろうが事故の一つでもあればドエライことになるな。
今朝、韓国の中央日報の記事、「アフガンの政府軍は小学校3年生水準」という見出しが目に付いた。
「米国はこの20年間に2兆330億ドルをアフガンに投じたが、政府も軍も立て直すことは出来ず水泡に帰した。新兵の95%は小学生3年生より資質不足、基礎的な制式訓練や遊撃体操すらもまともに出来ず、足並みを揃えて行進するのも難しい水準だ」と。信じ難いかもしれないが、アフガンの政府軍は本当に記事の通りだし、頷くことばかりだ。実際に訓練を見たら失笑どころか、金を出して訓練させているアメリカが気の毒でならない気持ちになる。この記事は比較的長いが良く書けている。また、元外交官の河東さんという方の「タリバンのアフガニスタン」の今後を読み解くという記事も長いが、充分な説得力があった。
欧米はアフガンを育てたくないらしい・・中国やロシアが後押しをして成長させれば、欧米にとっての「儲け」が少なくなると言うのかな・・何にせよ、大国同士の力関係と言うのは難しいというか、複雑でとかく「自国の儲け」しか考えないようだな。もっともそれで国民が潤うのならばヨシとすべきとも思えるが、ごく一握りの人にしか「儲け」が行かないことに問題があるのだな。
1週間ほど前に米大統領バイデンが、日本の自衛隊をアフガンへ派遣して欲しいと要請していた。それで、どんな答えが出るのかとズッと気にかけていたら、きょう夕方のニュースに「残る邦人と現地スタッフの国外退避に向け、自衛隊機を派遣する方針を決めた」と。まずは派遣に向けた「情報収集」のために今夜、先遣隊が現地へと。
昔、オバハン宅の護衛に雇っていたアフガンの元戦闘員たち。中には大学出や、中高をフランス系の学校で学んだアフガン国内ではエリートたちも居たのだが・・UNの意味も分らず、UNでも何でも車輌を見かけたら撃っていたと言うではないの。
その程度の人間がわんさと居るアフガン、弾が何処から飛んでくるのか分らないアフガン、自衛隊に入った時から「覚悟」がある人は少なかろう・・無事故で任務が全う出来ますように!
「触らぬ神に祟りなし」あるいは「沈黙は金」「命あっての物種」(大昔からの日本的な知恵)
イランのイスラム革命の故アヤトラ・ホメイニ師がイスラムの教祖ムハンマドを揶揄した「悪魔の詩」の作者イギリスの作家サルマン・ラシュディに対して死刑のファトアーを宣言していて誰も取り消していないので現在も有効だ。しかるに、イランに留学経験があるのに「悪魔の詩」を翻訳した五十嵐一筑波大学助教授が大学構内のエレベーターホールで頸動脈を切断されて殺される事件が1991年発生するが犯人は捕まらず迷宮入りする。フランスでイスラム風刺画のシャルリーエブド襲撃事件が記憶に新しいが、教師がムハンマドを揶揄する風刺画を教材に使って惨殺された事件が発生している。そもそもイスラム教が建国理念のパキスタンなどイスラム教国ではコーランやムハンマドを侮辱すると死刑など厳罰になる法律があり、ネットのPCには自動翻訳機能があるので日本語の記事でも表現には十分注意する必要がある。と「オバハンからの気まぐれブログ」に明確に書き込んでいる。それぐらい現地は緊迫しているらしい。(★注、そう思って注意して「オバハンの気まぐれブログ」を読んでみると、以前では歯に衣着せぬ物言いだったが最近は随分大人しくなっていたのである。これは昔からだが、特にイスラム教関連に対しては一切批判も批評もしていない)
戦争のプロでも一番困難なオペレーション「負け戦の撤退戦」
