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アニメ・アート・CGの丘

3DCG映像作品の制作進捗・アニメ趣味関連の購入物紹介・アニメ感想等を掲載しています。 作品公開HP→http://huhenarea.web.fc2.com/(Ustream配信URL:http://www.ustream.tv/channel/usyo96)

考察2.昨今のアニメーションにおけるファンタジーについて

毎週水曜日に更新、CGやアニメーションに関する考察の2回目は
「昨今のアニメーションにおけるファンタジーについて」です。
もっとも、自分自身は作品を作る際に、それほど脚本に焦点を置かないタイプなので
他人の作品を客観的に見ての意見と捉えて下さい。


wikipediaによると、ファンタジーは大まかに2種類に区分されます。

・ハイ・ファンタジー 現実の世界と関わりが薄い異世界での物語。
・ロー・ファンタジー 現実世界にファンタジー要素が介入する話。

で、最近思ったこととしては、とりわけアニメーションの分野における
ハイ・ファンタジーで面白いと思えるものが滅多にない・・・。
特に、異世界での物語のみで完結する話だとリアリティがなさ過ぎて
登場人物に共感できなかったり、鑑賞者と画面の中の世界に隔たりが
ありすぎるように感じてしまいます。

その上、作り手の視点から考えると、現実にはない異世界の中限定の
概念やルールがあり、それの説明のためだけに膨大に尺を消費して
しまっていたりとか、作中にない大量の設定をバックグラウンドとして
考えておかなければならない等色々大変だと思います。


一方、ロー・ファンタジーでは現実と同じ世界が前提にあるため、
物語の世界に入り込みやすく、人物へ共感しやすくなります。
さらに、作り手としても無駄な説明を作中に加える必要がありません。
現実と異なる少しのファンタジー要素だけを説明すればOKです。

あるいは、ハイ・ファンタジーでも主人公が現実世界からやってくるとか、
異世界に閉じ込められてしまう等の現実と異世界の二重構造ならば、
主人公を基点として鑑賞者が物語へ入り込む予知を生むことができます。

ちなみに、完全に異世界のみのハイ・ファンタジーであってもテレビゲームならば
主人公をプレイヤーが操作するという行為を通じて現実との大きな接点を
作ることが出来るので、申し分ないくらい楽しいです。

また、同条件で実写のハイ・ファンタジー(ロード・オブ・ザ・リング 等)
の場合は画面に映っている物や人間がほぼ全て現実のものなので、
そこが現実との接点となり、面白さを生み出すことができているのだと思います。

つまり、自分の考えでは、異世界のみのハイ・ファンタジーでアニメーション作品
である場合に限り、楽しめない作品が生まれてしまうということになります。


そこで、その原因を考えてみました。

1.現実との接点がない。

上記をまとめるとそういうことになります。
現実との接点がないから人物に共感しにくい・作中の世界に入り込みづらい、ということです。


2.(自分を含め)、アニメーション視聴層が全体的に大人になってしまったから。

小学生くらいの頃は、スレイヤーズとかリューナイトとか楽しく見ていた気がします。
昔は現実社会についてよく分かっていなかったから、とか、ファンタジーな世界が
現実にあるかもしれないと主な視聴層(子供)が思っていたからかもしれません。


3.2Dベタ塗りとファンタジーの相性が悪いから

これはテレビアニメーションに限っての話です。
テレビアニメは2Dで人物はベタ塗りが主流になっていますが、
それがファンタジー世界との相性が悪いということです。
ファンタジーというと大半は中世西洋の世界観となる訳ですが、
西洋では絵画でも建築でも、どちらかというと立体感を意識して作られた芸術作品が多いので、
それを全て平面的な絵で作ってしまうと現物の良さを損ねてしまうのではないかと。
美術館で西洋の建物を日本画的な手法で描いたものを見た記憶があるのですが、
それは、ひとつの試みであって異色作。主流となる技法ではないです。
それがテレビアニメだと何故か主流になってしまっているような違和感があるのかもしれません。


4.設定が練りこまれていない

この文章の最初にも書きましたが、ハイ・ファンタジーでは現実にはない異世界の中限定の
概念やルール、そこでの生活・営み等、こと細かに決める必要があり、それを鑑賞者に
理解してもらう必要があります。
それを考えていなかったり、鑑賞者に伝わらないと物語に説得力がなくなってしまいます。
自主制作の数分の作品だと、その時点で厳しい面があります。
(もっとも、抽象的な表現で押し切る手はありますし、それで評価されている作品も多々あります。)


解決策

1.無理にハイ・ファンタジーにする必要がない。
身も蓋もないですが、異世界のみのハイ・ファンタジーなんて考えるのが難しすぎるので、
無理に作らなくても・・・、ということです。
特に自主制作アニメならば、制作者は素人なので避けたほうが懸命な気がします。
せめて、社会のルールは全部現実と同じという前提の上で作るとか。


2.奇抜な作品

他の作品とは大きく違う要素を入れて、感情移入云々とは別のところで興味を惹きつけるというやり方です。
ひとつの例としては、テレビアニメの「新世界より」みたいに和のファンタジーとか。
ここ十数年テレビアニメを見ていましたが、和の世界観且つ、独自の社会的ルールが設定されていて、
怪物的な存在が出てくるハイ・ファンタジーな作品はほとんど見たことがありませんでした。

あるいは、自主制作の作品なら探せば色々あると思います。
ただ、人と違うものを作ろうという意気込みが伝わってくるかどうかが
ファンタジーで面白い作品であるかどうかの重要なポイントだと感じています。


以上です。前回も言いましたが、あくまでも個人的な考えですのでご了承下さい。
今回のは前回と違って人により大きく考え方が異なるテーマだと思います。


テーマ:アニメ - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2013/02/21(木) 00:23:53|
  2. CG・アニメ考察
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