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3月21日朝8時から36時間、サルコジ元大統領はナンテールの司法警察で取り調べを受けた。
2007年の大統領選で、サルコジがリビアから5000万ユーロの選挙資金を受け取っていた疑い。電子新聞Mediapart/メディアパールが“5000万ユーロのお約束”“支払方法”などリビア側の覚書を入手し、2012年4月に掲載したのが発端。
サルコジは“覚書”が偽物だとメディアパールを訴えたが、証拠不十分で不起訴になる。

2007年12月。カダフィ大佐とのツーショット

サルコジ元大統領 リビア疑惑
photo: Reuters

今回、サルコジがみっちり取り調べを受けたのは(一日目は朝8時~午前零時!)警察が新たな-確実な-証拠を見つけたから、と言われる。サルコジが拘留されて取り調べを受けるのはこれが3度目で、もちろん元大統領では前例がない。

右派レピュブリカンからは「不当な扱い」と批判、大統領選で負けたセゴレーヌ・ロワイヤルは「国民は真実を知る権利がある」
一番知りたいのは彼女自身だ。

翌日の夕方解放されたサルコジは司法監視下に置かれ、事件関係者とみられる当時の大臣2人、ブリス・オルトフー、クロード・ゲオンに会うこと、関係者の住むリビア、チュニジア、南アに赴くことを禁じられる。

23日、TF1の20時ニュースに現れたサルコジは険しい顔で開口一番、
「わたしは大変怒っている」「元大統領の私の言うことより、リビアの殺し屋たちの言い分を信じるのか?」

サルコジ元大統領 リビア疑惑
photo:sudouest.fr

その怒りも冷めやらぬ29日。今度は買収&収賄の疑いで軽罪裁判所に送られることに。
2014年、ロレアル相続人のベタンクール夫人の判断力が弱っているのを利用し、お金を受け取っていた疑惑で、サルコジは弁護士を介して破棄院(フランスの最高裁判所)の司法官から捜査の進展を聞き出していた。
サルコジはPaul Bismuth/ポール・ビスミュットという偽名の携帯を使っていて、そういえばこの年「ポール・ビスミュット」が流行語になった。
もしリビア選挙資金で有罪になれば禁錮10年の刑と言われる。
今まで証拠不十分で免れてきたサルコジ元大統領、もう逃げられない?


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ナタン君の深読み

「週末、何をしましたか?」
ナタンと会うのは月曜日なのでよくこの質問から始まる。
「ひまなので日本語べんきょうします」
「ひまだったので、日本語べんきょうしました。何をべんきょうしたの?」
「9か、おわりました」
「 ?!」
その日は9課をやる予定で練習問題を準備したのに、予定狂うじゃない!

試しにいくつか質問するとちゃんとわかってる。あなた天才?
「先生、いらないじゃない」思わず言うと、ナタンは椅子の上でクネクネして、
「いえ、先生いります・・・ここ、よくわかりません」
“ここ”とは、会話の文章。ミラーさんが木村さん(女性)をコンサートに誘う。
----------------------
木村:いつですか?
ミラー:来週の金曜日の晩です。
木村:金曜日ですか。金曜日はちょっと・・・
ミラー:だめですか?
木村:ええ、友達と約束がありますから・・・
----------------------

「何がわからないの?」
「ムムム・・・日本語で言えないからフランス語で言います。木村さんはほんとに金曜日に約束があるんですか?」
「??」
「ミラーさんがいつ誘っても“だめ”なんじゃないですか?」
ははぁ・・・フランス人らしい発想というか、日本語は“行間を読むべき”と知っているからか?確かに「ちょっと・・・」だけで否定になるんだから。
「この文章からは、木村さんはほんとに金曜日に約束があるとしか言えない。最後に『また今度お願いします』って言ってるし。もしミラーーさんと出かける気がないなら言わないでしょ」
ナタンはちょっとがっかりした様子で頷いた。ミラーさんが嫌いなの?


