『ノーベル平和賞の政治的な意味合い』
1993年のオスロ合意に調印後握手をするラビンとアラファトの2人は1994年にノーベル平和賞を受賞した。(仲介した中央のビル・クリントン米大統領は授賞せず、何故かイスラエル外相が「3人目」として授賞している)
他に似た例としてはベトナム戦争でのキッシンジャー(米)とレ・ドクト(ベトナム)の二人の授賞があるがレ・ドクトは辞退。アパルトヘイトの南アのマンデラ、南北朝鮮和解の金大中は単独授賞。
今年は毒ガス兵器の化学兵器禁止機関(OPCW)が受賞している。
シリアの毒ガス問題解決がノーベル平和賞授賞の理由であるなら、ノルウェーのノーベル平和賞委員会が実質的に推薦したのは化学兵器禁止機関(OPCW)ではなく、アメリカ軍のシリア空爆を止めたロシアのプーチン大統領である。
第三次中東戦争時のイスラエル軍参謀総長でイスラエルのトップ(首相)だったラビンは1995年狂信的なユダヤ原理主義者に暗殺される。
ノーベル平和賞を共同授賞したパレスチナ側トップののアラファトも暗殺されていた。
『アラファト議長のポロニウム暗殺説 証拠が見つかる』
英国の医療専門誌『ランセット』(The Lancet )によれば、アラファト議長が毒殺されたという情報は本当のことだという。
医学誌 The Lancet に掲載された放射線学の研究者らの調査報告(Improving forensic investigation for polonium poisoning)によれば、スイスで行われた放射線鑑定で、アラファト議長の唾液、尿、血液にはポロニウム210が高くなっていることが示された。
特に彼の血液や尿が着いていた部分は濃度が高く、数ミリベクレルにのぼり、アラファト議長の毒殺がほぼ確認されたことになる
今から9年前の2004年11月11日、ヤセル・アラファトはフランスのパーシー病院で正体不明の病気の75歳で亡くなった。
『イスラエル大統領が暗殺を認めるとイランのIRIB放送が報道』
2004年10月12日にイスラエル軍包囲下のヨルダン川西岸ラマラの議長府で軟禁状態のアラファト議長は吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの継続的な消化器症状が悪化しフランス、パリ郊外の軍事病院に緊急入院したが1ヶ月足らずで死亡している。
2012年スイスの研究機関でアラファトが身につけていた衣類などから放射性同位元素ポロニウム210が検出される。
2013年1月13日、イランIRIB放送(エマーディー解説員)によると、イスラエルのペレス大統領が、パレスチナ自治政府のアラファト前議長の暗殺に関与していたことを、初めて認めた。
ペレス大統領は、アラファト議長の暗殺の事実を認めた上で、『アラファト議長とは、まだ協力の余地があったがゆえに、彼は暗殺されるべきではなかった。アラファト氏亡き後、事態はさらに複雑化している。』と語ったとされています。
アラファトが毒殺された当時、イスラエルのラピド司法相は公然と、『アラファト議長は、イスラエルに対するテロの指導者というだけでなくアルカイダを含めた、世界に広がるテロリズムの創設者でもあり彼の死は中東と世界にとって輝かしいことだ』と大喜びしていた。
『アラファト自治政府議長(国家元首)の墓掘り起こす』
『ポロニウム210暗殺疑惑、アラファト前議長 遺体の死因調査』
アラファト前議長の死亡当時に身に着けていた衣服などからポロニウムが検出され、27日、ヨルダン川西岸のラマラにあるアラファト前議長の墓が掘り返され、土葬されていた前議長の遺体の一部の採取が行われた。
採取された遺体の一部は、このあと衣服からポロニウムを検出したスイスの研究所などの専門家が調査する。(2012年11月27日NHK)
『唐突な6年前のポロニウム210暗殺事件の不可解』
2007年末にイギリスが突然元KGBのリトビネンコ中佐が今まで前例が一つも無い、まったく聞き慣れないポロニウム210で暗殺されたと発表。『会食直後に体調を崩した』ことを根拠にして元同僚のルボコイ(ロシアの野党国会議員)を毒殺の犯人と断定しロシア政府に身柄の引渡しを要求。
