新たな軍拡競争と巨額の浪費
安原和雄
宇宙の軍事利用を進める宇宙基本法が自民、公明、民主の3党の賛成多数で08年5月21日、参院本会議で成立した。反対したのは日本共産党と社民党である。この宇宙基本法の成立が意味するものは何か。宇宙開発のあり方が従来の平和利用から軍事利用へと質的に転換していくことである。この危険すぎる路線がもたらすものは、宇宙における新たな軍拡競争であり、そのための巨費の浪費である。地上での道路などへの税金の無駄遣いに飽きたらず、今度は天上にまで無駄遣いの宴(うたげ)を広げるつもりなのか。(08年5月29日掲載、同月31日インターネット新聞「日刊ベリタ」に転載)
▽関連業界は「祝宴」、一方、新聞は批判的論調
宇宙基本法が成立した5月21日夕刻、日本航空宇宙工業会(宇宙・軍需関連企業の集まりで、会長・森郁夫富士重工業社長)は東京都内ホテルで「祝宴」を開き、森会長はつぎのように歓迎の挨拶をした。(しんぶん 赤旗・5月22日付)
「世界各国は航空宇宙産業を戦略産業と位置づけ、積極的な取り組みを進めている。宇宙基本法が成立したこともあり、宇宙産業をさらに活性化していく必要がある」と。
一般メディアは同法についてどのように論評したか。批判的な社説を書いたいくつかの新聞の見出しを紹介する。
*朝日新聞社説(5月22日付)=宇宙基本法 軍事には明確な原則を
同社説(5月10日付)=宇宙基本法 あまりに安易な大転換
*毎日新聞社説(5月15日付)=宇宙基本法案 軍事利用に懸念は消えない
*東京新聞社説(5月16日付)=宇宙基本法案 『平和目的』こそ原点
*山陽新聞社説(5月12日付)=宇宙基本法案 非軍事利用へ議論深めよ
*愛媛新聞社説(5月12日付)=宇宙基本法 非軍事の誓いと夢を壊すな
▽軍事利用への大転換 ― MDのための早期警戒衛星も
上記の批判的なメディアが疑問、懸念を表明している諸点を列挙すると、以下の通り。
*わずか4時間の審議で成立
衆参両院合わせて、国会での実質的な審議はわずかに4時間で、宇宙を軍事利用することに道を開く宇宙基本法が成立した。
*「平和主義の理念」をうたうが・・・
基本法第1条に「憲法の平和主義の理念を踏まえて」とうたっているが、何が日本の安全保障に資するのか否かがはっきりしない。
*国会決議「平和目的」を捨てて
日本は1969年に、国会で宇宙利用を「平和の目的に限り」とする決議を全会一致で採択し、政府は「平和目的」とは「非軍事」であると説明してきた。だが、基本法は「我が国の安全保障に資する」と付け加え、「非軍事」のハードルを「非侵略」まで引き下げ、防衛利用を認めるものである。
*MDのための早期警戒衛星も
基本法成立によって、政府が認めていなかった自衛隊の衛星保有やミサイル防衛(MD)のための早期警戒衛星、高い解像度を持つ偵察衛星の開発・打ち上げが可能となり、歯止めがかからない恐れがある。周辺国の警戒心を呼び起こすだろう。
*「専守防衛」原則に反する
攻撃兵器を宇宙に配備するのは専守防衛の憲法原則に反する。衛星を攻撃したり、衛星から地上を攻撃したりするのは論外である。
*アジアや世界の緊張を高める
中国やロシアを想定したミサイル防衛構想に日本の早期警戒衛星が組み込まれると、東アジアや世界の緊張を高め、軍拡競争の引き金になりかねない。イランの脅威などを理由に欧州にミサイル防衛網を配備しようという米国の計画が、ロシアの激しい反発を呼んでいる。
*安定した「官需」への思惑
基本法に「安全保障」を盛り込んだ背景には北朝鮮の核・ミサイルの脅威のほか、平和利用だけでは今後も大きな需要が期待できず、防衛分野の需要拡大で宇宙産業を振興させたいメーカーの思惑が働いている。衰退気味の民生部門に代わり、安定的な「官需」が欲しいのだ。
