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村上春樹をめぐるメモらんだむ

現代作家として国際的に高い評価を受けている村上春樹さん。小説の執筆だけでなく、翻訳に、エッセーに、ラジオDJにと幅広く活躍する村上さんについて、最新の話題を紹介します。

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村上春樹をめぐるメモらんだむ

村上春樹さんが38年前の作品に登場させた「ウクライナでの戦争」

北爆開始後、ベトナムの農村地帯のあちこちに高射砲や対空機関銃の陣地が築かれている。付近の田んぼで働く農民を守るようにハダシの民兵が空をにらみつけていた=ハノイ近郊で1965年10月、大森実撮影
北爆開始後、ベトナムの農村地帯のあちこちに高射砲や対空機関銃の陣地が築かれている。付近の田んぼで働く農民を守るようにハダシの民兵が空をにらみつけていた=ハノイ近郊で1965年10月、大森実撮影

 ラジオ「村上RADIO」では珍しくないことだが、「秋の夜長はジャズ・クラリネットで」と題した11月26日の放送中、村上春樹さんは「ジャズ・クラリネットとは関係ない歴史の話になっちゃうのですが……」と切り出し、こんな話をした(引用は番組ウェブサイトによる。表記を一部改変)。クラリネットの柔らかい音色に心地よく耳を傾けていた番組の中ほどでのことだ。

米軍北爆の契機 トンキン湾事件

 「1964年にトンキン湾事件というのがありました」。トンキン湾事件はベトナム戦争で米軍による北爆のきっかけとなった出来事で、確かにジャズともクラリネットとも関係ない。しかも、この事件に関する知識が乏しい筆者にとって、続く作家の言葉は重いものだった。

 「トンキン湾で、アメリカの駆逐艦に対して北ベトナムの魚雷艇が攻撃を加えたという報告がありました。この報告は事実関係が未確認だったんですが、当時のアメリカの大統領、リンドン・ベインズ・ジョンソンは報復として、即座に北ベトナム空爆の命令を出しました。アメリカの世論もメディアも、この行動にこぞって積極的な支持を与えました」

 放送後に調べてみると、事件が起きたのは64年8月。南シナ海に臨むベトナム北部のトンキン湾で、北ベトナム軍が米駆逐艦を魚雷などで攻撃した。米側は2日後にも2度目の攻撃があったとした。だが、最初の攻撃は、米軍が支援する南ベトナム軍の…

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