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東京にて:ダニに好かれる

土曜日、大学の同級生が集まったとき、脚をぼりぼり掻いていたら、隣の友人が
「あなた、それ蚊じゃないわよ」
そう言えば、これだけ刺されているのに、蚊の姿は見かけなかった。
じゃ誰?・・・ダニ?
O夫妻宅は何度もお邪魔していて、痒かったことなんかないのに、無人で締め切った家+暑さ+湿気=ダニの発生、となったらしい。
でもどう見たって娘のほうが美味しそうなのに、なぜ私だけ刺されるの?
確かに娘さんのほうがはるかに美味しそうだ、と不思議がるのは男たち。
日本のダニは日本人が好きで、外人&ハーフは口に合わないってこと?それ、人種差別っていうのよ。

とにかく。ダニ体験や駆除法の意見が飛び交い、バルサン、ダニ除けシート、ダニ用かゆみ止めを買え、ということになった。薬局経営の友人と一緒に閉店間際のマツモトキヨシに駆け込み、3点セットを購入。
脚を見た店員さんが「それはスゴイ」
感心されて喜んでいる場合じゃない。

翌日、出かける前にバルサンを仕掛ける。
ゴキブリ・ダニ・ノミ駆除製品の代名詞になってない?30年前すでに知られていた。

manual_gokiburi_product-varsan.jpg

このうちは出かける度に防犯装置をONにしなければならない。ONにしたら即出ないとベルが鳴りだす、と娘が脅かすのでサンダルも止めず走りでる。今回はそれに加えバルサンも噴射し始めたので、爆弾を仕掛けた犯人のように飛び出した。

夜、帰ったら、ゴキブリが一匹死んでいた。ダニは目に見えないので、果たして死んでくれただろうか?
夜中に掃除機をかけ、汗びっしょりでかけ終わったとき、クーラーというものがあるのを思い出した。
クーラーのない国から来ると、こういうことになる。


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東京にて:夜道で迷う

羽田に着いたときはけっこう涼しくて、なーんだ、と拍子抜け(後日この日は“例外的に涼しかった”と判明した。)
羽田からリムジンで吉祥寺に出て、そこからタクシーで浜田山へ。今回は北海道でバカンス中の友人宅を丸ごと借りている。O夫妻は数年前から北海道にはまり、色んな町で家を借りて夏を過ごしている。

「鍵はポストの中です」(パリでは危なくてできないよね)
家の中に入ると、飢えていた蚊の襲撃に遭い、あっという間に脚を8か所刺された。脚をぼりぼり掻きながら、かゆみ止めを探したけど、人それぞれ“収納のロジック”が違うので見つからず。
その後、トイレの電源、お風呂の入れ方、お布団の場所など優先事項をチェックしたら20時を過ぎている。
「お腹空きすぎ!」と娘が騒ぐので、近くのジョナサンに向かった。
この時間に小さな子供連れのお母さんが大勢。外で可愛い浴衣姿も見かけたから、花火大会でもあったのかな?
「父親が全くいないのね」と娘。

鶏のみぞれ煮、画期的に美味しかった。これが10ユーロ以下。フランスでは「安くて美味しい」がなかなかない。

160218_js_photo_009.jpg

さて夜道の帰り、私たちはしっかり迷った。
この辺りは住宅街でどの道もよく似ている。歩くうちにどんどん遠ざかっていくような嫌な予感。小雨まで振り出した。
フランスの携帯は使わないことにしていたけど、娘が「一瞬だけ」と住所を打ち込んだら数秒でコネクションがなくなった。
道を聞こうにも人がいなくて、いれば自転車に乗っている。
「もし見つからなかったら?」
「ホテルに行くしかない・・・」

そこへ大学生っぽい女性が携帯を見ながら歩いてきた。おお!2人で駆け寄って道を聞く。彼女はすぐ調べてくれて、
「こっちです、一緒に行きましょう」果たして私たちはかなり遠くまで来ていた。
「あの・・・うちに帰れないんですか?」と大学生。
「いえ、友達のうちに泊まっているんですけど、着いたばかりで」
「・・・・」
「友達は旅行で、家には誰もいないんです」
「ああ、なるほど」彼女はようやく納得した。
「回り道させてごめんなさい、帰り大丈夫ですか?」
いえ、すぐ近くですから、と彼女はうちの前まで連れてきてくれた。地獄で仏!(なんて死語でしょうね)

間もなく娘の携帯にメッセージ:インターネット使用料が50ユーロに達したのでコネクションを切りました。
2秒で50ユーロ !?


