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淡々と読んでいるようで心にしみる 朗読もすごかった谷川俊太郎さん
2024/12/9 13:00 2172文字現代日本を代表する詩人、谷川俊太郎さんが11月13日に92歳で死去しました。絵本や作詞、翻訳でも広い世代の読者に親しまれた谷川作品の魅力を、詩人の城戸朱理さんとマーサ・ナカムラさんが語り合う対談の後編です。二人にはそれぞれの「おすすめの詩」の一節も挙げてもらいました。【構成・大井浩一】前編では、谷
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言葉の幅を広げ続けた谷川俊太郎さん 詩人だから感じる存在の大きさ
2024/12/8 13:00 2725文字現代日本を代表する詩人、谷川俊太郎さんが11月13日に92歳で死去しました。1952年に詩集「二十億光年の孤独」でデビューして以来、現代詩の一線に立ち続け、絵本や作詞、翻訳でも広い世代に親しまれた谷川さん。多様な「私」を表現した、その作品世界との出会いから、ユニークな創作と人物像、訃報の衝撃まで、
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破格の詩人・谷川俊太郎さん 平たい言葉で射抜いた人間世界の本質
2024/11/19 19:18図解あり 1022文字現代日本を代表する詩人で、絵本や作詞、エッセーなど幅広い著作で親しまれた谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう)さんが13日、老衰のため死去した。92歳。 ◇ かつて詩人・評論家の吉本隆明は「現代詩で本当にプロの詩人といえるのは田村隆一、谷川俊太郎、吉増剛造の3人だけだ」と言った。確かに詩人の多く
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村上春樹をめぐるメモらんだむ
村上春樹さんが小説に込める思い 「書くことは自分の魂と向き合うこと」
2024/9/23 09:00 4003文字早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)は10月、開館から3年となるのを記念し、さまざまな記念イベントを予定している。1日から同館では山本容子さんの版画展「世界の文学と出会う~カポーティから村上春樹まで」(2025年5月27日まで2期にわたって開催。毎週水曜と2月1日~3月2日などは休館)が始
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村上春樹さんが描く「こちら側」と「あちら側」 元は一つのもの
2024/8/25 07:00 4081文字7月28日放送のラジオ「村上RADIO」(TOKYO FMなど全国38局)は、この番組ですっかり恒例化した「リスナーからのメッセージ特集」で、寄せられたさまざまな質問にDJの村上春樹さんが答えた(引用は番組ウェブサイトに基づき表記を一部改変)。 ◇作家として「やらないこと」 今度も「好んでおでんを
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LGBTQの人々 いち早く登場していた村上春樹文学
2024/7/28 16:00 4101文字2024年6月29日夕、東京・すみだトリフォニーホールで、3回目となる村上春樹さんプロデュースのライブイベント「村上JAM」(TOKYO FM主催)が「熱く優しい、フュージョンナイト」と題して開かれた。当コラムで紹介してきたように、第1回の「村上JAM」は19年6月、ボサノバ特集の第2回は21年2
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村上春樹さんが語る 「小説家というのは一種の巫女」 その意味は
2024/6/22 12:00 4150文字「長編で唯一、僕が映画にしてほしいと思うのは『アンダーグラウンド』です」――6月15日、東京都新宿区の早稲田大学大隈記念講堂で、村上春樹さんはそう発言した。「初夏の文芸フェスティバル」と銘打つ早大国際文学館(村上春樹ライブラリー)主催のイベントのうち、村上作品が原作のアニメ映画「めくらやなぎと眠る
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世界の構造も視野? 村上春樹さんが新作短編で描く「ルッキズム」
2024/5/25 06:00 3879文字前回紹介した3月の朗読会で村上春樹さんが自ら朗読、発表した短編小説「夏帆(かほ)」が、5月発売の文芸誌「新潮」6月号に掲載された。同号は同誌の「創刊120周年記念特大号」に当たり、その巻頭に特集「春のみみずく朗読会」として、やはり朗読会で発表された川上未映子さんの短編「わたしたちのドア」、さらに「
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村上春樹さんの文学的井戸 「我々は『小説的に』繫がっている」
2024/4/27 07:30 4258文字3月上旬、村上春樹さんに約1年ぶりでインタビューする機会を得た。2月に出たエッセー集「デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界」(文芸春秋)をきっかけにした取材だったが、同月に亡くなった指揮者の小澤征爾さんや、戦争が続く世界の現状に関する質問などにも答えてくれた。詳しい内容は毎日新聞ニュー
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村上春樹さんが語る小澤征爾さん 音楽の芯を追究した「特別な人」
2024/3/24 08:00 3721文字エッセー集「デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界」(文芸春秋)を刊行した作家の村上春樹さん(75)が、毎日新聞の取材に応じた。インタビューの後半では、2月に逝去した指揮者の小澤征爾さんとの関わり、戦争が続く世界の現状への見方などについても語った。(インタビューの前編はこちらをお読みくだ
