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着地・・・しない!?

目が覚めると、機内が明るくなってスチュワーデスさんたちがエプロンをつけている。
夕食から9時間、やっとご飯にありつけるというわけ。
アナウンスでは「ランチ」が配られるということだったけど-日本時間ではお昼過ぎだし-出てきたのはどう見ても朝ごはん。

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ブラインドを上げると、青い空に雲の絨毯。「雲の上はいつも晴れ」は本当なのね。
飛行機は高度を下げ、間もなく雲が割れて、

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小石を敷き詰めたような家々が見えてくる。どこの町だろう?
青空はだんだんスモッグでくすんだ色になってくる。東京タワーが見えた!

vue 3

「着陸態勢に入ります」と高度はどんどん下がり、滑走路が見えてきた。
地面が目のすぐ下に見え、今にもドン、ドンと車輪が出る、と思ったところで、飛行機は突然上昇し始めた。
えっ!どうして? 乗り出して窓の外を見ていた隣の女性も「アレっ」という顔。中央の席の人たちは無関心だ。
何の説明もなく、飛行機は上昇する。
車輪が出なかった? じゃ胴体着陸? あれって炎上するんじゃなかった? じゃ東京湾に突っ込む?
ハドソン川に着水した名パイロットをトム・ハンクスが演じた映画があった・・・・忙しく想像していると、飛行機は再び東京タワーに戻ってきた。
その時やっと「さっきは管制塔からOKが出なかった」という説明があった。
今年1月にJAL機と海上保安庁の機体が滑走路で衝突した事故を思い出し、ヒヤッとする。
2度目は無事にドン、ドンと車輪が出た。
ほっ!無事に着いた。
フランスなら拍手が起こるところだ。


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わたしが日本にいた頃だから30年以上前『異人たちとの夏』という映画があった。
主人公の原田(風間杜夫)は離婚して一人暮らしのシナリオライター。
ある日、子供の頃住んでいた浅草に行ってみた。
両親は彼が12歳のとき、交通事故で亡くなっている。はずなのに「おお!よく来た」と父親(片岡鶴太郎)が実家から出てきた。
言われるままに家に上がると、亡くなったころのままの若い母親(秋吉久美子)が笑顔で迎える。
思いがけない再会に喜び、その日から何度か通うようになる。
一方で、同じマンションに暮らすケイという女性と関係を持つようになる…
山田太一原作。細部はよく覚えていないけど、今でも忘れられない映画のひとつ。

原作のアンドリュー ・ヘイ監督版『Sans jamais nous connaitre /異人たち』が今年2月パリで公開された。

映画『異人たち』

見損なってがっかりしていたら、JALの機内映画にあるではないか。

アダム(アンドリュー・スコット)はロンドンの高層ビルに一人で暮らすシナリオライター。

映画『異人たち』
photos: allociné

ある晩、同じビルに住む男性ハリーがウィスキーの瓶を持ってドアを叩き「一緒に飲まないか?」と誘うが、アダムは断る。
数日後、シナリオに行き詰まりアダムは子供の頃住んでいた郊外を訪れる。
そこで30年前に交通事故で亡くなった両親に再会する・・・・
原作と違うのはアダムがゲイであること。そのせいで子供の頃いじめられ、お父さんが何も言ってくれなかったことがしこりになっている。
アダム役のアンドリュー・スコットは優柔不断な雰囲気が風間杜夫に似ている。殆どがオフィスで、夜はアダムとハリーの2人だけという高層ビルは都会のホラーではあるけど。でも両作品を比べると、下町の日本家屋の方がはるかに幽霊に似合う。
クリスマスツリーを飾っている幽霊なんか全然怖くない。

映画『異人たち』

でも『異人たちとの夏』がオカルト的になるのに対し、イギリス版の暗示的な最後の方がいいと、わたしは思った。

ホームに入った母を見舞い、実家の片付けをするため年に何度か東京に帰っている。
実家に入る度、幽霊が出そうとは言わないけど、子供時代の情景が思い出される。
この映画とちょっと重なった。


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灯台下暗し

翌日、貼り紙ができなかった隣の建物の住人に電話することにした。
Pages Blanches(白いページ)というサイトがあって、住所を打つと住人の電話番号がわかる。
お金を払うと番号が隠せるListe Rouge (赤いリスト)というのがあって、勧誘電話などを防ぐことができる。
でも最近は勧誘電話をかけるほうも方策を練って、防ぎきれないらしい。