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寂しくなった朝市

エルザおばさんの八百屋は6月末に。チーズ屋のクリストフ、肉屋のブリューノは7月半ば・・・次々にバカンスで6週間の店じまい。朝市のあちこちにぽっかり穴が開いている。
長すぎ!と最初は思ったけど、彼らの労働時間を聞くと、それぐらい取らないと割りが合わなそうだ。

11区(バスティーユ)と13区(オーギュスト・ブランキ)の朝市に出しているエルザおばさんは「10時に起きる」
なーんだ、私と一緒、と言いそうになったら、夜の10時なのだ。トラックに野菜・果物を積み込んで、パリ近郊の町からまず13区に着き、店の準備。旦那さんを残し、エルザがバスティーユに着くのが午前4時頃。「たいてい私が一番乗りだね」
店員さん5名が到着し、野菜・果物を綺麗に並べ、値段をつける。最初のお客は7時すぎにやってくる。

これだけ準備するのに2時間はかかるそうだ。

パリの朝市

浮気せず、20年近く通っているこの八百屋で、私はVIP待遇(!)。コリアンダーやミントの香草はタダだし、いつも何かプレゼントしてくれる。最近ではイチゴを買ったことがなかった。

チーズ屋のクリストフは、午前2時起きで5時に到着。バスティーユの朝市は14時近くまでやっているから店をたたんで帰り、チーズたちを冷蔵庫にしまうと18時近く。なんと長い一日。

さて“行きつけ”を失った私は、デフォルトで残っている店に並ぶ。「どうせ数週間のお客」とぞんざいに扱われるか、「夏の間に新規客をゲット!」と愛想がいいか、態度は真っ二つに別れる。

生牡蠣&白ワインの立ち食いは中国人観光客に人気。

パリの朝市

かって牡蠣はRのついた月だけと言われていたけど、これはルイ15世が決めた(つまり冷蔵庫がなかった時代)ことで、衛生上は夏でも食べられる。でも夏場は不妊の牡蠣で味が違うとか。牡蠣が雌になったり雄になったりできる器用な生き物とは知らなかった。

休暇の商店の場所は服やアクセサリーの店になる。

パリの朝市

寂しくなった朝市でパッと華やか花屋さん。オランダからくる花は新鮮で安い。

パリの朝市

最近のお気に入りは大輪のアジサイ

パリの朝市

こっちは10日以上持っている。

パリの朝市

茎を斜めに切って、中の白い部分を取り除くと長持ちすると教わった。
そう、朝市で面白いのは専門家の知恵やコツを教えてもらうことだ。おまけも嬉しいけどね。


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大気汚染でビルが霞んで見えるテヘランの街。そこで年老いた母と暮らすニルーファー、35歳、独身。
服の仕立アトリエを仕切り、再会した男友達とデートする幸せな女性だ。しかも美人。
ある日、母親が病院に担ぎ込まれ、お医者は、
「前にも言ったはずだ。公害のひどいテヘランにいたら死んでしまう。今度こそ田舎に転地させなさい」

イラン映画『un Vent de liberte/自由の風』

すぐに家族会議。兄2人と兄嫁2人は、ニルーファーが母親と一緒に転地することに決めてしまう。
「お前は独身だし子供もいない」
「でも仕事があるし、ここは私の街なのに・・・」
「エゴイストなことを言うな。お母さんがどうなってもいいのか?」
「それとこれは違うでしょ!15日交替にしない?」
「娘の高校があるのにそんなことできるか」
借金のある兄はアトリエを売って、その返済に充てようとする。
自由に、“近代的な女性”として生きていたニルーファーは、突然中世に引き戻される。

「なぜ私の人生を家族が決めるの ?!」

イラン映画『un Vent de liberte/自由の風』

いい感じの関係になっている彼も「テヘランから離れると、公害が恋しくなる」というほどのテヘラン好きだ。
家族の言いなりになって、仕事も恋も捨てなければならないのか?
イラン映画『un Vent de liberté/自由の風』

