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取引基本契約書の有利な交わし方―売主が買主に勝つための交渉ガイド / 河合 正二 (著)



企業法務担当者のビジネスキャリア術や、総務&法務担当の部屋、で紹介されていたのと、何より勤務先にあったのとで読んでみた。

取引基本契約書に関する本と言うと、滝川先生の本(気がつくと第3版になっている)が有名だが、あの本は結構分量もあるし、レベルの高い話までカバーされている一方で、こちらは、同じデンソーの法務部の方(現在は関連会社で法務をされているようだが)でも、営業経験のある方が書かれた本で、的を絞って、滝川先生の本に比べれば少なめの分量にして、文字ばかりではなく図解も適宜用いているので、頑張れば営業の人でも読んでもらえるのではないかという程度に収まっている(これでも多いといわれそうだけど)ような気がする。

内容は、メーカーとして、売主となる場合に、買主側から提示された取引基本契約書について、どのような点が問題になって、それにどう対応していくか、ということに絞って書かれている。問題点について、その所在、対案、対案についての交渉担当者への説明、相手方への説明(社内向けと相手方向けとの説明の差異もなかなか面白い)、という順序で書かれていて、契約法務初心者には、これを手元に置きながら契約審査をすると良いのではないだろうか。また、買主側提示案と、売主側案が全文比較可能な形で掲載されているので、それを逐一比較しながら解説を読むとより一層勉強になると思う。


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法務とは何をするところか。

とも弁護士の備忘録経由で見つけた珈琲男のWharton MBA留学記でのエントリ。企業法務の担当者の方々にエントリの全文を読むことをオススメします。
※特に重要だと思った箇所を以下引用(改行位置はこちらで修正しました)。以下で「先生」とあるのがとも弁護士。

ランチも最後に近づいたとき、I部長が席を外された際に、若気の至りで、
「企業法務とは要するに何をするところだと理解すればよろしいのでしょうか?」
などとぶしつけな質問をした際、先生は、しばらく沈黙されたのち、
「組織のレピュテーションを守ることでしょうね」
とお答えになった。


このやり取りの後で、業務の経験を通じて、珈琲男さんは次のように理解するに至る。

法務の仕事とは結局、会社の意思決定を全てのステークホルダーに対して説明可能な状態にするための支援を提供するものであり、意思決定におけるアラカウンタビリティを常に担保することができれば、仮に何が起ころうとも、組織のレピュテーションをギリギリのところで守ることができる、と自分なりに理解するようになった。




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そういえば商標

現在の勤務先では、知財が法務とは別にあるのに、商標権に関する事項は知財ではなく法務が所管。まあ、特許と違って、権利取得の際に、技術者と話をして、技術の内容を把握して云々するというものでもないから、担当者に技術系のバックグランドが要求されるわけでもなく、その意味では、そういう仕切りはあってもそれほど不合理でも無いのだろう。前の2社では法務の管轄ではなかったけど。

実際のところ、ここ最近では、新しい商標を取るという話もあまりないので、既存の商標権の維持と、商標権を使うときの使い方についての相談対応とかが業務。実務は定型化していて下の方々に対応してもらっているので、僕自身は特に何もしていない。こういうことをやっている、という説明を聞いているだけ。

それ以外にも理由(詳細は略)があり、商標権に関する資料を読み始めることにした。何も知らないというわけではないにしても、もう少し知っておくべきだろうと思ったので。


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営業さん向け勉強会の準備

今日は午後から、小一時間内部で打ち合わせ。小規模のグループに別れて、企業価値向上のためにボトムアップで目標と目標達成のための行動を設定して、一定期間実施の上、結果を報告、するということをやるように、というお達しに基づくもの。50代の方々は、昔あったTQCみたいなものだ、というが、TQCを知っているのが40代後半位までだと思うので、そう言われてもよく分からない。

法務ともうひとつ、管理系の部署が集まって件の打ち合わせというか議論をしたのだが、結果的には、work-life balanceの向上を目指すということになった。まだ議論を重ねる必要があるものの、そのためのいくつかの手段の一つとして、営業さん向けの勉強会をやるということになりそう。まあ、営業さんに基本的なことを理解してもらうことで、基本的な事項についての問い合わせとかが減って、業務効率化が図れるのではないかという趣旨。もともと、営業さん向けに研修をする予定(日程は8月か9月のどこかで調整中)があるから、ちょうど良いというか、そのために特別に何かするという事態にならないのが目出度いところ。