*巨費が必要なシステム
高い偵察能力は抑止力だという理屈もあろうが、早期警戒衛星のような巨費を要するシステムを持つ必要があるとは思えない。
宇宙基本法はどのような危険な路線を意図しているのか。上記の各紙の批判的な社説からもうかがえるようにつぎの2つの柱を指摘できるだろう。
●宇宙における新たな軍拡競争
●税金の際限のない浪費路線へ
▽宇宙における新たな軍拡競争
上記の批判的な新聞論調のうち、つぎの指摘は重要である。
「中国やロシアを想定したミサイル防衛(MD)構想に日本の早期警戒衛星が組み込まれると、東アジアや世界の緊張を高め、軍拡競争の引き金になりかねない。イランの脅威などを理由に欧州にミサイル防衛網を配備しようという米国の計画が、ロシアの激しい反発を呼んでいる」と。
さらに「基本法に安全保障を盛り込んだ背景には北朝鮮の核・ミサイルの脅威・・・」という記述も無視できない。
米国は「対テロ戦争」を名目にアフガニスタン、イラクを攻撃・占領しているが、巨費を投じていながら、この対テロ戦争は事実上、挫折を余儀なくされている。つぎの安全保障の中軸として具体化しつつあるのがMD構想、つまり飛来してくる中・長距離ミサイルを上空で撃ち落とす構想である。しかも日本政府は日米の軍事的一体化の下で、MDのためのミサイルの導入・配置を閣議決定(03年12月)するなど、MD構想の具体化を急いでいる。
注目すべき点は、自民党国防族議員、防衛省幹部、航空宇宙工業会加盟企業をメンバーとする「日本の安全保障に関する宇宙利用を考える会」(座長・石破茂現防衛相)がまとめた「わが国の防衛宇宙ビジョン」(06年)で、日米一体化で推進中のMDシステムのための宇宙利用を提言している。
具体的には相手方のミサイル発射をその直後に地上のレーダーや航空機では補足・追尾することは困難だから、早期警戒衛星や宇宙追尾監視衛星が必要だと指摘している。しかもこのような宇宙の軍事利用が中国、ロシア、北朝鮮、イランなどを念頭に置いて進められようとしている。
ここから「日米軍事同盟」対「中国、ロシア、イラン、北朝鮮」という新たな対立・抗争の構図が浮かび上がってくる。
これはソ連の崩壊とともに終わったはずの米ソ冷戦が、舞台を宇宙にまで広げ、装いを新たにして再開される可能性が強いことを示唆している。新たな冷戦は新たな軍拡競争を引き起こすだろう。その危険な引き金として新たに加わるのが日本の宇宙基本法の成立である。これでは日本国憲法の前文にうたわれている平和的生存権、さらに9条(戦争放棄、軍備及び交戦権の否認)の輝ける理念は完全に形骸化しかねない。
▽税金の際限のない浪費路線へ
道路への無駄遣いにつづいて、今度は宇宙での乱費である。どれだけ貪欲に血税を浪費すれば満足するのか。
1994年~2005年の間に日本全体で道路に投資された金額累計額は、総額151兆円を超える。しかしこのような巨費を投じて、交通渋滞を緩和できたかというと、決してそうではない。その理由は道路容量の増加よりも自動車の走行量の方が大きく上回ったからである。今後の道路整備の基本プランである「道路整備の中期計画」では2008年度から10年間、道路整備にさらに59兆円の巨費を投じる計画である。
しかし最近の石油価格の異常な高騰から予測できるように近未来に石油不足のため車を走らせることができなくなったとき、巨大な道路網はどういう意味を持つのか。道路という名の既得権益に執着した貪欲な人々による無駄遣いを示す巨大な遺跡としての価値以外には考えにくい。
宇宙の軍事利用も道路と同じ悪路をたどる懸念は大きい。