高校生の姪がニルーファーに味方するとこが、世代の交代を象徴。

イラン映画『un Vent de liberte/自由の風』
photos:allociné

検閲が厳しくて、イラン映画が長いこと寓話的なものが多かったそうだ。若い世代の監督が、欧米的な自由なモラルと、旧弊的な考え方の対立を描く作品を作り始めている。

その対立は、程度の差はあれどこの国にもあるだろうけど。
「(日本で)子供を迎えに行く父親は出世コースを外れる?」という記事を読んだ。
子育て世代の大部分が「父親も育児に参加すべき」と答えているのに、「男は稼ぎ、女は育児・家事」という一時代前の“決まり”や、「残業しなければ出世しない」というような企業の体質が足を引っ張る。
保育施設の足りなさも問題だけど、一番時間がかかるのは、考え方や世間の目を変えることだ。

Un Vent de liberté
Benham Bezadi/ベナム・ベザディ監督作品
主演:サハール・ドラチャヒ、アリ・モサファ
1時間24分
パリで上映中

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「すべての良いものには終わりがあります。驚くべき20年間の後、12月20日、コレットは扉を閉めることになりました。コレット・ルソーはのんびりしたい年齢になり、コレットなしで“コレット”は存在しません。
このお店はSaint Laurentになります。何度もコラボレートした著名なブランドがこのアドレスを引き継ぐことを、私たちは誇りに思います・・・」
インスタグラムで閉店を伝えたコレット。

コレット閉店

1997年、コレット・ルソー&サラの母娘が、サントノレ通り2013番地に開いた3フロア700㎡のお店。
《スタイル・デザイン・アート・フード》という英語のキャッチに、コスモポリタンな場所にしよう、という野心が表れ、事実その通りになった(逆に言えば、フランス人は少なかったわね)

コレット閉店
photo:20minutes

2年間、コレットの近くにオフィスがあって、時々覗いた。
聞いたことのないデザイナーの服を「誰が着るの?」(着こなしが超難しそう)「誰が買うの?」(値段・・・)と物色。
Julien David, Thom Browne, Mary Katrantzou・・・などコレットのお陰で有名になったデザイナーやブランドは多い。

コレット閉店

直営店でしか売らない方針の高級ブランドも、コレットのウィンドウだとOKした。
毎回ソルドの先駆けをしても怒られなかった。
地下のウォーターバーはスノッブなだけかと思ったら、意外と美味しいし。
「ブティックというよりファッション雑誌に近いかも」とサラ。

確かに、コレットにはいつも人が多い(ファッションウィークの頃は特に)わりに、コレットの袋を下げて歩いている人が少ないと言われる。それでも盛衰の激しいコンセプトストア界で20年栄えた訳は?
『フラストレーション』がマーケティングのキーワード。
ストックを置かない(つまりすべて1点もの)方針は、お客に決断を迫る:明日はもうないかもしれない。そうなったら大後悔する。すぐ買うしかない(なるほど・・・)
衝動買い、インスタとSnapchat、《See now/buy now》の世界だ。
今を生きること、を実践して20年。コレットとサラ母娘は引け際も潔い。


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億万長者の米大統領が好きじゃないフランス人は、“エマニュエル・マクロン、トランプ氏を革命記念日に招待”に「えー !?」「なんでー ?」と騒いだもんだ。
7月14日の軍事パレードで、2人は並んで座り、こんなに寄り添う場面も。

マクロン夫妻&トランプ夫妻
photo:le Figaro

今度はマダムに寄り添う・・・

マクロン夫妻&トランプ夫妻

「国際政治舞台の不思議なカップル」とNYタイムズ。「貿易、移民、地球の温暖化について顕著な見解の違いを、彼らは過小評価しようとしている」

マクロンがトランプを招待した下心(のひとつ)は、“地球温暖化に対するパリ協定離脱をなんとか翻させよう”だ。
パリでの歓待に満足のトランプ大統領は仏大統領との関係は「very good」(この人の使う形容詞は限られている)で、「パリ協定について何か起こるかもね」とほのめかす。
The Independent紙は「パリ協定離脱決定の逆転に、扉を開けた」と期待するが、あまりにコロコロ変わるトランプ発言に、喜ぶのは早いという声が多い。