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Pocket Justice

Legal blog Watch経由で見つけた。

Pocket Justice

iPod touch/iPhoneで、米国連邦最高裁で下された主な判決の概要(原文は見られない模様。もっともネットに上がっていると思うが)とかを見られるようにしたもの。無料版はBest?100というか、ともかく、有名判例百選についてのみ、閲覧可能。Full versionでも600円とのこと。裁判官の評決の状況とか、裁判官のbioとか(宗教とか、誰が任命したとか人種等の情報が出ている)も見ることができる。

リンクがはってあって、oral argumentがネット上にあるもの(1955年以降のものらしい)は、それをダウンロード可能にもなっている。その辺りが新しいところか。

日本でも第一法規がUSBに判例を収めたものを売っているので、そういうものが今度はiPod touch/iPhone、はたまたiPadとかのアプリになって売られるようになる日も、そう遠くないのだろうと感じる次第。
(追記:第一法規のものは、原文も出ているし、範囲も広いので比較するのはちょっと乱暴かもしれない。)

Twitterと連動させてみた。→やっぱりやめた

もともとtwilogでlogは残しているのだが、一覧性があると、便利ではないかと思ったのと、FC2で連動可能になったというお知らせがきたこともあって、連動させてみた。しばらくやってみて、つまんないと思ったらやめるかもしれないけど。
(5/30追記:何だか特に面白そうに見えないのでやめて、2日分のエントリは削除した。同じものがtwilogにあるし)

blogがストックだとするとtwitterはフローということで、特に保存するまでもないのかもしれないが、時々RT等で重要そうなことをメモったりすることもないわけではないので、やってみる次第。

Fantasy/Earth Wind and Fire



例によってyou tubeから。
you tubeで見ている限り、この頃のEWFは意味もなく踊っているというか、飛び跳ねているような気がする。エネルギーがあり余っているって感じで、踊りが洗練されていないところが、却って好ましいような気がしなくもない。

個人的にはこのファルセットにシビれる。これだけ出れば、間違いなく気持ち良いだろうなあ。

方向性の問題?

NDAというか秘密保持契約の英文版のひな形の見直しを(まだ)していたときのこと。
(社内の雛形で、現状のものが既にあるので、緊急性が高くないので後回しにしていた)

雛形には、こちらから出すとき用、こちらが受け取るとき用、それから、双方で情報を出し合うとき用、ともともと準備されているので、それぞれに見直しを行い、修正案を作って、社内関係各所からの意見をもらった。米国でビジネスをしている方々を経由して米国で付き合いのある現地弁護士事務所の意見ももらってみた。



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きょうもどたばた

ネタ切れなので、またもやこのネタで。差し障りのあるところを避けたら、書けるところが少ないけど。
  • 朝一番から、海外からの質問に回答。用意しないと行けない書類にサインしてもらう社内の偉い人のスケジュールの都合もあるので、関係部署と協議のうえ、速攻で片付ける。今日一日関連する質疑応答を10回くらいやって、何とか形にする。アジア某所の役員のサインと欧州某所にいる某役員のサインが両方必要な書類があって、アジアサイドは今日明日で何とかなりそうだけど、欧州側がスケジュール調整が難航。出張続きの役員を捕まえてサインしてもらうのは結構難儀。30種類以上の書類(殆どが定形のもの)を公証なども込みで3日で整えるという事態になったのだから、こちらの担当者(僕)が慣れていないこともあり、ドタバタしても仕方がないと思うことにする。
  • 10時から部内で定例打合せ。相互の予定、手持ちの大物案件の確認等。
  • 午後一番で打ち合わせ。某契約について。既存のものの更新だが、一部取り扱いを変える箇所があり、契約相手方その他利害関係人への説明をきちんと考えないと話がややこしくなるということで、関係各位の認識が一致。
  • 引き続き別の打ち合わせ。
  • 総務から某固定資産の売却契約についての相談。契約書ドラフトにつき、1箇所だけ直しを入れる。明日クロージングなので、急いで対応。結局クロージングも付き合うことになる。
まあ、こんな感じで。

