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そして手術の日。猫たちは朝9時から一日入院する。といっても私は、猫を捕まえて檻に入れることも、連れていくこともできない。ラクといえばラクだけど。
朝、夫と息子がドタバタと猫たちを捕まえて出て行った後、一人残った私は、猫のいない“空白”の大きさに気づく。

いつもベッドに寝ているアナイスの黒いシルエットがないのに驚き、ドアのベルがなる度に、タマが外に飛び出さないか辺りを見回し、ご飯を食べるときは、一緒に何か食べようと駆けつける猫たちの足音を待ってしまう。
友人の猫沢エミさんの最愛の猫、ビギちゃんが最近亡くなった。13年一緒に暮らした仲なので、彼女が感じている空洞の大きさを想像してしまう。

夕方、獣医さんに電話したら、手術は無事終わったので迎えに来てくれ、という。さっさと連れて帰ってくれ、という口調、そんなに世話の焼ける子達かしら?

7時過ぎに戻ってきたタマは手術後とは思えないケロリとした顔。ここが自分のうちか確かめるようにあちこち嗅ぎまわってから、一日食べていないことを思いだしてガツガツと食べ始めた。

ほんとにおうちに帰ってきたの?
tama.jpeg

アナイスのほうは胴体を包帯でグルグル巻きにされた痛々しい姿。黒い毛に白い包帯、巨大な海苔巻きのようにも見える。
息子は思わず吹き出したけど、こんなとき笑ったら悪いでしょ!卵巣にのう胞がみつかってそれも一緒に取ったそうだ。
麻酔が完全に切れていなくて、歩き出しても下半身がへなっとしてしまう。毛を舐めようとしても包帯に邪魔され、自分の状態にショックを受けたのか、私の部屋に隠れてしまった。

憮然・・・
norimaki.jpeg

夜。いつもは私の脚の上で寝るのに、ベッドにあがってこない。「わたしはどうしてこんなことに・・・」という顔で、暗闇に座っているのだ。私もヘリコプターで病院に運ばれて手術室から出てくるまで現実感がなくて「わたしはどうしてここに・・・?」だったので、きっと同じように感じているのだろう。
猫は「ここが痛い」といえないし、「痛みを1から10で表わすと?」とも聞けないので、余計思いやられる。
これで、タマとの不仲が改善されなかったら怒るからね。

巨大な海苔巻きは深夜まで、身動きもせず座っていた。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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