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バカロレアが終わった娘が、待ちに待っていた“お祭り”がSolidays/ソリデイズ。ロンシャンの競馬場で行われるミュージック・フェスティバルだ。というとありきたりだけど、Solidaysは1992年にできたSolidarité Sida(エイズ連帯)というアソシエーションが主催していて、利益がエイズ予防や患者の援助に寄付される。

1999年に始まったフェスティバルは年々大きくなり、150人のミュージシャン、17万人の入場者の大イベントに発展した。
・・・という大切なミッションと長い歴史を知ることになったのも、まあ娘のお陰。

Solidaysのチケットは、5ヶ月以上前の2月14日に発売になった。娘に重々頼まれた私は、発売と同時にチケットを購入した(させられた)。3日間通しのチケットが72ユーロ。時間が経つにつれて値段が上がる。

初日に電子チケットをこのブレスレットと交換、3日間の通しチケットになる。連帯感のシンボル!
このブレスレット、恐ろしく丈夫でお風呂にも海にも耐え、娘は去年のもまだつけている。
Solidays2

ロンシャンの競馬場には3つのステージが作られ、夜19時から夜中の1時まで、ロック、テクノ、ポップス・・・色んなグループがコンサートをする。
Solidays1

今年は、-M-、メトロノミー、Disiz、 Nasser、 Rodrigo y Gabriela、 Chinese Man、Gesaffelstein(DJ)、ヴァネッサ・パラディ・・・ビル・ゲイツも来たとか(歌わなかったけど)。ミュージシャンたちはギャラを下げたり、実費だけでイベントの主旨に協力する。

娘と友達は「会場で買うとまずくて高い」とお弁当持参で、汚れてもいい格好で(「それパジャマじゃなかった?」)出かけて行く。心配なのは帰りだ。有名なミュージシャンほど遅いコンサートなので、会場を出るのは夜中の1時すぎ。携帯電話は混線して通じない。
「深夜バスに乗れた」「最終メトロに間に合った」と電話がかかってくるとひと安心で、バタン・グーと寝てしまう。
翌日、興奮して「Mのギターが天才的。歯で弾いたのよ」とか「Rodrigo y Gabrielaがすごくよかった」
でも、「すごい人ごみだから気分が悪くなっって倒れても、救助の人がくるまで時間がかかる」とか「ハシシの匂いがそこら中」という話も聞いて、よく行かせるわね、と自分で感心する。

「で、トイレはどうするの?」私なら一番に心配することだ。
「仮設トイレの前は長蛇の列で30分待ち。でもいい方法を見つけたの」と自慢げな娘。草むらでするのかと思ったら、
「友達が『この子、気分が悪いんです』と私を抱きかかえるようにして、私は口に手を当てて今にも吐きそうにするの。そうすると、みんな怖がって道を空け、真っ先にトイレに辿りつける」 さすがわが娘!
「吹き出さないでそんな演技ができるの?」
「ギリギリまでガマンしてるから、こっちも必死よ」
そして「踊りまくって3kgは痩せた」と喜んでいる。

今夜が最終日。メトロノミーのコンサート、どうだっただろう?と気になりながら、でも5時間以上立ちっぱなしのコンサートに行く体力はもうないわね・・・

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世界を駆け回るITエンジニアのガリー。今日はパリでミーティング、明日はドバイに発つので、シャルル・ドゴール空港のヒルトンに1泊する。息苦しくて眠れないその夜は、ガリーに大きな決心をさせる:このままでは窒息する。会社を辞め、妻と別れ、生活を変えよう。
ヒルトンでルームメイドのアルバイトをする学生、オードレイ。アパルトマンと大学とホテルを往復する毎日。一ヶ月40時間を電車の中で過ごす生活に疲れている。部屋を掃除しながら、泊ったお客を想像し、窓から空港を眺めるのが慰めだ。
ある日ホテルが停電になり、屋上に上がったオードレイは、欄干のスズメと目が会う。そして不思議な体験をする。
違う世界に生きる2人、ガリーとオードレイ。ひとつの共通点は「今の生活を変えたい、自由になりたい」。2人の人生のひとこまがすれ違う・・・
バード・ピープル1

