逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

大日本帝国敗北65周年と日米安保

2010年08月15日 | 軍事、外交

『権力は腐敗する』

権力が腐敗するなら、旧日本軍のような絶大な力をもった絶対権力は、絶対に腐敗するのです。
今から90年ほど前の1918年にロシア革命に干渉して、日本を含むすべての資本主義先進国列強の多国籍軍が、生まれたばかりの世界最初の社会主義国ソビエト連邦に侵攻するのです。
ソ連のシベリアに侵攻した最大部隊は4個師団もの日本軍で、欧米列強からなる多国籍軍の大部隊での『総司令部』は日本軍が握っていた。
この時一兵士として徴兵され従軍した私の父親を一番悩ました(苦しめた)ものは、何時あるか判らない神出鬼没のパルチザンのゲリラ攻撃でも、軍隊内で連日続く死ぬほどの私的制裁(暴力)でも、想像を絶するシベリアの寒気でもなくて、実はなんと耐え難い『飢え』だったのですよ。
まだ若かった父の話では軍隊では食事が終わった状態でも、ちょうど普通の生活なら食事前の空腹状態程度であったとのことです。
この対ソ干渉戦争(シベリア出兵)はその後の太平洋戦争のような一方的な負け戦ではなく、日本などの列強諸国が行ったもので日本は4年間4個師団7万人強を派遣しています。
当時の日本国の国家予算の3~4年分を浪費して何一つ成果をあげれず誰にも感謝されず敵味方の被害だけを拡大して莫大な戦費が大問題になって内閣が崩壊する無意味極まる何一つ得るものが無い戦争であったのです。
一方的に攻撃されたソ連も、侵攻した側の日本やその他の多国籍軍も敵味方とも誰一人も得するものが無い愚か極まる戦争が、誰にも知られず極寒のシベリアで無意味に戦われた。
日本軍の規則では一般兵士には1日5号5勺の白米の支給が明記されているですが、それならいくら副食類が貧弱でも五合も食べれば誰でも腹いっぱいになるはずなのですよ。
内閣が崩壊するほどの日本の国家予算の使い方を考えれば、いくらなんでも前線の一般兵士7万人が飢えに苦しむはずが無いのです。
組織的にでは無かったかもしれないが、『軍』内部の大盗人小盗人が『軍』の金や資材を全員が少しずつちょろまかしたので、肝心のシベリアの最戦線の兵士は飢えに苦しむ結果になったのです。
このように1920年代でも日本軍の腐敗体質は上から下まで止まることを知らない底なし状態の末期症状。
日本軍は勝ち戦でも負け戦でも組織が根本的に腐敗していた。
ですから、このシベリア出兵から27年が経過した敗戦の1945年ごろには腐敗(モラルハザード)は極限に達していた。これでは勝てるはずも無く日本軍は滅ぶべくして滅んだのです。

