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Mac版 Punch! ViaCAD Pro v9 を使ってみての感想

Mac版の3D CADであるViaCAD Pro v9を使って約1年になる。感想などを書いてみる。



結論
気合いを入れた複雑な設計をするには覚悟が必要。比較的軽い作業のアマチュア向けかも。もしくは、SolidWorksやSpaceClaimを買う予算はないが、どんな困難も乗り切る自信があればお勧め。安いものにはリスクが付き物で、それを気合と根性で乗り越えることができてこそ、安さの恩恵を被れる。
あと日本には代理店もサポート拠点もないので、マニュアルも情報掲示板もサポートとのコミュニケーションも全て英語を使う必要あり。

先に悪い部分から。

悪い部分
バグが酷いし、修正されない(使用しているのは最新のv9.0.0 Build1109)。バグの種類も多く、その内容も深刻なので、それを回避しながら進める必要がある。

例:DXFをインポートするとグダグダ
回路とプリント基板をEAGLEで設計したので、そのプリント基板のデータをDXFにエクスポートしてViaCADにインポートして取り込んだ。プリント基板のパッドやホールが一つ一つのサークルやラインに分解されてしまい、移動が大変なのでグループ化。しかし、それらグループ化したパーツを移動しようとすると、移動したはずなのに元の場所に同じパーツが残ってしまったり(複製されたようになる)、場合によっては分解された状態になってしまう。この現象が起こったり、起こらなかったり、再現性も不安定。また、Undoも効かない場合もあるので、数アクション作業をしては、別な名前でデータを保存しながら設計を進める必要がある。まぁセルフタイムマシンをやらないと、後で苦労する。このバグで何度も数時間単位で作業を無駄にしたことがある。

例:遡っての修正が失敗する確率が異常に高い
ヒストリーベースのCADなのは良い。しかし、当たり前の作業である過去に遡っての修正がうまくできる確率が低く(体感で50%もないと思う)、複雑な設計をすると大抵は失敗する。しかも、エラーが出た後に、アプリケーションがクラッシュして強制終了されることが多い。本来であればヒストリーとして記録された以前の作業に対し、その作業に修正を加えれば(例えばサイズ変更等)その修正結果がその作業以降の作業に全て反映されて正常に作業が終了するはずである。推測だが、上述のDXFのインポートをするとこの異常終了の発生確率が高いように思える。たまにエラーダイアログも出力するのだが、フィレットが正常に戻せないというエラーダイアログが出て、その後にクラッシュする。このバグでも何十時間という時間が飛んだ。ワークアラウンドとしては、以前の作業の修正をする前は、必ず保存。大抵の場合は失敗するので、クラッシュ後にファイルをリロード。ヒストリーを手前の作業から自分で外す(加算作業をしていたら加算作業を削除、フィレットは自分でフィレットを削除)していき、目的の修正作業を行ったあと、加算やフィレットを再度加える必要がある。物凄い手間がかかる。というか、殆ど再設計し直しって感じ。

例:細かいバグも多数
グリッドのスケールが何度設定しても、アプリを立ち上げ直すとさりげなくマイナーグリッドが-1されていたり(このバグで何度もサイズをミスった)、時々オブジェクトの回転操作が効かなくなったり。他にも思い出せないが何個かあった気がする。まぁこれらはクリティカルじゃないので、再設定したりアプリを再起動すれば直るので良しとする。

良い部分
コストパフォーマンス「だけ」を見れば最高。$250でしかもMac対応。
この価格でIGESやSTPをエクスポートできる3D CADは他にない。
やりたいことは一通りできる。
使い勝手も慣れの問題だろうが、悪くはないと思う。
サポートは早い。
技術的なサポートの場合、多分調査するからデータを送れとかの話になりそうだし、DXFをインポートするという割と普通の問題が解決できてない状況から最初から期待はしてないので敢えて質問はしなかった。しかし、先日技術とは違う問題が発生したのでサポートを受けた。年末にMacを買い換えたら、1ヶ月経過したあたりからアクティベーションのトラブルが発生した(多分無料評価中の1ヶ月は普通に使えていたのだと思う)。ViaCADを起動しても、エラーのダイアログが表示されて起動しない。こりゃ大変だということで、購入時に届いたアクティベーションコード通知メールのリンク先にあった、サポートのWebフォーム経由で質問をした。こちらが夜で向こうがビジネスアワーだったことも幸いし、30分もせずに回答が来た。こちらに表示されているアクティベートコードを送ると、それに対応するキーを送るので、それを入力すれば復帰するとのこと。確かにアクティベートコードが表示されていたので、それを送った。その後また30分もしないうちにキーが送られてきて、それを入力したら無事解決。非常にレスポンスが早くて素晴らしい。