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アングレームから帰ってきた娘の顔に吹き出物、だけじゃなくて、
「食べると胸やけがするし、ホラ見て、口内炎もできてる」
からすのお灸?あれは口内じゃなくて唇の横だ。
昔「食べ過ぎるとからすにお灸をすえられる」とおばあちゃんに脅かされたけど、からすのお灸は実は食べ過ぎと全然関係ない。
「チューインガムを呑み込むと救急車で運ばれる」とか「サクランボの種を呑むと、お腹から芽が出る」とか子供の頃は信じていたような・・・

一方、アフト/aphteと呼ばれる口内炎は、消化不良、ストレスが原因といわれる。
ストレスがありそうな顔をしてないので、
「何食べたの?」と聞くと、
「そういえばファーストフードを2回食べた」
それと、うちでは滅多に食べなかったシリアル+牛乳を毎朝食べていたそうで、
「それかもしれない」
牛乳を毎日飲むのは成長期で、大人になるとラクターゼ(乳糖を分解する酵素)が減るので、牛乳を消化しにくくなるそうだ。

週末の間、娘は「肉、乳製品なし。野菜と魚と鶏」の”デトックス・メニュー”を食べ(食欲はある)3日目には口内炎も胸やけも治まった。2回のファーストフードが原因とも思えないし、犯人は牛乳?

娘が発ってすぐ、朝鏡を見たら、アラ、肌のくすみが減って明るくなったような・・・気のせい?
夫に聞いたって、人の顔も見ないで「そうだね」と言うに決まってる。美容に関しては厳しい目を持つ娘に見せよう。
3日後にまた帰ってきた娘に、
「くすみが減ったと思わない?」
娘は私の顔をマジマジと見て、
「ヤダ、ほんと!何したの?」
「水!」
尿路感染症になってからお医者さん、経験者に「一日水を1.5ℓ飲め」と言われた。2ℓ説もあったけど、1.5ℓ飲むのだってけっこう大変。いきおいトイレの回数も増えるし、おまけに寒いし、でも毎日飲んで10日間。
「それがデトックスになったみたい」
「きっとそうだ。ねぇあたしの肌も・・・」
とすぐ自分のことになる。この子はコスメやメイクの話になると止まらない。

今年の冬はほんとに寒くて、風が冷たくて、2人とも肌がカサカサ・粉吹きになった。剥けるくらい。
試供品の女王(!)と呼ばれる私はいろいろな保湿クリームを試したけど、寒さと乾燥には敵わず。結局-手前味噌ですが-コーダリーの保湿ライン・ヴィノソースのセラム→保湿マスクが効いた。マスクをたっぷり塗って寝たら、翌朝、おお!ひび割れが減ってる。週に2回と書いてあるのを毎晩やったら4~5日で修復。
娘は「これアンチエイジじゃないの?(違うって)若くからアンチエイジつけるとよくないのよ」と言いつつ、同じものをつけて、粉吹き・皮膚剥けが治った。

顔の肌って内的要因(体調)と外的要因(乾燥、寒さ、大気汚染・・・)の影響がすぐに出る、を実感したのでした。


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薬との相性

尿路感染症と言われてから抗生物質を飲んでいる。Ofroxacine 200mgという、膀胱炎やニョーロなんとかに特化した抗生物質だそう。

ofloxacine.png

おかげで熱は下がり、悪寒も減った・・・けど、なぜか夜眠れない。身体はぐったり、頭はぼんやりなのに寝付けない。
これじゃ明日ぶっ倒れる、と最初の2晩は入眠剤を半錠飲んでやっと眠った。

3日目も同じ。では開き直り作戦:眠らなきゃいけない、と思うから余計眠れないんだ。今夜は眠らないで読みかけの本を最後まで読もう!と言い聞かせたけど効果なし。毎晩、入眠剤飲んで依存症になったら困る。
ふと思い立って、Ofroxacineの使用説明書を取り出した。トイレットペーパーのように長い説明書の『Effets indésirables/ありがたくない副作用』を見ると、冒頭に『睡眠障害』。おお、この薬のせいじゃない!
薬の使用説明書なんてちゃんと読んだことがなかったけど、読む価値ありだ。

翌朝、主治医の先生にSMSを送る:こうこうこういうわけでOfroxacineを飲んでいますが、相性が悪くて眠れません。変えていただけますか?
先生:血液分析の結果を見なければ変えられません。