パスカル・フェランの『Bird Peaple』すっごくいい。
村上春樹の小説のような“飽きない単調さ”があり、
ソフィア・コッポラの『ロスト・イン・トランスレーション』の“人間はみんな孤独”を思い出し、
空港を舞台にした“おとぎ話”に引き込まれる。

カメラはオードレイ(アナイス・ドゥムスティエ)
バード・ピープル2

と、ガリー(ジョシュ・チャールズ、TVドラマに多く出演の俳優)
バード・ピープル4

を追うけど、3人目の主人公が登場すると、その“演技”に釘付け。これ以上言うと怒られるけど、CGではないことは確か。

そして、巨大な不夜城、空港が美しく撮られている。観客たちはパイロットの目線で滑走路のランプを追いかけ、地面を蹴って空に舞い上がる。

監督のパスカル・フェラン、前作の『レディ・チャタレイ』(2006)は5部門でセザール賞をとった。
6-7年に一本で生活していけるのか?という心配もあるけど、作れば、深みがあって心に残る作品になる。
近くに座っていた女はずっと携帯の画面を見ていて(光が目の隅でちらついて、怒鳴りたくなった)途中で席を立っていった。ああいう女に、この作品の良さはわかるまい・・・

Bird People
2時間8分、フランスで公開中


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月曜日に哲学から始まったバカロレア。目下うちで暮している娘の友達は、「うまく行った!」とゴキゲンで帰ってきた。ところが間もなく、試験問題が漏れていたことをle Mondeが伝え「再試の可能性も」に大ショック。
文系バック(Bac L)の哲学の問題は:
-「芸術作品は私達の認識を教育するか?」
-「私達は幸福になるために全力を尽くさなければならないか?」
-カール・ポパーの『客観的知識』から抜粋テキストの解説
から選択。
「アート関係が出ればいい」と言っていた彼女は迷わず一番目を選んだ。「もう一度、別のテーマで4時間書くなんてヤダ!」ごもっとも。
漏洩は、某女子生徒が、試験開始後30分にTwitterで。どうせ漏らすならもっと密やかにやればいいのに・・・カンニング・不正行為の40%近くが携帯電話によるもので、2013年から試験場にはセンサーが取り付けられているのを知らなかったの?

このセンサーに要注意!
携帯センサー

それに試験開始後に流して、誰がトクをする?
今回は国鉄ストのため1時間まで遅刻が認められていたから、遅れてくる友達?
問題を知っても、試験場に駆けつけ中の30分に一体何ができるだろう?
つまり、この子のしたことは意味がない、ひたすらアホだ。その上、不正行為の罰則“5年間バカロレアが受けられない”が課せられる。
そういえば去年は、娘に変装して英語の試験を受けた母親が捕まった。“英語の得意なママ”が、ダイエットして娘のジーンズをはいて試験場に現れたが、開始後まもなく監督官が見破った、という笑っちゃう事件だったけど、この母の娘も5年間バカロレアが受けられない。
母親が大バカだ、いや娘のほうだ、という議論になったけど、結局“この母にして、この娘あり”に落ち着いた(この議論自体かなりアホ)
翌日「再試はなし」が決まった。この漏洩でトクをした生徒はありえないし、7月4日に試験結果発表が決まっているので、全国規模の再試はミッション・インポッシブル。
今年の受験生は686907人、年齢は13歳から・・・92歳!採点する試験用紙は約400万枚。採点者たちは既に髪の毛が逆立っている・・・

うちの娘は、美術・テクノロジー系のバカロレアなので、試験問題も時間帯も違い、「対岸の火事」という顔をしていた。
火曜日は美術史、木曜は数学、明日は(何もわからんという)物理・・・と、後半戦に入りました。

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うちには子供が3人いる、というと「えっ」という顔をされるけど、この歳で産むわけないでしょ。娘の親友をバカロレアが終わるまで預かっている。難しい年頃の、しかもバックを控えた子を・・・と思ったけど、家庭の事情が複雑で、うちのほうが“集中して勉強できる” と言われれば断れない。
一緒に暮らし始めてみると、かわいい性格で、よく手伝ってくれるし、「実の子供よりいいじゃない」と思うほど。
と言ってもうちにアドレッサンが3人というのはなかなか騒々しい。夜中にギターを弾き始めたり、パソコンゲームが白熱して大声になったりで、「何時だと思ってんの !!」「ウルサイ !!」と怒鳴ることもしばしば。
ユースホステルの管理人オバサンになった気分だ。