『ニセモノの司馬遼太郎、本物の大岡昇平』

司馬史観で日清日露は平和の為の正義の戦争などNHKが一部放映しているが問題が多すぎる。
あれは『戦争ごっこ』であって『本物の戦争』を描いたものではない。
大岡昇平のレイテ戦記は長い大作ですが、日本兵同士の人肉食を描いた『野火』なんか極短いので戦争の真実を知らない若い人には読んで欲しい作品です。
昔は映画化までされたのですが、今では無理なのでしょうか。?
司馬史観的な、軍事力で戦争を防ぐなど、戯言以前の話にもならないことが分かるはずです。
この世で一番恐ろしいのは爆弾や砲撃などの戦闘等の戦争行為でもなく、戦争による『飢餓』なのです。
日本兵の死亡原因で弾に当たったなんかは幸運中の幸運で、殆どは餓死であるとか栄養失調により体力を失っていたところにマラリヤやチフス、コレラに感染して病死していますが、全ては補給の失敗で兵站の問題だったのです。
日露戦争当時に死んだ日本兵はロシア軍の機関銃や大砲の砲撃による戦闘死よりも脚気による病死が上回っていたが、ビタミンB1欠乏症の脚気の大量発生は貧弱すぎる食料補給が原因だったのです。
戦争現場でも一番恐ろしいのはやはり『飢餓』だったのです。
司馬遼太郎ですが、彼の書く戦記は『お遊び』(戦争ごっご)で大岡昇平のように現実の戦場を経験していなくて本当の戦争を全く知らないのです。
戦争を体験した野坂 昭如の『火垂るの墓』の主人公の少年は、最初は米軍の爆撃に恐れおののいていたのですが中盤以降の飢えに苦しみだした辺りからは反対にB29の爆撃を待ち望むのですね。(あの描写は恐ろしい)
そして餓死するのは戦争中ではなく、平和になってから駅頭で餓え死にするのですが、あれが戦争の真実の描写です。
日本人が一番飢えていた(餓死者が出た)のは戦争中ではなくて、実は平和になって占領地から略奪してくる食料が途絶えた敗戦後だったのですよ。
その意味で現在の日本政府のやっている農業政策では戦争どころか日本周辺で大規模紛争が起こっただけでも大勢が餓死する。(朝鮮戦争当事の日本は食料自給していたのです)
ですから色々勇ましい連中はいても何の心配も要りません。
喜ぶべきかどうか判断が難しいが日本は絶対に戦争が出来ない歪な(アメリカや中国など外国に全面的に依存する)経済体制になっているのです。

『玉砕戦を経験した水木しげる』

ガダルカナルの出撃基地になっていたラバウルのあるソロモン諸島に派遣されていた水木しげるの自伝的作品『総員玉砕せよ』がNHKでドラマ化されていますが、これが予想以上に良いできです。
一度目の万歳突撃で生き残った敗残兵が日本軍参謀本部の命令で二度目の玉砕のために、死地に向かって全員が整列して密林を行軍する。
この時、『わたしは♪何でこのような♪ 辛い務めをせにゃならぬ♪ 』と行進曲代わりに『女郎の歌』を兵士みんなで歌いながらジャングルを進む場面が一番印象的でした。こんな場面で誰も『君が代』なんか歌うわけが無いのです。

わたしゃくるわに咲いた花  昼はしおれて夜に咲く
夜ごと夜ごとのあだ枕  私は何でこのような 辛い務めをせにゃならぬ
これも是非無い  親のため

嫌なお客が来た時は  上る階段針の山
開けるふすまは火の扉  取り持つ仲居さん鬼のよう
私は何でこのような  辛い務めをせにゃならぬ

唄はさのさかどどいつか  うたの文句じゃないけれど
お金も着物もいらないわ  元の娘に戻りたい
私は何でこのような  辛い務めをせにゃならぬ
これも是非無い  親のため

これも是非無い "国"のため

そういえば立川 談志が対談で『男では最後の死ぬ前、女のオマンコを見て死にたいと思う奴がいるがその逆の、女で死ぬ前に男のチンポコ見たいと思うものは一人もいない』という話や、井上ひさしの小説にも明日処刑される隠れキリシタンの男達が囚われている柵の前で若い娘が裸の股間を見せると、男達は全員が女性器に向かった手を合わせて拝みながら『ありがたや、マリア観音様じゃ』と涙を流して喜ぶ場面がありますが、極限状態では従軍慰安婦も徴兵された日本の一般兵士も同じような悲惨な境遇だったので共感する部分があったのでしょう。