なんともはや批判する言葉もない。単に日本の宗主国(親分)のアメリカ(居眠りバイデン)の指示だからと現地を支配するタリバンに一言の相談もなく、もちろんイスラム世界に対する知識がゼロで、戦争する(殺し殺される)覚悟もゼロの自衛隊を派遣する想像を絶する能天気。居眠りバイデン以上に今の菅義偉首相の痴呆が心配になってきた。(★注、同じアフガニスタンに派遣するなら軍用機のC2やC130輸送機では無くて政府専用機の方が少しは安全かも知れない。しかし今の破壊尽くされたアフガンでは高学歴エリートのイスラム戦闘員でもUNの意味が分からず「見かけたら撃っていた」というのですら無駄な努力か)・・・と書いたらボーイング747の政府専用機を追加の4機目としてイスラマバードに派遣するというのですから無茶苦茶。(★注、8月末の米軍撤兵期限から逆算して、安全な撤退作業は8月26~27日が限度らしい)
胡散臭い欧米の独善的「自由と民主主義」本当は怖い「善意の救援や奉仕活動」の裏の顔
オバハンの気まぐれブログ管理者は半世紀前からパキスタン山岳地帯の世界第二の高峰K2やナンガバルバットなどヒマラヤへの登山者の世話をするだけではなく、2001年以後には世界一の秘境。外国人が一番入りにくいアフガニスタンで今も閉鎖されている、辺境中の秘境ワハン回廊にも足を踏み入れている。ところが、ここでもアヘン栽培が行われている現実に驚いたが、なんと、UNなどの支援団体が小麦を配給している地域とアヘン栽培の地域がピッタリと重なっていた(支援団体が小麦を配れば→農民は小麦を作る必要がなくなる)という恐るべき現実に気が付く。欧米人による安易な人道支援が逆にアフガニスタン人の自立を妨げ社会を根本から破壊していたのである。(UNの車両でも何でも見かけたら撃っていたアフガン元戦闘員の判断は案外正しかった可能性があるのですから恐ろしい)
善意と悪意は紙一重
2008年ペシャワール会の日本人ボランティア伊藤和也(31歳)がアフガニスタンで殺された時に『助けられた1人は幸運を神に感謝する。しかし残りの99人は「助けなかった」日本人ボランティアを恨む』(1%が喜び残りの99%が怒る)との善意の救援活動が「命がけ」である日本人が誰も知らない恐ろしいイスラム世界の現実を厳しく警告していた。日本的な「良いことをしているので誰からも感謝される」と思ったら大間違いなのである。
ただし2013年に起きた前代未聞空前の有り得ないナンガバルバッドの惨劇に対しては何故か何時もとは違い、極めて歯切れが悪いし内容的にもお粗末な代物だったのですから???(★注、以前の「オバハンからの気まぐれブログ」にはパキスタン側のヒマラヤ山麓地方には人々を養えるほどの耕地が無いので、住民たちは旅人を餌食にして生活していると書いてあった)
「知っている」が沈黙するしかない \(^o^)/
歴史上初めての珍事、2013年のナンガバルバッド国際登山隊が襲撃され11人が死亡した不可解なテロ事件は地元民が犯人だった。ジープでしか走れない険しい道路が終わってからベースキャンプまで片道3日、往復なら1週間近くも山道を歩いて欧米人登山者を地元の村民が集団で殺しに行ったのですから恐ろしい。
半世紀前に日本から移住、パキスタン辺境の特殊性や一番裏の事情を知っている日本人の「オバハンからの気まぐれブログ」は最低限のことしか書いていない。驚きの真相が判明したその後も何も書いていないのですから最初から「地元民が犯人だ」と知っていたのである。だから何も詳しいことを書かなかった(命が惜しければ書けない)のである。(★注、パキスタン北部辺境州と隣接するアフガニスタンの大部分はパシュトゥン人地域で民族的文化的に同じで言葉もイラン系の言語で同じ。インドを植民地化した大英帝国がアフガニスタンから奪ったので同一民族が人為的国境線で分断した悪しき歴史の遺産)