容疑者引渡しを拒んだロシアに対して、イギリスは外交官4人を制裁として追放、これに対して、ロシア側も報復として英国外交官を追放する国際的な大騒ぎに発展した。
放射能は危険である。
しかし、2011年福島第一原発事故で事情は一変。180度話が引っくり返る。
放射性物質の大量漏洩で、繰り返し繰り返し耳にタコが出来るほど聞いた『直ちに健康には影響しない』、『食べても短期間、一二回程度なら安全?』なのである。
枝野幸男や日本政府は強調したように、放射性物質による『毒殺』は非効率で即効性に欠けるので、今まで実行した例が一つも無かった。
2008年ブログを開設したばかりの『逝きし世の面影』は、放射性物質はDNAを傷つけるが直ちに健康に影響しないのでポロ二ウム210による毒殺とのマスコミ報道はイギリスの悪質なプロパガンダであると主張した。
ところが当時は福島第一原発の事故前で、マスメディアの信用度(宣伝力)はいまだ健在、完全無視される。
2011年、マスコミは自分たちのリトビネンコ事件での3年前の主張を完璧に無視して、態度を180度引っくり返す、口から出まかせ嘘八百の不見識。
世の中が逆さまになり、政府やマスコミが放射能は安全安心と今までとは正反対を主張する。
『不思議すぎるポロニウム報道の嘘八百』
ポロ二ウム210はヘリウムの原子核であるアルファ線を出す。
α線は電荷が大きい分電離作用も大きいが空中で最大3センチ以内しか飛ばず紙一枚でも放射線を遮断できる。服のポケットに忍ばすことも可能なほど持ち運びが容易。
α線は通常の放射能測定器の内部の窓まで届かず検出不能で完全犯罪を企めるが、即効性はなく口からなら3ヶ月程度、注射でも2~3週間後にしか放射能の影響が出ない。
リトビネンコが倒れた時に会食した元同僚のルボコイの容疑は時間的にまったくの濡れ衣だった。
6年前の日本のマスコミは異口同音に『ポロニウム210はロシアにしか無い』と大宣伝したが科学的な客観的事実と違いすぎる。
放射線を出しながらウラン235が崩壊して最後には鉛になるが崩壊途中の中間物質がポロニウム。
何ら特殊な物質ではない。
ポロニウム210の入手では英米やイスラエルなど、国内で原子力機関を所有する国は、暗殺の嫌疑を一方的にかけられたロシアと同等の『資格』があった。
日本や欧米のマスコミでは『ロシアの暗殺説』が『真実である』かのごとく報道していたが、基本的に何かのプロパガンダ(政治的な宣伝・広報、印象操作)。素人だましの真っ赤な嘘だった。
『ポロニウム報道がイラン危機(核疑惑)と関連している可能性』
6年前のイギリス発の不思議なリトビネンコ暗殺事件や2012年7月に明らかになったアラファト暗殺疑惑で、突然注目を浴びるようになったポロニウム210。
パレスチナの絶対的なカリスマ的政治家でノーベル平和賞受賞者でもあるパレスチナ自治政府のアラファト議長の死因が、9年後の今頃になって明らかになる真意とは何か。
アラファトは『歴史上の偉人』程度の話で、今の中東の最大感心事といえばパレスチナ問題ではなくて、イラン問題(核疑惑)である。
濃縮ウラン型は一番目のヒロシマが唯一の例外で、世界中で今までに作られた核兵器は全てがプルトニウム型である。
ウラン型核兵器は爆発エネルギー以上に、ウラン235の濃縮に膨大なエネルギーが必要でソロバンが合わない。最初に使用した核兵器アメリカのリトルボーイを例外として誰も行わない。
それならイランが行っているウラン濃縮を『核兵器製造である』と一方的に断定する欧米の報道は別の何かの目的がある。
アメリカの軍産複合体のでっち上げの形跡があるイランの『核疑惑』に対してイスラエル軍による奇襲攻撃がイスラエル高官の口から選択肢として、平気で語られているのである。
2012年8月12日のイスラエルの有力紙ハーレツの報道によるとネタニヤフ首相とバラク国防相がイスラエル単独でのイラン攻撃を主張したが軍トップのアシュケナジ参謀総長、諜報機関モサドのダガン長官シンベトのディスキン長官が反対した為に中止されたとされる。
アメリカのオバマ大統領はイラン・アフガンの後始末も出来ない内での、イラクの何倍もある中東一の地域大国であるイランとの戦争を望んでいない。
それなら今回のアラファト暗殺の暴露の狙いは、イスラエルの現リクード政権のイラン奇襲攻撃の軍事冒険を、過去のイスラエル軍や諜報部の悪事を暴くことで信用を落として、それとなく牽制する意味が大きいと思われる。