『恐るべき日米安保の本当の目的』

『人間というものは、危害を加えられると思っていた人から、恩恵にあずかると、普通にうける場合よりはるかに恩義を感じて、その人に深い好意を抱くものである。』
とイタリアの政治思想家ニッコロ・マキャヴェッリが『君主論』の中で語っているが正に至言で敗戦後の日本人にそのまま当てはまるだろう。
世界大戦の敗戦(帝国崩壊)以後の日本人とはDV被害者とそっくりの精神構造になってしまったのだろうか。
暴力をふるわれ続けた女性はそれ以外の生き方が在ることに気が付かない。(気が付かないふりをしている)
日本は韓国のような弱小国ではなくアメリカに次ぐ世界第二の経済大国であり人口でも一億を遥かに超える数少ない大きな国です。
欧州で大国のドイツフランスなどは人口が日本の半分程度で先進国としてはアメリカ以外では唯一の1億人以上の人口大国は日本国以外にはこの世に一つも無い。
日米安保条約ですが、
これは冷戦時代に日本国を仮想敵国のソ連からアメリカが守る為に作ったものでは全くありません。
目的が全く逆なのです。
皆さんご存知のとおり冷戦では米ソ二大超大国が其々の軍事同盟である北太平洋条約機構とワルシャワ条約機構とに分かれて睨み合ってしのぎを削っていたのです。
軍事大国の対ソ連用に作られた条約が安保ですが、日本人向けには『(いざと言うときに)ソ連が攻めてきた時のために』と説明していたのですが、実態はその正反対だった。
元々帝政ロシアの時代から海軍は弱くソ連は陸軍国だったのですよ。
その陸軍国ソ連の世界最強を自負する戦車隊の攻撃から地続きの西欧を守る軍事同盟がNATOの役目なのです。
ソ連軍戦車の恐怖は当事世界最強の陸軍を持っていた鉄の軍団ナチスドイツを撃破して東ヨーロッパを占領した実体験から身をもって感じているのです。
ところが日本はソ連とは1000キロの日本海を隔てているのですよ。
防衛目的なら必ず置くはずの、ソ連に一番近い大事な防衛拠点の北海道には在日アメリカ兵は一人もいないのですよ。
いるのは2000キロ離れた沖縄です。
この2000キロの距離は大事な意味がある。日本全土攻撃に利用したのはサイパン島やテニアン、グアムだったのです。
1000キロ離れた硫黄島も後に米軍が占領するが近くて便利な硫黄島に基地を置くことは無かったのです。
わざわざ2000キロ離れた遠いサイパンからB29で日本を攻撃したのです。
理由は、相手から攻撃されない安全な距離だったから。
ソ連崩壊後に明らかになった事実は極東ソ連軍には国境警備以上の実力は無く、日本侵攻などしたくても夢のまた夢。
元々ロシア時代から海軍力ではなく陸軍優先の陸軍国だったのです。
そして島国の日本侵攻では、必ず世界最強のアメリカの第7艦隊を叩く海軍力が無ければ不可能なのです。

『極東に第二(東部)戦線構築』

それでは、冷戦時代に何の目的で『日米安保』は存在していたのか。?
アメリカにとっては、一番大事な国は日本ではなく、文化的にも経済的にも人種的にも宗教的にも近い西欧諸国なのです。
もしも第三次世界大戦が欧州で勃発した時に、殺到するソ連軍戦車隊の脅威から西欧をまもるために、極東でもソ連領に侵攻して戦争を引き起こして『東部戦線』を構築してソ連を欧州正面の西部戦線だけに集中出来ないようにする東西両面2正面作戦のために、その目的でどうして日米安保が必要だった。
『ソ連が攻めて来る』ではなく、
実は、いざというときには『ソ連に攻めて行く』為の日米同盟だったのです。
それなら『日米安保があるから安心』ではなく『無い方が余程安心』となる。
島国である日本を攻略出来る国は渡海能力のあるアメリカ以外にはこの世界には一カ国も無いのですが、それなら安全のためにアメリカの海軍力を凌ぐ軍備が必要だとのとんでもない話になるが、その考え方は北朝鮮と同じ考え方で、軍事で国家を守るとの発想自体が根本的な勘違いなのです。


関連記事
対ソ干渉戦争(シベリア出兵)と有志連合
2008年03月11日 | 社会・歴史

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「二大政党に埋没」しない為... | トップ | 死刑に反対。死刑廃止論議に... »

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
食料自給率 (日向男)
2010-08-15 16:43:41
食料自給率は4割らしいですが、実際輸入が断たれた場合の状況というのがいまいち分かりません。
わざわざダイエットをして、摂取したカロリーを捨てている人がたくさんいたり、残飯として捨てられている食料も多いです。
大量の穀物飼料が必要な牛豚を止めれば、その分自給率は上がるでしょう。

