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トム・フォードの最初の監督作品で、コリン・ファースが「今までで一番の名演技」と評判だった映画『A SINGLE MAN』。
封切りになったときはまだ脚が曲がらなくて2ヶ月後にやっと観にいけた。

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舞台は1962年のロサンジェルス。大学教授のジョージは、16年連れ添ったジムが事故で死んでから、抜け殻のようになって毎日を送っている。ジムの面影と、一緒に過ごした日々の思い出につきまとわれ、、生きる目的も未来への希望もなくしている。出会いのきっかけはあるのにその気になれない。

”ジェームス・ディーンより美しい”若者にもなびかず・・・

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夫に逃げられた美貌の女友達チャーリー(ジュリアン・ムーア)は、ジョージにモーションをかけるが、彼の心は動かない。

映画の中で一番リアルなのは(女として)この2人の絡みだ。2人とも、人生は終わった、と感じているが、チャーリーは、ジョージと新しい章を始められると希望を持っている。

しかしジョージは、デカダンに熟れた元人妻にも頑なに閉じたまま・・・

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愛しいジムの思い出で生きている。

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チャーリーが言う。「恋はバスみたいなもの。ひとつ逃がせば次が来る・・・」
でもジョージはそう思えない。

彼が不幸なのはわかるけど、その生活は人も羨むリッチな美しさ(大学教授って薄給じゃなかった?)。
カトリーヌ・メミのショールームのような木と茶の濃淡で統一された大きな家。クローゼットを開ければ真っ白なワイシャツが整然と並び(トム・フォードもいつも胸をはだけた白いシャツ!)、ブリティッシュなジャケットは、見るからにオーダーメイド。どっしりした木の家具やテーブルが並ぶキッチン、でも生活感は全くない。

女性たちも60年代のファッション(大好き!)でみんな綺麗なのに、ジョージの目には風景のようにしか映らない。
一方、男たちは美しすぎる。びしっとスーツ姿のジョージの、立ったときのズボンの落ち方や、その先によく磨かれて光る靴までセクシー。トム・フォードがディティールまでこだわったのがうかがえる。

コリン・ファースはこの作品で、2つの主演男優賞(ヴェニス国際映画祭、イギリスのBAFTA Awards)を取り、アカデミー賞でもノミネートされているけど、上手いのかな。恐ろしくスタイリッシュではある。全体的に美しいだけで、真実味が全くない。

結局、トム・フォードは映画という形を借りて、自分の美意識のデフィレをやったのではないかという気がする。
観て後悔はしなかったけど。

パリはLe Nouveau Latina(4区) Les Trois Luxembourg(6区)など。日本ではこの秋公開。

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週末に娘と2人でロンドン旅行をした友人の話。
北駅のユーロスターの税関で身分証明書を見せたら、
「その女の子は誰ですか?」
「娘ですけど・・・」
「親子関係を証明するものはありますか?」
友人は結婚していないので、娘さんは父親の姓を名乗っている。つまり母と娘で姓が違う。
「イギリス領事館に電話したら、身分証明書だけでいいと言われたんで」
「ここはフランスの税関でフランスの法律が適応されるんです」と税関員。
税関が“恐れて”いるのは、
1. 誘拐
2. 子供の親権を争っていて、母親が娘をどこかに連れ去ろうとしている。
の2つだ。
友人は帰りのユーロスターのチケットを見せ、
「ほら、あさって帰ってくるんだから誘拐じゃありません。疑うんだったら娘の父親に電話してみてください。第一、よく見てください、私たち似てるでしょ?」
税関員は「私に当たってラッキーでしたよ。今回は目をつぶりますから次回から家族手帳を持って旅行するように」

同じような目に私も遭った。スキー場で怪我をして手術した夜、夫が娘を迎えにパリから駆けつけた。
麻酔でウトウトしていたら、深夜たたき起こされ、
「マダム、お嬢さんがこの男性と一緒に行くのを許可しますか?」
「あったりまえでしょ、“この男性”は夫で娘の父親です、許可します」というと、
「びっくりされるでしょうが、決まりなもんで」
税関員と同じ理由からだ。

