ウクライナ保安局は11日、ウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州で、露軍に加わっていた北朝鮮兵2人を捕虜にしたと発表した。ウクライナ軍がキーウ(キエフ)へ移送し、派兵の経緯などを聴取している。1人は「訓練のために来た」と説明しているという。保安局は声明で「ウクライナとの戦争ではなく、訓練のために来たと説明していることは注目に値する」と述べた。
保安局によると、ウクライナ軍特殊部隊が9日に1人を確保し、もう1人は落下傘部隊が拘束した。2人は負傷し、治療を受けている。英語、ロシア語、ウクライナ語のいずれも話さないため、朝鮮語通訳と韓国当局の協力で事情聴取している。保安局が公開した動画では、包帯を巻いた兵士がベッドに横たわる姿や、飲み物をストローで飲んだり、質問に答えたりする様子が撮影されている。
1人はライフル兵で、脚を骨折している。ロシア南部トゥワ共和国で登録された他人名義の露軍の身分証を所持していた。この兵士は聴取に対し、2005年生まれで21年に北朝鮮軍に入隊したと説明しているという。身分証は24年秋にロシアで発給され、他の北朝鮮部隊とともに露軍との1週間の相互運用訓練を受けたという。
もう1人は1999年生まれの前哨狙撃兵で、16年に北朝鮮軍に入隊したとみられる。あごを負傷しており、朝鮮語の筆談などで聴取に応じている。
ウクライナ政府はこれまでに、1万~1万2000人の北朝鮮兵がロシアに派遣されたとみている。ウクライナ軍は昨年12月、クルスク州で露軍兵と共に戦う北朝鮮兵約200人が死傷したとの見方を発表した。
北朝鮮兵の捕虜を巡っては、韓国の情報当局が昨年12月、負傷兵が捕虜となった事実を確認したと明らかにしたが、後に死亡したとみられる。ウクライナ当局によると、露軍は負傷した北朝鮮兵を殺害し、遺体の身元を隠蔽(いんぺい)するなどしているとみられ、捕虜の確保が難しいという。【ブリュッセル宮川裕章】
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