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「12月5日が近づいています」「後1週間となりました」とニュース。
恐れられているこの日にストをするのは:

SNCF(フランス国鉄)
これまで“鉄道員”は特権的年金制度を享受してきた。定年年齢:運転手は52歳から、事務職は57歳から。
一方、民間企業は62歳から。
この年金制度はなんと1909年にできたもの、つまり蒸気機関車の時代だ。ゾラの『獣人』の映画で、ジャン・ギャバンが顔を真っ黒にして石炭をくべていた時代。
1世紀以上前の制度が、オートマチック化された今も続いているのが驚きだ。
マクロン大統領はこの特権を廃止し「みんなと同じにしようね」と言っている。なぜなら、国鉄職員の年金は33億ユーロの赤字に達している。
これに反対し、SNCFを代表する4つの労組がとストを予定。「蒸気機関車時代の権利を失いたくない!」
理解に苦しむ。

RATP (パリ交通公団)

9月13日のストでパリを麻痺させたRATPは、年金改革に反対して12月5日から無期限ストを予告している。

フランス、12月5日のスト
photo:le Parisien

住民は「車か自転車か歩き」という選択肢になる。パリは“歩いてどこにでも行ける”大きさの街ではあるけど。

エールフランスの地上勤務員もストをする。彼らはいい給料取ってるのにね。

病院
予算不足、人出不足で、思うように看護できない、という国立病院の訴えはもっともだ。
11月20日、政府は追加予算と病院の借金を3年がかりで肩代わりすると提案したが、それでは不十分と12月5日の全国ストに加わる。

教師
教育制度改革に反対し、手当と賞与の少なさを訴えるため3つの労働組合がストを決めている。
つまり授業に来ない先生がいるってこと。生徒は喜ぶ?

黄色いベスト
「年金制度改革に反対する多数の労組と利害が一致する」とデモを決定。一致しなくてもするでしょう・・・

ということで、1週間後に迫った12月5日、買い物や用事は事前にして外に出ないで大人しくしていたほうがいい。
恐ろしいのは「継続可」とか「無期限」と言っていること。

1995年のストを思い出す。11月、当時の総理、アラン・ジュッペが、公共企業(SNCF、RATP、EDF)の年金制度を民間企業と同じにするを発表。それに反対して3週間、交通がストップし、政府は折れた。
クリスマス・年末シーズンだったため、旅行者は減り、外出・買い物も減り、小売店やレストランの倒産が相次いだ。
またそんなことになっていいの?
「木を見て森を見ず」という格言、知らないのかね・・・


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太陽の恩恵

東京ではなぜか毎朝7時に目が覚めた。ふつうは時差で朝、目が覚めないはずなんだけどね。
それで7時からNHKのニュースをつけて、コーヒーを淹れたりシャワーを浴びたりしてたら、
「なぜインフルエンザは冬に流行するんでしょう?」というクイズ。
寒いから?(寒くて鼻風邪はひくけど、インフルエンザはウィルスだ)
空気が乾燥しているから?(フランスで「暖かくて湿気があるとウィルスが長生きする」と聞いた気がする)
答えは太陽!冬は日照が少なく、体内にビタミンDが合成されにくい。ビタミンDは抵抗力を増す働きがある。
へぇー知らなかった。

ビタミンDは骨を強くする、は知っていた。日照時間が少ないフランスではビタミンD欠乏症が多い。
特に40歳過ぎから骨粗しょう症を予防するため、一日に1時間日光を浴び、1か月に1度、ビタミンDのアンプルを飲みなさいと言われる。私も言われている。

日本では紫外線の悪影響のほうが前面に出ているけど、いい影響も認めてあげないと可哀そうだ。

東京にいた1週間は毎日晴れて、朝、窓からたっぷり日が差し込み気持ちよかった。

写真にすると大したことないけど、アパートメントの一画が光に溢れていた。

IMG_20191116_101318.jpg

ベランダに出ると、太陽の暖かさに包まれて幸せな気分になったものだ。
外に出ると日傘をさしている人までいて、なんともったいない。付け焼刃の知識で、インフルエンザになりますよ、言いたくなった。

パリに戻ったら、案の定、灰色の空、雨、時に土砂降り。
東京の青空と太陽が恋しい。


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2018年7月。フランスはサッカーワールドカップの優勝に沸き返っている。
パリ郊外モンフェルメイユに住むアフリカ系の子供たちも、トリコロールの旗を持ってシャンゼリゼ通りのパレードに繰り出した。
肌の色は違ってもみんなフランス人なのだ。

