『従来の定期検査の盲点』 毎日新聞 2008年11月2日
昨年7月の新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発7号機(新潟県)。
地震による影響を調べる設備健全性調査で、発電用タービン翼の破損や重要機器の据え付けボルトの緩みなどが相次いで見つかった。
通常の定期検査では発見できず、地震がなければ見逃されていたトラブルだ。従来の検査方法の「盲点」が浮かび上がったとはいえないか。
◇地震と無関係とされた7号機の主な異常
<低圧タービン動翼の折損やひび>
・第14段=912枚のうち折損2枚、ひび90枚
・第15段=756枚のうちひび1枚
・第16段=780枚のうちひび96枚
<基礎ボルトの緩みや固定力低下>
・原子炉圧力容器
・原子炉冷却材浄化系再生熱交換器
・気体廃棄物処理系排ガス再結合器
・残留熱除去系熱交換器
・燃料取り換えエリア排気放射線モニター
・非常用ガス処理系フィルター装置
<ひび>
・非常用ディーゼル発電機3台の基礎コンクリート(0.3ミリ未満のひび割れ多数)
・主蒸気配管系の支持構造物(施工時の溶接ひびと推定)
『タービン動翼破損』
柏崎刈羽原発は、中越沖地震により3号機の変圧器火災などの被害を受け、現在も運転が停止したままだ。
東電は運転再開に向け、被害の少なかった7号機から順次、設備健全性調査を実施している。
7号機では、想定の1・5倍の揺れを受け、タービンの動翼と静翼の接触による傷や軸受け部の変形など29件の被害が見つかった。
中越沖地震による損傷をうけ検査した結果未知の『隠れていたトラブル42件発覚』
『最も深刻な低圧タービンの動翼付け根の損傷』
発電機を回す低圧タービンの動翼付け根の損傷が2枚が破損していたほか、187枚に微小なひびが見つかった。
東電は、ひびの断面の酸化状態などから、ひびは地震前に生じたと推定。
蒸気の流れをコンピューター解析した。
その結果、点検で発電を停止する際や試運転の低速回転中に蒸気が不安定に逆流することが判明、想定外の振動で金属疲労が起きたと分析した。
『破損すれば重大事故に』
付け根が完全に折れれば、高速で回転している動翼が飛び、タービン大破という大事故につながる危険性は否定できない。
地震の影響を詳しく調べるため、目視点検したり、磁石の粉を使って目に見えないひびまで探した結果だが、定期検査は動翼を固定するピンに超音波を当てて傷の有無を調べ、異常があれば付け根部分を見る方法だ。
今回判明した多数の損傷は見逃されてきた。また、蒸気の逆流という設計上の問題も発覚しなかったといえる。
『炉心ボルトに緩み』
原発の中枢部である原子炉圧力容器や、非常時の炉心冷却に使われる残留熱除去系熱交換器など、重要度の高い機器では、土台に固定する基礎ボルトの固定力が弱まっていたことも分かった。
16本のうち10本が緩んでいた機器もあった。地震の揺れで機器が動いた跡はなかったが、通常の定期検査では、ボルトの緩みは点検しないという。
例えば圧力容器は、円筒状の鋼鉄製容器の外周部分を長さ1・5メートル、直径68ミリのボルト120本で土台に留め、容器が倒れたり飛び上がるのを防いでいる。
調査では、12本のナットを締める方向に回すと11本が動いた。
『全く実施されなかった検査箇所』
緩む方向には動かず、ボルトの役割は保たれているとされたが、こうした検査は97年の運転開始以来初めてという。
東電は、起動や停止で熱による変形が繰り返され、ボルトとナットの締め付けがなじんだためと説明する。
他にも、蒸気配管の支持金具や非常用発電機の基礎コンクリートのひび割れなど、重要な設備で異常が見つかった。
『「不適合」受け対策』
『電力会社は10年先送り』
動翼の破損について東電は、翼の交換や点検強化のうえ、10年以内に設計改良することを決めた。
同様の損傷は6号機でも見つかった。
『経済産業省は「安全性に問題なし」』