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2010年 07月号



遅ればせながらメモ。

特集は、なるほど、というところと、??というところがバラけるのだけど、それは自分の経験の有無によるもので、こういう総花的な特集よりも、個別の話題をもっと掘り下げてくれた方が個人的には嬉しい。ただ、そうすると売れ行きが安定しないのかな、という気もするのが微妙なところ。気にし過ぎなのだろうが…。

Workshipは、前回と合わせるとなかなか面白い。リスクに対して、契約的な解決ではなく、ビジネス的な解決も出てくるところが特に面白いし、こういう話が出てくるのはこの雑誌の面白いところの一つだと思う。実務では経験したことが無いけど、勉強になる。契約以外の手談も含めて、如何に知恵を出すか、が重要、と改めて実感する。


徹底マスター契約実務も、JVの解消は、僕自身は関わった経験が今のところないけど、最初の勤務先でこじれた案件があったので、関係がこじれると大変ということは想像に難くない。タグ・アロング、ドラッグ・アロングや、コール・オプション、プットオプション、デッドロック等の各種条項を用いた合弁契約での工夫のしどころと、交渉の持って行き方、落とし所についてのコメントが参考になる。もっとも、どれだけ手を打っても駄目なときは駄目なのだろうし、ここで書いてあるような「落とし所」にいつもうまく着地できるかどうかはよく分からないけど。

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先方契約書案への当方修正案提示後の処理

別のことをしていてBLJは読み終わりませんでした(汗)。

ロントメチーさんの「法務部員がやっていること」でのエントリを読んで、考えたことをメモ。

関係がありそうなところだけ引用(詳細は原エントリをご覧ください)

法務部員の心構えとして大事なことがあります。それは、「自分が書いた契約審査意見書の内容に責任を持ち、安易にその意見の内容を曲げない」ということです。

相手方との交渉結果を受け入れざるを得ない状況であったとしても、最初に付した契約審査意見の内容は曲げないというスタンスに立って営業には回答するべきです。


確かに言動が一貫していないと、信頼してもらえないというか、相手の側から見た場合に信頼しようにもしにくいということになると思う。

とはいえ、一貫性を重んじすぎると、「頭が固い」と言われかねないのも難しいところ。大抵の場合、どこかにソフトランディングさせないといけないはず。その辺りが「安易に」というところににじみ出ていると思われます。ビジネスをまとめて、ナンボ、というところもあるわけだし。



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意味を考える

金曜日は朝出社したら、経理の人からのメールが来ていた。1年単位で更新している某ファイナンス系の契約の今回分の内容がまとまったとのこと。この手の契約は、手間暇がかかる割に、条件交渉で時間を費やしているので、あまりレビューに時間が取れず、ついでに言うと、銀行で定型フォームを使っているような場合は、契約書の文言についてネゴの余地がないことも多い。そうは言っても何も見ない訳にも行かないので、契約書はレビューすることにする。

それと並行して、関係書類の手配を行う。会社として機関決定を経ないと行けない書類なので、その辺りの手配が結構面倒くさい。議事録、商業登記簿、印鑑証明とかも必要になる。海外の関連会社も当事者になるので、それぞれの会社においても機関決定をしてもらう必要もあるし、各社で書類にサインする人間の権限の証明とか、サイン自体の証明とか、会社が適法に設立されていることの証明とか、無闇矢鱈に書類が必要になってくる。公証が必要になる書類もある。

毎年恒例のことなので、関係各位は何をすれば良いのか分かっているはずなんだけど、依頼を出すこちらが分かっていないので、過去の例を見つつ、昨年度分から何が変更されているかを勘案して依頼内容を作る。細かい注意点まで含めた依頼メモを作ったら、一日の殆どがそれに費やされてしまった。

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無線LAN安定せず

無線LANの調子は、相変わらず安定しない。Coregaの子機を抜いて、他の手を試すことにした。googleで検索すると、intel のサイトでドライバーをupdateして改善したという記載を見た。サイトのURLが不明なるも、intelのサイトで、ドライバーの検索をするとupdateする対象が発見されたので、それを実施した。多少は改善したような気がするものの、ワイヤレスネットワークユーティリティーがかち合っているというエラー表示が出ている。かち合う対象はなくしたはずなのだが、謎が残る。