米国が80年代からこれまでにMDの開発・実験に要した予算は1000億ドル(約11兆円)を超える。その米国主導で日本がMDの開発・導入・整備を進めたら一体どれだけのコストがかかるのか。防衛省は当面、1兆円を見込んでいるとも伝えられるが、防衛省幹部の間に「米国に言われるままに実行したらいくら費用がかかるか分からない」という懸念の声さえある。
アメリカ主導のイラク戦争の挫折にみるように軍事力自体が打開力を失い、無力化している今日、年間約5兆円という規模の日本防衛予算そのものが本来巨大な無駄遣いである。それに加えて新たに宇宙軍拡の一翼を日本が担うことになれば、さらに血税を乱費する道に踏み込むことになる。
上述の批判的なメディアの論調のうち、つぎの指摘は軽視できない。
「防衛分野の需要拡大で宇宙産業を振興させたいメーカーの思惑が働いている」
「早期警戒衛星のような巨費を要するシステムを持つ必要があるとは思えない」―など。 要するに巨費を要する宇宙産業を振興させようという算盤勘定である。ここでも道路と同じように宇宙が既得権益の新分野として肥大化していく恐れが消えない。
宇宙・兵器メーカーを多数擁する日本経団連はいち早く消費税を現行の5%から17%にまでの引き上げを提言している。消費税1%引き上げは2.5兆円の増税に相当するから総額30兆円(2.5兆円の12倍)の大増税である。「その一部を宇宙分野に」という算盤をはじく音が聞こえてくる。
(寸評、提案大歓迎! 下記の「コメント」をクリックして、自由に書き込んで下さい。実名入りでなくて結構です)
安原和雄
宇宙の軍事利用を進める宇宙基本法が自民、公明、民主の3党の賛成多数で08年5月21日、参院本会議で成立した。反対したのは日本共産党と社民党である。この宇宙基本法の成立が意味するものは何か。宇宙開発のあり方が従来の平和利用から軍事利用へと質的に転換していくことである。この危険すぎる路線がもたらすものは、宇宙における新たな軍拡競争であり、そのための巨費の浪費である。地上での道路などへの税金の無駄遣いに飽きたらず、今度は天上にまで無駄遣いの宴(うたげ)を広げるつもりなのか。(08年5月29日掲載、同月31日インターネット新聞「日刊ベリタ」に転載)
▽関連業界は「祝宴」、一方、新聞は批判的論調
宇宙基本法が成立した5月21日夕刻、日本航空宇宙工業会(宇宙・軍需関連企業の集まりで、会長・森郁夫富士重工業社長)は東京都内ホテルで「祝宴」を開き、森会長はつぎのように歓迎の挨拶をした。(しんぶん 赤旗・5月22日付)
「世界各国は航空宇宙産業を戦略産業と位置づけ、積極的な取り組みを進めている。宇宙基本法が成立したこともあり、宇宙産業をさらに活性化していく必要がある」と。
一般メディアは同法についてどのように論評したか。批判的な社説を書いたいくつかの新聞の見出しを紹介する。
*朝日新聞社説(5月22日付)=宇宙基本法 軍事には明確な原則を
同社説(5月10日付)=宇宙基本法 あまりに安易な大転換
*毎日新聞社説(5月15日付)=宇宙基本法案 軍事利用に懸念は消えない
*東京新聞社説(5月16日付)=宇宙基本法案 『平和目的』こそ原点
*山陽新聞社説(5月12日付)=宇宙基本法案 非軍事利用へ議論深めよ
*愛媛新聞社説(5月12日付)=宇宙基本法 非軍事の誓いと夢を壊すな
▽軍事利用への大転換 ― MDのための早期警戒衛星も
上記の批判的なメディアが疑問、懸念を表明している諸点を列挙すると、以下の通り。
*わずか4時間の審議で成立
衆参両院合わせて、国会での実質的な審議はわずかに4時間で、宇宙を軍事利用することに道を開く宇宙基本法が成立した。
*「平和主義の理念」をうたうが・・・