『イギリス(ブレア)の真の目的はロシアではなく、イスラエルだった』
2007年末に起きたリトビネンコ暗殺騒動は、イギリスによる無理筋のポロニウム210でロシアを嵌める『悪質な印象操作』であるかに見えた。
しかし真相はもっと複雑で深刻であった。
アラファトの死はパレスチナにとっては大きな痛手で、同じノーベル平和賞受賞者で南アのアパルトヘイトに対する黒人解放運動指導者ネルソン・マンデラ元大統領と同じで、パレスチナ民族解放運動の内部対立を克服出来る唯一のカリスマ政治家であった。
重病で実権が無くとも、生存しているだけで今のようにパレスチナがハマスとファタハに分かれて軍事衝突するような深刻な内部分裂する事態には至っていない。
リトビネンコ暗殺事件が起きた2006年当時のイスラエルですが、レバノン侵攻を行ってクラスター爆弾の大量使用など国際的な顰蹙を買っていたが、アメリカの同盟国のイギリスは表立ってイスラエルの蛮行を非難できない。
恐ろしいことにイギリスなど西欧世界では『反ユダヤ主義』と見られることは即政治生命を失う。安倍晋三などの御粗末な時代錯誤の歴史修正主義が平気で語られる日本と世界の常識は大違いなのである。
『反ユダヤ』のレッテル貼りは自動的に政治家として致命傷になる。たとえ研究者でも『アウシュビッツの死亡人数は疑わしい』と語るだけで即逮捕され厳しく罰せられる。
イスラエルは『自衛』を口実に周辺国を無差別に攻撃するばかりか1981年にはイラク原子炉を爆撃して破壊している。2007年にもシリアの核関連施設の空爆を行った模様である。
イギリスは仕方なく一見すると『ロシア叩き』と思えるが、アラファト暗殺の隠された内容を知っているものには『イスラエルに対する厳重な警告』になる不思議な印象操作を行った。
だから、(非科学的な子供騙しの)無理筋のポロニウム210でのリトビネンコ暗殺が、欧米メディアで大々的に宣伝されたのであろう。
『9年前のパレスチナ自治政府議長の暗殺』
2012年7月3日アルジャジーラがアラファトがポロニウムで毒殺された可能性を報じる。
アラファトは2004年10月にイスラエル軍に完全包囲され軟禁状態のラマラの議長府で体調を崩し搬送先のパリ郊外の病院で75歳で死去。
アラファト議長が死ぬ8ヶ月前の、2004年3月22日にはハマスの精神的指導者であるヤシン師がイスラエルのミサイル攻撃で爆死している。
ヤシン殺害をアナン国連事務総長が『不法な暗殺』と非難したが、当時のイスラエルのシャロン首相はイスラエルの安全保障に資するなら『アラファト殺害の選択肢を排除しない。』と公言していたので、当初からイスラエル政府による毒殺説が噂されていた。
スイスの放射線物理学研究所が議長の遺品を分析したところ毒性の強いポロニウム210を検出。
当時のパレスチナ自治政府の議長府はイスラエル軍戦車に直接攻撃され全壊に近い状態で、電気を止められた議長府内で、辛うじて残っていた執務室に立て篭もって籠城していたアラファト議長の周りを欧米人権擁護組織の人々による『人間の盾』が守っているという、最悪の危機的な極限状態だったのである。
この極限状態で体調を崩してアラファトが死ぬ。
直接的な毒殺でなくても、アラファト議長の死に対してイスラエル政府の責任は免れない。
通常の放射能測定装置では検出不能なアルファ線(ポロニウム)でのアラファト暗殺が真実であるなら、イスラエル(極右政党リクードのシャロン首相)による暗殺の可能性が一番高い。
『ユダヤ教(旧約聖書)原理主義』
現在、イスラエルの首相はアラファト死亡時の2004年当時と同じで極右リクードのネタニヤフである。
リクード党首のシャロンは2000年9月に聖地エルサレムの岩のドーム(イスラム教の三大聖地のアル・アクサモスク)にイスラエルの武装警察2000人と共に無理やり押し入る。
新約聖書のヨハネ黙示録の記述によると、神殿の丘の上のユダヤ教の第三神殿の建設(アル・アクサモスクの破壊)はメシア(キリスト)降臨の絶対条件なのです。
そして旧約聖書の記述を唯一の根拠に、欧米の白人のユダヤ教徒(本来のユダヤ人はアラブ人のセム族)によって半世紀前に建国されたのがイスラエルである。