そこで日曜に来てくれた“移動ラボラトリー”に電話して、分析結果を送ってください、というと、
「分析結果はxxxのサイトに行ってダウンロードしてください。あなたのIDとパスワードは・・・」
IDがあまりに長いんで、思わず
「紙媒体は送ってくれないんですか?」と言うと、
電話の向こうの女性は、今はそんなことしないのよ、というニュアンスで「ふふん」と笑った。
仕方なくサイトに行って言われたIDとパスワードを打つと、簡単にダウンロードできた。ほんと、今はこうなのよ。

それを持って主治医のところに行くと、待合室は人が一杯。ああ、1時間待ち・・・1時間半? 諦めて古い週刊誌を読んでいると、先生が顔を出して「あ、この人、薬を変えるだけなんで5分ですから」
なんたるラッキー。

「へぇ、この抗生物質、眠れないの?」
先生も使用説明書をちゃんと読んでないらしい。薬は山ほどあるものね。
副作用の少ないCEFIXIMEという抗生物質に変えてくれて、
cefixime_rx_200_mg_box.png

毎日患者さんが多くて大変、という愚痴になった。
眼科、産婦人科などの専門医の数が少ない(予約が2か月先!)は知っているけど、一般医の数も足りないそうだ。若い医師たちは、労働時間が長く、責任も大きい開業医になりたがらない。じゃどうするかというと、開業医が休暇のとき、あちこちで“代理”を勤めて満足している。

時間は20分を過ぎていた。待合室の人たちの鋭い視線を感じながら医院をでた。
今夜は眠るぞ!


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1983年。エリオは、北イタリアの小さな村の別荘で両親と夏を過ごしている。
お父さんは考古学の著名な教授、アメリカ人。美人で優しいお母さんは翻訳家、フランス人。
17歳のエリオは、ピアノはプロ並みに上手く、ひとりで本を読むのが好きで“何についてでもよく知っている”。相手によって英語、フランス語、イタリア語を自然に使い分ける・・・インテリ両親のひとり息子らしい、知的にマセた少年だ。

そこへ、お父さんの教え子のアメリカ人、オリヴァーがやってくる。博士論文を書くためにしばらく滞在するオリヴァーは、エリオの隣の部屋を使うことになる。エリオは、オリヴァーをそれとなく観察する。最初はフィジカルで奔放なアメリカ人が気に障り、次第に惹かれていく。最初は面倒を避けたい、と逃げ腰のオリヴァーも、エリオのアンバランスな魅力に抗しきれない・・・

『君の名前で僕を呼んで』


ルカ・グァダニーノ監督の『Call me by your name/君の名前で僕を呼んで』

『君の名前で僕を呼んで』

「なーんだ」と思われる方、まあ最後まで聞いて!
たしかに“ア・ボーイ・ミーツ・ア・ボーイ”なんだけど、それがテーマではない(私的にはね)。
知的には成熟していてもオクテのエリオにとって初めての感情。初めての恋。その一途さ、不器用さ、コントロールできない感情を、ティモシー・シャラメが感動的に表現する。

『君の名前で僕を呼んで』
photos:allociné

アカデミー賞最優秀男優にノミネートされていた、あの白いタキシードの青年だ。
オリヴァー(アーミー・ハマー)の美しさもハンパじゃない。ただ、“大学院生”のはずの彼は30くらいに見え、エリオが体つきも少年っぽく15歳くらいに見える。
この映画、主人公たちとイタリアの夏は美しすぎ、エリオの両親は優しすぎ、理解がありすぎで、現実離れしているんだけど、それでも感動したのは、誰もが経験する“初めて”を思い出したから:歓喜と涙が背中合わせなことを知り、長くは続かないのに一生忘れない。

そして他の登場人物が霞むエリオの存在感。マセでうぶで、シニカルで一途な少年に、すっかり魅了された。
2時間10分を少しも感じず、エリオの表情だけを捉える最後のシーン、その横に字幕が出て、他の観客が帰り支度を始めても、見続けた。最後の一滴まで!

Call me by your name/君の名前で僕を呼んで
監督:ルカ・グァダニーノ
主演:ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カザール
2時間10分
フランスで公開中。
日本公開は4月27日


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初めての生徒さん2

日本語の生徒さん、ナタンはいつも約束の時間ぴったしに、殆ど時報と同時にやってくる。
30年来、こんなフランス人は初めて出会った・・・あなた、ほんとにフランス人?