ステファン(左)はシェルブールから、このモンフェルメイユの警察に配属される。
2人の警官、クリスとグワダとチームを組み、町をパトロールする一日目。

映画『レ・ミゼラブル』

住民の殆どが移民であるのに驚き、権限を振りかざして彼らを制圧しようとするクリスのやり方に疑問を持つ。
これじゃ警察官というよりヤクザだ。

間もなく、町で興行するジプシーのサーカス団から「ライオンの赤ちゃんが盗まれた」と通報がある。「24時間以内に返さないと、町の黒人集団は痛い目に遭うぞ」
なるほど痛い目に遭わせそうな強面のジプシーたち。

映画『レ・ミゼラブル』

ステファンら3人は、インスタグラムでライオン赤ちゃんの写真を見つけ「少年イサが怪しい」。

映画『レ・ミゼラブル』

遊んでいたイサを捕まえようとするが、凶悪犯を捕まえるようなヴァイオレントな追跡になる。
イサの仲間の子供たちに取り巻かれ、パニックになったグワダは、スタンガンを取り出す・・・(これ以上は書かないほうがよさそう)

マリ人、ラッジ・リの初長編映画『レ・ミゼラブル』。
今年のカンヌ映画祭で審査員賞を取った。

映画『レ・ミゼラブル』
photos:allociné

最初は警官の行き過ぎを描いた作品に見える。黄色いベストの暴動の制圧に、警官が必要以上に自衛&防犯武器を使うのが問題になっているし。
しかし作品は、移民の子供たちが束になったときの、制圧できない反抗パワーもたっぷり見せる。
それは大の大人の警察官たちが震えあがるアグレッシブさ。映画の冒頭で、フランス優勝を無邪気に喜ぶ同じ子供たちと、見事なコントラストだ。

移民を受け入れるのはいいけど、ちゃんと受け入れられるかが問題なのだ。すぐに学校制度から落ちこぼれ、一日中町を徘徊して、盗みや万引き、暴力を覚えていく子供たち。
俳優は警官だけ。住民、子供たち、ジプシーまでみんな本物。だからこのリアルさ。

最後にヴィクトール・ユーゴーの『ああ無情』から抜粋される。
『世には悪い草も悪い人間もいるものではない。
ただ育てるものが悪いばかりだ』

内容だけでなく撮り方も上手く、初の長編映画とは思えない完成度。是非、日本でもかかって欲しい。

Les Misérables
ラッジ・リ監督作品
主演:ダミアン・ボナール、アレクシ・マネンティ、ジェブリル=ディディエ・ゾンガ
1時間42分
フランスで公開中


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高台と低地

夫はずらせないミーティングがあり、娘はバイトで、空港には娘のボーイフレンドが迎えに来てくれた。
帰りのRERで、Finnairは機種が古くてスチュアーデスが不愛想、JALは機種もサービスもいいけど、映画の選択がイマイチという話をしたら、航空会社はエミレーツとエティハド航空がいいと彼。座席は広く、TV画面は大きい。
「でもイスラムは映画の検閲が厳しいいからラブシーンは全部カット。二人が接近したと思うとバッサリ切られて、筋がわからくなる」
「日本は“ぼかし”。小さな雲が現れて見せちゃいけない部分を隠すの。それってもっと想像力をかき立てられるのよ」
「ハハハ」

帰りのJALでは『パラサイト 半地下の家族』を観た。2度目だけど改めてよくできている。

『パラサイト 半地下の家族』

韓国とは目下険悪な関係だけど、絶対お奨めの作品。日本は1月10日公開。
ユーモアと社会批判とサスペンスを共存させ、匂い、高台、低地(貧しい一家は大雨ですぐ床上浸水する場所に住んでいる)などのシンボルが上手い。

映画を観て思い出したのが成田空港のさくらラウンジ:チェックインしたとき「さくらラウンジをご利用いただけます」と言われた。
プレミアムエコノミーに付随したこれも初体験!と時間はあまりなかったけど覗きに行く。
ドアが開くとカウンターがあり、その背後に立派なサロン。
すっと入っていくと、呼び止められ「ボーディングパスをお願いします」
見せると、「エレベーターで下に降りてください」
カウンターの後ろに見えた優雅なラウンジはファーストかビジネスクラス用で、“プレミアム”でもエコノミーは階下なのだ。
ここにも高台と低地というシンボルがあるのね。ふつうのエコノミーとの間にはさらに8㎝の差があるのだ。