6・7号機は発電量の大きな新型で、経済産業省原子力安全・保安院は「他の原発に同様の問題が生じるとは考えにくい。対策を全国の原発にまで広げる必要はない」との見解だ。
『他の原発でも同様事故』
しかし、小林英男・横浜国立大特任教授(破壊力学)は「普通の運転状態を基に設計する考え方は同様だから他の原発でもあり得ることだ」と指摘する。
一方、ボルトの緩みに対して東電は、点検時にボルトを締め付けるよう自社の「保全プログラム」(保守管理対策)を改める方針だ。
保安院も「経年的事象なら対応が必要。他の原発の状況も調査すべきだ」としている。
今回の調査で発覚したトラブルについて、保安院はいずれも安全性に問題はなく、補修で済む「軽微な不適合」と結論づけた。
『より大きな深刻なトラブル』
しかし、技術評論家の桜井淳さんは、
『大切な部分をなぜ点検してこなかったのか。地震後に見つかったのに『地震とは関係ない。前からあった』で済ますのは無責任だ。揺れが大きかった1号機などの今後の調査では、より深刻なトラブルも予想される」と批判する。
原発の定期検査の間隔を現在の13カ月から最長2年間に延ばす新検査制度では、各原発の特性を踏まえた日ごろの「保全活動」の充実が求められている。
地震を機に判明したような「不適合」の管理や劣化の監視も電力会社自らの取り組みに委ねられることになる。
災害や事故の起きる前に十分に目が届く体制をつくることが急務だ。
利権?それとも断れない圧力?
このままの管理体制ではいつ大災害発生してもおかしくないと考えます。
子孫に負債の付けをまわすだけの無駄な公共事業でも、今現在のカネにはなるので宮崎県で管直人民主党代表代行に土下座して道路建設を訴えた元町長がいましたね。
未来永劫核廃棄物を管理する費用を計算したらトンデモナ無く高くつくらしい。
だから今までは発電所の現在の運転費用だけで火力とか水力其の他と比較して計算していた。
地震地帯なので活断層が無いところも、飲料水の水源や人口密集地から160キロ以上離れた場所も日本国内には存在しない。
欧米の原発の安全基準を日本に適用すると日本国内では一箇所も安全な場所は無いらしい。
日本の安全保障を考えるなら地震列島での原発なんてのは狂気のさたですね。
人の住んでいない過疎地に造るのはヤッパリ危険が有るからではないか。?
本当に原発が安全なら最大の消費地である東京都に誘致したらよい。
遠い田舎の遠隔地からの送電コストが削減され温排水を家庭に供給すれば二重に経費が削減され良い事尽くめ。
まあしかし東京湾に原子炉2機を積んだアメリカ軍の空母を常駐させているんだから東京湾に原発が有るのと同じ事か。
アメリカ本国ならニューヨーク近郊のハドソン河口のニューヨーク湾に原子力空母の母港なんて絶対に市民が許さないでしょう。日本人もえらく舐められたものです。
いやなんで、こんな危険な原発を動かそうとしているのか?疑問です。
この夏は原発なしで過ごせた東京なのではないですかね。
脱原発で新エネルギー開発で、新たな景気を刺激できるのではないかと思うのです。
たとえば、太陽光発電システムの普及のための補助。間伐材、廃棄材木による発電システムなどに対する補助などです。
日本だけが唯一の例外ですが、今回のように地震後に改めて未点検の箇所を点検してみたら重大な欠陥が見つかるようでは原子力発電とは未だ未完成のシステムのようです。
未完成な未熟な技術水準の原発を50基以上の巨大地震が頻発する地震列島日本で運転する危険性は欧米の其れとは比較にもなりないアブナイない話です。
発電コストも火力よりも高くつくのに何で日本政府が推進するのか実に不思議です。
どんな産業にも言える事ですが、原子力産業もアメリカなどの核燃料産業の育成の為にはアメリカ国内だけでなく原子力産業の世界戦略として世界中で其の需要を高めていく必要が有る。
戦後日本の学校給食でGHQがアメリカの穀物市場開拓の為にパン食を推進したようなものでしょうか。?