ついに「どうしていつもきっかりに来れるの?」と聞いたら、
「早めについて周囲を歩き回ってます」
「 ?!」
そういえば、ある晩うちに向かって歩いていたら、ナタンそっくりの男子にすれ違った。あれは本人だったのね。

彼のお父さんは数学者、お母さんはお医者さん、彼は数学専攻。理数系は時間励行?なんてバカな考えが浮かび、
「ご家族みんなそうなの?時間に遅れるとうるさいとか?」
「いえ、全然。ぼくは人が遅れてくるのが耐えられない。だから自分が遅れそうになるとすごいストレスになります」
「友達と待ち合わせするときも早めに行くの?」
「はい、約束の時間の15分前に行きます」まずますフランス人じゃない。
まずますフランス人じゃない。
「もっと待つことになって、もっとイライラしない?」
と聞くと、突然マンガみたいな顔になって、
「ううん、自分で勝手に早く来たんだから、がまんしゃちゃう」
すぐにもとの真面目な顔に戻った。ヘンな子。

彼はカタカナを書く時、指を折って数を数える:「チ」だったら、「1、2、3、4列目の上から2番目だから・・・チ」
頭の中に表ができてるらしい。よく数え間違える。
うちは全員、夫の家族まで文系なので、これも理系の思考法なんだろうか?と思ったり。関係ないか。
そのくせ「今、何月ですか?」と(日本語で)聞くと、ポカンとマンガの顔になって、指を折り始めるし、年が変わったのが頭に入るのは4-5か月後だという。つまりナタンはまだ2017年にいる。


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寒気+身体の節々が痛い=インフルエンザ?
でも喉は痛くないし咳も出ないので、ときどき鎮痛剤を飲んでいた。
そしたら3日目の日曜日大変なことになった:熱が上がり、身体中が猛烈に痛くなり、震えが止まらなくなった。
“身体が震える”のは初めての体験で、自分の身体じゃないみたい。『エクソシスト』のリーガンを思い出す。
痛みと震えでのたうちまわったいると、夫が「SOSメディサンを呼ぼう」
病状を説明するのに受話器が持てないくらい手が震えた。
あまり病気しないほうだけど、なんか大変な病気になったんだろうか?

震えと痛みが少し治まった頃やってきたSOSメディサンは、症状を見て、
「今オシッコできますか?」
「はい」
「2滴でいいですけど」
「2滴以上出ます」
それにリトマス試験紙みたいなのを浸したら紫色になった。
お医者さんはクイズに正解したように勝ち誇った声で、
「やっぱり!Infection urinaireです」尿路感染症。
ああ、そういえば。1週間くらい前から「もしかして膀胱炎?」という雰囲気があったけど、そのままにしていた、のが間違いのもと。感染が腎臓のほうまで上ってしまった。
「ラボラトリーを呼びますからこれこれの検査をしてください」
「えっ?ラボラトリーが来ちゃうんですか?」大きなトラック・ラボがやってくるイメージが浮かぶ。
「今日は日曜で全部閉まってます。明日まで待ちますか?」
いえいえ、エクソシストの震えは2度とごめんです。検査の前に抗生物質を飲み始めると、結果が違ってしまうそうだ。

2時間後に現れた“ラボラトリー”は黒い鞄を下げた若い女性。血液と尿を採取して、
「結果は後ほど医師に送られ、彼から電話があります」
すばらしい。
深夜や休日の救急医、SOSメディサンは子供たちが小さい頃何度か呼んだ。殆どの先生が大量の薬を処方するので「こんなに飲ませていいの!?」と懐疑的だったけど、今回見直したわね。ラボラトリーまで移動しちゃうし、夜はちゃんとさっきの先生から電話がかかってきた:やっぱり尿路感染症です。抗生物質を忘れずに10日間飲みなさい。

とにかく、自ら招いた病気だ。
寒気+節々の痛み=インフルエンザと自己判断してはいけない。「もしかして?・・・」と感じた時は放っておいてはダメ。
この病気は女性に圧倒的に多いそう。私の失敗をご参考にご用心ください!


