センスがない?
不気味な存在感しか出せないこちらと違って(核爆)、いつもウィットと示唆に飛んだ発言をされる@kataxさんの作ったハッシュダグ、#センスないなぁと思う契約条件@twitterが秀逸。
そのうちの一つ、「秘密情報の例外に捜査機関等への法令上の義務に基づく開示が含まれている」について、気づいたことを、頭の整理も兼ねてメモ。ネタがないから、思いつきを書いているだけなのはいうまでもない(投)。
そのうちの一つ、「秘密情報の例外に捜査機関等への法令上の義務に基づく開示が含まれている」について、気づいたことを、頭の整理も兼ねてメモ。ネタがないから、思いつきを書いているだけなのはいうまでもない(投)。
NDAとか機密保持契約というのは、一定の「秘密情報」について開示する際に、「秘密情報」について
ここで、「秘密情報」について、仮に、捜査機関等への法令上の義務に基づく開示をした場合に、「秘密情報」に含まれなくなる、とすると、捜査機関等(裁判所とか官公庁も含まれるのだろう)への開示義務によって開示した瞬間に、その情報について、「秘密情報」に含まれなくなる以上は、第三者への開示もやってよくなるし、開示した目的以外、例えば、X製品の開発のために開示された情報であれば、Y製品やZ製品についてもその情報を使ってもよい、ということになりそうである。
そういう事態になるのは、通常は、契約当事者の意思とは合致するとは到底思えないのだが...。
では、どうすればよいのだろうか?
直接答えを考える前に、そもそも、捜査機関等への法令上の義務に基づく開示を「秘密情報」の例外としようとしたのは何故なのだろうか、ということを考えてみる。それは、「秘密情報」の開示を受けた側に対して、捜査機関等から開示する義務が課せられ、実際に開示が必要な場合に、開示をした側にお伺いを立てることなく、開示できるようにするのが目的ではないかと思う。
開示義務があり、実際に開示せざるを得なくなったときに、開示をした側にお伺いを立てて承認が得られば、実のところ何も問題もなさそう。ところが、開示をした側が、何らかの理由で、開示を拒否する可能性はゼロではない。ついでにいうと、いきなりガサ入れみたいなのが来て、そもそもお伺いを立てる暇がない可能性だってないわけではない。そういうことまで考えると、前記のような事態になったら、自社が捜査機関等から「秘密情報」を開示しないことにより処罰等を受ける危険、および、捜査機関等に「秘密情報」を開示した場合に、相手方からこの契約の債務不履行を問われる危険、を避ける必要がある。だからこそ、上記のような文言を入れることを考えたはずなのである。これらの危険があるのは、大抵の場合事実だろうから、何らかの形で対応する必要がある。
となると、寧ろ、上記の1.の例外として、「開示しない義務」の一部免除という扱いにするのが良いのだろう。即ち、
『「秘密情報」について、第三者には開示しないものとする。ただし、捜査機関等への開示義務によりこれを開示する場合はこの限りではない。』
というような形にしておくのが良いのではないだろうか。少なくとも、開示を受ける側で、捜査機関等に開示する義務があるけど、相手側の承認が取れずに開示できず、捜査機関側から開示義務違反を問われる危険(または捜査機関側に開示したけど相手方との関係で契約義務の不履行を問われる危険)は避けることができるような気がする。
(なお、ここで「捜査機関等への開示義務」としている部分については、秘密保持契約が作成される状況によっては、範囲が広がることもある。分かりやすそうな例でいうと、M&AのDDの前に交わされる秘密保持契約においては、取引所とかへの開示、DDをするための弁護士、会計士、FAなどのアドバイザーへの開示も含まれる場合がある。)
「秘密情報」の開示を受ける側にとっては、とりあえず、ここまでの手当で良いのだろうけど、その相手方、「秘密情報」のもともとの持ち主で、この契約に基づいて開示をする側はどうだろうか?捜査機関等への開示はやむを得ないとしても、そこから他のところに開示されても困るだろうし、開示したものが訴訟に使われた結果、訴訟の公開の過程で公開情報になってしまったら、困ってしまうだろう。
アメリカとかではProtective Orderを出してもらうことで、Discoveryで開示した資料が外に広がらないよう歯止めをかけるということがあるが、それに類することができないか、ということで、開示自体は止めないとしても、可能な限り開示前に、または間に合わない場合は開示後速やかに、連絡をもらうことで、前記のような対応が取れるようにする、という文言を入れることで一応対応ができるかもしれない(常にできるという保証はないけど)。
とまあ、ざっくりとした話でも、つらつら書いたら長くなってしまった。やはりNDAは、この他にも色々と論点(という言い方が適切かどうかはさておき、考えるべきところ)があるので、何だかんだ言って奥が深いと思う。
- 第三者に開示しない
- 開示した目的以外に使用しない
ここで、「秘密情報」について、仮に、捜査機関等への法令上の義務に基づく開示をした場合に、「秘密情報」に含まれなくなる、とすると、捜査機関等(裁判所とか官公庁も含まれるのだろう)への開示義務によって開示した瞬間に、その情報について、「秘密情報」に含まれなくなる以上は、第三者への開示もやってよくなるし、開示した目的以外、例えば、X製品の開発のために開示された情報であれば、Y製品やZ製品についてもその情報を使ってもよい、ということになりそうである。
そういう事態になるのは、通常は、契約当事者の意思とは合致するとは到底思えないのだが...。
では、どうすればよいのだろうか?
