整数問題、pを3以上の素数、4個の整数a,b,c,dがa+b+c+d=0,ad-bc+p=0,a≧b≧c≧dを満たすときa,b,c,dをpを用いてあらわせ(京大、文理甲乙共通) |
昨日に続いて2007年の京大の問題です。
この問題は文理甲乙共通です。
ちまたでよく言う整数問題です。
いかにも京大らしい、イカ京な問題です。
[問題]
pを3以上の素数とする。
4個の整数a,b,c,dが次の3条件
a+b+c+d=0,ad-bc+p=0,a≧b≧c≧d
を満たすとき、a,b,c,dをpを用いてあらわせ。
[解答・解説]
イカ京な問題です。
この問題は一般に難しいとされてますが、整数問題を練習してきた人にとっては
キタキタ
ってええカモになります。
解くのにもそんな無理が無くて、整数問題の醍醐味が使われているからこの問題はかなり勉強になると思います。
特に京大受ける人はこの問題の解き方を丸暗記すると、これから生きていく上でも役に立ちます。
京大受けるならこういう整数問題はちゃんと勉強しておきたいところです。
さて問題ですが、まず素数と聞くともうやめてくれ~って頭が痛くなるかもしれません。
でもそんな君にもお兄さんがいるから大丈夫。
今日は素数の使いかたをばっちり教えます。
素数と聞くと、問題でこういう論理をよく使います。
pは素数⇔
p=mn(m,nは整数)とすると(m,n)=(1,p),(p,1),(-1,-p),(-p,-1)
これは例えば5は素数ですが、整数二つの積で表すと
5=1・5=(-5)・(-1)
しかありえないってことです。
なんか当たり前過ぎて、ピンとこないかもしれませんがこの問題で実際にやってみましょう。
まずはa+b+c+d=0の式があるからこれを使って一つ文字を消します。
不等式からaかdを消去するのが良さそうです。
この方針が正しいかどうかはわかりませんが、世の中まずは文字を消去してみるもんです。
なんとなく、aを消去してみました。
不等式の方にも代入するのを忘れないでください。
こういう同値変形をしていくと条件を忘れにくくなりますが、下手に⇔の記号使って間違えても困るから本来なら解答には⇔って記号はあまり使わずにごまかすのがコツです。
この問題の答えは必要条件でええわけやし。
a=-b-c-dを代入してaを消去すると
ad-bc+p=0は-d^2-cd-bd-bc+p=0でp=(d+c)(d+b)と因数分解できます。
ここで最初に言った素数の性質を使えます。
不等式にa=-b-c-dを代入した
-b-c≧b+d≧c+d≧2d
式から、b+d≧c+dなので
d+c=-p,d+b=-1
か
d+c=1,d+b=p
のどちらかです。
と言うように、
pは素数⇔
p=mn(m,nは整数)とすると(m,n)=(1,p),(p,1),(-1,-p),(-p,-1)
を使えばここまでbやcが限定されてきます。
この凄さがわかったら、大人やと思います。
mとかnとか抽象的なことを言われてもピンこないかもしれませんが、この問題がそれを実際に使えて理解するのに良い問題です。
ここまで来ると、後はbとcがdとpで表せるから不等式に代入してbとcを消去します。
ちなみにd+c=1,d+b=pの方は同じようにやると不等式で矛盾が生じます。
なんか写真の解答ではわけわからんことしてb+dは0以下と証明してますが、こんなこと考える暇があれば解いていって矛盾を示す方が早いし実際今日解いた時もそうしました。
だからd+c=-p,d+b=-1を求めます。
不等式をpとdだけにすると
-p/2-1≦d≦-p/2
となります。
これは区間の幅が1なので、その区間には整数が1つしか入らないのでdは一つに決まるはずです。
ここでまた素数でよく使う論理が
pは3以上の素数⇒pは奇数
です。
これも偶数なら2の倍数になるから奇数になるのは当たり前の話ですが、何故か問題解いてると気づかないし使うことが意外にも多いです。
奇数ってものすごいユルユルな条件で素数から比べると情報がなくなりまくってて使えそうにないような感じがしますが意外にもよく使います。
だから-p/2-1=-(p+2)/2と-p/2の間にある整数は-(p+1)/2です。
よってd=-(p+1)/2
とdが決まります。
後はどんどん代入していけば答えがでます。
このイカ京な問題で素数の扱いかたを勉強して明日学校で友達に自慢すればもうあれですよ。
高校数学の問題と解説
整数問題の解法の解説と問題演習
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