基本法第1条に「憲法の平和主義の理念を踏まえて」とうたっているが、何が日本の安全保障に資するのか否かがはっきりしない。
*国会決議「平和目的」を捨てて
日本は1969年に、国会で宇宙利用を「平和の目的に限り」とする決議を全会一致で採択し、政府は「平和目的」とは「非軍事」であると説明してきた。だが、基本法は「我が国の安全保障に資する」と付け加え、「非軍事」のハードルを「非侵略」まで引き下げ、防衛利用を認めるものである。
*MDのための早期警戒衛星も
基本法成立によって、政府が認めていなかった自衛隊の衛星保有やミサイル防衛(MD)のための早期警戒衛星、高い解像度を持つ偵察衛星の開発・打ち上げが可能となり、歯止めがかからない恐れがある。周辺国の警戒心を呼び起こすだろう。
*「専守防衛」原則に反する
攻撃兵器を宇宙に配備するのは専守防衛の憲法原則に反する。衛星を攻撃したり、衛星から地上を攻撃したりするのは論外である。
*アジアや世界の緊張を高める
中国やロシアを想定したミサイル防衛構想に日本の早期警戒衛星が組み込まれると、東アジアや世界の緊張を高め、軍拡競争の引き金になりかねない。イランの脅威などを理由に欧州にミサイル防衛網を配備しようという米国の計画が、ロシアの激しい反発を呼んでいる。
*安定した「官需」への思惑
基本法に「安全保障」を盛り込んだ背景には北朝鮮の核・ミサイルの脅威のほか、平和利用だけでは今後も大きな需要が期待できず、防衛分野の需要拡大で宇宙産業を振興させたいメーカーの思惑が働いている。衰退気味の民生部門に代わり、安定的な「官需」が欲しいのだ。
*巨費が必要なシステム
高い偵察能力は抑止力だという理屈もあろうが、早期警戒衛星のような巨費を要するシステムを持つ必要があるとは思えない。
宇宙基本法はどのような危険な路線を意図しているのか。上記の各紙の批判的な社説からもうかがえるようにつぎの2つの柱を指摘できるだろう。
●宇宙における新たな軍拡競争
●税金の際限のない浪費路線へ
▽宇宙における新たな軍拡競争
上記の批判的な新聞論調のうち、つぎの指摘は重要である。
「中国やロシアを想定したミサイル防衛(MD)構想に日本の早期警戒衛星が組み込まれると、東アジアや世界の緊張を高め、軍拡競争の引き金になりかねない。イランの脅威などを理由に欧州にミサイル防衛網を配備しようという米国の計画が、ロシアの激しい反発を呼んでいる」と。
さらに「基本法に安全保障を盛り込んだ背景には北朝鮮の核・ミサイルの脅威・・・」という記述も無視できない。
米国は「対テロ戦争」を名目にアフガニスタン、イラクを攻撃・占領しているが、巨費を投じていながら、この対テロ戦争は事実上、挫折を余儀なくされている。つぎの安全保障の中軸として具体化しつつあるのがMD構想、つまり飛来してくる中・長距離ミサイルを上空で撃ち落とす構想である。しかも日本政府は日米の軍事的一体化の下で、MDのためのミサイルの導入・配置を閣議決定(03年12月)するなど、MD構想の具体化を急いでいる。
注目すべき点は、自民党国防族議員、防衛省幹部、航空宇宙工業会加盟企業をメンバーとする「日本の安全保障に関する宇宙利用を考える会」(座長・石破茂現防衛相)がまとめた「わが国の防衛宇宙ビジョン」(06年)で、日米一体化で推進中のMDシステムのための宇宙利用を提言している。
具体的には相手方のミサイル発射をその直後に地上のレーダーや航空機では補足・追尾することは困難だから、早期警戒衛星や宇宙追尾監視衛星が必要だと指摘している。しかもこのような宇宙の軍事利用が中国、ロシア、北朝鮮、イランなどを念頭に置いて進められようとしている。
ここから「日米軍事同盟」対「中国、ロシア、イラン、北朝鮮」という新たな対立・抗争の構図が浮かび上がってくる。