健康保険の窓口はさらにシュールであった。
私の健康保険のカードCarte Vitaleは子供2人の名前が併記されている。つまり私のカードを通して払い戻しされるようになっている。それがある日突然消えた。
情報処理上のミスだろうけど、子供をお医者に連れていったとき困るので、健康保険のオフィスに行った。説明して子供の名前を再生して欲しいというと、窓口のおばさんが、ニタリと笑うのだ。やな予感。
「子供さんの父親が、自分のカードに移したんじゃないですか?」
「いいえ、お医者には私が連れていくことが多いので、私のカードに併記しているんですけど・・・」と言いつつ、この女が何を考えているかわかった:私たちが離婚訴訟中で、父親が子供の名前を移した、それを私は知らされていない・・・
この窓口女は最後まで「父親に聞いてごらんなさい」だった。

税関員や病院が、用心のため確認するのは当然だけど、こういう思い込みは実に腹が立つ。


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「もうリハビリしているの?」と毎日のように聞かれる。
足を骨折した後のリハビリは、歩く練習、と思っている人が多く、実は私もそうだと思っていた。
全然違う。筋肉を目覚めさせ、再強化するというリハビリだ。
筋肉はちょっと使わないと、ちょうど服の皺のようにひだひだになってしまうそうだ。その皺を伸ばし、時には張り付いているので引き剥がす(これが痛い)。具体的にはリハビリの先生が「ほら、もうちょっと、あと5度・・・頑張って」と言葉は優しいが容赦なく膝を曲げようとする。

電流を通して筋肉を刺激する機械も使う。
脚の何箇所かに電流を流すと、脚が攣るような感覚で、私の意志と関係なく脚がぴくぴく動く。
高校(中学?)のとき、カエルの足に電流を流してぴくぴく、というのやらなかったっけ?

リハビリの先生はマレに30年近く住んでいる。彼が子供の頃は、サンタントワーヌ通りには荷車を引いた野菜売りが来ていた、とか、今は共学になっている地元の中学・高校が男子校だったとか昔話をしてくれる。
ヴォージュ広場を囲む建物がまだ修復されていなくて薄汚れていて、アーケードには娼婦がたくさん立っていたそうだ。
その最後の生き残りが同じ建物でお仕事していて、数年前に引退した話をしたら盛り上がって、その日はリハビリの時間が半分くらいになった。

今でこそパリで一番美しい広場、と呼ばれているけど・・・
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さて、王の広場(プラス・ロワイヤル)と呼ばれていたのに、どうしてヴォージュ広場という名前になったかご存知?
正解は、フランス革命中に、一番に税金を払ったのがヴォージュ県だったからだそうだ。
なーんだ・・・


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サッカー選手と売春婦

夫と息子がテレビでサッカーの試合を観ている。
どこが強いとか誰がどこに移籍したという話に混じって、売春という聞き捨てならない言葉。
「何々?なんでサッカーに売春が出てくるの?」と問いただしたところ、こういうことである:
シャンゼリゼ通りのZAMAN CAFEというレストランに、売春斡旋の疑いで捜査が入った。
そこでお仕事をしている娼婦の口から、お客として、フランク・リベリーとシドニー・ゴヴゥ、そしてカリム・ベンゼマの名前が出た。
彼女は今でこそ18歳だけど、サッカー選手たちとやった時は未成年だったことがわかり(でもお客には成人だと偽っていた)、テレビやネットがこのスキャンダルに沸いている。
フランク・リベリーとシドニー・ゴヴゥは事情聴取を受けた。ベンゼマはこれから・・・

17歳には見えなかったぜ・・・

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さてファンや視聴者たちの反応は?
「売春自体は禁止されていない。禁止されているのは売春斡旋だ。試合と試合の間に一発“息抜き”して何が悪い」
「選手たちは未成年だと知らなかったって言っているし、あの写真、とても18歳には見えない」
「スポーツ選手にプライバシーはないのか!?僕たちが関心があるのは、試合しているときの選手であって、私生活で何をしようと関係ない」
「有名人のスキャンダルに飛びついて興奮するマスコミ、クソ食らえ」
・・・という反応が多い。

仕事をちゃんとやっていればいい、仕事のシーンを一歩出たら干渉しない、というスタンスはいい。
ミッテランには隠し子がいたし、シラクだって愛人(日本人!)がいるけど、政治家としての汚点にはならなかったじゃない。


