
特集
歌舞伎
歌舞伎ファンの皆さんへ、人気俳優のインタビューや最新ニュース、担当記者による舞台評などをお伝えします。
-
役の履歴書
青砥左衛門藤綱 民衆の夢が生んだ鎌倉武士=小玉祥子
2025/5/8 13:04 1084文字歌舞伎座の「八代目尾上菊五郎襲名披露 團菊祭五月大歌舞伎」(27日まで)では夜の部の「弁天娘女男白浪」で、七代目と八代目の2人の菊五郎が共演中。七代目が演じているのが青砥左衛門藤綱(あおとざえもんふじつな)だ。 盗賊団の頭目・日本駄右衛門を捕縛に向かう藤綱は鎌倉・滑川から弁天小僧菊之助(八代目菊五
-
六月博多座大歌舞伎 勘九郎、七之助兄弟が登場 2演目の共演に意気込み
2025/5/2 05:05 1112文字<金曜カルチャー 西部発 文化&芸能> 歌舞伎俳優、中村勘九郎、中村七之助兄弟が「六月博多座大歌舞伎」(6月4~26日)に登場する。亡き父・十八代目中村勘三郎の後を継ぎ、中村屋をけん引する2人が福岡市内で記者会見に臨み、意気込みを語った。【渡辺亮一、写真も】 立役の勘九郎は父譲りの芸の骨格が生きる
-
音羽屋の新時代
/下 「日本舞踊は肚で踊り」己の生涯を映す 先代、先々代の足跡追う 来月襲名
2025/4/22 13:07 2039文字3月中旬、とある日の午前、東京・歌舞伎座5階の「木挽町ホール」には、所狭しと照明や撮影スタンドが立てられていた。さまざまな色のバック紙を背景にカメラレンズの前に立つのは尾上菊之助、丑之助親子。雑誌グラビアのために、ファッションモデルの撮影かと見まがうフォトセッションが進行中だった。 八代目尾上菊五
-
歌舞伎 歌舞伎座「四月大歌舞伎」 染五郎、懊悩と純粋さ=評・小玉祥子
2025/4/17 13:07 813文字昼の最初が新作歌舞伎「木挽町のあだ討ち」。永井紗耶子の直木賞・山本周五郎賞受賞作を齋藤雅文が脚本・演出。伊納菊之助(染五郎)は父の敵である作兵衛(中車)を討つため江戸に出て芝居小屋・森田座に身を寄せる。複雑な事情のからむ敵討ちのために狂言作者の篠田金治(幸四郎)ら森田座に関わる人々が力を貸す。 菊
-
音羽屋の新時代
/中 八代目尾上菊五郎・六代目菊之助お練り ラップとコラボ「変わらぬため変わる」
2025/4/15 13:05 1975文字時折、小雨がぱらつく3月末日の東京・神田明神。尾上菊之助・丑之助親子の八代目尾上菊五郎・六代目尾上菊之助の襲名を披露する「お練り」が催された。5、6月の東京・歌舞伎座から始まる襲名披露興行を前に、2人は満開の桜の下、集った約2000人に見守られ行列を進めた。 みこしやおはやしが盛り上げる中、隊列は
-
-
役の履歴書
紀伊國屋文左衛門 俳諧たしなむ江戸の豪商=小玉祥子
2025/4/10 13:13 1084文字「紀文」と通称される江戸の元禄期を代表する豪商。東京・歌舞伎座昼の部で上演中の「黒手組助六(黒手組曲輪達引(くるわのたてひき))」(25日まで)では松本白鸚が演じている。 安政5(1858)年3月に「江戸桜清水清玄」の題で初演された河竹黙阿弥作品だが、この紀文、2人の人物が投影されている。 ひとり
-
音羽屋の新時代
/上 八代目尾上菊五郎 六代目尾上菊之助の誕生前夜 「おめえ、継げよ」父の重いひと言
