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戦後80年

日本の終戦から、2025年で80年。「戦後80年」を考えるニュースをまとめました。

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「人類が解を出せない問題に挑戦」安野貴博さんがAIと描く民主主義

AIエンジニアの安野貴博さん=東京都中央区で2024年11月25日、玉城達郎撮影
AIエンジニアの安野貴博さん=東京都中央区で2024年11月25日、玉城達郎撮影

 「人類がまだ解を持っていない課題に直面している」。人工知能(AI)エンジニアでSF作家の安野貴博さん(34)は、デジタル技術を駆使して民主主義をアップデートする理由の一つをそう説明する。行政のデジタル化に取り組む団体のアドバイザーにも就任した安野氏。AIと描く未来のデモクラシーの姿とは――。【聞き手・源馬のぞみ、中島昭浩】

 この記事では、次の内容を知ることができます。
 ・デジタル技術を用いた最先端の意見集約方法とは
 ・AIはシルバー民主主義も解決できる? これからの時代に必要な理由
 ・それでも政治家が残る理由と分野
 次の関連インタビュー記事もあります。
 オードリー・タン氏「民主主義は不変ではない」
 中田敦彦氏「政治ネタが受ける日本社会の変化」

マッピングで自分の立ち位置知る

 ――効果的な意思決定にAIが寄与できると話されています。具体的にどう意見集約していきますか。

 ◆意見集約にも大きく二つあります。

 一つはSNS(ネット交流サービス)にたくさん投げ込まれている意見を集約すること。2024年の東京都知事選でも実施しました。

 AIの技術が進化してきたことで、大量のコメントを整理し、マッピングできるようになりました。付箋に意見を書いて、壁に貼って並べた後に、近い意見をグループ化する「KJ法」と呼ばれるようなやり方に近い。AIを活用すれば、100個や200個ではなく、1万個や2万個の投稿でも似たことができるようになってきているのではないでしょうか。

 インターネットではフィルターバブル(ウェブ検索履歴などから好みの情報以外が表示されにくくなる現象)の問題がありますが、全体の意見をマッピングすることで、自分とは異なる意見の人がどれだけいるかを可視化できます。

 最初は拒否反応が出るかもしれませんが、知ることによって自分の意見の位置や別の意見との距離を把握できることにはすごく意味があります。それによって議論が深化する効果もあるはずだと私は感じています。

 もう一つは「お互いに安心して議論を深めることができる場」をつくることです。

 台湾では既に「Join」と呼ばれる公共政策プラットフォームが運用されており、誰もが政策を提案できて、2カ月の間にその提案に「5000いいね」が集まれば、政府当局は責任を持って対応しなければなりません。

 この仕組みを通じて実際に数本の法律が立法されています。日本でもこのような仕組みを整備すれば、議員立法や内閣立法でもない、有権者で議論して草の根で法律案をつくることができる経路をつくれるのではと考えています。

激動する時代に合わせた意思決定を

 ――AIの使い道は、人間の認識能力を拡張するような方向に向かうのでしょうか。

 ◆現実的に、今のAIでは全ての事象について正しい結論を出す能力があるわけではありません。ただ、私はAIがコミュニケーションを滑らかにしてくれる役割としては機能するのではないかと思ってい…

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