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Category : ニュース

一粒で二度おいしい

3か月ぶりに会う母はまたひと回り小さくなったみたい。
少し長い白髪の髪を三つ編みにして、年老いた少女(?)のようにも、優しい魔法使いのようにも見える。
「まぁ!たかこちゃん、思いがけない」
しばらく話をする。子供(彼女にとっては孫)たちの名前はよく覚えていて、「今どこにいるの?え?日本?」「じゃ、みんな日本にいるのね。パリには猫だけ?」(夫の存在を忘れている)。

彼女に会いに行くのは夜7時ごろ、夕食が終わって廊下も静かになり、人恋しくなる時間帯だ。
翌日、会いに行くと
「いつ来たの?うれしい!」
持って行ったチーズクッキーを一緒に食べる。ホームの夕食は5時15分と早い上、半分も食べないので小腹が空く頃。
「子供たちはどこにいるの?」「日本が好きなのね…」

その翌日会いに行くと、
「まぁたかこちゃん、会いたかった!」
「一粒で二度おいしい」というCMを思い出した。二度どころじゃなく何度も喜んでくれる。
太陽が当たらなくても大丈夫というカランコエの鉢を買って行った。

カランコエ

母は花が好きで、夕方散歩に出かけては花を買ってきて活けていた。一緒に生け花教室に通ったこともある。
しばらく話すと、「あなた、ご飯まだでしょ」
これは遠回しの「もう帰って」なので「じゃ、また来るね」
穏やかな表情で手を振る母はとても可愛い。


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トゥールーズで。車を停めた駐車場にE氏が戻って来ると、車の窓が壊され、リュックサックが盗まれている。
中には身分証明書やクレジットカードが入っていた。
すぐにカードを止めようと銀行に電話すると、すでに52ユーロが使われていた。
使われた場所は駐車場から500mのカフェ。
E氏がすぐそのカフェに赴くと、主人は「宝くじを買ったあのSDF(住居不定者)2人だ!」
そのひとりのくじが当たっていて、しかも満額の50万ユーロ(約7800万円!)。

フランスの宝くじ

主人は彼らに「Française des Jeux」(宝くじ販売会社)に賞金を取りに行くようにいった。
困った2人のドロボー。お金は欲しい、でも取りに行けば警察に捕まる可能性大なだ。だから現れない。

何より身分証明書や保険証を取り戻したいE氏は妥協案を出した。
「わたしのカードがなければ彼らは宝くじが買えなかった。わたしは、彼らなしでは宝くじに当たらなかった。だから折半を提案します」
2人のドロボーが取引に応じるのを待ちつつ、50万ユーロはブロックされている…
というニュースを昨日の朝ラジオで聞いた。最近明るい話がないから、ニュースで笑ったのは久しぶり。
夫に話したら「1年ムショをくらっても、出頭して25万ユーロもらったほうがいいんじゃないか」
わたしでもそうすると思うけど、「行くべきか、行かないべきか」で、ラッキーなドロボーたちは悩んでいるにちがいない。


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マクロン汚名挽回作戦

最初「人気挽回」と書いて、それは“以前あった人気を取り戻す”という意味で、果たしてマクロン大統領に人気があったと言えるか?最初の任期で国民は期待したけど徐々に裏切られ、去年7月の「内閣解散総選挙」は致命的。
国内外で権力をなくし、メディアからも国民からも無視され、それでも胃潰瘍になったりしないのは(前頭部は後退している)、よほど図太い神経の持ち主、と感心する。
だから「汚名挽回」のほうがしっくりする。
「挽回作戦その1」は1月末に発表したルーヴル美術館の修復計画。
見学者数世界一(2024年900万人、コロナ以前1000万人)で深刻に老朽化しているルーヴルを10年計画で修復再建しようというプロジェクト。『モナリザ』だけ見て帰る人も少なくないので、専用個室を作る計画もある。

メディア発表も『モナリザ』の前で

macron louvre

推定予算7~8億ユーロ(約1096~1300億円)。「国の負担はごく一部」とおっしゃるけど、国会では財政再建に必要な606億ユーロをどこから絞り出すかで喧々諤々になっているのを「知らないの?」と言いたくなる。