でも飛行機を正面に見ながら飲むエスプレッソは美味しく、喫煙室もあり、日本の最後の10分は快適だった。

成田 さくらラウンジ



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「東京で会えますか?」

ナタン君からのメールは日本語で書かれていた。
4月はじめに3か月の予定で東京に発ち、VISAを延長してもっといたい、と夏に聞いてから消息がなかった。まだいたのね。
「学校に行っています。板橋にすんでいます」

1週間のタイトな日程で、東京は広いし、毎日駆け回っていたけど、日本に送り出した(?)生徒さん第一号だ。
夜、学校のある高田馬場駅で待ち合わせした。
「元気そう!」
「あなたも」
「居酒屋でいいですか?」
「もちろん」
彼が連れていってくれたのは、恐ろしく騒々しい店で(店員さんたちが叫ぶ)、お客の平均年齢25歳(私が吊り上げる前)。
店内どこでもタバコが吸える。ナタン君がヘビースモーカーだったことを思い出した。

高田馬場居酒屋

ナタン君はとても日本語が上手くなっている。
でもシェアハウスに住んでいるので外国人の友達はできても日本人の友達ができない。女の子はさらにむずかしい。
「そうなの?」
「考えてることわからない」
少し話をするようになった女子がいて、一緒にお茶を飲んだとき、
「ぼくが専業主夫になりたいって言ったら、こんな目を丸くして(顔を真似る)びっくりした」
「のっけからそれ言っちゃだめなんじゃない」
「はい、もう言いません」
「それっきりになったの、その子と?」
「でも何も始まってなかった」

ナタン君の友達のフランス人は、日本人女子と“付き合って”いて、
「3か月目に映画行きました。フランス人、映画館でタッチするでしょ。だから手をにぎろうとしたら、女の子飛び上がって驚きました」
アハハ。
「それで終わり?」
「そうです。だから女の子ワカラナイ」
手を握られて驚くくらいならなぜ3か月付き合う?なぜ3日で止めなかった?というのがフランス側の理屈である。それはそうだ。

「たかこさん、2つお願いがあります」
「?」
「ひとつは、もう一杯飲みませんか?」
「いいわよ」
わたしたちは生ビール(小)を飲んでいたけど、水で割ってない?という軽さで、すぐ赤くなる私が赤くならなかった。
「もうひとつは、カミーユさんの本、どこで買えますか?」
「あら、送ってあげるわよ」
「いえ、ぼくカミーユさん助けたい」
優しい言葉に思わずホロリ。
「ありがとう。紀伊国屋書店のオンラインで買えるって聞いたけどカミーユ喜ぶわ」

ナタンは食べる時間も惜しいというように何も取らずにしゃべり続けた。将来のこと、観たアニメの話・・・会話の80%は日本語で。
私はお腹を空かせて家路についたけど、会えてよかった。素敵な時間を過ごした。


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パリVS東京、2人の女性市長


「路上で吸えないの!?」
「そう、知らなかった?」と息子。
「2年前、秋葉原とか伊勢丹の周辺とか吸えないゾーンはあった。今はどこもかも?」
「どこもかも」
渋谷のハチ公のそばに喫煙エリアがあったけど、ハチ公で待ち合わせや写真を撮る人の邪魔になるという理由(ごもっとも)どこかに移されている。

ハチ公と並んで写真を撮りたい人の列。世界的有名な犬になるとは、本人(本犬)も思っていなかっただろう。

ハチ公前

従って喫煙エリア探しに駆け回ることになったが、ふと立ち止まり、ふむふむ・・・東京にいたらタバコが止められるかもしれない。

このタバコ締め出しは小池合子市長の発案だそう。フランスでは:
―タバコの値段を上げ続け(8.8~9.3ユーロ、日本の倍以上)
―パッケージを全部同一にし(ブランドを隠す)
―「Fumer tue/喫煙は殺す」というキャッチの上、タバコの害の恐ろしい写真を載せる。

fumer tue

という対策で、10代の子の抑止になっているらしい。
場所は公共の閉所は全面禁煙で喫煙コーナーもないが、外に出れば吸える。
外も規制するというテもあったのね。

そういえば東京もパリも女性市長。アンヌ・ヒダルゴ市長がパリから締め出そうとしているのは車だ。
5段階の公害度(5が一番排気ガスを出す)を設け、4以上の車は禁止。ディーゼル車もゆくゆく禁止される。
歩道をやたら広くし 、勢い車道は狭くなり、車なしデーを設けている。