知的財産権とデザインの教科書 /龍村 全 (著), 渡邉 知子 (著)


*昨日酔っ払ってしまって書きそびれたので、日付を遡行して記載しておきます。

senri4000さんのところで見つけて入手。

元になったのがデザイン系の雑誌での連載ということもあり、見た目がすっきりしている。あんまり法律系の本という感じはしない。デザイン系の雑誌で、読者が知財権とかに関心があるとも限らないので、誰もが知っていそうな実例を取り上げているので、特に関心がなくても興味を引けると思う。実物などの写真や図が豊富なので、それぞれの事案で何が問題になっているのか、分り易い。



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「ITエンジニアのための契約入門」 version upしました

ほそぼそと販売中の「ITエンジニアのための契約入門」ですが、少しだけ?version upしたのが確認できたのでご報告。
主にtypo errorの修正ですが、最大の修正はiTune App store で表示されていたタイトルの間違いの修正…かもしれません。

個人的にはITエンジニアの方に買っていただけるのではないかと勝手に思っていたのですが、予想に反して?、法務系の方々からのレスポンスをいただき、ちょっと驚きました。
(弁護士さんから、クライアントの説明の仕方の参考に、と思って購入したというお話をお伺いして、なるほど、そういう使い方もあるのか、と思いました)

皆様どうもありがとうございました。感想などお聞かせいただければ幸甚です。
もし誤り等ありましたら、お手数ですが、このサイトのメールフォーム等を通じてご連絡いただければと思います。

<(_ _)>どうぞよろしくお願いします。

どなたさまで?

弁護士さんの表敬訪問とかを受けることがよくある。特に海外で起用している事務所の弁護士さんが何かの折に来日した時とか。そういうときに、話をするネタに困って、内心焦ることがままある。こちらが教養豊かでも話題豊富でもないのと、沈黙が苦手なことが理由にある。

そういうときのために、一応事前にやっておくのが、弁護士さんの素性調べ via internet。事務所のサイトがあれば、そこでbioとかは出ているだろうし、名前をgoogleで入れるだけでも結構色々出てくる。判例とかで代理人として名前が出てくることもある(さすがにいちいち全部は読まないけど)。そういう中から話題に出来そうなネタを考えてみることで、気まずい事態を防ごうというのが狙い。今までのところ、そういうネタを実際に使ったことはないのだが、まあ、安心材料ということで。

若手の日本人の弁護士さんを調べたら、司法試験予備校の合格体験記とかから引っかかることもある。

ともあれ、弁護士さんの名前を検索してみると、結構意外なことがわかったりするので、オススメです。

対抗言論というか、何と言うか

口蹄疫騒動に関連して、東国原知事の発言の報じ方がダメダメだった件について、検証してくれた方がおられた。

東国原知事「寝てない!けんか売ってんのか!」 大荒れ記者会見書き起こし

現場の最前線で闘っている方々に対して失礼な報道の仕方だよな、と起こしていただいた文章と記事を見て思った次第(9分分起こすのに50分かかったとのことだが、テープ起こしとかをやった経験からするとそのくらいの時間はかかると思う)。知事のコメントを報じるのも大事かもしれないが、現場で闘っている人たちを傷つける報道をして良いはずがないマスコミ以外の誰のためになる報道なのか理解に苦しむのが正直なところ。

と思って、昨夜twitterでRTをしたら、思いのほか多くの反応のRTコメントがこちらのTLにも流れてきて、そう思ってくれた人がそれなりの数いてくれたことがわかって、ちょっと安心した。

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きょうはこんな日

他のことを書こうと思ったが、もう少し考えてからにしようと思い至ったので、たまに書いている、本日の業務についてのメモ。差し支えないと思われる範囲で書いてみる。

朝から某案件の契約書ドラフトのレビュー。資料が五月雨式に届くし、まだ資料が全部届いていないので、全部レビューした上でコメントを出せるのは、いつになるやら。しかも一部は英語でも日本語でも無い言語(内容はNDAらしい)で書かれているので、どうしたものか、と悩む。今日は一日、他の用事に対応しながら、これをずっとやっていた。手持ちの資料のレビューは明日くらいで終わることを希望。