2025/4/8 13:14 1963文字歌舞伎の大名跡、尾上菊五郎を八代目として尾上菊之助が襲名する。長男・尾上丑之助も六代目菊之助に。江戸時代から約300年続く名門に新たな一章が加わる。東京・歌舞伎座で始まる5、6月の襲名披露興行を前に、音羽屋の歴史と精神に光を当てる。 3月31日夕、ホテル「オークラ東京」の大宴会場「平安の間」は、華
-
役の履歴書
高師直 赤穂浪士の敵=小玉祥子
2025/3/17 13:06 1058文字大石内蔵助を頭目とする赤穂浪士が主君・浅野内匠頭の敵として吉良上野介を討った元禄15(1702)年12月14日(新暦1703年1月30日)の事件を室町時代に移して脚色した「仮名手本忠臣蔵」。寛延元(1748)年に人形浄瑠璃で初演され、歌舞伎にも入った。 作中で最大の敵役は上野介をモデルとした高師直
-
歌舞伎 南座 三月花形歌舞伎 壱太郎ら4人、大役清新=評・畑律江
2025/3/17 13:06 831文字京都・南座の三月花形歌舞伎で、中村壱太郎、中村米吉、中村福之助、中村虎之介がそれぞれに初の大役に挑んでいる。4人交代での口上、役者へのメッセージボードの設置など、観客との距離を縮める工夫が楽しい。昼・夜別に「桜」「松」の2プログラムで上演している。 「桜」プログラムは片岡仁左衛門監修の「伊勢音頭恋
-
歌舞伎 歌舞伎座「仮名手本忠臣蔵」 見応えある役代わりの通し上演=評・小玉祥子
2025/3/13 13:28 757文字ABにわけて主要な役を役代わりで演じる見応えある通し。 昼は「大序」から「落人」。若狭之助は尾上右近が直情さ、松也は生真面目さを見せ、顔世御前は時蔵がうれい、孝太郎が品位を示す。菊之助はおっとりとした塩冶判官が師直の攻撃の理由がわからないまま怒りを募らせていく姿を品格を保って見せ、芝翫の師直は大き
-
-
役の履歴書
名古屋山三 武勇に優れた美男=小玉祥子
2025/2/17 13:02 1069文字歌舞伎には美男の代名詞のような役がある。名古屋山三(さんざ)もその一つ。25日まで東京・歌舞伎座で上演中の「鞘当(さやあて)」にも登場する。文政6(1823)年初演の四世鶴屋南北作「浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなずま)」の一場面。今回は中村隼人が演じている。 山三は不破伴左衛門と吉原の仲之
-
歌舞伎 歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」 勘九郎、間と動き切れ抜群=評・小玉祥子
2025/2/12 13:02 713文字昼の序幕は巳之助の不破、隼人の名古屋、児太郎の茶屋女房の花形による清新な「鞘当」。 中幕の「醍醐の花見」(中内蝶二作、今井豊茂脚本)は梅玉の秀吉、魁春の北の政所、雀右衛門のまつ、福助の淀殿らによる舞踊劇。美術(前田剛)が美しい。 最後が「きらら浮世伝」(横内謙介脚本・演出)。貸本屋の手代から版元と
-
役の履歴書
武智光秀 大罪人から亡霊まで=小玉祥子
2025/1/20 13:03 1065文字天正10(1582)年6月2日未明の「本能寺の変」で織田信長を討った明智光秀。現代では悲劇の武将として人気も高いが、江戸期には人形浄瑠璃や歌舞伎などで主君殺しの大罪人に描かれることが多かった。本名をはばかり、武智光秀の名で登場する作品がほとんどである。 「新春浅草歌舞伎」(26日まで)で武智光秀を
-
歌舞伎 「新春浅草歌舞伎」「双仮名手本三升 裏表忠臣蔵」 團十郎が4役早変わり=評・小玉祥子