一方、農薬の原料や肥料もかなりの部分が輸入でしょう。だから、現在の生産高を維持できるとは思えません。

これらを総合的に考えても、やはりかなり危険な状態であるとは思います。

食糧安保という言葉は良く聞きますが、なんともお粗末な現状です。
返信する
旱魃でロシアが小麦の輸出を禁止 ( 逝きし世の面影)
2010-08-15 17:37:21
日向男さん、コメント有難うございます。

今の日本農業ですが耕作地の4割は放棄されているそうです。
まあ山間僻地が多いのですが機械が入らないんですね。ビニールハウスに限らず今の日本の農業は石油漬けで石油のオイルピークなどの高騰でも大変なことになるらしいが、平均年齢は60歳を遥かに超えている。農業ですが勝手には農産物は育たないのですが技術や経験がある後継者が育っていないのですよ。
日本共産党の将来の見通しと同じで、このままの方針では20年後には今よりも桁違いに悪くなっている可能性が高いのですよ。
そして農産物は決して工業製品のようにコマーシャルベース(商業ベース)では何処の国も考えていないのです。
工業製品とは、安くて良いものは外国から買っても何ら問題ではないのです。何故ならコマーシャルベースで作られているから『金』さえあれば売ってくれるのですよ。
ところが農産物は基本は自家消費なのですよ。
余剰農産物が出れば、そのときは輸出にまわすのですから今回の旱魃のロシアが小麦の輸出を禁止するのは当然すぎるこういであるのです。(アメリカも過去に不作で大豆をの対日輸出を禁止している)
農産物とは最高の戦略物資で、日本のようになおざりにしている亡国的な政府は何処にもありません。
まともな国は自国の需要を満たした後の、あまりものの農産物しか輸出には回さないのです。全く工業製品とは性格が違っているのですね。
返信する
ノモンハン (ましま)
2010-08-16 15:18:14
 何時もながらの力作ですね。ことにノモンハンは歴史でも取り上げることが少なく、刺激的な考察です。
 このことがなかったら満州事変も満州国もなかったかも知れません。判断のあやまりはここにはじまったといえましょう。
 歴史感として共鳴できる点の多い記事です。日本史とロシア革命については、まだまだ考えることが多いですね。
返信する
日本の1勝3敗で25%の勝率 ( 逝きし世の面影)
2010-08-16 17:22:41
ましまさん、コメント有難う御座います。

記事にあるのはノモンハンではなくその20年ほど前のシベリア出兵の話で、この戦争はノモンハン以上に知る人が少ない隠れた忘れられた戦争であるのです。
戦績は。
1905年の日露戦争ではロシア帝国に対して大日本帝国が1年半の戦争で勝っている。
1918年のシベリア出兵では4個師団の日本軍は4年間戦ったが4000人の損害を出して負けている。
1939年のノモンハン事件(ハルハ河会戦)はソ連モンゴル連合軍に7個師団の関東軍が4ヶ月戦って8500人の損害を出して負けている。
1945年のソ連軍の対日参戦で日本軍は壊滅する。
日本軍の勝率は2割り5分で野球のバッターでも一流とはいえない低い勝率ですね。
これで日本軍の無敗神話を言っていたのですから誇大宣伝で、これでは負ける筈です。

