政治ネタ、なぜウケる? 中田敦彦さんが感じる「日本やばい」の空気感
「政治ネタ」はユーチューブでなぜ受けるのか?
お笑い芸人でユーチューバーの中田敦彦さん(42)は、時事問題を解説するチャンネルの登録者数が540万人を超え、いま最もニュースの拡散力を持つインフルエンサーの一人。
2024年、情報発信の軸足を政治関連に移し、政治家との対談動画は再生回数が300万回近くに上ったものもある。
「新型コロナウイルス禍が明けてから、関心の方向が変わった」。そう中田さんが実感する日本社会の空気感とは――。【聞き手・深津誠、畠山嵩】
この記事の後半で次のことを語っています。
・なぜ政治ネタを取り上げるのか
・「自分が政治家になるつもりはない」
次の関連記事があります。
「若者よ、投票へ」は誤りか
「無関心」にさせる国の仕組み
「政治家」、必要ですか?
政治家の世襲、制限を
――戦後80年の日本の民主主義をどう見ていますか。
◆気になる点が二つあります。
一つは、国際NGO「国境なき記者団」が公表する「報道の自由度ランキング」の順位の低さ(24年は70位)。
もう一つは政権交代の少なさ。政権与党の自民党におきゅうを据えたくても、「野党にも任せられない」という状態は大きな問題だと思います。
――国民の選択肢が限られているということですか。
◆まず、「世襲」の制限がありません。政治家の親族は、「地盤(組織力)、看板(知名度)、かばん(資金力)」を引き継げます。
政治家をその子どもだけから選ぶのではなく、たくさんの人から選ぶ方が優秀な人を登用できる。親と同じ選挙区からの出馬の禁止や資金管理団体を相続した際の課税など、世襲をしにくいように制限を強めるべきです。
いま、私が住むシンガポールでは、小中学生の頃から全国一斉の試験があり、成績優秀者は政府の奨学金で外国の大学に留学できます。
その代わり、帰国後に官僚として一定期間の勤務を義務づけます。これで優秀な人材を確保するのです。
日本は、給食費や授業料の無償化など国民の「底上げ」を図る政策がある一方で、有能な人材の確保策が聞こえてきません。
メディアは萎縮しないで
――「報道の自由度」への懸念は。
◆12年ごろから、報道に「公正中立」を求める考え方が強くなったように感じます。
放送法に規定されている「政治的公平」についてはこれまで、テレビ局の番組全体で判断するのが政府の立場でした。この解釈について「一つの番組のみで判断し得る」とするのが最近の政府答弁です。
この「解釈変更」の裏で、安倍晋三政権(当時)側が総務省に従来解釈の変更を迫っていたことが「総務省文書問題」で明らかになりました。
テレビ局側は「電波を取り上げられてしまう」と萎縮しているのではないでしょうか。
データ…
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