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避妊手術をして、卵巣ののう胞も見つかってそれも取って、包帯姿が痛々しいアナイス。
息子が病院に包帯の付け替えに連れて行ったら、パニックになって獣医さんが触ることもできなかった、それで精神安定剤を打って一晩入院することになった、と手ぶらで帰ってきた。
「可愛そうなアナイス、見捨てられたと思ってるでしょうね」と娘。

翌日、戻ってきた猫はこういう姿になっていた。

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このコルネというかヘルメットのようなもの(見えるかしら?)日本ではお目にかかったことがないけど、これをつけていると、猫は身体を舐められない。
傷口を舐めると化膿する危険があるから医学上の有効性は認めるけど、猫の身になってみると、歩けば何かにぶつかるし、平衡感覚も鈍ってまっすぐ歩けない。身体を舐められないどころか、食べようとすれば口がお皿に届かず、寝ようとしても前足に頭をのせることができない。文字通り八方ふさがりだ。
見かけは、前に話題になった襟巻きトカゲに似ていなくもない。

このヘルメットは、アナイスの性格も変えた:今まで愛想がなく、触られるのも好きじゃなかったのに、突然、激しく愛情要求する猫に変身した。夜はゴロゴロ言いながら私の肩のところで眠り、朝、起き上がろうとすると身体の上に乗ってきて行かせまいとする。何か言いたそうな表情でじっと見る。手(つまり前足)を差し伸べて私の顔に触ろうとする・・・
自分が弱っているのを知って、保護や愛情を必要しているってことだろう。

アナイスが顔に擦り寄ってくるとプラスチックが当たって痛い。
「君も同じのをつければいいんじゃないか」と夫は大笑い。ほっといてよ。

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今年のポスターはジュリエット・ビノシュ。簡素でエレガントで、時代の気分に合っている気がする。

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2009年のポスターはノスタルジック

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2008年は『ミステリー映画際』のポスターかと思った。

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コンペティション参加作品が15日に発表された:
映画祭の幕を開けるのはリドリー・スコットの『ROBIN HOOD』
コンペティション参加の17作品のうちフランスは3つ:
マチュー・アマルリックの初監督作品『TOURNÉE』(巡業、コンサートツアーという意味もあるし、みんなに一杯奢る、という意味もある・・・何だろう?)
ベルトラン・タヴェルニエの『LA PRINCESSE DE MONTPENSIER』(モンパンシエの王女)
俳優、シナリオ作家でもあるグザビエ・ボーヴォアの『DES HOMMES ET DES DIEUX』(人間と神々)
日本からは、北野武『アウトレージ』
舞台監督でもあるマイク・レイ(英)の『ANOTHER YEAR』、フランスでは2008年の『BE HAPPY』がヒットした。

その他、私が名前を聞いたことのない監督、発音もできないのが多い。あなたは何人知っています?
Ridley SCOTT “ROBIN HOOD”

Mathieu AMALRIC “TOURNÉE”

Xavier BEAUVOIS “DES HOMMES ET DES DIEUX”

Rachid BOUCHAREB “HORS LA LOI”

Alejandro GONZÁLEZ IÑÁRRITU“ BIUTIFUL”

Mahamat-Saleh HAROUN“UN HOMME QUI CRIE”

IM Sangsoo “HOUSEMAID”

Abbas KIAROSTAMI “COPIE CONFORME”

Takeshi KITANO “OUTRAGE”

LEE Chang-dong “POETRY”

Mike LEIGH “ANOTHER YEAR”
Doug LIMAN “FAIR GAME”

Sergei LOZNITSA“YOU. MY JOY”

Daniele LUCHETTI“ LA NOSTRA VITA”

Nikita MIKHALKOV“ UTOMLYONNYE SOLNTSEM 2”

Bertrand TAVERNIER “LA PRINCESSE DE MONTPENSIER”

Apichatpong WEERASETHAKUL“ LOONG BOONMEE RALEUK CHAAT”

カンヌでかかるのは未公開の映画だし、カナル・プリュスで放映される中継で、カメラマンの群れやスターな雰囲気を感じることしかできない。私たちにはちょっと遠い映画祭だ。