当時のシベリアの田舎町のロシア人農民はとんでもなく熱心な宗教信者であったのですが、運悪く占領軍兵士の私の父は徹底的な無神論者だったので取り合わせが悪すぎる。
田舎町の一つしかない十字路に差し掛かるとこれ等ロシア人達は必ず十字を切って神様に祈りをするのですよ。
大都会なら前に進めないが何しろとんでもない田舎町の話で、都会人の無心論者にとっては悪戯の恰好の標的なのです。
わざと見えるように地面に十字を書いてからつばを吐きかけたり足で踏みつけるなどの大人気ない振る舞いをするのですが、
相手のロシア人は顔を真っ赤にして拳を握り締めて怒りの為に手をぶるぶる震わせているのが面白いので何回もやったらしいのですよ。(とんでもなく悪いやつですね)
ですか考えてみれば占領軍兵士は絶対的な存在なので誰も止められない。、これ、間違いなく今のアフガンやイラクで若い純真なキリスト教徒の米兵が現地のイスラム教徒に対して同じような悪戯を間違いなくやっていまよ。
しかしこれでは心底怒りをかって、こんなことでは勝てるはずが無いのです。
返信する
はやとちり (ましま)
2010-08-16 22:27:30
新パソコンとの苦闘のせいでお疲れのようで。
早とちりしました。ノモンハンは平沼騏一郎さんの時代でしたね。惨敗している点で似ているのでついごっちゃになりました。
返信する
歴史から消されたノモンハンやシベリア出兵 ( 逝きし世の面影)
2010-08-17 10:08:35
ノモンハンですが多分日本の歴史に,決定的な影響を与えたはずの大事件なので、私も何か記事に書きたいのですが一次資料が少なすぎて、残念ながら今まで何も書けないでいます。
日本軍のシベリア出兵の方は身近に生き証人がいて直に話を聞いているので記事にすることが出来たのですが、それにしても記録されている一次資料はノモンハン以上に少ない。
これ、間違いなく日本軍によって意識的に(明確な目的を持って)証拠や記録が組織的に破棄されているのですよ。
参加した兵士や将校の証言も実に少ない。
全く無いといっても良いほどで、その原因は『勝ち戦』とは到底いえない不名誉な戦争であったために『日本軍不敗神話』の為には邪魔だったので。消されたのでしょう。
満洲事変や満州国建国、日中15年戦争から対米開戦までの日本の歴史にとって、ノモンハンやシベリヤ出兵は不都合な記憶であるのです。
しかし、これ等の失敗の教訓が隠蔽されずに、公になったいたら、日本人や日本軍に共有されていたら悲惨な東京大空襲などの無差別絨毯爆撃も沖縄地上戦もヒロシマナガサキ、ソ連参戦も無かったはずです。

そう考えるとこのノモンハンなどの記録はとんでもなく大事となります。
満州事変での日本軍一個中隊で張学良の中国軍十数万を撃破したなど大嘘で、実は何日も前から大量の砲兵隊を密かに準備していて榴弾砲の照準を中国軍駐屯地に合わせていた。
寝込みを雨のように降り注ぐ榴弾砲の直撃を浴びた中国軍は壊滅し、日本兵が不意打ちで勝利するのですが、日本国内ではこの夜間集中砲撃の事実は伏せられて夜明けからの翌日だけが報道され真実は隠蔽される。
日中戦争ですが、常に日本側が有利に展開するのですが、
この理由は極簡単で中国軍は小銃ではクランクアクションの3・8式歩兵銃の日本よりも自動装填の自動小銃で優れていたが肝心の大砲は射程の短い臼砲で、日本側は射程の長い榴弾砲や航空機を持っていた。
日本軍は地上戦が始める前に空爆や砲撃で中国軍を徹底的に叩いてから戦闘を始めていたのです。
だから中国軍に日本軍は必ず勝てたのですが、この事実をまったく伏せて、『日本軍が強いから勝てた』と全く違う事実にすり替えたのです。
島国の日本は知らなかったが地続きの欧州では近代的軍隊の編成は砲兵と歩兵とは一対一程度の比率で、戦争とは基本的に歩兵戦ではなく砲撃戦のことなのです。
猛烈な砲撃戦であらかた決着がついた後に最後の決戦を歩兵が行うのですが、日本は歩兵が『主』で砲兵は『おまけ』程度の低い扱いの一昔前の西郷隆盛の時代と変わっていなかった。
ノモンハンではこの違いが如実に出た。
昼間の砲撃戦では彼我の量が違いすぎて全く歯が立たないので、日本軍は夜間の白兵突撃で戦果を上げていたのです。
この戦法は1945年おポツダム宣言の受諾による無条件降伏まで変わることは無かったのですから、悲劇的というよりも、此処まで軍上層部が頑迷固陋だと最早犯罪である。
日本軍は負けるべくして負けているのです。
返信する

コメントを投稿

軍事、外交」カテゴリの最新記事