総評
複雑な設計が多いし、土日祝日作業という貴重な限られた時間で作業をすることが多いので、時間を買う意味でSolidWorksやSpaceClaimを買うことを検討中。Windowsでの作業は嫌だけど…

theme : ソフトウェア
genre : コンピュータ

3Dプリンタ DA VINCI ダヴィンチ 1.0 異音(キーキー音)を直す その2

以前の記事で、ダヴィンチ1.0の異音(X軸移動時の「キー」という高音)の修理を行ったが、横からグリスを塗っただけの応急処置だったせいか再発した。

これは根本解決しなくてはダメかと思い、今回は軸受けにしっかりグリスアップを行うことにした。結論から言うと、完全に直った。異音は今の所再発する気配はない。

先ずはX軸のベルトを受けているプーリーを外すことを検討。上部から確認。前から気になっていたのだが、どうもベルトがプーリーの中央に掛かるのではなく、写真左手(ダヴィンチ正面から見ると奥手)にベルトが移動する傾向があるようである。軸が反対側の軸と並行でないのだろうか。まぁプーリーの軸受けにグリスアップすれば直るだろうから、一応ヨシとする。

さて、どこからバラそう…



正面左手、X軸の軸受け部分のプラユニット。左手の取っ手部分のカバーを外し、外側から眺めるとトルクスネジがある。これでX軸のベルトが緩む。

トルクスネジを緩めて、手前の突起部分を押し込む(かなりバネは強い)と、ベルトが緩む。少々握力を要するが、そのままホールドし、プーリーをX軸のモーター方向に、軸受けの溝に沿って誘導するとあっさり外れる。



外れたプーリーの汚れを拭いて新たにグリスアップ。グリスは前回通り、ロードバイク乗りの必須アイテムであるSHIMANOのデュラエース。



X軸の軸受け部分のプラユニット側もグリスアップ。



完全に直った感じ。異音が出る気配は全く無く、購入当初のような静かな音になった。

3Dプリンタ DA VINCI(ダヴィンチ) 1.0 ラフトを剥がし易くする印刷方法

今回も3DプリンタであるDA VINCI(ダヴィンチ) 1.0 のネタ。

オブジェクトを確実にプラットフォームに定着させるために、印刷する時にラフトのオプションにチェックを入れ、ラフトを一緒に印刷する。しかし、この方法では下記のように印刷面が下(プラットフォーム面)にある場合は、オブジェクトの表面に直接ラフトが打たれてしまう。ラフトはフィラメントを太めに印刷するため、非常に剥がしにくい。ニッパーやカッターを使っているが、なかなか剥がれない。

わかりにくくて恐縮だが、写真は印刷後のオブジェクトの天地が逆さになっている。上部がプラットフォーム面で、下部がオブジェクト。上部のラフトがオブジェクトに直接印刷されている。ラフトは太いため、オブジェクトへの接地面積が広くて剥がし難い。



しかし、オブジェクトにわずかな細工をするだけで、非常に剥がれ易くできる。方法は簡単で、プラットフォーム表面に接する部分に対して、直径1mm、高さ1mm程度の部品をダミーオブジェクトとして取り付けるだけで良い。私は3D CAD上で直径1mm、高さ1mmの円柱を表面に取り付けている。別レイヤーで管理して、3Dプリンタ印刷時、STLにエクスポートするときだけ有効にしている。このダミーオブジェクトを取り付け、印刷時にラフトとサポートのチェックを入れて印刷する。