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車椅子の少年は

私の前を車椅子の少年が進んでいる。最近よく見る電動じゃなくて、手で車輪を回すタイプ。まだ慣れないらしくジグザグ運転だ。歩道でおしゃべりしている人たちは、車椅子を見ると慌てて道を空ける。

よく見ると、少年の後ろ姿に見覚えがあった。カーキ色のコートにも。
駆け寄ってみると、果たしてロベール。
「どうしたのよ!」と言うと、メガネの奥から私を見上げて、
「スキーで転んだ」
「ヤダ・・・・」
でも脚にはギブスもないし、松葉づえも持ってないじゃない、という私の顔を見て、
「ハハーッ冗談だよ」
もーっ!
でもこの前の”冗談”、「誘拐されてる、4階!」よりマシだわ。
「その車椅子?」
「道で拾ったんだ。捨ててあったみたい」
道にそんなもの捨てるかね。
「ねぇ、ちょっと押してくれる。なかなか進まないんだ」
私は、五体満足のロベールの車椅子を押す羽目になった。けっこう大変。力がいる。なんでこんなことしてるんだ?
「頼むとみんな押してくれるんだよ」
そんなことして遊んでるの!
「キックスケーターよりずっと遅いじゃない」
「あれ、盗まれちゃったんだ」
アララ、それで新しい乗り物を見つけたのね。
うちのアパルトマンの前まで来て、
「ここで止めて」
「あら、なんという偶然!同じとこに住んでるの?」という私のつまらない冗談に、ロベールはケラケラ笑い、車椅子から飛び降りる。
「押してくれてありがとね!」
と、怖いお母さんのいるうちに帰って行った。


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「知り合いの子が日本語の先生を探してるんだけど、誰か知ってる?」
と友達に聞かれ、誰かいたっけ?・・・と少し考えてから、自分が日本語教師養成講座に通ったことを思い出した(忘れるほうがどうかしている)
「あたしもできるけど」と答えた翌日、大学生の男子から電話がかかってきた。彼は去年1か月日本を旅行してすっかりハマり、日本語をマスターして、ゆくゆくは日本で仕事がしたい。
日本語学校もあるけど、と言うと、まずは個人授業で基礎を学びたい。ほんならと、週一回夕方6時から教えることになった。

6時きっかりに現れたのは、21歳の小柄な青年、ナタン君。大学で数学を専攻している。日本語はひらがなが書ける。
教科書は「みんなの日本語」を使って、漢字を毎回1ページずつ、少し経ったら短いディクテ・・・「これでいい?」「トレビアン」ということで初めて先生になった。
いや、よく考えると初めてじゃない。大学生の頃、高校生の女子にフランス語を教えていた。やる気がなく勉強しない子で、仕方なくテストの前にカンニングペーパーを作るのを手伝った。急にテストの点が上がってお母さんが喜び、当人はニヤニヤし、私は複雑な気持ちになったっけ。ワルイ先生・・・

ナタンは真面目で、質問もたくさんするし、自分の子供に教えるのに比べて何てラクなの ?!
娘はすごく不機嫌になるし、息子は「日本語は論理的じゃない」という持論をとうとうと述べるし、よくケンカになっていた。

ナタンの当面の目標は『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の原作を日本語で読むこと。
日本で買ったという文庫本を見せてもらったら、文字ぎっしり、漢字もかなりあって、これはハードルが高すぎない?
英語版アニメを観たからストーリーは知ってる、とは言っても
「何が書いてあるかわからないでしょ ?」
「1ページに2つくらいわかる言葉があります」
それでも“読む”意味があるの?と言いかけてやめた私に、
「メトロでこの本読んでると、周りの人がちらちら見て『オッ!こいつ日本語の本を読んでる』という顔をするから」とニタリ。
一瞬ののちには真面目な顔に戻って練習問題の続きをやり始めた。


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米アカデミー賞は『シェイプ・オブ・ウォーター』と『スリー・ビルボード』が人気頭。2日前のセザール賞では『BPMビート・パー・ミニット』とピエール・ルメートル原作の『天国でまた会おう』が争った。

日本では3月24日に公開になる『BPMビート・パー・ミニット』は、1990年代はじめのパリが舞台。エイズは10年前から広がっているのに、この病気は一般に知られていなくて 、何の予防もしない人、逆に感染者に触ってもうつると思っている人も少なくなかった。エイズ防止運動アソシエーションAct-Up Parisは、この病気の知識と予防のために、デモをしたり高校でコンドームを配ったりする。運動家たちの中にはエイズ感染者もいたが、愛したいという欲望は変わらなかった。

