会社法務入門<第4版> (日経文庫) / 堀 龍兒 (著), 淵邊 善彦 (著)
最初の勤務先で法務に配属になった頃に読んだ本が新しくなっていたので、買って読んでみた。商社→アカデミックという方の単著だったのが、TMI総合法律事務所とのコラボレーションになっていた。企業の法務の業務についての説明と、企業の法務で出てきそうな法律についてのざっくりとした説明をコンパクトにまとめている。
コンパクトすぎるので、ある程度読者に知識がないと、読み進めるのも厳しいかもしれない。法学部で法律の勉強をしていない人にはつらいから、他の学部出身で法務に配属という人にいきなり入門書として読んでもらうのには適さない。
もともと商社の方が書かれていることもあってか、取り上げている法分野の説明についても、債権回収関係の話は比較的詳細だけど、製造物責任法とかの話は一言程度だし、外為法関係の話や税務(印紙税を含む)の話も出てこないので、メーカー法務からすると?と思わないでもない。ただ、業種に限らず、というところからすると、そういうものかもしれない。日経文庫で出す、というと、紙幅の制限もあるだろうし。
ともあれ、たまに、こういうのを読むと、「世間標準」みたいなものから自分のやっている範囲がどのくらい偏っているか、ということが見えてきて面白い。僕の場合は、今まで、および今の勤務先でいずれも労務とか債権回収への法務の関与が限定的で、個人的には殆ど関与していないとか、金商法関係の話はやったことがない、とか、見えてくる。そういう経験の少ない分野について、万が一、質問が来たら、慌てふためくことも想定されるので、その辺はリスク(というとヘンだけど)として認識しておく必要があるのだろう。手元(または部内の書庫)に最低限の本は置いておくとかしないと危ないかもしれない。