さて高校の授業は6日で終わり、1週間がバック準備に当てられている。さすがに2人とも出かけずに一日中勉強していて、楽しみは食べることだけ。娘は「二重顎になった」と嘆いている。
うちのあちこちに暗記用カードやノートやコピー、床には服が散乱し、「女の子でしょ、少し片付けなさい!」といえば、「それは女性差別的な発言である」と言われる。“最後の直線コース”だもんね、目を瞑ろう。

そして明日が初日、哲学を皮切りに、次の月曜日まで続く。
哲学は、与えられたテーマ、または抜粋テキストの解説から選択で、持ち時間は4時間!
バカロレア2014

美術学校の娘はバックS(サイエンス・バカロレア)の一種で、友達はバックL(文学バック)なので、受験科目が違う、だけでなくcoefficient (コエフィシアン=係数)が違ってくる。コエフと縮めて呼ばれる係数とは、例えば文学バックでは哲学、フランス語の係数が高く、サイエンスバックでは数学、物理が高い。娘の科学美術バックでは、アートプロジェクトの係数が16と超高く、これでしくじれば、いくら他の科目が高得点でも受からない。いきおい、受験生たちはコエフの低い科目にはあまり時間をかけない。

苦手な物理に取り組んでいる娘は、退屈まぎれに「X線の仕組」を説明してくれる。
「じゃX線を発明した人は?」
「ムッシューX」
レントゲンに決まってるだろ。
家庭用鏡と研究所用鏡の違いについて。理由はややこしくて忘れたけど、家庭用鏡(ブティックのも)には必ず誤差がある。
「じゃ一生自分の本当の姿は知らないってこと?」と私。ギョッとする娘。

前日の今日、娘と友達は近所のVide grenier(屋根裏セール)に出かけている。余裕があるのか、開き直っているのか・・・リラックスしているのは確かだ(後で聞いたら、どちらでもなく「諦めの心境」とのことだった・・・)


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ノルマンディ上陸作戦70周年記念の盛大な式典、黒っぽいスーツの男性が多い中で、エリザベス2世のファッションが注目された。シャネルっぽくあり、60年代のジヴァンシー風でもありながら、とってもブリティッシュ。

ピンクがよく似合う女王様は88歳。
エリザベス2世 ノルマンディ上陸記念式典3

襟なしのスーツ、またはワンピース+コートのアンサンブル。お揃いの帽子、パールのネックレス、ブローチ、手袋、エナメルのバッグ、歩きやすそうな靴がセット。

手袋を黒にしたのがシック。
エリザベス2世 ノルマンディ上陸記念式典2
photo: public.fr

鮮やかな若草色、似合っているのがエライ!コートドレスで縦線を強調。
エリザベス2世 ノルマンディ上陸記念式典

帽子がつっかえないように、専用車シトロエンDS5をルノーVersatisに取り替えるなど、オランド大統領はいろいろ気配りをしたけど、2つドジをしたらしい。
英国王室の決まりでは、大統領であろうと、女王に触れてはいけない。であるのに、オランド大統領は握手の手を差し伸べた。
もうひとつのドジは、車で、先に座ってしまったこと。でも中継のアナウンサーも気付かなかったくらいだから、1瞬の差だったに違いない。最近、オランドのヘマを待ち構えているジャーナリストがいて、かわいそうだ。

パリ、シテ島の花市で。左は新パリ市長、アンヌ・ヒダルゴ。
Place du marché aux fleurs (花市広場)は、即 Place ElisabethⅡ(エリザベスⅡ広場)と改名された。
エリザベス2世 パリの花市
photo:rfi.fr

年取ると地味な色しか着ない、というのは間違いだ。白髪のオジイサンが赤いセーターやピンクのポロを着ているの、素敵だ物ね。
2日間の滞在でいくつ帽子箱を持ってきたのかね?・・・その甲斐があって、エレガントな可愛さを印象づけた女王様。
ところで、どうしてアンゲラ・メルケルは式典に来なかったの?というアホな質問をしそうになった私。
メルケルさん、来ていたそうです。すみません!