他の用事とは、ざっくりこんな感じ。
  • 部署内定例打ち合わせ。
  • 某得意先との支払条件変更交渉に向けた、変更契約案の作成。実際は下の人にやってもらっているので、それにコメントをする。肝心の営業さんが、どうしたいのかイメージがふらふらしているような気がしなくもないが、それはそれで対応する。
  • アメリカで付き合いのある弁護士事務所の弁護士さんが他の用事で来日したので表敬訪問を受ける。まあ、こういうのも大事ということで。先方が日本語ができるので日本語で話をする。
  • 某社内規程について、今までなかった事態への対応の必要が生じたので、対応方法について、関連部署と協議。

無線LAN不調

corgaのUSB接続の無線LANの子機を使うようになったところ、一旦は改善したThinkpad X61の無線LANの接続状態。しかしながら、最近またオカシイ。iPod touchとかで無線LANを使う分には問題が無いので、この端末の問題であることは間違いない。もっと別の手をとらないと行けないのかもしれない。

繋がる時と繋がらないときと両方あるのが何だか怪しい。

「 実践コンプライアンス講座 これって、違法ですか?―社員が直面するビジネストラブル解決法」/中島 茂 (著), 秋山 進 (著)



営業部長さんや企業の経営者と弁護士の方々とのガチンコトークで作られた「現場レベルにまで降りた、素人にも使えるビジネスのルールブック」(まえがきより)。確かに現場レベルに「降りて」いる。対談形式で、延々と説明が続いたりしないし、分量も多くないから、法務以外の普通の(?)ビジネスマンにも敷居が高くないと思う。法務の担当者にとっても有用なところは多いと思う。

個人的には、直販対代理店の仁義なき戦いへの対応方法や接待についての対応方法、それから債権回収の現場での情報戦(相殺を上手く使うとか、債権者集会に出て連鎖倒産の可能性を探るために少額の債権を意図的に作るとか)のあたりが特に面白かった。

難点を強いて上げれば、2003年の本なので、その後の法令改正に対応出来ていないところか。個人的にそれが大きな問題かというと、そういう気はしていないけれど。




専門分化というか…

やんわりとプレッシャーをかけたという意識はなかったのだけど、senri4000さんが米国特許訴訟の経験から米国弁護士の選び方・付き合い方についてのエントリをまとめてくれたので、感謝しつつ、気づいたことを箇条書きでメモしてみる。どこも似たようなところで苦労しているのだろうから、非常に有用なエントリだと思う。
  • LitigatorとPatent prosecution専門の弁護士とは、要求されるスキル(芸風?)が違うのは確かだと思う。素人の陪審に分り易く説明するのが前者の主たる役目のはずだし、後者は専門家間での説明が主のはず。その意味でLitigatorに科学系のバックグラウンドが必須かと言うとそうでもないだろうし(どこが素人に分かりにくいかを把握しやすい分、バックグランドがない方が良いのかもしれない)、後者では逆に必須なのではないかと思う。
  • Litigatorはtrialで闘うのが本業というところもあるだろうから、trial手前で訴訟を終わらせようとする和解交渉に対して、消極的になるという面はあるのかもしれない。
  • 上に挙げたような差異が積み重なって、ファーム全体の差異に繋がっていってもおかしくないような気が個人的にはする(そんなことを感じるのはオマエだけだといわれそうだけど)。
  • 日本の企業の行動様式への理解は、きっと重要なんだろう。特に内部での意思決定のプロセスとか、予算事情とかそういう辺りを理解してくれないと、トラブルの種になりそう。
  • 日頃の事務所との付き合いが重要という点は同感。意識的にコネクションを保つことが重要だと、思っている。

この程度しか書くことを思いつかない…やはり経験不足なんだろう。

CISG適用排除について

気になっているけど、手が回っていないのがCISG対応。

現在某欧州系大口顧客との取引契約を見ているが、適用は排除になっている。欧州系の別の企業との大口の契約で締結済のものを見ても排除になっている。

個人的に見聞きした情報からすれば、僕自身も適用にはポジティブな感じは持てない。前にも書いたかもしれないが、事態が却ってややこしくなるような気がしてならないからだ。僕が理解する限り、締結国でも適用留保とかがついている国(中国等)については、個別の取引に本当に適用されるのかは、細かく見ていく必要があるし、仮に適用されるとしても、適用範囲はいうほど広くない(と理解している)。そうなると、これらの点だけでも、費用対効果があわないのではないかと思うのだ。