これはパリ市庁のヤラセ理想図。

パリ、車ナシデー

この前、バスティーユ広場を抜け出すのに30分かかり、イラついた夫は「パリで運転するのはごめんだ!」と叫び、自分のセリフに「つまりイダルゴの思惑通りになってるわけだ」
どっちの女市長も評判はあまり良くない、“締め出し”好きで、それに成功しているということ。


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プレミアム初体験

「座席の間隔が8センチ長いの。横幅も少ーし広いし」プレミアムエコノミーで来た大学の友人。
「それに便によってエコノミーと2万円しか違わないのよ」と聞いて、ムムム・・・12時間乗ると、この8センチが大きいはず。
ちょうどJALのプレミアムエコノミーがエールフランスのエコノミーより安かったので、初めて買ってみた。
ただしヘルシンキ乗り換えで、ヘルシンキまではフィンエアのエコノミー。
12時半に発ったのに、軽食はおろかビスケットさえ出ず(ケチなエールフランスの国内便だってペストリーが出るのに!)乗務員も、よく言えば簡素、悪く言えば不愛想。
私はお腹を空かせてヘルシンキ空港に着いた。
何か食べないとぶっ倒れる、と売店をウロウロしていたら、乗り継ぎの日本人たちは急ぎ足でどこかへ向かっている。
そのはず。この空港はデカくてJALの49番ゲートまで延々と歩かなくてはならない。40分の乗り継ぎ時間はちょこっと食べる暇もなく、空腹のまま、メトロ3駅分くらい歩いた。ホントに。

さてJAL機に乗り、ボックス型のビジネスを横目で見て通り過ぎ、プレミアム。
なるほど、座り心地よし。最前列の席を選んだので8センチどころか前のスペースはスーツケースも置けそうだ。
でもとにかくメシ!と思っていたら、18時ごろご飯が出た。
食事はエコノミーと変わらないみたい(見に行って比べたわけじゃないけど)。
洋風(鱈とポレンタ)か和風(ハンバーグ)で前者を選ぶ。
セロファンんを取ってから撮るべきだったけど、そういう気持ちの余裕がなかったらしい。

JALプレミアムエコノミー、食事

ご飯を食べて人心地がつくと、日本人スチュワーデスの応対とサービスに感心する余裕ができた。
フィンエアとは天と地の差、エールフランスは感じ悪くはないけど、ラフというか、荒っぽいというか。
日本人スタッフは丁寧で細やかで、でもここまでしたら疲れ方も倍ではないか、と心配になるほどであった。

予告通り“到着2時間前”に出た、卵と鶏そぼろご飯!小学校のお弁当が懐かしい。

JALプレミアムエコノミー、食事

そう、懐かしい日本に近づきつつある。


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若いシリア女性Waadがのアレッポの日常をヴィデオに撮った『For Sama/サマのために』

For Sama

2012年~2016年、シリア内戦で政府軍と反対勢力が街を東西に二分割して戦い、4年間戦場と化した。

For Sama

内戦が勃発した当初は学生だったWaad/ワードは、アレッポの日常をヴィデオに撮ろうときめる。
若い医師ハンザと出会い結婚。

For Sama

彼の勤務する病院には毎日砲弾で負傷した住民が運ばれてくる。
間もなくワードは妊娠し、女の子を産み、サマと名付ける。
シリア語で空の意味。空のように自由で明るく・・・

For Sama
photos:allociné

しかしアレッポの日常は次第に地獄絵になっていく。
病院は次々に爆破され、ハンザのいる病院だけが残る。血と死体は日常の光景になり、命が縮まるような砲弾の音が続く。
その中でサマは希望の具現のように見えるが、
「初めてサマを産んだことを後悔した。ハンザに出会わなければよかった・・・」

とにかく全編、観客がみんな泣きっぱなし。彼らは娘を護り、その日を生き延び、怪我人を助けることで泣く余裕すらないのだ。

彼らの勇気、人間愛、そして美しさ。そう、人間の美しさに打たれる。
カンヌ映画祭で「これまでで一番優れたドキュメンタリー」と称された作品。
どんなフィクションも、この説得力には敵わない。日本でかかるといい。

Pour Sama(For Sama)
Waad al-Khateab監督のドキュメンタリー
1時間40分 
フランスで上映中


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ネズの番

鋭い鳴き声で目が覚めた。猫はあんな声を出さない、犬でもない。まさか・・・
鳴き声だけじゃなくて猫たちの走り回る音が聞こえ飛び起きると、果たしてリュリュが何者かを廊下の隅に追い詰めたところ。
金属的な鳴き声はその動物が発していた。ハツカネズミ(souris)よりでかくて、色も黒い気がする。