さて、その前日 、マクロン夫妻がトランプ夫妻をアンヴァリッドに案内した時、

マクロン夫妻&トランプ夫妻
photo:AFP

ブリジットに「あなたは大変お元気そうだ」とトランプ氏・・・ここまではいいけど、彼女のボディを指さして「素晴らしい!」と付け加えるのを忘れなかった。
このセリフが“行きすぎ”と批難の雨。これまでも女性をオブジェと見るような発言で叩かれたトランプ氏、全く懲りないわね。

夜はエッフェル塔のジュール・ベルヌ(シェフ:アラン・デュカス)で“ケチャップなし”の夕食。
メラニア夫人はトリコロールのドレス

マクロン夫妻&トランプ夫妻
photo:orange actu

NYタイムズは「トランプ氏の嗜好-ステーキにケチャップどっさり、チーズバーガー-を知る者には驚くべき夕食」
その驚くべきメニューとは:
-パテ
-野菜のファルシ
-舌平目のオランデーズソース
-牛フィレのロッシーニ風(フォアグラとトリュフ添え)木苺ソース
-スフレ・オ・ショコラ


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空港で半日暮らす

さて6時間つぶさなければ。ストックホルムは45㎞の距離だから戻ってもしょうがない。
14の島からなり30%が海、瑞々しく素敵な街で、私たちはヘルシンキより好きになった。
お城はちょっと陰気だけど、市庁舎が美しかった。

市庁舎の上からの眺め

ストックホルム 眺め

眼下の超デザインな建物がセントラル・ステーション

ストックホルム 眺め


空港ロビーの椅子に座って、しばし全力疾走の疲れとストレスを癒した私たちは、とりあえずお昼を食べよう!空港に隣接するSky Cityに赴く。ちょっと歩くけど時間は売りたいほどある。
ここでもメニューの数は少なく、スェーデン名物(!)ミートボール、ハンバーガー、シーザーサラダ・・・

必ずキュウリのひと塩とレッドベリーがついてくる。肉団子(ごく平凡な)とマッシュポテトで20ユーロは高い。

ストックホルム 食事

シーザーサラダも定番メニュー。ここのは鶏がから揚げになっていて一番美味しかった。約20ユーロ。

ストックホルム 食事

ヴァーサ博物館近くで食べたスモーガスボード。黒パンの上に「わー海老たっぷり!」と喜んだら、分厚いマヨネーズの上げ底になっていた。これが18ユーロは詐欺・・・

ストックホルム 食事

ストックホルムも物価は高いけど、ヘルシンキより微かに安いのでは。
お昼の後、免税品をウロウロしたり(あと4時間)
あらイブラヒモビッチさん、香水まで作ったの?(あまりいい香りじゃなかった)

イブラヒモビッチ香水

いつも慌ただしく通過する空港は、”旅立つ人と帰ってくる人がすれ違う、物語のある場所”で、ここに一日座って観察したら面白いだろう、と思っていた。実際やってみると、そんなに面白くない。スーツケースを転がしながら人が行きかうだけ。
『ザ・ターミナル』のトム・ハンクスを思い出した。

読みかけのミステリーを読んだりしたりで(あと2時間半・・・)
やっと私たちを乗せた飛行機はロワシーへと飛び立った。


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アーランダ空港、全力疾走

帰る日。空港へは、中央駅から出るArlanda Express(アーランダ空港直行列車)に乗ることにした。
中央駅まで電車で15分、エクスプレスは15分置きで空港まで20分・・・1時間見れば大丈夫。出発1時間前の正午には着ける、という計算だった。間違いのもとは、中央駅でチケット売り場までたどり着く時間、チケットを買う時間を計算に入れていなかったこと・・・