これはソ連の崩壊とともに終わったはずの米ソ冷戦が、舞台を宇宙にまで広げ、装いを新たにして再開される可能性が強いことを示唆している。新たな冷戦は新たな軍拡競争を引き起こすだろう。その危険な引き金として新たに加わるのが日本の宇宙基本法の成立である。これでは日本国憲法の前文にうたわれている平和的生存権、さらに9条(戦争放棄、軍備及び交戦権の否認)の輝ける理念は完全に形骸化しかねない。
▽税金の際限のない浪費路線へ
道路への無駄遣いにつづいて、今度は宇宙での乱費である。どれだけ貪欲に血税を浪費すれば満足するのか。
1994年~2005年の間に日本全体で道路に投資された金額累計額は、総額151兆円を超える。しかしこのような巨費を投じて、交通渋滞を緩和できたかというと、決してそうではない。その理由は道路容量の増加よりも自動車の走行量の方が大きく上回ったからである。今後の道路整備の基本プランである「道路整備の中期計画」では2008年度から10年間、道路整備にさらに59兆円の巨費を投じる計画である。
しかし最近の石油価格の異常な高騰から予測できるように近未来に石油不足のため車を走らせることができなくなったとき、巨大な道路網はどういう意味を持つのか。道路という名の既得権益に執着した貪欲な人々による無駄遣いを示す巨大な遺跡としての価値以外には考えにくい。
宇宙の軍事利用も道路と同じ悪路をたどる懸念は大きい。
米国が80年代からこれまでにMDの開発・実験に要した予算は1000億ドル(約11兆円)を超える。その米国主導で日本がMDの開発・導入・整備を進めたら一体どれだけのコストがかかるのか。防衛省は当面、1兆円を見込んでいるとも伝えられるが、防衛省幹部の間に「米国に言われるままに実行したらいくら費用がかかるか分からない」という懸念の声さえある。
アメリカ主導のイラク戦争の挫折にみるように軍事力自体が打開力を失い、無力化している今日、年間約5兆円という規模の日本防衛予算そのものが本来巨大な無駄遣いである。それに加えて新たに宇宙軍拡の一翼を日本が担うことになれば、さらに血税を乱費する道に踏み込むことになる。
上述の批判的なメディアの論調のうち、つぎの指摘は軽視できない。
「防衛分野の需要拡大で宇宙産業を振興させたいメーカーの思惑が働いている」
「早期警戒衛星のような巨費を要するシステムを持つ必要があるとは思えない」―など。 要するに巨費を要する宇宙産業を振興させようという算盤勘定である。ここでも道路と同じように宇宙が既得権益の新分野として肥大化していく恐れが消えない。
宇宙・兵器メーカーを多数擁する日本経団連はいち早く消費税を現行の5%から17%にまでの引き上げを提言している。消費税1%引き上げは2.5兆円の増税に相当するから総額30兆円(2.5兆円の12倍)の大増税である。「その一部を宇宙分野に」という算盤をはじく音が聞こえてくる。
(寸評、提案大歓迎! 下記の「コメント」をクリックして、自由に書き込んで下さい。実名入りでなくて結構です)
この記事へのコメント
宇宙基本法の危険な問題点を
①無用な軍拡の「宇宙規模化」
②歯止めなき浪費の懸念
とした貴見に同意します。メディアと国民の鈍感に絶望的になりま。新聞名を賛否とも明示して下さい。個別記事や社説をもっと批判的に評価し言及して下さい。『経済』誌〇八年六月号が軍事経済特集を組んでいますのでお知らせします。井村氏らの良い論文があります。念のためお知らせします。
①無用な軍拡の「宇宙規模化」
②歯止めなき浪費の懸念
とした貴見に同意します。メディアと国民の鈍感に絶望的になりま。新聞名を賛否とも明示して下さい。個別記事や社説をもっと批判的に評価し言及して下さい。『経済』誌〇八年六月号が軍事経済特集を組んでいますのでお知らせします。井村氏らの良い論文があります。念のためお知らせします。
