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BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2012年 02月号



毎度おなじみBLJについて、順不同で感想をば。

第1特集は、コメント等でほんの少しお手伝いさせていただいたのだが、全体を見て、やるなあ、と感心した(エラソーですいません(苦笑))。新刊本の紹介も大事だけど、古典というか古本屋でも探して欲しい本や定番についての目配りも忘れていないところや(とはいうものの、前者については、もう少し深堀りしてほしかったような。コメントを取った方2名のうち1名が法務以外の人というのは、内容以前にちょっとなあ…と思ってしまう。コメントの内容は真っ当だと思うのだけど…)、出版社や取次さんからコメントをもらっているところが、フットワークの軽さを感じさせて素晴らしい。これだけの切り口のネタを一気に使いきって大丈夫か、と変な心配をしてしまう。来年は来年で、更に練り上げた企画をしていただけるものと期待。

第2特集は、執筆者の顔ぶれからして凄いし、独禁法を「攻め」に使う場合、および「攻められた」場合のそれぞれについての実務的な解説も分り易い。ただ、独禁法を「攻め」に使うという発想自体に対して、個人的にはどうしても違和感が残る。相手方の独禁法違反行為による損害について、不法行為で請求するというところまでは理解しやすいのだけど…。某弁護士さんとご一緒させていただいたときに、「独禁法は、結果的に独占を作るツールになっている」という指摘をされていたことを思い出した。


暴排条例についてのQ&Aは、内容として有用だと思うけど、これでもやはり、まだ保守的すぎないかと言う気がする。特に取引の相手方についての調査について、負担軽減を考えることにつき否定的なニュアンスのコメントがあったのが気になった。調査の負担が重すぎれば企業にとってはできないと思うし、当座の費用対効果を無視してでもコンプラを追求しろと言っても、実現可能性を高くするのは簡単ではないと思う。まあ、この手の問題について、企業にアドバイスをして金を稼ぐ立場の人からのコメントとしては、この辺りが限界なのかもしれない・・・というのは穿った見方だろうか。

JFEスチールの役員の方のインタビューについては、企業の役員の方から見た企業法務に対する見方が興味深い。「これからは、企業の中で自分の存在感をアピールしなければ生き残れないということを、各法務担当者自身が強く認識してほしいですね。」という言葉は肝に銘じて置かないといけない。

新・会社法実務NAVIの記事は、「出資比率に応じた権利行使の範囲」の表が便利そう。自分で作ろうとすると、手間がかかるうえに、見落としとかの可能性があって、不安になるから。また、「非公開会社の株式譲渡の流れ」の表もややこしい手続がわかりやすく示されているので便利ではないかと・・・思うけど、書かれている手続を自分でやる必要が生じていないのでよく分からない。

・・・あとの記事は、今まで経験した実務のうえであまり関連がないか、関心がいまひとつで、「へぇー」以上の感想を持てないので、略。


最後に例によって本家から目次の引用。

[第1特集] 良書を見逃さない! 法務のためのブックガイド2012
2011総括 法務担当者5人による 購入書籍 分野別批評会
私の厳選2冊 お薦めポイント紹介

東レ 法務部 井上光美 / 情報通信機器メーカー 法務担当者 / ソフトウェアベンダ 法務担当者
良書発掘

カルビー 財務経理本部 IR部 部長 早川知佐 / 機械メーカー 法務担当者
手近に置いているのはどんな本? ある担当者のデスク風景
出版社がピックアップ お薦め書籍&売れ筋リスト

商事法務 / 民事法研究会 / 中央経済社 / 有斐閣 / 信山社
書店&取次に聞く 売れ筋と傾向
読者が薦める 定番書10冊


[第2特集] 独禁法の攻撃的活用
[INTERVIEW] 自社の独禁法被害を裁判所に持ち込むという選択肢

白石忠志 東京大学教授
訴訟・仮処分・公取委申告を通じた独禁法違反行為の牽制

平山賢太郎 元・公取委審査専門官/弁護士
[INTERVIEW] 独禁法民事訴訟を見据えた法務担当者としての判断ポイント

長澤哲也 弁護士
企業の視点 独禁法を 使う側 使われる側の備え

機器メーカー 法務担当者 / 部品メーカー 法務担当者

Focus
3人の専門家が答える 暴力団排除条例Q&A 都条例施行後の実務対応

大井哲也 弁護士
黒川浩一 前 警察庁刑事局組織犯罪対策部企画分析課
芳賀恒人 エス・ピー・ネットワーク 総合研究室

INTERVIEW
徹底して交渉・対応する 強力かつ細やかなサポート体制

三島一弥 富士フイルム 法務部長


Executive Interview
「受け身」の法務から「発信する」法務へ

相川 貢 JFEスチール 代表取締役副社長


実務解説
中国市場におけるFCPAリスクにどう対応するべきか

植田 統 アリックスパートナーズ シニア・ディレクター 弁護士
ハービー・ケリー マネジング・ディレクター 米国公認会計士


OPINION
コンプライアンスの「紙」様信仰

樋口晴彦 警察大学校警察政策研究センター教授


Inside Story
オリンパス問題は災禍なのか

渋谷高弘 日本経済新聞社 編集委員


連載
実務解説

採用選考時の調査はどこまで許されるのか?
薄井琢磨 弁護士
非公開会社のための 新・会社法実務NAVI

合弁会社にするための株式譲渡
山田直樹 伊藤忠シェアードマネジメントサービス ビジネスサポート部長
企業会計法Current Topics

中小会計基本要領(案)の公表
弥永真生 筑波大学大学院教授
新興国進出におけるリスク

進出計画実行時に発生し得るリスクへの対応策
木内潤三郎 弁護士
World Legal & Business Guide

マレーシア
折原康貴 弁護士 / 長橋宏明 弁護士
Global Business Law Seminar

新国連国際海上物品運送条約(ロッテルダム・ルール)発効への動き
河村寛治 明治学院大学法科大学院教授
具体例に学ぶ e法務ソリューション

今そこにあるデジタル犯罪
AOSテクノロジーズ
牛島信のローヤー進化論
[Information] ビジネスコンプライアンス検定
Pick up! セミナー情報
Movie/Art/Book
編集後記・次号予告

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