上述したダミーオブジェクトを取り付けると、そのダミーオブジェクトがプラットフォームに接する部分(=最下部)に来るため、ダミーオブジェクトが無い場合は直接プラットフォームに接していたオブジェクトの印刷面が、全体的に1mmだけで空間に浮いた状態で印刷される。即ち、ラフトとオブジェクト表面との間にサポートが挿入される。サポートは細いフィラメントで構成させるため、ラフトが直接オブジェクト表面に印刷された場合と比較して、カッターやニッパーで切り易くなる。また、ニッパー等で先端を摘み、引っ張ってもそれなりに剥がすことが可能になる。フィラメントは若干多めに消費するが、ラフトを剥がす手間と剥がした後の加工面の綺麗さを比較すると、この方法のアドバンテージは大きいと思う。ちなみにダミーパーツは非常に小さいため、殆どの場合は印刷精度に埋もれてしまい後からカットする必要もなく消滅する。

ダミーオブジェクトによってラフトとオブジェクトの間にサポートが挿入された。これにより、ラフト除去の手間が雲泥の差になる。

3Dプリンタ DA VINCI ダヴィンチ 1.0 X軸移動時のキーキー音を直す

フィラメントを3本使い始めたところで、今まで聞いたことが無い異音が出るようになった。エクストルーダーがX軸を右から左に移動する時にのみ「キーーーーー」というガラスを引っ掻くような高音が出る。かなり大きな音で耳障りだ。どこから出ているか調査したたところ、X軸を移動させるベルトを受けているプーリーからであった。移動時の振動とプーリーと奥側に擦りつけられることによる摩擦で共振することで音が鳴っているように思える。エクストルーダーが動いていると、プーリーが正面から見て奥手の方にきつく移動してしまい、摩擦が増えているようである。

早速対策。オイル系はプラスチック部品にダメージを与える可能性があるので、グリスを塗ってみた。グリスは自転車のドライブトレインに塗布するグリスが手持ちにあったのでそれをプーリーと奥の壁の間に塗布。あっさり異音は消えた。



X軸のベルトを支えるプーリー。動作中、右側の壁側に力が加わるようで、プーリーが右側の壁面に擦り付けられ、異音が出ていた。プーリーと右側壁面との間にグリスを塗布した。

DA VINCI(ダヴィンチ) 1.0 印刷成功のコツ(プラットフォームへの確実な固定)

3DプリンタのDA VINCI(ダヴィンチ) 1.0を使い始めたが、印刷する時のコツが分かってきた。特にオブジェクト(印刷物)をプラットフォームに固定する方法が難しい。形状によっては、ノズル周辺に絡み付いてグダグダになってしまう。マニュアルにはスティック糊をプラットフォームに塗れと書いてあるが、数回印刷するとプラットフォームは糊で凄い状態になってしまう。プラットフォームに直接塗った場合、1度印刷すると糊が乾燥してしまうので印刷する毎に糊を重ねて塗ってしまうことになり、最後にプラットフォームを拭取るのに非常に手間が掛かる。色々と試行錯誤した上で、以下の方法に辿り着いた。印刷の成功率、メンテナンス共に良い結果になると思う。

■プラットフォーム
プラットフォームに耐熱ポリイミドテープ(幅広タイプ)を張り、その上にマスキングテープ(幅広タイプ)を貼る。印刷時はスティック糊をマスキングテープ上に塗る。

マスキングテープは素材が紙で出来ている。マスキングテープをプラットフォームに直接貼ってスティック糊を塗ると、スティック糊はマスキングテープを浸透し、結局プラットフォームにまで浸みてしまう。その状態でプラットフォームが加熱されるので、マスキングテープの接着剤とスティック糊によってマスキングテープがプラットフォームから剥がれ難くなってしまう。それを防ぐため、プラットフォームにポリイミドテープ(幅広タイプ)を貼り、その上にマスキングテープを貼る。マスキングテープが汚れたらマスキングテープだけ交換。ポリイミドテープもスティック糊で凹凸が出来てしまったらポリイミドテープも張り替え。スティック糊はポリイミドテープによってプラットフォームまで浸みないので、奇麗に剥がせる。ちなみにマスキングテープにスティック糊を塗らずに何度か挑戦したが、オブジェクトがうまく固定できず、やはりスティック糊は必要であった。

