今から東京大学2013年度理第1問、複素数平面(行列)の問題の解説をしたいと思います。
よろしくお願いします。
[問題]
実数a,bに対し平面上の点P_n(x_n,y_n)を
(x_0,y_0)=(1,0),(x_(n+1),y_(n+1))=(ax_n-by_n,bx_n+ay_n)(n=0,1,2,…)
によって定める。このとき、次の条件(i),(ii)がともに成り立つような(a,b)をすべて求めよ。
(i)P_0=P_6
(ii)P_0,P_1,P_2,P_3,P_4,P_5は相異なる
[解答と解説]
この問題はもともと、行列の問題で
(x_(n+1),y_(n+1))=(ax_n-by_n,bx_n+ay_n)
となる(x_n,y_n)→(x_(n+1),y_(n+1))の変換は行列を習わなくなったからわかりにくいねんけど回転拡大縮小をあらわしているねん。
だから複素数平面であらわせるねん。
実際にx_(n+1)+iy_(n+1)=(a+ib)(x_n+iy_n)
やな。
そしたらa+ib=r(cosα+isinα)とおくとα回転してr倍と言うことになるやろ。
これでP_0=P_6になるってことはr=1でnを整数として6α=360°nつまりα=60°n
P_0,P_1,P_2,P_3,P_4,P_5は異なることより
k≠jのときkαとjαは360°で割った余りが異なる
⇔
kα≢jα(mod 360°)
⇔
nk≢nj(mod 6)
⇔
nと6は互いに素よりn=1,5とやると
確かにそういうことやねんけど
別の人生を歩み出すことになります。
何が言いたいのかと言うと、そこに重みがあるわけ違うねん。
最初からそう言えや!
何故互いに素なのかは後から書くことにして、この問題ではそこまで一般的にやらなくても
P_0=P_6から6α=360°n(0≦α<360°)
でα=0°,60°,120°,180°,240°,300
であることが必要やから
もう全部調べて、シラミ潰しでええねん。
それが整数問題では自然やねん。
更に言うと、テクニシャンは-180°≦α<180°として
α=0°,±60°,±120°,-180°
ってやると場合分けを減らしたりもします。
と言うことで解答は
(ii)より(a,b)≠(0,0)で
x_(n+1)+iy_(n+1)=(a+ib)(x_n+iy_n)
と表せる。
cosα=a/√(a^2+b^2),sinα=b/√(a^2+b^2)とすれば(-π≦α<π)
a+ib=√(a^2+b^2)(cosα+isinα)となり
x_n+iy_n=(a+ib)^n(x_0+iy_0)
=(√(a^2+b^2))(cos(nα)+isin(nα))
(i)より(√(a^2+b^2))^6(cos(6α)+isin(6α))=1(cos0+isin0)
よって(√(a^2+b^2))^6=1⇔a^2+b^2=1
また-π≦α<πから-6π≦6α<6πより
6α=-6π,±4π,±2π,0
⇔
α=-π,±2/3π,±1/3π,0
これでシラミツブシしていくねん。
α=-πのとき
2α=-2πでP_0=P_2となり不適
α=±2/3πのとき
3α=±2πでP_0=P_3となり不適
α=±1/3πのとき
2α=±2/3π,3α=±π,4α=±4/3π,5α=±5/3πより(ii)を満たす
α=0のとき
P_0=P_1より不適
これから
(a,b)=(1/2,±(√3)/2)
とわかりました。
そしたら…さっきの互いに素の話に戻ろか。
これは複素数平面でも使ったりするしな。
pとqが互いに素な時
1p,2p,3p,…,(q-1)p
をqで割った余りはすべて異なり
1,2,3,…,q-1
が1つずつ表れる
これやがな。
なんでこうなるかは有名な証明があって
1≦i<j≦q-1として
ipとjpをqで割った余りが等しいと仮定すると
jp-ip=(qの倍数)
⇔
(j-i)p=(qの倍数)
pとqは互いに素より、j-i=(qの倍数)になるやろ。
でも-(q-1)<j-i<q-1と言うようにj-iの範囲は狭くてこのうちqの倍数になるのは
j-i=0だけやねん。
それで矛盾するわけですね。
pとqが互いに素でないときは、そもそも余りが最大公約数の倍数になるから全部あらわれないしな。
だから、0,1n,2n,3n,4n,5nを6で割った余りが0,1,2,3,4,5になるには6と互いに素なn=1,5ってわかるにはわかってこれが背景にあるっていうところやな。
東京大学の入試の数学の過去問の解説
- 関連記事
-
テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育
|