その割に、世の中の日本の法律系雑誌を見ても、適用を勧める記事ばかり。誰がどう見ても、適用すべきという結論になるとは思えないのに、何か裏があるのか、と勘ぐりたくなるくらいだ。そうはいうものの、一人くらい反対している弁護士さんがいてもおかしくないのではないかと思って探したら、blogではあるが、そういうコメントをされている弁護士さんがおられたので、メモ。

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今さらながら

Seperac.comで、僕が受けた時のNYBarのMBEの素点(通知があるのはscaleで換算した点数のみ)等を計算できるようになっているのを見つけた。
July 2008 MBE Calculator

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受け入れ

何をしているのか分からないうちに、一日終わってしまったが…。

来週から新しい人が来る。来ると言っても、物理的には隣にあるセクションから来るだけ。その人の座る場所を作るために、僕が今まで座っている人がいなかったところに移動するので、荷物の片付けとかもやった。4ヶ月ちょっとしかいないのに、結構モノが溜まっていることに気づく。

その、新しく来る人についての、年次目標の設定も行った。法務のように年度内に何が起こるか分からない部署で、年度のはじめに目標設定をすることにつき、どういう意味があるのか、個人的には懐疑的なのだが、途中で変更可能ということもあり、一応設定する。

新しく来る人は、経験がまったくないものの、やる気はあるので、モチベーションを落とさずに、如何に早く戦力になってもらうかを考える必要がある。メーカーの法務なので、業務としては、製品販売に関する契約を検討するのが、量的に一番多い。今まで管理部門しか経験がないということなのだけど、会社の全体像が見えてくるような分野(経理とか人事とかがそうなんだろう)の仕事に携わっていたのであれば、その理解を踏まえて、契約書でどういうリスクについて注意するべきか、理解してもらうという形も取れるのだろうが、それも難しそう。法理論的な話と両方を少しづつ覚えてもらうという形になるのだろう。

潮騒静夜/スターダスト・レビュー

法律系の話題を無理やり続けてみたけど、やっぱり疲れたので、you tubeネタで息抜きを。

スタレビといいつつ、演奏は根本要+尾崎亜美+小原礼。ちゃんとスタレビのアルバムに入っている曲とのこと(三谷さんが抜けてからのスタレビはフォローしていないので知らなかった)。前振りのMCは要さんらしいと思う。



歌詞はなんとなく中村中らしいなあ、と知りもしないのに勝手に思う。要さんの声は女性の視線の歌も合う。

ちなみに、スタレビ版のものも上がっていた(埋込禁止だけど)。

アウトプットの重要性

…そんなものを感じている今日この頃です。そんなわけで、さとなおさんのお言葉にも僭越ながら同感です。

まだまだ販促中の(?)「ITエンジニアのための契約入門」だって、このblogを続けていたから、制作時に声をかけてもらえたわけだし。

それ以外にも、ここで時々ネタにしていた(無事に終わった)部署内での勉強会でも似たようなことが当てはまる。いざ自分が説明する側をするとなると、特に資料を準備しなくても、それなりに準備はするから、自分の勉強にもなる。そうやってアウトプットするということで、自分へのインプットの動機づけにもなる(締め切りが切られるということも大きいけど)。

でも、自分の勤め先以外での価値とかを考えるうえでは、勤め先の外への発信という方が面白いと思う。だから、企業法務の方々も、もっとblogとかを通じて発信しても良いのではないかと思うのでした。特に、法務を一人でやっていて、社内での刺激に飢えている人にはオススメ、という気がしています。もちろん守秘義務とかの制約はあるけど、自分のことを棚にあげて言えば、伝えてはいけないことが伝わらないようにしつつも、伝えたいだけが伝わるようにする文章を書くことだって、法務としてのスキルとしては、重要だと思う(変な誤解を避ける意味でそういう配慮がいる状況はそれなりにあると思う)。そういう訓練にもなるかもしれないのだから。