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避妊手術した2匹が、姉と弟、または叔母と甥のように仲良くなってじゃれあったりするのを夢見ていた私であるが、現実はそう甘くなかった。
ぴんぴんして退院してきたタマは、包帯グルグル巻きのアナイスにさらにアグレッシヴになり、飛びかかったり、噛み付いたり。
一度アナイスと間違えられて手を噛まれた私は、その本気の噛みつき方にびっくりだ。
アナイスは戸棚の奥に隠れて出てこなくなった。

“性的緊張関係”をなくせば、仲が改善するといったのは誰だ?
しかも手術代430ユーロ(2匹で)、当然保険は利かない。
これって詐欺じゃない!とは言えないけど、怯えてご飯も食べないアナイスが心配で獣医さんに電話したら
「2匹を引き離しなさい」
「引き離す?!」
「雄猫は雌猫が弱っているのにつけこんでバイオレントになっているので、傷が治るまで、10日間くらい引き離さないとだめです」

「そんなイジワルな子と思わなかったわ」と憤慨する娘。
「それが動物の本能、ジャングルの掟なのよ、きっと」

それにしても、セクハラの後はジャングル・ハラスメントに遭うアナイスに心が痛む。
私の部屋にアナイスを、ご飯や砂箱とともに匿った。
ネズミが出るかも?この際がまんしましょう。
安心した猫はグルグルいいながら、ベッドにもぐりこんできた。
骨折の主人と避妊手術の猫は互いに慰めあっている。

息子と「お手!」の練習にはげむ元気なときのアナイス

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そして手術の日。猫たちは朝9時から一日入院する。といっても私は、猫を捕まえて檻に入れることも、連れていくこともできない。ラクといえばラクだけど。
朝、夫と息子がドタバタと猫たちを捕まえて出て行った後、一人残った私は、猫のいない“空白”の大きさに気づく。

いつもベッドに寝ているアナイスの黒いシルエットがないのに驚き、ドアのベルがなる度に、タマが外に飛び出さないか辺りを見回し、ご飯を食べるときは、一緒に何か食べようと駆けつける猫たちの足音を待ってしまう。
友人の猫沢エミさんの最愛の猫、ビギちゃんが最近亡くなった。13年一緒に暮らした仲なので、彼女が感じている空洞の大きさを想像してしまう。

夕方、獣医さんに電話したら、手術は無事終わったので迎えに来てくれ、という。さっさと連れて帰ってくれ、という口調、そんなに世話の焼ける子達かしら?

7時過ぎに戻ってきたタマは手術後とは思えないケロリとした顔。ここが自分のうちか確かめるようにあちこち嗅ぎまわってから、一日食べていないことを思いだしてガツガツと食べ始めた。

ほんとにおうちに帰ってきたの?
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アナイスのほうは胴体を包帯でグルグル巻きにされた痛々しい姿。黒い毛に白い包帯、巨大な海苔巻きのようにも見える。
息子は思わず吹き出したけど、こんなとき笑ったら悪いでしょ!卵巣にのう胞がみつかってそれも一緒に取ったそうだ。
麻酔が完全に切れていなくて、歩き出しても下半身がへなっとしてしまう。毛を舐めようとしても包帯に邪魔され、自分の状態にショックを受けたのか、私の部屋に隠れてしまった。

憮然・・・
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夜。いつもは私の脚の上で寝るのに、ベッドにあがってこない。「わたしはどうしてこんなことに・・・」という顔で、暗闇に座っているのだ。私もヘリコプターで病院に運ばれて手術室から出てくるまで現実感がなくて「わたしはどうしてここに・・・?」だったので、きっと同じように感じているのだろう。
猫は「ここが痛い」といえないし、「痛みを1から10で表わすと?」とも聞けないので、余計思いやられる。
これで、タマとの不仲が改善されなかったら怒るからね。

巨大な海苔巻きは深夜まで、身動きもせず座っていた。


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うちに一日いると、子供たちの生活の実態が明るみに出るばかりではなく、猫2匹が何をして暮らしているかもわかってくる。

子猫のタマ(雄)が来たとき、この子が年頃になったらアナイス(雌)と恋に落ちて、ペルシャとアビシニアンと野良猫の混じった子猫がたくさん生まれるのでは、と予想したのだが・・・6年間ひとりっ子で君臨していたアナイスは、恋に落ちるどころか嫉妬で円形脱毛症になってしまった。