「挽回作戦その2」は2月10日から2日間、グランパレで開かれた『AI戦略サミット』。

パリ AIサミット

米副大統領、カナダ大統領をはじめ政府要人や、OpenAI、GoogleDeepMindなど先端企業のトップが出席。
初日に演説したマクロン大統領は、AI先端のアメリカ&中国に、ヨーロッパも追いつこう、その中心はフランスと謳い、それも自分が経済発展、外国企業誘致に力を入れたお陰、と匂わせ、パリオリンピック、ノートルダム寺院修復の成功を繰り返すのを忘れなかった。

残る2年ちょっとの任期、この2つの作戦で浮上できるかどうか。
とにかくこれほど不人気な大統領は第五共和国初めてで、落ちた分這い上がるのは一仕事だ。


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情けない言い訳をする被告たちに対し、ジゼル・ペリコの勇気ある凛とした態度にはひたすら感心。
彼女は最初「恥をさらすのはいやだから法廷に出ない」と言っていたが、「恥をさらすのは被害者ではなく加害者だということを世間に伝えるべき」と考えを変えて出廷。

マザン強姦事件 ジゼル・ペリコ
photo: TF1 info

被告側の弁護士の「あなたは本当に意識がなかったのか?」「快感があったのではないか?」のようなひどい質問にもめげず、「なぜ被害者が口をつぐむのか今わかりました」

主犯の夫ドミニック・ペリコは“身体の不調”を理由にしばらく出廷せず(都合よく具合が悪くなる被告は珍しくない)医師に「心身ともに出廷できる状態」と言われようやく出て来て、初めて口を開いた。
まず自分が9歳と14歳のとき受けた性被害を明かし「それが重いトラウマになっていた」
“性的加害者が過去に被害者だった”は情状酌量の余地ありとされ、弁護士がよく使うそうだ。
60年前のことは証明できないし…
そして、
「40年間、妻と幸せでした。彼女は父の言いなりになっていた母とは全く違いました(だから薬で“言いなり”にした?)。3人の子供には手を出したことはありません。わたしは、ここにいる被告たちと同様、強姦者です。彼らはすべて知っていた。そうじゃないとは言わせません(でも企画してサイトで人集めをしたのはあなたでしょう?)」
それに対しジゼル・ペリコは、
「彼の言うことは聞くに堪えません。50年間一緒に暮らし、このような強姦をする男とは想像もしませんでした。疑ったことは一度もなかった。時々無分別な行為はあったけど、この男を愛していました」

彼女の勇気に感嘆した人は多く、法廷に入る度に拍手で迎えられる。
9月半ばから各地でその勇気を称えるデモが行われ、

パリのレピュブリック広場。行けばよかった…

マザン強姦事件 ジゼル・ペリコ
photo: le Monde

壁画が描かれ、

マザン強姦事件 ジゼル・ペリコ
photo: Actu.fr

女性への性的暴力撲滅のアイコンになった。

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目下裁判が行われているマザン強姦事件。
左が被害者ジゼル・ペリコ

proces mazan2

主犯の夫ドミニック・ペリコの携帯&パソコンから83人が“参加”したのがわかり(つまり2回やった男がいる)、そのうち身元が割り出された51人が逮捕、拘置された。
51人のプロフィルをニュースでは「hommes ordinaires/ふつうの男性」と言うけど、こんなことをした男性を「ふつう」と呼ばないでほしい。

年齢は27~73歳(犯行当時22~67歳)。全員がペリコ夫妻と同じ地方に住んでいて、職種も様々:消防士、刑務官、市会議員、学生、会社員、定年退職者、失業者・・・・
51人中37人が子持ち。
13人がアルコール、ドラッグ依存を認め、
23人に家庭内暴力、性暴力の前科あり。

裁判長が被告たちひとりひとりにした「被害者ジゼル・ペリコは(行為に)同意を示せる状態にあったか?」という質問に、
「やったときは“同意”という言葉の意味を知らなかった。刑務所で知った」(当時22歳)。
「夫が同意しているので妻も同意だと思った」(妻は夫の所有物?!)
「『彼女が待っている』と夫に言われたので同意していると思った」(その時ジゼルはイビキをかいていた)

でも大半はこの質問に「ノン」と答えている、にもかかわらず、51人中35人が「自分のやったことは強姦ではない」
裁判長はまず「『強姦』という言葉の意味を知っているか?」と質問したほうがよかったかも。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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