住人は半分以上このListe Rougeで、番号が出ている人たちに片っ端から電話した。見事に誰も出ない。
インターフォンを押しても誰も応えず、電話にも出ない…となりは幽霊屋敷か?
貼り紙を見て電話してくれる人もなし。
でもとにかくできることはやった、と思ったら涙が出てきた。
タマもそわそわと探すかと思ったら、心配している気配はない。むしろ久しぶりの一人っ子を満喫しているような…

そんなとこにいるわけないだろ…

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近くまで出かけた夫が、
「注意して見たけど、車に轢かれた猫の死体はなかった」
「毒エサを食べたネズミを食べたのかもしれない」
と不吉なことばかり言う。
その上、
「野良猫だったのに、いい人生を送らせてやったじゃないか」
と既に過去形。
「猫のような小動物は2日食べないと命の危険がある」と誰か言っていたのを思い出す。
もう2日以上経っている。

日本にいる子供たちには知らせていなかったので、メッセージを送った。
「えーっ!まだ帰ってこないの?」と娘。
「物置は探した?」「もちろん」
「リュリュは絶対外には出ない」「出ない」
「わたしたちにも捕まえられないんだから、捕まるはずはない」
「はずはない・・・・ということは?」
「どっかに閉じ込められている。鳴き声に注意してる?」
「もちろん」と答えながら、そういえば外ばかり探していた。
閉じ込められている、と言っても、うちの押し入れは引き戸なんで猫は前足で開ける。ただし一か所だけ…わたしは脱兎のごとく走って納戸に行き、開け閉めがしにくい引き戸を開けた。とたん、白黒の塊が鉄砲玉のように飛び出してきた。
「リュリュ!!!」
中で寝ているのに気づかず、戸を閉めてしまったのはわたしかもしれない。ごめんね!
名前を呼びながらこの押し入れの前を何度か行き来したのに、なぜ鳴かなかったの⁉バカモノ!
リュリュはさすがに怖かったとみえ、ベッドの下に隠れ、しばらくしてから出て来てガツガツとキャッツフードを食べた。

まだ引きつった顔。

lulu choque

「終わりよければすべて良し」と夫。
むしろ“灯台下暗し”と言いたい。
押し入れの中は毛だらけでオシッコの匂いが充満していた。でもそんなこと取るに足らない。
娘とのやり取りがなかったら、押し入れで死んでいたかもしれない、と思うとゾッとする。
「猫に関してわたしは第六感があるのよ」と娘は得意そうだった。

心配していただいた読者の方たち、ありがとうございます。結末を書くのが遅れてすみません!


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毎朝6時半に「腹が減った」と起こしに来るのはリュリュだ。でも今朝はタマで、時計を見ると7時を過ぎていた。パリに戻って3日後のこと。
キャッツフードの音を聞いたらどこかから飛んでくるかと思ったけど現れない。
野良猫だったリュリュは基本的に人間が怖いので、人が寝静まってから中庭をうろつくのが好きだ。でも朝には必ず帰ってくる。
ご飯より大切な用事なんてあるんだろうか?雨も降っているので心配になって探しに行く。

わたしたちの住んでいる建物は小さい4棟に分かれていて、それぞれ階段がある。
リュリュ!と呼びながら4つの階段を上がり降りしたけど白黒の姿はなかった。
通りに出てみた夫も首を振る。
8月15日(Assomption/聖母の被昇天)の前後は、お盆のようにパリが最も空っぽになる時期だ。
「怖がりだから絶対外には出ない」と夫。
「わたしだって捕まえるのが大変なんだから誘拐もありえない」
時間が経つに連れてますます心配になる。

「屋根伝いに隣の敷地に行って出られないとか?」と夫。
それは考えなかった。でもどうやって屋根に上る?
そういえば高い木に上って“降りられなくなった”ネコ騒ぎがあったのを思い出した。
ネコ経験者としてわたしも呼ばれて見に行ったら、2階のアパートの前の木で子猫が立ち往生。隣の建物の猫らしい。
消防署に電話したら「そんなことにかまっているヒマはない」と言われたそうだ(ごもっとも)
2階の住人が窓から細い板を渡し“橋”を作ってあげたのに猫は知らん顔。
そして間もなく、猫は器用に幹を伝ってあっという間に降りてきた。
“立ち往生”ではなく、ただ世の中を眺めていただけらしい。