攻撃の前線にいるのはリュリュ(さすがモト野良猫)、タマはその背後に控えて眺めているだけ。
リュリュが前足で捕えようとしたとき、その黒ネズミは石の壁を駆けのぼった。
おお!そんなこともできるのね。でも上ったところで天井に穴はないから逃げられない。
猫たちは悔しそう。しかしネズミはあっけなく落下した。

この戦いはしばらく続きそうに見える。第一、私ひとりでは捕まえられないし、寝室のドアをきっちり閉めて頭からお布団を被った。

翌朝、リュリュは階下のソファの前で見張りにつき、タマは興味を失ったようだ。
夫に話すと「ドブネズミ(Rat !)は鳴くっていうよ」と恐ろしいことをいう。
娘にも「黒くて大きいドブネズミ」の見張りを頼んで出かけたら「鳴き声を聞いた」という不吉なメッセージが届いた。

夜、日本語の生徒さんイザベルがいるときに、近くで鋭い鳴き声がして2人とも飛び上がった。
ネズミはCDプレーヤーとスピーカーの後ろに逃げ込んでいる。
「あたしが捕まえてあげる」とイザベル。なんと頼もしい!
彼女は紙袋をスピーカーの前に開き、「ホラ、こっちにお出で!」
犬じゃないんだから(イザベルは犬を飼っている)来るわけないじゃない。
24時間、猫2匹の爪から生き延びた狡猾なネズミなのだ。袋にチーズのかけらを入れてみたけどその手には乗らない。
「ドブネズミ?大きい?」
「ううん、小さいハツカネズミ」
「??」
「黒い?」
「ううん、グレイ」
「・・・」
2メートルほど離れてハラハラしていたら、ネズミは隠れ家から走り出て部屋を横切り(確かに小さいハツカネズミであった)ソファの下に逃げ込んだ。
リュリュが見張りの部署についたので、しばらくは出てこないであろうと。
「ネズミ捕りおいたら?」とイザベルは帰って行った。

これはイヤだけど・・・(誰が捨てる?)
piege-a-souris 4

生け捕りにするなネズミ捕りもある。でも大人しく入るかね?
piege-a-souris2 (2)

「黒くて大きいドブネズミだって!」「ネズミとなるとオーバーなんだから!」と家族からバカにされたことは言うまでもなく。


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ブールデル美術館でやっている「Back side, dos à la mode/バックサイド、モードの背中」展。

バックサイド展 ブールデル美術館

絶対行きたいと思いつつ、一緒に行こうとした友人とは日程が合わず、夫はの休みで田舎に行っている。
グズグズしていたら終わってしまう。ひとりで行こう!
18時閉館なので17時につけばいいだろう、モンパルナスだから30分、と16時半に出た。
そしたら道を間違え、引き返し着いたのは17時過ぎ。美術館のバッジをつけたおねえさんが入り口に立っている。
「入れますか?」
「常設展ですか?」
「いえ、“背中”」
「17時15分で入場券販売は締め切りました」
携帯を見ると17時18分。
そんなことサイトに書いてなかった!勝手に決めないでよ。
「たった3分・・・」
おねえさんはにっこり笑う。
「遠くから来たのに・・・」(よく言うよ)
譲る気配はない。

道さえ間違えなかったら!と自分にも腹を立て、このまま帰るのも悔しい。
4番線でオデオンに出てAroma Zoneに行こう。
自然&オーガニック志向でエッセンシャルオイルを買う人が増えていて、アロマゾーンはいつも繁盛だ。
レシピも紹介しているので自分で組み合わせて作る人もいる。私はそこまでやらず、顔にはドゥース・アンジュヴィヌのエッセンシャルオイル美容液を使っている。肌の調子が良くて、薬草っぽい香りも病みつきになる。
アロマゾーンで買うのはプチグランオイルやマッサージオイル。
オデオンで降りてお店の前まで行くと、いやな予感。シャッターが閉まっている。
今日は土曜日、まだ6時前。なぜ閉まってるの?と入り口を見ると「工事のため11月8日まで休業」
ガーン!
2度あることは3度ある。大人しくうちに帰ることにした。
3度目は何だろう?湯沸かし器が故障してお風呂に”入れない”とか?
戦々恐々としていたら、何事もなく午前零時が過ぎた。
ほっ。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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