時速175㎞まで出すアーランド・エクスプレス。料金は2人で約30ユーロ

アーランド・エクスプレス

しかもエクスプレスは出たばかりでフルに15分待ち、空港に着いたのは12時15分。しかもエールフランスのカウンターは空港の端っこ、その上、私たちの前にはベビーカーをチェックインしようとしている家族がいて、ついに私たちの番になった時、係員は、
「チェックインは終了しました」
「は?」
「あなたたち、10分遅れです」
「だってベビーカー家族が・・・」
「確かに。でも5分は遅れてます。それに飛行機はオーバーブック」
ウソーッ!5分以上待ったし、オーバーブックはそっちの責任でしょ!Eチケットに最終チェックインの時間なんか書いてないし、出発までまだ30分以上あるし、グチャグチャ・・・と2人でまくしたてたけど、あまり効果なし。
「変更できるんですか?それとも買い直し?」
「買い直しになると思います」
係員は、《オーバーブッキング(自分たちの非)》と《遅れてきた(こっちの非)》をしばし秤にかけていたが、「ちょっとそこで待ってて」と電話をかけ始めた。ドキドキしながら“そこで”待っていると、
「座席があるかどうか保証できませんが、この先にある《スペシャル・バゲージ》のカウンターで荷物を預けて、ゲートに行ってください。急いで!」
ヨーイドン!と私たちは、空港の反対の端っこにある《スペシャル・バゲージ》へ全力疾走し、スーツケースを預け、ゲートに向かうと、怖そうなオバサン職員が「ボーディングパスがないと通せない、Eチケットではダメ」。
ここで夫は諦めかけた。もう走れん。あなた、しっかりして!(なんて言わなかったけど)
私はエールフランスまで駆け戻り、ボーディングパスをゲット。怖いオバサンも今度はOK、ところがセキュリティチェックのゲートで私たちの前にいたマフィアっぽいオジサンがピーピー鳴りまくり、係員が触ったり脱がせたりし始めた。ツイてないときはツイてない。

ようやくマフィアが釈放され、セキュリティを通過してゲートに駆け付けると、
「あなたたちが来ないから、待っていた2人を今乗せたとこ」と女性係員。
ガーン!
「でもスーツケースが・・・」
スーツケースが乗ったからには私たちを乗せないわけにはいかない、と思っていたのに、
「降ろしました」
それはご丁寧に・・・
「オーバーブッキングですから、次の便にトランスファーしますね」
自らの非をすぐに認める素晴らしい女性!
「次の便は19時25分です」
新たに買い直さずに済んだけど、6時間以上、空港で暮らすってこと?
目の前で、私たちを乗せない飛行機がゆっくり方向転換を始めた。


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死人に口なし

日本のサイトで、ストックホルムの見所ランキング1位がヴァーサ博物館。船はそんなに興味がない私は「ふーん」と、乗り気ではなかったけど、これはすごかった。

ヴァーサも迫力だけど、

ストックホルム、ヴァーサ博物館

面白いのはその物語。
1626年、当時の王様グスタフ2世アドルフが、スェーデンの威力を世界に誇示するために戦艦を作ろうと思い立つ。戦艦というより広告塔。オランダ人設計士が呼ばれ(当時、船造りはオランダが一番だった)2年ががりの造船。オランダ人設計士は途中で亡くなり、奥さんが引き継いだ。超豪華でインパクトある軍艦が出来上がり、1628年8月に処女航海に出発。
大勢の観客が見守る中、ヴァーサ号が1300㎞進んだとき(港を出ないうち)強い風が吹き、船は傾き、そのままズズーっと沈没。約150人の乗組員のうち30人が亡くなった。

当日、プルシアに遠征していた王様は、15日後に沈没のニュースを聞き、激怒する。そして必ず犯人を見つけ出そうと、関係者全員を尋問した。全員が「自分は何もしていない。責任は・・・」と、亡くなったオランダ人の名を挙げる。なんと奥さんまでが「夫のせい」にしたそうだから、うかうか死んでもいられない。

沈没の最大原因は、船の背が高すぎて安定が悪かったこと。王様が、より目立ち、より豪華ににとてんこ盛りにしたのが最大の原因だけど、王様=神だから誰もそんなことは言えない。

船首の彫刻もこの凝りよう。

ストックホルム、ヴァーサ博物館

当時はカラフルが流行りで、このように着色されていた。

ストックホルム、ヴァーサ博物館

本番前のテスト運行で、技術者たちは既に「これはヤバい」と気づき、20回のテストを3回でやめている。「これ以上やったら、進水式前に壊れる」「そんなことになったら王の逆鱗に触れる」・・・本末転倒。