午後「この子を見たらご連絡ください」の紙を建物の入り口と、両隣の建物に貼りに行く。
通りの住人がみんな行く薬屋さんにも頼んだら「もちろん!」とウィンドウに貼ってくれた。

lulu affiche

右隣の建物はデジコードではなくインターフォンなので、誰か開けてくれないか、と根気よくすべての住人の名前を押してみた。
誰も返事をしてくれない。
この週末、ほんとに猫の子一匹いないのだ。


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イエールに行くなら

「ポルクロル島に行け」「すごく綺麗な島だ」とあちこちから言われた。島が好きなので(島国生まれのせい?)ポルクロルを見ずには帰れない。
岬の先端の港から、夏場は30分置きに船が出ている。わたしは船を予約し(往復21€)、バスの時間を調べ、ぐずる夫を急かして時間通りバス停に着いた。のに、バスが15分も遅れてやってきたので既に汗びっしょり。

バスは満員で、港が近づくと渋滞で進まなくなった。どうやらイエール近郊にいるバカンス客全員が「ポルクロル島に行け」と言われたらしい。船の時間があるので全員バスから降りて歩き出す。再び汗びっしょり。

船は思ったより立派で、

ポルクロル島/Porquerolles

かなりスピードを出す。20分もかからず島に着いた。

ポルクロル島/Porquerolles

乗客はみんな目的ありげに歩き出すので、ついていくと、一部は貸自転車屋へ、一部はレストラン、その他大勢は海岸へ、と散っていく。なんのヴィジョンもないわたしたちは観光案内所へ行き、
「お薦めは?」と尋ねると、
「ここがサント・アガットの要塞、眺めがいいです。こっちは植物園。泳がないならこの2か所がお薦め」と地図に〇をつけてくれた。

要塞までは歩いて「ほんの20分」と言われたけど、この炎天下で上り坂もあって・・・・

でも絵のように素敵な風景に出会う。

ポルクロル島/Porquerolles

30分近く歩いたところで、夫は木陰のベンチに座りこみ「ここで待ってる」
マップによるともうすぐなのに…
仕方なくひとりで歩く。そういえばサイクリスト以外は、殆ど誰ともすれ違わない。この暑さの中、徒歩で上る人は稀なのだ。今頃みんな海に飛び込んでいる…
ワンピースがグッショリするくらい汗をかいて、たどり着いた要塞にはわたしを含めて4人だけ。

ポルクロル島/Porquerolles

塔の上まで上る気力はなく、狭間から見える細い海を見て降りてきた。

ポルクロル島/Porquerolles

最初に見つけたレストランで大瓶のミネラルウォーターを一気飲みし、シーザーサラダを食べる。
シーザーサラダはわりとハズレのない一皿料理:レタスの芯、鶏の胸肉のグリル、アンチョビ、半熟卵、クルトン、クリームの入ったヴィネグレット、が通常のレシピだけど、ここでは鶏をフライ(しかもかなり前に揚げた)にしている!

シーザーサラダ

「これだけ水を飲んでもトイレに行きたくない」
「汗で出てるからだね」と言いながら。
その後、植物園に行ってみたけど、入り口の写真にある蛇や亀の姿はない。受付の女性に聞いたら、
「夏だから…5月頃来ればいるけど」

結論:ポルクロル島は確かに美しい。でも観光案内所のお薦めは当てにならん。


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泳ぐ、食べる、観る…

海の反対側は、最初、海の続きかと思ったら、実は池で、無数の白鳥が遊んでいる(「遊んでるわけじゃない」と言われそうだ)。

Hyères/イエール

池はキラキラする水面と土手が交互になっていて、遥か彼方まで続いている。

Hyères/イエール

つまりどっちを見ても見渡す限りの風景。人影はない。

夕刻になると、白鳥はどこかに行き、今度は空に無数の凧が上がる。
この光景は、歩いて10分のミニスーパーに行かない夫(「歩きたくない」)は見ないので、写真に撮ったけど凧は黒い点にしか見えなかった。