■印刷設定
サポート材とラフトは必要。特にアンダーカットが存在するオブジェクトを印刷する場合は、サポート材は必須。サポート材を印刷後に剥がすのは面倒になるが、結果的にはサポート材はあった方が良い結果になる。ラフトも必要。特に底面積の小さいオブジェクトを安定させたり、逆に底面積の大きなオブジェクトの熱による時間経過後の反りを防ぐためにはラフトは効果的。ラフトも印刷後に剥がすのが面倒だが、印刷成功の確率は確かに向上する。私は基本的にはサポート材とラフトは常時ONにして印刷している。

■印刷方法
重要なのはスティック糊を塗るタイミング。ダヴィンチ 1.0の場合、エクストルーダーは210℃、プラットフォームは90℃に到達すると印刷が始まる。大抵の場合はエクストルーダーが先に目標温度に到達し、プラットフォームが後から目標温度に到達する。この温度を本体のLCDを見ながら、プラットフォームの温度が85℃を超えたあたりで本体の扉を開け、素早くスティック糊をプラットフォームに塗る。塗り終わった直後に印刷が始まるくらいがベスト。プラットフォームが暖まる前にスティック糊を塗ってしまうと、印刷する頃には糊がすっかり乾燥してしまい、定着が悪くなる。それからスティック糊の塗る場所はオブジェクトが印刷される場所は勿論、右側のプラットフォームの右手前端から上にかけて直線で15cm程度。この右側の部分が意外に重要。付属の印刷用アプリケーションを使った場合、自動的にテスト印刷用の直線(途中でUターンあり)がプラットフォーム右端に印刷されるように追加される。このテスト印刷で失敗、例えばフィラメントが絡まった状態で印刷が開始されたりすると、ノズル付近にゴミが貯まり、オブジェクトへの印刷にも影響を及ぼす確率が高くなる。それを防ぐためにも、テスト印刷も正常に完了させる必要があるため、この部分にもスティック糊が必要になる。

印刷が始まると、最初にノズルのクリーニングが行われる。ノズルが左右に動き、本体に固定されているゴムべらで漏れていたフィラメントをノズルから落とす仕組みである。しかし、正常にクリーニングできない場合も多い。上記でスティック糊を塗った後、ノズル(プリントヘッド部)が動き始める前に、この漏れていたフィラメントをピンセットで摘んで取り去ると良い。エクストルーダーのノズルを狙い、ピンセットで確実に漏れ出たフィラメントを摘み取ることで、印刷の成功の確率は上がる。

印刷直前にスティック糊を塗ったりピンセットで摘んだりと、なかなか忙しく、且つ、技が必要な作業であるが、これらの方法により、オブジェクトの形状に関係無く印刷失敗する確率は著しく減少した。

theme : 電子工作
genre : コンピュータ

DA VINCI(ダヴィンチ) 1.0 ノズル詰まり→解決

3D CADで機構部品を設計し、3Dプリンタ XYZプリンティング DA VINCI(ダヴィンチ) 1.0 を使用して印刷しているが、トラブルが発生した。フィラメントが残り少ないという警告がLCDに表示されていたが、昨日大物部品を印刷して外出していると、外出中にフィラメントが無くなった。もう少しというところで印刷は中断・終了していた。フィラメントの予備は買っておいたので、交換して再印刷しようと思った。

マニュアル通りにフィラメントを交換し、ロードしようとすると、「ガコン、ガコン、ガコン…」という聞いた事が無い音と振動が発生し、エクストルーダーのノズルからフィラメントは出て来ない。何かが正常に進まず、引っ掛かっている様な感じだった。直感的に、フィラメントを最後まで使い切った時に、フィラメントの最後の部分が食いきれなかった予感がした。メンテの道具としてノズルが詰まった場合の細い針金みたいな物は添付されていたが、マニュアルやXYZプリンティングのサイトを見ても上述した異音及び振動に関しての対応方法は記載されてない。

