その効果は?
拝読している総務&法務担当の部屋さんのなかなか興味深いエントリについて、ちょっと考えたことのメモ。当該エントリの内容とは離れるが…。
元のエントリのお題は所有権留保条項ということで、自社が買主でサプライヤーさんから購入する際の売買契約について、ということらしい。
売買契約においては、売主側は、債権保全の観点から、代金の完済までの所有権留保を入れておきたいと考えることがよくある。ただ、それって売主にとってどこまで有効なのか、と考えると、疑問に思えることがある。いくつか箇条書きにしてみる。
元のエントリのお題は所有権留保条項ということで、自社が買主でサプライヤーさんから購入する際の売買契約について、ということらしい。
売買契約においては、売主側は、債権保全の観点から、代金の完済までの所有権留保を入れておきたいと考えることがよくある。ただ、それって売主にとってどこまで有効なのか、と考えると、疑問に思えることがある。いくつか箇条書きにしてみる。
- 所有権留保されても、取り戻して転売などができないと、取り戻す意味は半減するのではないか。取り戻すまでの間に劣化する可能性がある製品では、売ったままの梱包状態のまま取り戻したとしても意味が無いし、買主側で受取後加工するとか、材料として自社工程に投入するようなケースでは、所有権自体がなくなっている可能性もあり、そもそも取り戻せないだろう(もちろんその分不当利得請求権とか損害賠償請求権に転じているのだろうが)、仮にモノを取り戻せても、スクラップなどの有価物などとして安価にて転売可能というケースを別にすれば、一旦手をつけていると転売はし難いだろう。また、カスタムメイドで転用不可能な製品だと、手付かずの状態であっても、有価物扱いとかを別にすれば(その場合価値は半減以下だろう)、そもそも転売自体ほぼ不可能ということになる。
- 商社が買主の場合(件のエントリでの条項例では、買主は転売することが前提のようなので、機能としては商社なのだろう)、契約上は商社経由の売買であっても、実態としては商社の売り先にメーカーから直送というケースもありうる(売主ー商社、商社ー買主の2本の契約があっても、モノの流れは売主→買主というケース)。買主側が、購買側の作業を減らす(購買に来る請求書の枚数が減る、など)ために、事務手続き上、間に商社をかませるというケースなどが考えられる。売主と商社との間で所有権留保があっても、売主から買主に直送されると、買主側は即時取得の主張が可能なはずで、そもそも所有権留保の及ぼしようがないのではないか。