わたしたちの毎日は、泳ぐ、食べる、テレビでオリンピックを観る…
ミニスーパーには卵とハムソーセージくらいしかないので、渋る夫を引っ張って大型スーパーに出かけた。
バスで20分かかる大型スーパーに行くからには3日分くらい買いたいので、2人じゃないと持てない。
食いしん坊でわたしよりずっと食べるくせに渋るとは。

肉コーナー。後ろに行列しているのはバーベキュー用の鶏、牛、豚、羊の串刺し。

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「豚のフィレミニヨン」と言うと「ないね」と肉屋さん。
バーベキュー以外の料理は存在しないらしい。

季節の桃やネクタリンはパリの半値。「地元で作ってるから?」とよく見たらスペイン産。

Hyères/イエール

これだからフランス農家が怒るのだ。

夜は、時差がないのも手伝って、生まれて初めて、しっかりオリンピックを観た。
ルールがよくわからなくても、高レベルのスポーツは美しい。
このために何年も血のにじむ練習を重ねてきた選手たちは美しい。
そしてフランス人観客の応援のすごいこと。地元だから人数が多いのは当然だけど、始まるまでしらけていたのが、予想以上にメダルを取るせいか、日に日に気合が入ってきた。

誰が発明したのか「バスケット3x3」も初めて観て面白かった。
「わたしがバスケットやってたって知ってた?」
「君のお母さんから聞いた」と夫。
誰も信じないけど、わたしは中学のときバスケ部にいた。
もともと球技は苦手で、それを克服したかったから、というと聞こえはいいけど。
果たしてバスケットも下手で、試合のときはいつもベンチにいた。
克服どころかコンプレックスを深めただけであった。


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翌朝、礼儀正しい青年がやってきて5分でエアコンを修理してくれた。
5分で済むなら昨日来てくれればよかったのに。お陰で寝不足だ。
彼はマットピンクの従弟だそうで「エアコンを設置したのもぼくです」。ファミリービジネスなのね。

水着の家族について行ったら本当に5分で海岸。砂浜が左右に、はるか彼方まで続いている。

Hyères/イエール海岸

海はすごく遠浅で、背が立たないとパニックになるわたしでも安心。子供連れが多い訳だ。
水は、底が見えるほどじゃないけどボーリューよりきれい。場所を変えたい、と思った理由のひとつは、ニース近郊の海が年々汚れてきているから。

「しんどい」「神経痛が痛い」と歩きたがらない夫は、泳ぐのは昔と変わらず、ゆったりと長い時間泳いでいる。
「泳ぐときはなぜどこも痛くないんだろう?」と不思議がるので、
「体積分軽くなるからじゃない」大柄な夫の体積分だとかなり軽くなるはず。
わたしは怠惰で、ちょっと泳いでは浜で寝転がる。
海岸沿いには低層の「海の家」が並んでいる。歩いて1分だ。

Hyères/イエール海岸

社員寮もあり、食事付きらしく、お昼時にはいい匂いがしてくる。
ホテルやレストランが立ち並ぶ海岸とは違って、素朴でレトロな雰囲気。統一感があって美しい。
「どうしてホテルやレストランを建てないんだろう?」と言うと、
「採算取れないからだろう」と夫。
「高さ制限もあるのかも」(だったとしたらエライ)
「高さ制限があるんだろう」思いついたように夫。
こいつ、人の話を聞いていないな。

文句が多いて人の話を聞かないのは歳のせいか?
アパートは「エレベーターなし、WIFIなし、洗濯機なし、勾配屋根で頭をぶつける」で、ハズレであったが、今更文句を言っても始まらない。でも彼は言い続ける。
「海岸に近いし、海はきれいだし」と言ってみるけど、良い面はぶっ飛んでいる。まったく…


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浮気するから…

両側に松林がある県道をタクシーはひたすらまっすぐ走る。ホテルもお店もない。

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海側にちょっと入ったところにピンクフラミンゴはあった。小さい建物で、外側に急な階段がある。
エレベーターがない!と絶望的な声で夫。わたしたちが借りたアパートは3階だ。
汗だくになってスーツケースを引っ張り上げ、アパートに入る。
ボーリューのアパートに比べてかなり小さい。居間兼キッチンとこちらが寝室

toit mansart

最上階なので天井が勾配していて夫はすぐに頭をぶつけ、さらに不機嫌に。
ふつうは部屋の一部が勾配しているけど、部屋が小さいから天井の殆どが斜めになっている。
でも改装仕立てで清潔そうだ。
「着いたら電話して」と家主に言われていたので電話すると、
「申し訳ないけどエアコンが故障してて明日修理に来ます」
ガーン!気温は37度よ!熱中症になったらどうしてくれる!?
リネン類が足りない、というと「1時間後に行きます」