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小澤征爾さんと村上春樹さんの創作活動に通底 「ネジを締める」とは
2024/2/24 08:00 4109文字◇初版と同じ装丁で復刻された短編集 数日前、不思議な本と「再会」した。村上春樹さんの最初の短編小説集「中国行きのスロウ・ボート」(中央公論新社)である。初版の刊行は1983年5月。個人的なことになるが、当時、筆者は大学3年生で、すぐに購入して読んだ。そう思っていた。 ところが、書棚の奥の本を取り出
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「若い頃の自分を見るみたいで…」村上春樹さんが訳しにくい本とは
2024/1/27 09:00 4143文字2023年12月20日、早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)2階にある放送スタジオで、ラジオ「村上RADIO」の公開収録(TOKYO FMなど全国38局で1月28日放送予定)が行われた。この会場での同番組収録は22年4月、23年3月に次ぎ3度目になる。ゲストが翻訳を通じ親交の深い米文学者の
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村上春樹さんが38年前の作品に登場させた「ウクライナでの戦争」
2023/12/23 08:00 4118文字ラジオ「村上RADIO」では珍しくないことだが、「秋の夜長はジャズ・クラリネットで」と題した11月26日の放送中、村上春樹さんは「ジャズ・クラリネットとは関係ない歴史の話になっちゃうのですが……」と切り出し、こんな話をした(引用は番組ウェブサイトによる。表記を一部改変)。クラリネットの柔らかい音色
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過渡期だった1980年代 混沌とした状況は今の世界も変わらず
2023/11/28 07:30 2727文字村上春樹さんと、兵庫県の同じ中学の後輩で、「風の歌を聴け」を映画化した大森一樹監督が本格的な活躍を始めた1980年代とは、どんな時代だったのだろうか。筆者が早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)で10月に講演した際にも話題にした問題なのだが、少し掘り下げてみたい。【大井浩一】 中学の後輩で村
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同じ中学の先輩・後輩、村上春樹さんと大森一樹さん 一度きりの出会い
2023/11/28 07:30 1502文字2022年11月に70歳で逝去した映画監督、大森一樹さんの遺著というべきエッセー集「映画監督はこれだから楽しい わが心の自叙伝」(リトルモア)が刊行された。急性骨髄性白血病で闘病中の同年に「神戸新聞」から依頼を受けて書かれ、没後の23年1~7月、同紙に連載された「わが心の自叙伝」と、1973年以降
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テレビ局をまわってみたが… 全共闘世代、村上春樹さんの就職活動
2023/10/21 17:00 3863文字前回、村上春樹さんがひどい夏風邪をひいたという話を書いたが、9月21日に早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)で行われたジャズピアニスト、大西順子さんのライブに、作家は元気な姿を見せた。大西さんとの間で、短いが親密なトークも披露したし、声も(しゃがれてはおらず)正常に戻っていた。同僚記者によ
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村上春樹さんが見抜いた オウム真理教事件と戦争に共通するもの
2023/9/24 12:00 3768文字8月27日放送のラジオ「村上RADIO」で冒頭、村上春樹さんのこんな珍しい発言が聞かれた(引用は番組ウェブサイトより。表記を一部改変)。 「きょうは声が少ししゃがれています。夏風邪をこじらせて、喉をやられてしまいました。次の回までには治しておきますので、きょうはすみませんが、この声にお付き合いくだ
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村上春樹さんの作家デビュー遅らせた カポーティの文の「美しさ」
2023/8/27 14:00 3858文字村上春樹さんの新訳による米作家、トルーマン・カポーティ(1924~84年)の小説「遠い声、遠い部屋」(新潮社)が8月、刊行された。カポーティに対する訳者の強い思いを知っている読者は「満を持しての翻訳」と感じるだろう。この作品は48年、カポーティが23歳の時に出した最初の長編小説である。 村上さんは
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村上春樹さんが表明 「神宮外苑の再開発には強く反対しています」
2023/7/23 12:00 4126文字またまた出ました。よくぞここまで――。といえば、昨今では米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手のホームランを思う人が多いかもしれないが、これはラジオ番組「村上RADIO」での村上春樹さんの発言である。6月25日放送のタイトルは「再びアナログ・ナイト」。要するに、村上さん所蔵のアナログレコードコレクシ
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コロナとウクライナ戦争が変えた 村上春樹さん講演とインタビュー
2023/6/25 11:00 3900文字2023年4月下旬、米国マサチューセッツ州のウェルズリー大に滞在中の村上春樹さんを訪ね、インタビューすることができた(記事は毎日新聞ニュースサイトに掲載)。当コラムでも前に少し紹介したが、作家は1~5月、この米国を代表する名門女子大学に特別客員教授として招かれていた。もちろん、事前に依頼し、応じて
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