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カンヌ映画祭オープニング作品『Grace de Monaco』。批評が悪く(「ナオミ・ワッツの『ダイアナ』もひどかったが、これは更にひどい」etc・・・)周囲の反対を押し切って観にいったら、やっぱり周囲が正しかった。
これほど薄っぺらな映画、観たことがない。ニコール・キッドマンのボトックスと整形で強張った顔は“ふつうの顔”“微笑んだ顔”の2パターンしかできなくて、どんな感情も感動も伝えてくれない。でもすべてを彼女の表情のせいにしては気に毒だ。ティム・ロスも薄っぺらだったから、監督オリヴィエ・ダアンの責任が大きい。
50-60年代ファッションのヴィデオクリップと思って慰めたけど、1時間40分は長すぎた。

Grace of Monaco

カンヌで(いい意味で)話題になったグザヴィエ・ドラン。コンペティション参加作品『Mommy』は審査員賞を受賞。最年少の監督ドランが最年長のゴダールと一緒に受賞した。
2009年『マイ・マザー』でカンヌに登場し、2012年『わたしはロランス』でクイア・パルムを受賞している。『Mommy』はまだ封切りじゃないので、その前の『Tom à la ferme/Tom at the farm』を観た。

Tom at the farm

交通事故で死亡した恋人のグザヴィエの埋葬式に出るため、トムはケベックの田舎、グザヴィエの母親の農家にやってくる。母親は、トムを息子の友人と信じている。そして息子が“恋人”と思わせていたサラが埋葬に来ないのを嘆くのだ。
グザヴィエの兄フランシスはレッドネックのカリカチュアみたいな農夫、保守的でゲイ嫌い。トムが着くなり首を絞め、家族の名誉と母親のためにグザヴィエがゲイだったことは絶対隠せ、と脅す。トムが何日か農家で過ごす間、何度も暴力を振るうが、トムはフランシスから離れられない。そこへトムが呼び寄せたサラがやってきたので、ウソで固めた関係のテンションは高まって行く・・・

手前からフランシス、母親、トム
Tom at the farm2

トムとフランシスのストックホルム症候群のような関係、結婚もせず家にいるフランシスと母親の関係、突然呼ばれてやってきて“お芝居”についていけないサラ・・・それぞれ歪みを持った人間とその関係が巧みに描かれ、ぞっとするほど。
トムはグザヴィエ・ドラン、フランシス役のピエール=イヴ・カルディナルもすごくうまい。一見ふつうで、一瞬の視線が狂気を感じさせる。つまり、グレースとは対極の深さ、これなら賞取るよね、しかも25歳!と感心したのであった。

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上の息子は、小さい頃から親も言い負かすほど屁理屈が得意だった。
反抗期の一貫として母の日をボイコットしたときは「母の日はペタン政府が決めたことだから」。
試験で悪い点を取れば、試験問題の欠点を列挙する。怒るのも忘れて感心してしまうほど。

・・・なので、法学部に入ったときは「あの屁理屈力、まさに天職!」と思ったが、卒業する頃には「弁護士には興味ない」と言いだした。その上、フランスは弁護士がだぶついていて、なかなか仕事につけない状況。そこでパリ第7大学で「日本語-英語」をやりだした。
法律+語学の学士があれば・・・例えば企業の法律顧問とか?息子がエルメス・ジャポンに勤めて、エルメス製品が社員割引で買える!という先走った期待をしていた私(エルメスのバッグは重すぎるけど、プレタは欲しくなるものが色々)。
ところが「企業の法律顧問は興味がない」 ガクッ

もともとデスクワークは向いてないみたいだし-第一勉強している姿をあまり見たことがない-人と接するのが好きらしい。ジャパン・エクスポ、カフェ、ブドウ収穫などのアルバイトは、重労働でもイソイソと出かけていく。
「語学を生かしてホテル業とか?」と夫。世界中にホテルを持つグループに就職して、どこに旅行しても社員割引で泊まれる!という期待がミエミエだ。
その案にはまだ「興味がない」とは言っていないので、希望は残っている。

娘のように早くからやりたいことが見えた子供は幸せだ。夢が持ちにくく、自分のやりたいことが見つけにくい時代。
親の夢まで面倒見られないよね・・・

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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