時間通りに現れたのは、ところどころ破ったスリムジーンズに黒いトップの30代の女性。
どこかピンクフラミンゴに似ているのはピンクのマットな口紅のせいか。
夫はベッドにぶっ倒れ、わたしが「最低限の買い物しなくちゃ。小さいスーパーが歩いて5分って書いてありましたよね?」
マットピンクは「車で一緒に行きましょう」
彼女は近くの町のブティックに勤めていて、今年からAirbnbを始めたそうだ。
イエールのことはあまりよく知らないみたいで、
「このバスはどこに行くのかしら?」「さぁ…」
「もっと大きいスーパーがあります?」「多分…」

着いたスーパーは歩いて5分じゃなく車で5分。不動産屋の言うことはいずこも当てにならん。
マットピンクは親切で、買い物を済ませたらまた送ってくれるという。
待たせたら悪いから、わたしは猛スピードでトマト、サラダ、卵、生ハム、チーズ、朝食用のヨーグルト、果物・・・・を籠に入れた。

その夜は暑くて寝つけなかった。ここを予約したのは自分だから文句は言えない。
夫は「行ったことがない場所に浮気するとこういうことになる」と言いたげな顔をしていた。


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欲張りすぎの結果

今回、いつも行くBeaulieu/ボーリューに行かなかったのはオリンピックのせいだ。
春頃のアンケート調査でパリ住民の60%以上が「オリンピック中、パリから逃げ出す」と答えたので、地方のヴァカンス用貸しアパートが一斉に値上げをした。
開催地パリのホテルは2倍~3倍だけど、コートダジュールの貸しアパートも2倍以上。
ヨットハーバーがあり、芸能人が多いサン=ジャン=カップ=フェラは「一泊1000€という物件もある!」とドミニック。

バスで数回行ったことがあるけど安くても滞在したいと思わない。マフィアっぽい男&モデルみたいに綺麗な女というカップルや、ブランドずくしの人とすれ違い、すべてが高そうな町。

サンジャン=カップフェラ
©BBO Studio

沿岸に何件か貸しアパートを持ち、いつもボーリューの同じ物件の予約を頼んでいるドミニックは、「常連だから」と大家に掛け合ってくれたけど、それでも+60%。
それで今回は諦め、ちょっと外したトゥーロン近くのイエールで探し、海岸近くにFlamants Roses/ピンク・フラミンゴという物件を見つけた。

この写真に惹かれた。

イエール海岸
©Destination Côte d'Azur

「悪いけどこの夏はイエールに行く」とドミニックに言うと、
「イエールはいい!海はきれいだし野性的」
イエールにSauvage /野性的という形容詞をつけたのは彼だけじゃない。
タクシーから見える景色はなるほど自然がしっかり残っていて、ホテルが林立したりしていない。
「今年はヴァカンス客が少ない」とタクシーの運転手さん。
「どうして?!」
「春頃、ホテルやAirbnbがめちゃくちゃ値段を上げたんですよ。一泊1000€とか。そしたら予約が入らなくて、去年よりずいぶん静か。お客さんにはラッキーですよ」
パリも「ホテルが埋まらない」とニュースで言っていた。稼働率70~80%とか。
欲張りすぎるとこうなるのだ…


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破壊行為、木と衝突、猫探し

「火災などによる破壊行為」で、TGVの複数路線が不通になったのが7月26日。日本のニュースでも伝えられた。
「今の社会を一度破壊して新しい社会を」と訴える反資本主義の“ウルトラ左派”の手口と言われ、捜査がが始まったけど犯人はまだ不明。
やっと復旧したと思ったら、7月31日朝、ミニ竜巻が起こり木が倒れ、パリ→リヨン間のTGVと衝突。