仕方がないのでDIYで復帰を試みた。先ずは現物を調査。メカ部品の良いところは、電気やソフトと違って目で見えることである。車も家電も、メカ部分の不具合は動作原理さえ理解できれば目視で原因が分かることが多い。

異音及び振動はエクストルーダー付近から出ていることは間違いない。上蓋を開け、改めて見てみる。エクストルーダー部分にレバーのようなものが見える。簡単にエクストルーダー部が分離できそうだ。取り敢えずレバーを操作しても問題無さそうなことを確認して、ケーブルのテンションを確認しつつ、レバーを握ってエクストルーダー部を後部へ。



いた。原因はコイツか。ステッピングモーターでフィラメントを送り出す仕組みはいいとして、この機構だと最後までフィラメントを食いきれない気がするが…。エクストルーダー内部にも送り出しの機構が入っているのか?それともフィラメントが切れたので停止して交換しろという旨の警告音とメッセージが、出ていたのだろうか。外出していたので真相は不明であるが、コイツを撤去すれば直りそうだ。

取り敢えずラジオペンチで引っ張ってみるが動かない。常温で固まっているのだろう。仕方がないので、この状態でフィラメントのアンロードをしてみる。アンロード時はエクストルーダーが印刷時の210℃まで上昇するのできっと溶けるはず。



火傷に注意しつつ、アンロード。更にエクストルーダーのノズルからプリンタ本体に添付されていた針金で押し出してみる。



今度はラジオペンチで引っ張るとあっさり抜けた。



詰まっていたフィラメントの撤去完了。新しいフィラメントをロードすると、今度は異音や振動も無く、正常にノズルからフィラメントが出て来た。



3Dプリンタは黎明期。使うにはそれなりのスキルが必要なのだと再認識した。

theme : 電子工作
genre : コンピュータ

3Dプリンタ XYZプリンティング DA VINCI(ダヴィンチ) 1.0 購入

既に何度か書いた通り、あくまでも個人の研究開発としてソフトや回路を開発し、アートワークまでやって基板を起こしたりしている最中である。特別な用事が無い限り、帰宅後や土日祝日休暇の時間はほぼこれに費やしている。もう1年くらいこんな生活だろうか。毎日夜遅くまでやっているので眠いのだが、エンジニア人生最大のプロジェクトなので老体にムチ打って取り組んでいる。

という訳で、今度は機械設計である。あるプラスチック(樹脂)パーツを作りたいのだが、開発経験はゼロである。射出成形の本や資料を読み、家にあるプラスチック製品の構造を片っ端から調べながら、ようやく構造や作り方が理解できてきた。詳細は後程書く予定だが、3D CADも各種検討し、購入した。何とか設計できるレベルになってきたので、次は試作である。ご存知の通り、3Dプリンタがかなり安くなってきた。最初はMakerBotのReplicator辺りを考えていたのだが、約30万円の価格には躊躇してしまう。と思っていた所、XYZプリンティングジャパンから69800円という低価格でDA VINCI(ダヴィンチ) 1.0が発売された。レビュー記事も好評の様なので、購入に踏み切った。

一般に3Dプリンタを個人で買う場合は模型やフィギュア等に使用する場合が多いのだろうが、自分の場合は機能部品の試作。その視点で先ずは感想を。

良い点としては、コストパフォーマンス絶大、機能検証には充分使える。3Dプリンタなら実現できるとは頭では理解していたが、実際に自宅で、頭で想像していた物を具現化できることを目の当たりにすると、改めて感動する。妻はカーナビ以来の驚きだと言っていたが正にその通りだと思った。それから特筆すべき点はMacを完全にサポートしている点である。MacとUSB接続すると、ドライバ的にダビンチ 1.0はMacからはModemに見える。ファームアップデートも含め、全てMacからできるのはMacユーザーの自分としては非常にありがたい。