ヴァーサは333年海の底で眠る。1950年代末に位置が確認され、5年かかって1961年に引き上げられ、日の目を見た。
バルト海の水は塩分が少なく、フナクイムシがいないので、船は奇跡的に損傷がなく、ただ木材がたっぷり水を吸っていた。乾かすのに10年。木の保存にポリエチレングリコール(化粧品の乳化剤、界面活性剤)が大量に使われ、ほぼ(96%)元のままの姿が再現された。
博物館には、見つかった25人の犠牲者の骸骨、当時の姿の予想図まで展示されている。

グスタフ2世アドルフ王がどうなったかと言うと、ヴァーサ難破の4年後、1632年に30年戦争のリュッツェンの戦いで死んでいる。
教訓:死人に口なし(かわいそうなオランダ人・・・)
奢れるものは久しからず(王様)


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私たちが乗ったSAS便はヘルシンキを14時25分出発、ストックホルムに14時25分着。1時間の時差。つまりヘルシンキとストックホルムの間に日付変更線があるってこと(ほんとに線があるの?)

あんな小さい飛行機に乗るんだ。

ヘルシンキ空港

ストックホルムで借りたAirbnbの家主グスタフは、バイキングの末裔みたいな男性(写真で見る限り)で、「空港からストックホルム中央駅まで電車で来て、そこからタクシーに乗るといい」とアドバイスしてくれた。
ところが夫は、「めんどくさい、ここから乗っちゃお」と空港でタクシーを拾う。
タクシーは高速をぶっ飛ばし、行けども行けども街らしいものが見えてこない。15分くらい走ったとき「ストックホルム22㎞」という標識が見えた。シャルルドゴールからパリが24㎞だから倍くらいの距離?不安になってメーターを見ると、400という数字。
「あれはメーターじゃない」と夫。じゃ何なの?
しばらくして、タクシーは高速を降り、緑の多い住宅街で止まった。
「650です」
やっぱりメーターじゃない!私たちは固まった。
「650・・・ユーロ?」
「いえ、クローネ」
再度固まる。
「スェーデンってユーロじゃなかったの ?!」
運転手はうんざりした顔で、
「だからカードでもいいって」
10クローネが1ユーロ弱なので約70ユーロ。
「ストックホルムだと500クローネくらいだけど、ここ郊外なんで」と運転手。
「え!ここ、ストックホルムじゃなかったの !?」
と3度目の固まり。2度あることは3度・・・

「ところでユーロは使えるんですか?」と夫。
「使えるとこはあまりないね。スェーデン人って変だから」
運転手は他人事のように言うと走り去った。
グスタフの指示通り、コード番号を押し、2階に上がり、玄関マットの下に鍵。これほど危険な隠し場所はないと思うけど、安全な国ってことでしょうね。

外も中も緑が一杯のグスタフ家。「植物に水をやってくれますか?」の置手紙があった。

ストックホルムAirbnb

「ユーロが使えない、しかも今日は日曜日で両替もできない!電車にも乗れない!」
アパートメントに入るなり、夫はわめき、絶望してベッドに倒れこみ、5分後にはイビキをかいていた。まったく・・・

彼が眠っている間、付近を探検しようと外に出て、車から荷物を出している夫婦を見つけ、
-電車の駅は歩いて5分足らず
-その横の7-elevenではカードでチケットが買える
-中心街はカードで払えるとこが多い
ことを聞きだした。なんという功績!


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誰もいないホテルにて

ホテルにサウナを見つけた私はすぐに立ち直った。これで身体の芯まで温まる!
「行かない?」
暑がりの夫は渋るかと思ったら、「行こう!すぐ行こう!」
サウナはフィンランドが発祥の地。なんと2000年前。この上なく清潔なので、昔はサウナでお産していたとか。

果たして誰もいない。プライベート・サウナ!