Act-Up Parisに参加したナタン(右)は、急進的な運動家ショーンに惹かれていく・・・

『BPMビート・パー・ミニット』

というストーリーでショーンを演じるナウエル・ペレズ・ビスカヤ―、突然現れたアルゼンチンの俳優の演技に、みんなビックリした。

『BPMビート・パー・ミニット』(ロバン・カンピオ監督)は13部門でノミネートされ、最優秀作品、監督、音楽、助演、オリジナルシナリオ、モンタージュ賞、そしてナウエル君が最優秀新人賞を取った。
彼は、12部門でノミネートされ5つの賞をゲットした『天国でまた会おう』(アルベール・デュポンテル監督)でもメインの役(ずっと仮面だけど)を演じている。あまり知られていなかった俳優が、受賞レースの先頭作品2本に出ているのは珍しい。彼が賞を取るのは歴然だった。

『天国でまた会おう』

ブエノスアイレス生まれの32歳、職業学校で電気工学を勉強中に演劇にハマり、NYに行き、次いでヨーロッパにやってきた。
ブノア・ジャコ監督と出会い『Au fond des bois』(森の奥で)で主演(観ていない)して仏映画界にデビューした。
何か国語しゃべるのか知らないけどフランス語も流暢。美男というわけでもなく小柄なのに、不思議な存在感。これからバンバン出そうだ。
『BPMビート・・・』はオリジナル音楽賞も取り、ステージに上がった作曲者は、50年代風に髪をチックで固めた一見マフィア風の大男・・・なのにいきなり泣き出した。声を詰まらせる、というんじゃなくて「ウェーン」という感じで!

『BPMビート・パー・ミニット』音楽

おお、見かけによらずカワイイ!と特に拍手が多かった。

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「1杯は大丈夫、3杯は危ない」有名なアルコール依存症予防スローガン。それに「2杯はまだ大丈夫」という新解釈を与えたのはマクロン大統領。
「私は昼食でも夕食でもワインを飲んでます。ジョルジュ・ポンピドゥーの(飲むなと言って)『フランス人をうんざりさせるな』というセリフに賛成です」

マクロン、ワインが好き

アララ、食事のときは水を飲んでるイメージだけど、マクロンさん、見直した!
「若者が強いアルコールで急速に酔おうとするのは社会問題です。でもそれはワインではない。私が大統領であるうちはエヴァン法を強化しません」

エヴァン法は1991年にできたアルコール・タバコ規制政策。テレビ、映画館でアルコールの広告は禁止され、禁止を免れた広告も映像とスローガンに規制があり“飲み過ぎは健康に危険”というメッセージを加えなければいけない。小さい文字で書かれた「節度を持って飲みましょう」などがそれ。
レピュブリック・アン・マルシュの党首も大統領に賛同。
「ワインもアルコール飲料だけどアルコール度は弱い。ワインはフランス文化と伝統、国のアイデンティティのひとつ。私たちの敵ではない」

もともとフランス人は「ワインは別」と考えている向きがある。
アペリティフに「ウィスキー、ジン?」と聞くと、「アタシ、アルコールは飲まないの」「じゃ、ジュース?」「いえ、ワインをいただくわ」という発言、聞いたことありません?ワインだってアルコールだろうが。
食卓で子供にも「味の違いを教える」とワインを舐めさせるし。夫の実家はシャンパン製造をしていたので、子供が生まれたとき“シャンパン洗礼”という習慣がある。生まれた翌日に、シャンパンを赤ちゃんの唇につけて、顔をしかめなかったら「おお!家族だ」。
コルクが飛ぶ音に看護婦さんが駆けつけてきた。

話を戻して。大統領の“寛容さ”に反対するのは厚生相アニエス・ビュザン。
「ワイン製造業界は、ワインは他のアルコールと違うと信じさせようとしています。でも公共衛生の観点から、ワインもビールもウォッカもウィスキーも全く同じです」
確かに。
「ワインは身体にいい効果があると思っている人もいるけど、それはウソ」
一時、赤ワインは心臓動脈疾患を予防すると言われ、日本ではワインが飲めない人用に赤ワインキャンデーができた。

厚生相の言うことはもっともだけど、ちゃんと料理した時、ワインがないというのは考えられない。食事の一部だ。つまり飲みすぎなきゃいいってことで、つまり私の食生活は変わらないってこと。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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