直接答えを考える前に、そもそも、捜査機関等への法令上の義務に基づく開示を「秘密情報」の例外としようとしたのは何故なのだろうか、ということを考えてみる。それは、「秘密情報」の開示を受けた側に対して、捜査機関等から開示する義務が課せられ、実際に開示が必要な場合に、開示をした側にお伺いを立てることなく、開示できるようにするのが目的ではないかと思う。
開示義務があり、実際に開示せざるを得なくなったときに、開示をした側にお伺いを立てて承認が得られば、実のところ何も問題もなさそう。ところが、開示をした側が、何らかの理由で、開示を拒否する可能性はゼロではない。ついでにいうと、いきなりガサ入れみたいなのが来て、そもそもお伺いを立てる暇がない可能性だってないわけではない。そういうことまで考えると、前記のような事態になったら、自社が捜査機関等から「秘密情報」を開示しないことにより処罰等を受ける危険、および、捜査機関等に「秘密情報」を開示した場合に、相手方からこの契約の債務不履行を問われる危険、を避ける必要がある。だからこそ、上記のような文言を入れることを考えたはずなのである。これらの危険があるのは、大抵の場合事実だろうから、何らかの形で対応する必要がある。
となると、寧ろ、上記の1.の例外として、「開示しない義務」の一部免除という扱いにするのが良いのだろう。即ち、
『「秘密情報」について、第三者には開示しないものとする。ただし、捜査機関等への開示義務によりこれを開示する場合はこの限りではない。』
というような形にしておくのが良いのではないだろうか。少なくとも、開示を受ける側で、捜査機関等に開示する義務があるけど、相手側の承認が取れずに開示できず、捜査機関側から開示義務違反を問われる危険(または捜査機関側に開示したけど相手方との関係で契約義務の不履行を問われる危険)は避けることができるような気がする。
(なお、ここで「捜査機関等への開示義務」としている部分については、秘密保持契約が作成される状況によっては、範囲が広がることもある。分かりやすそうな例でいうと、M&AのDDの前に交わされる秘密保持契約においては、取引所とかへの開示、DDをするための弁護士、会計士、FAなどのアドバイザーへの開示も含まれる場合がある。)
「秘密情報」の開示を受ける側にとっては、とりあえず、ここまでの手当で良いのだろうけど、その相手方、「秘密情報」のもともとの持ち主で、この契約に基づいて開示をする側はどうだろうか?捜査機関等への開示はやむを得ないとしても、そこから他のところに開示されても困るだろうし、開示したものが訴訟に使われた結果、訴訟の公開の過程で公開情報になってしまったら、困ってしまうだろう。
アメリカとかではProtective Orderを出してもらうことで、Discoveryで開示した資料が外に広がらないよう歯止めをかけるということがあるが、それに類することができないか、ということで、開示自体は止めないとしても、可能な限り開示前に、または間に合わない場合は開示後速やかに、連絡をもらうことで、前記のような対応が取れるようにする、という文言を入れることで一応対応ができるかもしれない(常にできるという保証はないけど)。
とまあ、ざっくりとした話でも、つらつら書いたら長くなってしまった。やはりNDAは、この他にも色々と論点(という言い方が適切かどうかはさておき、考えるべきところ)があるので、何だかんだ言って奥が深いと思う。