sauna.jpg

その後、ホテルのレストランに行ったら、やっぱり誰もいない。

ヘルシンキ

メニューの数は少なくて、今日の料理は“今日の魚”かステーキ。
「今日の魚って?」
「White fishです」
「その白身の魚は・・・」
「White fishが名前なんです」
「・・・」
運ばれてきた白い魚は意外と美味しく、クリーミーなソースと温野菜も美味しくて、よく考えたらヘルシンキに来てから、カフェで簡単に食べたり、アパートメントでオムレツを作ったりして、レストランらしきところで食事をするのは初めて。だから何を食べても美味しいのかも。

ヘルシンキ

そこへ、7-8人の中国人のグループが入ってきた-もう10時を過ぎている-そして唯一のお客である私たちのお皿をみんなが指さして、なんだかんだと大声で議論を始めた。私たちのテーブルまでマジマジと見にくる人までいる。
「“それ何ですか?”って聞けばいいのに、見世物じゃない」と夫。
「まったく」
取り囲まれているとこへ、通訳の女性(中国人)がやってきて“white fish”を指さし、
「それ、温かいんですか、冷たいんですか?」
「湯気が出ているのが見えんのかね」と夫。
「通訳ならウェーターに聞けばいいのに」と私。
ようやく彼らは席に着き、観察していたら、全然違うものを頼んでいた。
ホテルのすぐ隣の国際会議場に「緑内障学会」のポスターがあったけど、彼らは眼科医なんだろうか?

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予期せぬ出来事

翌日は、海岸沿いの朝市広場に行った。途中、これから出発しようとしているパレードに出会う。
虹色のシンボルから判断するに、ゲイパレードみたい。

ヘルシンキ

朝市は観光客目当てで、観光グッズや食べ物の屋台が多い。地元の食生活が覗けるかと思ったらがっかりだ。
屋台では鮭のグリルも売っていて(贅沢な!)そそられるけど、この寒さ、外で食べたら凍える。気温16度、今にも降りそうな空、海沿いは風も強い。
1889年からある屋内市場があって 駆け込んだ。

marche couvert

スモーク・サーモン屋。たくさん捕れるくせに値段はフランスと変わらない。

marche_saumon.jpg

おお出た!クマの缶詰、隣はトナカイ 。「おみやげに買おうか」とクマさんの缶詰を手に取ったら48ユーロ。

marche_ours.jpg

「4.8ユーロかと思った」と夫。

バスに乗ったら、クリスタからSMS:「何時に発ちますか?」
「アラ、発つのは明日ですけど」
「いえ、予約は2晩で、間もなく次の人が来るんですけど」
「ウソ・・・」
記憶をたどると、最初ヘルシンキ2泊でサンペテルスブルグ4泊にしていた。その後「北欧の旅」に変更して、ヘルシンキ、ストックホルム3泊ずつにしようね、と決めて、ヘルシンキを延泊にするのを忘れていた、という恐ろしい事実に気づいた。
夫はロシアのヴィザで、私は宿の予約でドジ、これでお相子ね、なんて言ってる場合ではない。
携帯でホテルを探し始めた夫は、
「週末だし、満室もある。それに高い・・・」
「ほら、昨日Holiday innの前通ったじゃない」
「Holiday inn “プロモーション価格スタンダードルーム175ユーロ”」
「それそれ!」とすぐ予約した。

アパートメントに荷物を取りに帰ったら、クリスタは掃除をする様子もなく、テレビの前でポテトチップスを食べていた。次のお客、本当に来るんだろうか?彼女の宿泊料は65ユーロだった。

タクシーを拾ってホテルの住所を見せたら、それは“昨日通った”のではなく、街はずれの国際展示場の隣にあるHoliday innだったのだ。周囲はひと気のないビルばかり、冷たい雨。タクシーを降りた私たちはしばしボーゼン。
これがヘルシンキ最後のイメージになるんだろうか・・・

ヘルシンキ


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ヘルシンキ・アドベンチャー

予約したAirbnbは中央駅からも歩いて行ける中心街にある、ということを着いてから知った。
もうひとつ“着いてから知った”のは、大家が住んでいる、ということ。
クリスタという女性は、大きなベッドルームを私たちに明け渡し、自分は居間で生活している。予約するときはアパートメント全部、を選んだつもりだったんだけど。