2025/1/16 13:14 749文字若手花形が中心の「新春浅草歌舞伎」は出演者の多くが入れ替わっての清新な顔ぶれ。2部制で両方の部に「絵本太功記 尼ケ崎閑居」がある。1部の光秀は染五郎。低音が響き、出に凄(すご)みがある。鶴松の操、鷹之資の十次郎、玉太郎の初菊、左近の正清。2部の光秀は橋之助で緻密な作りで姿も良い。莟玉の操、鶴松の十
-
歌舞伎 国立劇場「彦山権現誓助剣」 「瓢簞棚」立ち回りに緊迫感=評・小玉祥子
2025/1/15 13:10 719文字国立劇場らしい通し上演。上演頻度の高い「毛谷村」に原作に基づく前後と脚色を加え筋を通した。国立劇場文芸研究会補綴(ほてつ)。 大名・郡家の剣術指南、吉岡一味斎(又五郎)が同家中の京極内匠(彦三郎)に闇討ちされる。一味斎を師とする武芸家の六助(菊之助)が婚約者で一味斎の娘、お園(時蔵)らと敵討ちを果
-
-
歌舞伎 歌舞伎座「寿初春大歌舞伎」 「封印切」鴈治郎に愛嬌=評・小玉祥子
2025/1/9 13:03 774文字昼の序幕が「寿曽我対面」。巳之助の五郎は若々しい強さがあり、形が美しい。米吉の十郎は優美な中にりんとしたところがある。芝翫の工藤が貫禄。 続いて夢枕獏作「陰陽師」が原作の2本。「大百足(むかで)退治」(今井豊茂脚本)は藤原秀郷(松緑)が大(おお)蜈蚣(むかで)の魂魄(こんぱく)(坂東亀蔵)を退治。
-
歌舞伎 南座「吉例顔見世興行」 壱太郎、萬太郎ら若手奮闘=評・畑律江
2024/12/18 13:09 881文字師走の京都を彩る南座の顔見世が上演中。負傷により休演となった愛之助に代わって昼、夜の部で舞踊劇に挑んだ壱太郎、萬太郎をはじめ、若手花形たちが奮闘している。 昼はオペラをもとにした新作「蝶々(ちょうちょう)夫人」から。夫ピンカートンの帰りを待つ芸者お蝶(壱太郎)は凜(りん)としたたたずまい。女将お駒
-
役の履歴書
富姫 白鷺城、伝説の魔物=小玉祥子
2024/12/16 13:01 1182文字白く輝く大天守と三つの小天守がそびえる姫路城(兵庫県姫路市)は白鷺(しらさぎ)城とも呼ばれて古くから人々を魅了し、魔物がすむという伝説も生まれた。代表格が「小坂部(おさかべ)(小刑部、刑部、長壁とも)伝説」である。 諸説ある。一つは光仁天皇の世に陰謀に連座した廃皇太子の他戸(おさべ)親王にまつわる
-
歌舞伎 歌舞伎座「十二月大歌舞伎」 獅童、葛藤をユーモラスに=評・小玉祥子
2024/12/12 13:06 764文字3部制で1部が再演を重ねる絵本が原作の「あらしのよるに」(きむらゆういち原作、今井豊茂脚本、藤間勘十郎演出・振り付け)。嵐の夜に互いの属性に気付かずに知り合ったオオカミのがぶ(獅童)とヤギのめい(菊之助)の友情に発する物語。だんまりなど歌舞伎技法を取り入れ、竹本と長唄がオオカミとヤギのそれぞれを象
-
草津温泉に市川團十郎さん 湯畑で歌舞伎舞踊 ユネスコ登録後押し /群馬
2024/12/10 05:04 322文字県は7日、温泉文化の国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産への登録を目指す取り組みの一環として、歌舞伎俳優の市川團十郎白猿さんによる特別公演を草津町の草津温泉で開催した。團十郎さんは歌舞伎舞踊「延年之舞」を披露した。 観光名所「湯畑」の広場に会場を設置。温泉の匂いが立ちこめ、雪がちらつく中、
-