円形脱毛症の原因がストレスなのは、人間も猫も同じだけど、過程はかなり違うと獣医さんから教えられた。猫にとって身体を舐めてきれいにするのは、すごくリラックスする行為で、ストレスが増えるとその分余計に舐めるようになり、毛が抜けるまで舐めてしまう。

獣医さんからもらった精神安定剤や塗り薬でも良くならない。
そのうちタマは子供から少年になり、アナイスを“熱っぽい視線で眺める”ようになってきた。

熱い視線は見えないが・・・
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というのは同じ年頃を生きている娘の報告だが、私が観察していても、タマはアナイスの後を始終追いかける。
アナイスおばさんはタマを性的対象とみなしていないらしく、うるさがるだけ。時々フーとかファーとか怒って追い払うけど、5分後には懲りないタマがまた追いかけごっこを始める。
最初のうちは、
「歳の差なんて気にしない!マドンナを見なさい」
「デミ・ムーアだってそうよ」とけしかけていたが、6歳(人間にしたら40歳?!)の年齢差はアナイスにとって乗り越えられない壁らしい。

たしかに寝ている姿はまだガキだ。

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一緒に育てられなかった猫2匹が仲良くなる可能性はどうのくらいなんだろう?
数ヶ月、という人もいれば、最初にダメなら諦めたほうがいい、という人もいる。
「可愛そうなアナイス!タマを誰かにあげちゃえば?」という意見も間違ってはいないけど、タマはもう家族の一員になっているのだ。
・・・ということを何度目かに獣医さんに連れていったとき説明したら、両方一度に避妊手術をしたほうがいいと言われた。
アナイスはうちから出なくて他の猫に会う機会がないから、今までしていなかったのだ。
2匹一緒に手術?
獣医は、2匹間の“性的な緊張関係”を取り除けば仲が改善される、と言うのだ。
おお、フロイトの国!それでも改善されなかったら、精神分析とか言い出すんではなかろうか。


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ルシアンは妻に先立たれて一人暮らし。お医者さんだった頃からボランティアや人助けが好きだったが、とうとう不法滞在の外国人を家に住まわせることに決める。
言葉もよく通じない、子沢山のファミリーを予期していた息子(ファブリス・ルッキーニ)と娘(カリン・ヴィアール)は、若くて美しいモルダヴィア人、タチアナとその娘を紹介されてびっくり。
滞在を合法化するため、お父さんと彼女が MAIAGE BLANC(見せかけの結婚)をしたと聞いてさらに唖然とする。

左が問題のお父さん(ミッシェル・オーモン)

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父親は明けても暮れてもタチアナ一色。
アパルトマンは少しずつタチアナの趣味で変えられ、遺産相続人を彼女にしたいと言い出す。
息子と娘はハラハラと見守るばかりだが、父親がヴィアグラ(精力剤)を飲んでいることを知ってもう黙っていられない。

「困ったもんだ」と息子と娘。

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「目を覚ましてくれよ!パパは利用されているだけだ」
「心臓が弱いのに・・・殺されちゃうわよ」と説得しようとするが、父親は耳を傾けない。
「私が最後の恋を生きて、何が悪いのかね?」

Anne Le Ny監督の『Les Invités de mon père/父親のお客さん』のテーマは、自分ならどう反応するだろう?と考えてしまう。

私の義父は、義母に先立たれた後、80歳で初恋の女性と再会した。彼女も夫を亡くして独り身、義父のうちに遊びに来て泊まっていったり、次は義父が彼女のうちに行ってお泊り・・・3人の子供も私も“お父さんの恋”に大賛成。モテるのが自慢の義弟は、80歳まで活躍できると知って、希望を持ったものだ。

この映画のルシアンの場合は、偽装結婚やお金の問題が絡んで、父親を護ろうとする子供たちの言い分も、最後の恋に“命をかけたい”父親の気持ちも理解できてしまう。
「この人が正しい」と言える人がいなくて、タチアナでさえ完全に黒とは言い切れず、人間みんな灰色、なところがリアルだ。


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クリスマスがイエズス(イエス?)の誕生日であるのは周知だけど、それに続く王様の祝日や、マルディ・グラやキャレーム(四旬節)、復活祭・・・キリスト教の祭日はややこしい。
ギャレットを食べる王様の祝日までがイエズスの誕生を祝うお祭りで、その後は、イエズスが蘇ったことを祝う復活祭に向かう記念日なので混乱する。