ヘルシンキ Airbnb

ま、バスルームもキッチンも自由に使っていいので、私たちが朝ごはんを食べていると、
「入ってもいいかしら?」と大家が遠慮がち。

どこもかも清潔で、入り口で靴を脱ぎ、キッチンもピカピカ。家電が多い。

ヘルシンキ Airbnb

おお!ムーミン

ムーミンの布巾

ワインセラーまである。どんなワイン飲んでるんだろう?と開けようとしたけど、鍵がかかっていた。
別に飲む気はないんだけどね・・・

ヘルシンキ Airbnb

銀行に勤めているクリスタはボーイフレンドとこのアパートに住んでいて、目下彼が旅行中なので貸している、とつたない英語で理解した。家電やワインセラーは彼が使うのか、クリスタは殆ど料理をしない。茹でただけのジャガイモを居間に運んで行った。もしかしてベジタリアン?
彼女が寝るときは、居間に物干しスタンドで“壁”を作っている。なんか可笑しい。

ヘルシンキ Airbnb

この街に来てから大したものを食べていない。レストランは、ギリシャ、中華、寿司(あちこちで出会う)、ピザ(10m置き)、オーストラリア(カンガルーのステーキ)・・・と何でもありなのに、
「ふつうの地元の料理ってないの?鮭とかたくさん捕れるだろうに・・・第一、フィンランド料理ってなんだ?」
「トナカイ料理」と夫。
「なんか硬そうだね」
結局、オーストラリアに入って、無難なシーザーサラダを選ぶ。フランスでシーザーサラダはチキンと決まっているけど、ここでは色んなトッピングがある:サーモン、エビ、チキン、豆腐まであった。それがサラダ、クルトン、パルメザンチーズと一緒にニンニク入りクリーミーなソースで和えてある。味付けはなかなかでボリュームがある。暗くて写真が撮れなかった。
「でもサラダとグラスワインで2人で58ユーロって高くない?」
グラスワイン(チリやアルゼンチンの)7~9ユーロ、バスのチケット3.2ユーロ・・・噂通りヘルシンキは物価が高い。


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ヘルシンキ第一印象

緑が多い、人が少ない(人口密度が低い)、共産圏ぽい建物が多い、風が強くて寒い、みんな、これからジョギングするような恰好をしている・・・ヘルシンキの第一印象。

北欧によく行っている友人が「ヘルシンキは素晴らしい、ストックホルムより好きだ」と絶賛していた。ちょっと拍子抜け。
映画でもそうだ。評判がすごくいいので期待して観に行くと、がっかりすることがある。

フィンランドはスェーデンとソ連が奪い合いをして、独立したのは1917年。その後もスェーデンと領土問題で争い、ソ連との冬戦争では領土を失い、第二次大戦後はソ連の勢力下に置かれた、とウィキペディアで学んだ。民主主義、資本主義の国だけど、共産主義とも微妙な関係。

一世紀前に建てられた中央駅。共産圏風の威風堂々とした四角い建物。

ヘルシンキ中央駅

サンペテルスブルグへの列車もここから出発する。これに乗るはずだったのよね・・・

ヘルシンキ中央駅

駅の構内に、ジョー・ネスボ、ユッシ・エーズラ・オールソン・・・私の好きな北欧ミステリー作家の新刊が並んでいる。

ヘルシンキ


ね、寒そうでしょ?北ヨーロッパの街に冷たい雰囲気があるのはきっと光のせいだ。

ヘルシンキ

気温は13度~19度。去年、7月のベルリンで震えあがり、ユニクロでダウンを買いそうになった私は、準備万端。ウールのセーター、ヒートテック、ストッキング、ダウンはもちろん。大正解。
公園の中で。おお、滑り台まで北欧デザイン!と思ったら、これは腹筋用。よく見たら、これじゃ滑りっこない。公園や海沿いを走っている人が多い。スポーツ好きが多い?

ヘルシンキ

フィンランド語は何のとっかかりもないので道の名前に苦労する。xxxkatuが“通り”という意味なのはわかった。「こここは何カツ?」と、地図を広げて立っていたら、通りすがりの女性2人が「コニチワ」「コニチワ」というので、アラ、ご丁寧に、と返事しようとしたら、向かいの寿司レストランの名前だった。そう、お寿司屋がたくさんある。

小さくて、見えるかな・・・ここも人がいない。

ヘルシンキ寿司屋


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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