連載
現代作家として国際的に高い評価を受けている村上春樹さん。小説の執筆だけでなく、翻訳に、エッセーに、ラジオDJにと幅広く活躍する村上さんについて、最新の話題を紹介します。
過渡期だった1980年代 混沌とした状況は今の世界も変わらず
毎日新聞
2023/11/28 07:30(最終更新 11/28 07:30)
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2727文字

村上春樹さんと、兵庫県の同じ中学の後輩で、「風の歌を聴け」を映画化した大森一樹監督が本格的な活躍を始めた1980年代とは、どんな時代だったのだろうか。筆者が早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)で10月に講演した際にも話題にした問題なのだが、少し掘り下げてみたい。【大井浩一】
中学の後輩で村上作品を映画化した大森さんへの思いを、過去の原稿からひもときます(全2回の2回)。
第1回・同じ中学の先輩・後輩、村上春樹さんと大森一樹さん 一度きりの出会い
2009年のインタビューで村上さんが、「60年代後半の理想主義がつぶされた後の80年代は、オイルショックとバブル崩壊の間に挟まれた時代であり、連合赤軍事件とオウムの間に挟まれた時代」と語ったように、それはさまざまな意味で過渡期だった。戦後の高度経済成長が、本来なら70年代に襲った2度のオイルショックで終わっていたはずのところ、バブルと呼ばれた数字上の成長がなおも続き、異常なにぎわいを見せた時期である。当時の流行語「軽薄短小」が示す通り、若者の間にも軽佻浮薄(けいちょうふはく)な趣味や生活スタ…
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