さてこの週末はフランス語でPâquesと呼ばれる復活祭。
フランスの公立学校は宗教教育をしないので、娘のように、
「クリスマスに生まれたのに、もう死んで蘇ったわけ?」ということになる。
「まさか!その間に病人を治したりいろんな奇跡をして、30歳くらいで使徒の一人に裏切られて捉えられて、十字架に貼り付けになって・・・」とすごくアバウトな略歴を説明するのであるが、
「それは人間が考えたお話でしょ」

復活祭は「春分の日のあと、最初の満月後の日曜日」、つまり移動祭日で、その上、グレゴリオ暦(西方教会:カトリックとプロテスタント)とユリウス暦(東方正教会)とでは日にちが異なる。
それが今年は、2つの暦が一致して、みんな揃って祝うイースターとなり、ローマやエルサレムではいつもより盛大に信者が集まって祝われたそうだ。来年の復活祭も“みんな揃って”で、4月24日だそうだ。

私たち、特に信仰深くない人は、ショーウインドウに色とりどりのチョコレートの卵が並び出すと「おお、パックが近づいている」と知り、翌日の月曜日(lundi de Pâques)が休日なので3連休を喜ぶのだ。

卵や鶏は再生のシンボル。釣鐘は、復活祭に先立つ節制の四旬節、教会が鐘を鳴らさなかったからだそうだ。

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といっても復活祭の時期は、花や緑が蘇る春の訪れと重なり、信仰ある人でなくてもウキウキする・・・はずであるが、この天気はどうだ!10度を切り、雨が降り、雹まで振り、暖房をつけ、クリーニングに出そうとしていた冬物を引っ張り出す。

“桜が満開”の東京が深刻に羨ましい。


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数年前に、メトロで毎日すれ違う気になる彼(女)を探してあげる、というサービスがあった。
面白い思いつきだけど、後をつけて「あなたに気がある人がいるんですけど」とか言うんだろうか?まとまる率が低かったのか、そのサービスは今ネットを探しても見つからない。

アメリカから輸入されたらしいSPEED DATING やTURBO DATINGは、集まった男女が一対一で自分の関心事や趣味を話し、10分間で「はい、次の人!」と次々に相手を変えていく。本名とお金と仕事のことは話してはいけない。ソワレの最後に、参加者は「また会ってみたい」と思う人の番号を書き、その人も同じように感じていたら翌日メールでお知らせが来る。

出会いサイトや出会い目的のパーティはたくさんあるけど、その反対、2人の間を引き裂くサービスもあるらしい。
映画『ARNACOEUR』のテーマがそれ。ARNAQUEUR(詐欺師)とCOEUR(心)を組み合わせた造語。心の詐欺師、という感じ。

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アレックス(ロマン・デュリス)は姉とそのダンナの3人で“別れさせ屋”を営業している。
「娘がヘンな男と付き合っている」「妹がヤクザに惚れてしまった」から別れさせて欲しい、という依頼を受け、2万とか3万ユーロの高い料金で2人の間を引き裂くのだ。
方法は誘惑。美男ではないけどオンナを惹き付ける魅力のあるアレックスが誘惑し、あとの2人は脇役と舞台装置だ。

1週間後に結婚を控えている娘のジュリエット(ヴァネッサ・パラディ)とフィアンセの中をぶち壊してくれという依頼がきた。お互い好きあっているカップルは断るのが原則だけど、不況のおり仕方がないと引き受ける3人。アレックスはボディガードに扮してジュリエットに接近するが、彼女に惚れこんでしまう。

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仕事だからではなく、本気で結婚をやめさせようとするアレックスのあの手この手が、モナコの豪華ホテルを舞台に描かれる。
プロの誘惑屋と恋に悩む青年の間を行き来するロマン・デュリスがユーモラスで可愛く、はまり役。
オードリー・トトゥとガッド・エルマレの『プライスレス』にもちょっと似ているかな。こんな風に笑える映画は意外と稀だ。

個人的には、最後の10分が余計だったと思うけど。
ところで、このビジネス、ほんとに実在するんだろうか?


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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