TGV 木と衝突

ちょうどヴァカンス7月組と8月組が入れ替わるときで8万人に影響。
TGVに怪我人は出なかったけど、電車2本が閉じ込められた乗客約700人を救出に駆け付けた。
これはわたしたちが2日後に乗る線。目的地は南仏トゥーロンだけど、リヨンまでは同じ線路だ。
それで余計(!)心配したけど、翌日には正常に戻った、とニュース。

8月2日11時、夫とわたしはパリのリヨン駅からTGVに乗る。
8月組の出発はまだ続いているので早めに出かけたのに、えらく長い電車で、先端のわたしたちの車両にたどり着いたときは発車3分前だった。
しかし。定時になっても発車しない。
間もなく“猫のせい“というアナウンス。
どこかの飼い猫が線路に迷い込んで「ただ今、捜索中です。しばらくお待ちください」
猫を連れた乗客が籠を開けて逃がしてしまったのかと思ったら、近所の飼い猫らしい。
どっちにしろ猫のためなら文句は言わない。
10分ほど経って「全力を挙げて捜索中」とアナウンス。
別に急いでいるわけじゃないし、と言おうとしてトゥーロンで乗り継ぎがあるのを思い出した。乗り継ぎ時間は20分だ。
結局30分近くたって「無事に捕まえました」(ホッ)と電車はようやく出発した。
果たして予定のローカル電車には間に合わず、次の電車に乗って、わたしたちは目的地のHyères/イエールに到着する。


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金メダルの数は中国が10個とトップで、8個の日本とフランスが追っている。
総合ではフランスが26個とトップで、期待を遥かに上回り、オリンピックに懐疑的だった人まで盛り上がっている。
開会式の翌日、男子ロードタイムトライアル(Course contre la montre)がバスティーユ広場を通った。
文字通り「時間との戦い」。アンヴァリッド広場からアレクサンドル三世橋まで、自転車で一番速く走った人が勝ち。

雨降りなのに、住人や旅行者が人垣を作り

PARIS 2024

選手がひとり通過すると-国はどこでも-「ワァー!」と大歓声が起こる。
選手は時差で出発するので、通過も間隔があるけど、みんな「ワァー!」と叫ぶために辛抱強く待っている。
なんだ、楽しんでるじゃない。
続いて、水泳のレオン・マルションが立て続けに金メダル3個。
2位を大きく引き離す速さだけでなく、リラックスした態度や笑顔が、希望の象徴みたい。

PARIS 2024
©SEBASTIEN BOZON/AFP

そのせいかオリンピックが始まってから、わたしの周囲では“いつもより機嫌がいい”人が増えた(夫は相変わらず文句が多い)。
いつも不愛想なスーパーの店員さんたちが、突然感じがいい。
昨日行ったORANGEの従業員がやけに親切。

ラグビーで、フランスがどんどん勝ち進み優勝するまで観戦(5時間!)した友人は「階段席の上の方だったんでよく見えた」「雰囲気が熱くて、すごくよかった」
「一生に一度、自分の国で開催されたんだから」と、柔道やフェンシングも観に行く、と興奮している。
リタイアした友人は毎日のように観に行って、人が変わったというくらい機嫌がいい。
「君も行けばいいのに」と言われるけど。
わたしはダンスが好きなんで開会式は大いに楽しんだ。
でもわざわざ観に行きたいほど好きな競技はない、というのが我ながら残念。

ニュースも80%オリンピック。どの党が絶対多数の議席を取るか、首相は誰か…は霞んでいる。
今朝ラジオで、観戦にきた外国人旅行者たちが、
「フランス人が-評判とは違い-親切なんでびっくり」「道を聞いても丁寧に教えてくれる」
フランス人に“親切”なんて形容詞は、かってついたことがなかった。

そういえば昨日、レピュブリックの駅でメトロ職員がミネラルウォーターを配っていた。30年以上住んでて初めてのこと。思いがけなくて、一瞬取るのを躊躇ったら「水ですよ、どうぞ」。慣れないことすると、びっくりするじゃない。ちょっとぬるくなっていたけど、ありがたかった。
国民議会解散&総選挙で分断したフランスが「オリンピックでまとまるのでは」という声を、あまり信じていなかったけど、スポーツの力は思ったよりすごい。この機嫌のよさは、オリンピックの後も続いてくれるだろうか。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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