悪い点、というか仕様上、仕方が無いと捉えるしかないのだが、筐体は大きい。作れる物が20 x 20 x 20 cmと大きいため、筐体も大きくなってしまう。あとはDA VINCI特有の問題ではなく、現状の3Dプリンタ全般に言えることだが、印字品質(見た目)はお世辞にも良くはない。鑑賞用途には表面仕上げ作業は必須だろう。自分の仕様用途は機能検証用なので、全く問題無し。あと運用にはコツがいる。プリンタとは言うが、3Dプリンタはまだ過渡期。CanonやEPSONの紙に印字するプリンタとは訳が違う。台座であるプラットフォームにフィラメントが定着させるコツや、運用後の清掃等、メンテが必要になる。

それから追記として書いておくと、普通の人が3Dプリンタを購入する場合は注意が必要である。3Dプリンタで何をするかを明確にしておかないと、宝の持ち腐れになる。当然だが、今回の様な機能部品を作る場合は、3D CADを使った設計スキルを要する。例えば基板との位置関係を考えた上でボス(ネジ穴)を設置したりする作業を3D CADの機能を使って表現する必要がある。簡単な皿や箱であれば、3D CADの基本的な機能さえ理解できれば、比較的簡単に設計できると思う。また、ネット上には色々な無料/有料なデータがあるので、それを印字するだけなら技術的なスキルは必要としない。

前置きが長くなったが、ダヴィンチ1.0の導入編。

開梱した時の状態。価格が安いので、梱包は適当と思ったら一般の家電と全く遜色無い丁寧な梱包。



エクストルーダー(プリントヘッド)もプラットフォームも輸送時の破損を防ぐため、しっかり固定されていた。



安曇野の自宅なら問題無かったが、東京の自宅であるマンションは狭い。設置場所が無いので、32インチ液晶テレビの撤去を断行。どうせテレビは見る時間は無いし、いざとなったらHDDレコーダーとVULKANO FLOWでネット経由でMacで見れば良いということで、テレビ無しの生活へ。



購入してから知った事だが、このダヴィンチ1.0にはキャリブレーション機能が搭載されていた。初期導入時、プラットフォームの位置を出すためキャリブレーションが行われる。プラットフォームが上昇し、隅にある金属プレートとエクストルーダーの射出口左にある金属を接触させ、電気的にZ軸の位置を確認をしているようだ。これを3カ所行う。低価格機なのに優れもの。ちなみに内部は白色LEDの照明付き。構造上内部は暗くなるので、照明は非常に助かる。



エクストルーダーは210℃、プラットフォーム(テーブル)は90℃になるとプリント開始。プラットフォームはガラスで、内側にはヒーターが内蔵されている。ガラス面のままだと、印字中、フィラメントが動いてしまい、印刷がグダグダになる。そのため、プラットフォームにはスティック糊を塗る。ダヴィンチの箱を開けた時にスティック糊が出て来て、最初何に使うか理解不能だった。この糊が、しっかり溶けたフィラメントをプラットフォームに固定する。しかしガラス面に直接塗ると、印刷後の清掃が大変。調査したところ、マスキングテープやポリイミドテープを貼ると良いと言うので、取り敢えずマスキングテープを貼った。しかし、イマイチ。その上にスティック糊を塗った所、これはなかなか良い結果。汚れたら剥がすだけ。暫くはこれで運用してみる。



3D CADで設計した部品を早速印刷。空間に印刷は出来ないため、中空部はサポーターと呼ばれる部品がソフトで自動生成され一緒に印刷される。これはニッパーやカッターで簡単に切り取れる構造になっている。





サポーターをニッパーとカッターで取り除き、仕上げた後。作業時間は1〜2分。図面や画面の中だけで検証するのと、実際にモノが目の前にあるとでは雲泥の差。充分機能検証が可能だ。従来の手法でやっていたら、数十万、いや、数百万円という費用が掛かったかもしれない。

まさか自分が3D CADでプラスチック部品を設計し、69800円の3Dプリンタで自宅で試作するとは思わなかった。これぞ21世紀だ。


theme : 電子工作
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Author:hashiken
基本的に自分で作る、直す、メンテする。東京と安曇野の二重生活。

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