下請かけこみ寺

下請かけこみ寺

中小企業向けに、弁護士による調停手続も用意されているとのこと。手続費用は無料で、手続は非公開とのこと。手続は3ヶ月で終わることを標準としている。法務大臣の認証を受けた機関であるので、いわゆるADR法に基づき、時効の停止などの法的効果が得られることがあるという(手続利用の手引)。
(調停人の委嘱を受けられた弁護士さんのblogのエントリ経由で知った)

もっとも、調停なので、不調にすることはできるし、申し立てても相手が応じないとそもそも手続が始まらないので、相手の出方次第では上手くいかない可能性もある。ただ、上手く使えば費用的にも訴訟よりも安く、迅速に解決ができるのかもしれない。

ちなみに、ここでは下請適正取引等の推進のためのガイドラインの普及もやっていて、業種ごとの下請法遵守のベストプラクティスも公開している。


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コピー機に気をつけろ?

またもやLegal Blog Watchからの話題

デジタルのコピー機とか複合機にハードディスクがついているのは、周知の事実だと思うけど、確かに、その中に入っているデータがどうなっているか、特に、機械をリースで使用している場合に、リース期間が終わって返すときに、試用期間中に蓄積されたデータがどうなっているか、まで、気を配れているかというと、結構微妙な気がする。リンクした記事の中に埋め込まれていたCBSの報道を見ると、ネット上にあるフリーのソフトウエアとかを使うと、特に対策をしていない複合機のデータを読出したりすることも可能とのことで、実際に読み出した事例(個人のプライバシーに関するデータが続々と出てきていた)も報じられている。

この点については、複合機メーカー側も対策を講じているようだけど(シャープの例)、機械の値段に反映してしまうので、すべての機械に装備されているとは限らない模様。

eDiscoveryとかで、こういうところにあるデータまで保管とかいう話になったら目も当てられないし、そうでなくても、リースアップして、他のところで使われた複合機を通じて、センシティブなデータが漏洩する可能性もあるというと、そこまで気を使わないとイケナイのか、と気が重くなってくる。

そういう問題か?

law.comの記事から。ネタ切れなので、引用ですいません。興味があるネタだったので。

Legal Privilege Still Elusive for EU's In-House Lawyers

前にネタにしたin house lawyerに対するattorney-client privilegeの適用の有無について、EU内では否定的な見解を取る国が多いようなのだけど(認めているのは英国、アイルランド、オランダのみとのこと)、今回、カルテルの事例において、EU最高裁のadvisorが適用に否定的な見解を出したと言うこと。EU最高裁の判断も年内には出るとのこと。どうでもいいけど、その見解についてのプレスリリースが出ているというのは、ちょっと驚いた。

このlaw.comの記事だけを見ると、会社の利益と自分の職業倫理との間で板挟みになる構造的なリスクがあるため、会社からindependentではないから、ということが見解の理由のようだけど、依頼者が十分に相談できるようにという理由でattorney-client privilegeが認められていることとの関係がよく分からない。

リンクをはった見解その他は別途読んで、追記または別途エントリにできればと思います。もちろんEU最高裁の判断も、ですが。

取り急ぎメモということで。

reviewとdraftとの関係

#気がつくと、こちらのカウンターが16万アクセスを超えていました。どうもありがとうございます。

さて、個人的な予想を上回るペースでダウンロードしていただいている、ITエンジニアのための契約入門ですが、既に誤植がちらほらと判明しています。判明しているものはサポートサイトでリストアップしていますので、お手数ですが、そちらをご覧頂けると助かるのですが、こうやって、誤植の一覧を見て思うのは、著者が自分で校正するというのには、限界があるのかな、ということです。

共著ではありますが、自分が初稿を書いたところはもちろんのこと、それ以外のところも、都度議論しながら制作しているので、その過程では、ここの部分で何を書くべきなのかは、頭に入ってくるわけです。そうなると、冷静な目で文書を見るのが難しくなるように思います。文面を見ていても、文字面を見るよりも、内容が頭をよぎることが多くなって、それゆえに、単純なミスでも見落としてしまう、そういう感じがしました。

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*コメント等で私に言及するときは
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