シャロンによるあからさまな『聖地の冒涜』にイスラム教徒の堪忍袋の緒が切れて、怒り狂ったパレスチナ人の抗議行動(第2次インティファーダ)を引き起こす。
イスラエル全体が騒乱状態に陥って当時の労働党バラック政権を崩壊させて、まんまと自分が首相に納まったとんでもない人物(狂信者)が当時の極右政党リクードのシャロンである。
第2次インティファーダ(イスラエルの軍事占領に対するパレスチナ民衆蜂起)では死者数はイスラエル側が1200人に対してパレスチナの犠牲は7倍に上り、合計1万人近い死亡者を出している。
2004年にヤシン師を爆殺。8ヶ月後にはアラファト議長をポロニウム210で毒殺。
2006年には同じポロニウム210でリトビネンコを暗殺。
2007年末にイギリスが不思議な誤報を流してリトビネンコ暗殺が発覚するが、当時は好戦的なアメリカのブッシュ政権下であり、核疑惑を口実にしたイスラエル軍によるイラン奇襲攻撃が差し迫っていたのである。
2012年7月3日中東の衛星テレビ、アルジャジーラがアラファト議長の死因について、致死性の放射性物質ポロニウムで毒殺されたと報じたが、6年前のイギリス政府や世界のマスメディア総ぐるみの意識的誤報(リトビネンコ暗殺)と同じ理由で、矢張りイスラエル軍によるイラン奇襲攻撃の可能性が高まっているからだろう。
『パレスチナ「国家」格上げと穏健派イラン大統領選出』
国連総会本会議はパレスチナの国連での資格を「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」に格上げする決議案を採択した。アラブ諸国のほか日本、フランスなど138カ国が賛成した。反対はイスラエルやその同盟国の米国など9カ国、棄権は41カ国だった。
2012/11/30 【共同通信】
2012年の『パレスチナ「国家」格上げを採択』共同通信記事には、『国連、イスラエルに和平圧力』とのサブタイトルが付いているが、2013年にはイラン大統領が強硬派のアフマデネジャドから中道穏健派のロウハニに変わり欧米は経済制裁解除に舵を切っている。
今年に入って国連など国際社会による、イスラエルに対する和平圧力がいっそう強まっているのです。
『今、そこにある危機』
極右政党リクードのネタニヤフ首相がイスラエルが圧倒的に不利になったと考えれば、よりイラン奇襲攻撃の軍事冒険の誘惑に駆られる危険性が高まる。
イスラエルによるパレスチナ自治政府議長(国家元首)の暗殺が発覚した、これからの数週間が、世界の運命を大きく揺るがす中東発の大戦争勃発の山であろう。
(たとえ大戦争に発展しなくとも、ホルムズ海峡が封鎖されればエネルギーを絶たれた日本は否応なく原発50基全ての稼働に追い込まれ、『脱原発』が完全に吹っ飛ぶ事態になる)
今回のパレスチナの国家格上げに日頃は対米追従で『核廃絶決議』にまで反対する日本が賛成に回る。
常任理事国ではフランス中国ロシアも賛成、イギリスが棄権して反対したのは唯一アメリカだけ。
アメリカは240年前にイギリスの少数派清教徒が迫害を逃れて新大陸に『新イスラエル』として建国した、国家としての出自が影響して今でも必ずイスラエルを無条件で支持している。
アメリカですがオバマ大統領に代表されるプラグマティズム的な世界一の合理性を重んじる先進国としての顔と同時に、それとは相反する公的健康保険制度や中絶、銃規制、進化論を否定する草の根宗教右派のティーパーティなどに代表される何世紀も前の政教一致の神聖国家としての出自に由来する禍々しいDNAも根強く残っている。
『英軍事雑誌、イスラエルが年間10発から15発の核爆弾を製造』
イギリスの軍事問題専門誌Janes Defence Weeklyは、中東で唯一核兵器を保有するイスラエルは、年間ナガサキと同種の核爆弾10発から15発を製造しているとしして、『イスラエルは、長距離ミサイル、戦艦、戦闘機に搭載可能な100個から300個の核弾頭を保有している』。
『イスラエルは、690キロから950キロのプルトニウムを生産しており、年間、10発から15発の核爆弾を製造するのに、必要なプルトニウムの生産を継続している』と伝えています。
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