2008/05/29(木) 23:33:59 | URL | KH #-[ 編集]
KHさん、貴重な助言を含むコメントに感謝します。
「新聞名を賛否とも明示を」はもっともなご意見です。今回は宇宙基本法の危険性に着目し、批判的な新聞の論調の一部の紹介にとどめましたが、例えば賛成派の読売新聞社説(5月10日付)はつぎのような主張です。
*宇宙の開発・利用を、日本の安全保障に役立てるのは当然だ。宇宙基本法を今国会で成立させ、政治主導で戦略を練り直すべきだ。
*日本の宇宙開発は、年間約2500億円の予算を投じながら、研究・開発分野が限定され、産業化に十分つながってこなかった。
原因の一つに、宇宙利用を「平和の目的に限る」とした1969年の国会決議がある。
当時の審議では「平和」とは「非軍事」の意味と解釈され、防衛目的の衛星の打ち上げなどができなくなった。
*ミサイル発射を探知する早期警戒衛星の開発も封じられてきた。
日本が高い技術水準のロケットエンジンを開発しても、軍事衛星を打ち上げる可能性のある米国企業には売却できない、という問題もあった。
宇宙基本法が成立すれば、こうした制約にとらわれずに、宇宙利用を進められる。
ざっと以上のような主張です。
これは基本法成立以前の時点で無条件の全面的な賛成論を打ち上げた内容となっています。
この種の社説を読むと、私には宇宙での無駄遣いを奨励しているようにみえます。読売新聞社はよほど巨額の税金を納めているのでしょうか。
読売新聞社説はかなり以前から権力に密着する社説を掲げています。「言論は自由」であるとしても、ここまで「よいしょ」と持ち上げてもらっては、当の首相官邸、国防族議員、防衛省、産業界もいささか面はゆい感じではないでしょうか。
「新聞名を賛否とも明示を」はもっともなご意見です。今回は宇宙基本法の危険性に着目し、批判的な新聞の論調の一部の紹介にとどめましたが、例えば賛成派の読売新聞社説(5月10日付)はつぎのような主張です。
*宇宙の開発・利用を、日本の安全保障に役立てるのは当然だ。宇宙基本法を今国会で成立させ、政治主導で戦略を練り直すべきだ。
*日本の宇宙開発は、年間約2500億円の予算を投じながら、研究・開発分野が限定され、産業化に十分つながってこなかった。
原因の一つに、宇宙利用を「平和の目的に限る」とした1969年の国会決議がある。
当時の審議では「平和」とは「非軍事」の意味と解釈され、防衛目的の衛星の打ち上げなどができなくなった。
*ミサイル発射を探知する早期警戒衛星の開発も封じられてきた。
日本が高い技術水準のロケットエンジンを開発しても、軍事衛星を打ち上げる可能性のある米国企業には売却できない、という問題もあった。
宇宙基本法が成立すれば、こうした制約にとらわれずに、宇宙利用を進められる。
ざっと以上のような主張です。
これは基本法成立以前の時点で無条件の全面的な賛成論を打ち上げた内容となっています。
この種の社説を読むと、私には宇宙での無駄遣いを奨励しているようにみえます。読売新聞社はよほど巨額の税金を納めているのでしょうか。
読売新聞社説はかなり以前から権力に密着する社説を掲げています。「言論は自由」であるとしても、ここまで「よいしょ」と持ち上げてもらっては、当の首相官邸、国防族議員、防衛省、産業界もいささか面はゆい感じではないでしょうか。
2008/05/30(金) 12:15:20 | URL | 安原和雄 #-[ 編集]
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